81 / 238
婚約についての話し合い
しおりを挟む
ベルティーユ様がお見舞いに来てくれてから二日後、予定通り子爵ご夫妻とリシャール様を交えた話し合いが行われました。お会いするのはあの日以来ですが…熱が下がって冷静になると、求婚を断られる前提の返事をしたことなどが思い出され、その上でコレットからあの時の様子を聞いた私は…恥ずかしくて合わせる顔がない、そんな気分でした。
(熱があったからって…それにどうして毎回毎回、肝心な時にきちんとした対応が出来ないのよ、私…)
自分の事ではありますが、求婚した時と同様、今回も私の中ではいい記憶としては残りそうもありませんでした。リシャール様が絡まなければ感情もコントロール出来るし、冷静でいられるのに…
「本当に好きだからでしょ」
ベルティーユ様はその一言で片づけましたが…確かに私があんな風になるのはリシャール様の前だけなのですよね。そうなのかと思う一方で、だからこそちゃんとしたいのに…と自分が恨めしく思えたりもします。
両家の話し合いが始まって、私は驚きました。婚約成立だけでなく、リシャール様がファリエール伯爵家の養子になる事も決まっていたからです。
実はお父様はリシャール様が返事をしにいらっしゃった時、先に養子縁組の話をしていて、婚約発表前に養子縁組をする事、その件について子爵の意向を確認する事、問題なければ今日の話し合いで手続きを済ませる事を告げていたそうです。今のままでは万が一の時、リシャール様の身を守り切れないというのがお父様のお考えで、それは子爵も同じだったようで、その場で書類にサインしてしまいました。
後はお父様が話し合いの後、王宮に出向いて決済すれば終わりです。宰相はお父様ですし、陛下の許可も慰謝料とセットだったため、お父様が書類に印を押せば終わりなのだとか…お父様、仕事が早すぎてびっくりですわ。
両家の話し合いがある程度済むと、私はリシャール様とあの四阿でお茶を頂きました。両親と子爵夫妻は今後について詰めの話がありますが、そこは家長の領域なので私達の出番はありません。お母様がせっかくだから散歩でもしていらっしゃいと言って下さったのです。
今日のリシャール様は青みがかったシルバーに青の差し色の衣装でした。これって…私の色、と思ってもいいのでしょうか…商会でも一線を引かれていましたし、この求婚は断られると思っていたので、リシャール様の返事が意外でしかないのですが…
「…あの、リシャール様は、よろしいのですか…」
だから、思わずそう尋ねてしまいました。
「よろしいとは、何に対してでしょう?」
「それは、この婚約、です。リシャール様はその…お断りされると思っていましたので…」
正直に言えば、断わられるのは確信に近かったかもしれません。最初からリシャール様は断っていましたし、お店での態度もその意思がありありと感じられていました。しかも最後はお店に迷惑をかけたのです。リシャール様があのお店をとても大切にしているのは働いていて強く感じたので、いくら詐欺集団を捕まえたとはいえ不本意だった筈です。だからこそ、出勤停止と言われた時は、もう終わったと、そう思っていたのです。だからこうもとんとん拍子に話が進むと、夢落ちか何かなのでは?と思ってしまうのですよね。
(熱があったからって…それにどうして毎回毎回、肝心な時にきちんとした対応が出来ないのよ、私…)
自分の事ではありますが、求婚した時と同様、今回も私の中ではいい記憶としては残りそうもありませんでした。リシャール様が絡まなければ感情もコントロール出来るし、冷静でいられるのに…
「本当に好きだからでしょ」
ベルティーユ様はその一言で片づけましたが…確かに私があんな風になるのはリシャール様の前だけなのですよね。そうなのかと思う一方で、だからこそちゃんとしたいのに…と自分が恨めしく思えたりもします。
両家の話し合いが始まって、私は驚きました。婚約成立だけでなく、リシャール様がファリエール伯爵家の養子になる事も決まっていたからです。
実はお父様はリシャール様が返事をしにいらっしゃった時、先に養子縁組の話をしていて、婚約発表前に養子縁組をする事、その件について子爵の意向を確認する事、問題なければ今日の話し合いで手続きを済ませる事を告げていたそうです。今のままでは万が一の時、リシャール様の身を守り切れないというのがお父様のお考えで、それは子爵も同じだったようで、その場で書類にサインしてしまいました。
後はお父様が話し合いの後、王宮に出向いて決済すれば終わりです。宰相はお父様ですし、陛下の許可も慰謝料とセットだったため、お父様が書類に印を押せば終わりなのだとか…お父様、仕事が早すぎてびっくりですわ。
両家の話し合いがある程度済むと、私はリシャール様とあの四阿でお茶を頂きました。両親と子爵夫妻は今後について詰めの話がありますが、そこは家長の領域なので私達の出番はありません。お母様がせっかくだから散歩でもしていらっしゃいと言って下さったのです。
今日のリシャール様は青みがかったシルバーに青の差し色の衣装でした。これって…私の色、と思ってもいいのでしょうか…商会でも一線を引かれていましたし、この求婚は断られると思っていたので、リシャール様の返事が意外でしかないのですが…
「…あの、リシャール様は、よろしいのですか…」
だから、思わずそう尋ねてしまいました。
「よろしいとは、何に対してでしょう?」
「それは、この婚約、です。リシャール様はその…お断りされると思っていましたので…」
正直に言えば、断わられるのは確信に近かったかもしれません。最初からリシャール様は断っていましたし、お店での態度もその意思がありありと感じられていました。しかも最後はお店に迷惑をかけたのです。リシャール様があのお店をとても大切にしているのは働いていて強く感じたので、いくら詐欺集団を捕まえたとはいえ不本意だった筈です。だからこそ、出勤停止と言われた時は、もう終わったと、そう思っていたのです。だからこうもとんとん拍子に話が進むと、夢落ちか何かなのでは?と思ってしまうのですよね。
応援ありがとうございます!
14
お気に入りに追加
3,460
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる