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動きがありました
ベルティーユ様に事情を話しましたが、この件に関してのこれ以上の情報は得られませんでした。それでもリシャール様に繋がりそうな話があったら教えてくれると言って貰えただけで、私の気持ちは随分と軽くなった気がします。信用出来て話せる相手がいるだけで、こうも変わるものなのですね。
リシャール様の居場所はわかりましたが、それでも不安が消える事はありませんでした。人身売買は男性だと純粋な労働力としての需要の他、愛人や男娼などの如何わしい目的の場合もあると聞きます。見目麗しいリシャール様だと後者の可能性もあり、それが不安の元になったからです。従順にするため拷問に近い暴力を受けたり、薬漬けにされたりして、競りまでに人間としての尊厳を奪ってしまう事もあるのだそうです。
(こうしている間にも、リシャール様が酷い目に遭っているのでは…)
そう思うと夜も眠れませんし、直ぐにでも駆けつけて仕舞いたい衝動に駆られて生きた心地がしません。幸いにも影が屋敷内への侵入に成功し、今のところその心配はないと教えてくれたため、私はようやく短時間ですが眠りにつくことが出来ました。あとは救出に向けて体調を整え、競りがある日を待つだけです。
「レティ、競りの日がわかった。明日の夜だ」
その日の夜の事です。お父様に呼ばれて執務室に向かった私に、お父様はそう告げました。
「明日…ですか」
「ああ、騎士団が競りの行われる場所を掴んだ。我が家の影も同じ場所を示している。ほぼ間違いないだろう」
「では…」
騎士団と我が家の影がそう言うのなら、ほぼ間違いないでしょう。となれば、ようやくリシャール様をお救い出来るようです。攫われてから既に七日、怪我はないにしても、体力的にも精神的にも限界に近いのではないでしょうか。それでも明日にはお助けしてお会い出来るかと思うと、今度は逸る気持ちを抑えるのがかえって苦しいほどです。
「今回の組織、貴族が絡んでいるらしい」
「やはり、そうですか…」
これだけ大規模で、我が家の影ですらも所在を掴むのに時間がかかったのです。貴族、それも相当力のある貴族が絡んでいるのだろうとは思っていましたが…
「それで、その貴族と言うのは…」
「まだ断定は出来んが…あの屋敷にドニエ伯爵家の者が出入りしているそうだ」
「ドニエ伯爵って…確か…」
「ああ、あのバルト公爵の妻の実家だ」
「では、ラザール様のお母様の…」
ドニエ伯爵家は元王族で、公爵から伯爵に降爵した家の一つです。代を重ねているために王家の血は薄れて王位継承権もないに等しく、それほど栄えている家ではないと記憶しています。既に公爵夫人は他界していますが、ラザール様にとっては母親の実家でもありますし、交流が切れているとは言い切れないでしょう。
「では、バルト公爵家が…」
ラザール様が怪しいとは思っていましたが、今のところ影からはこの件と結びつく報告はありません。まぁ、彼も彼の家もそう簡単に尻尾を見せるとは思いませんが。
「断定は出来んが、レティにしつこく求婚していたからな。動機としては十分だろう」
「ですが…それならどうして攫ったりなんか…」
そうです、リシャール様が邪魔だというのであれば、わざわざ攫う必要はないでしょう。事故に見せかけて殺してしまった方が後腐れはないのですから。
(なのに、わざわざ生かしているなんて…)
私は治まりつつあった不安が急速に膨らみ、吐き気のような不快感がこみあげてくるのを止められませんでした。
リシャール様の居場所はわかりましたが、それでも不安が消える事はありませんでした。人身売買は男性だと純粋な労働力としての需要の他、愛人や男娼などの如何わしい目的の場合もあると聞きます。見目麗しいリシャール様だと後者の可能性もあり、それが不安の元になったからです。従順にするため拷問に近い暴力を受けたり、薬漬けにされたりして、競りまでに人間としての尊厳を奪ってしまう事もあるのだそうです。
(こうしている間にも、リシャール様が酷い目に遭っているのでは…)
そう思うと夜も眠れませんし、直ぐにでも駆けつけて仕舞いたい衝動に駆られて生きた心地がしません。幸いにも影が屋敷内への侵入に成功し、今のところその心配はないと教えてくれたため、私はようやく短時間ですが眠りにつくことが出来ました。あとは救出に向けて体調を整え、競りがある日を待つだけです。
「レティ、競りの日がわかった。明日の夜だ」
その日の夜の事です。お父様に呼ばれて執務室に向かった私に、お父様はそう告げました。
「明日…ですか」
「ああ、騎士団が競りの行われる場所を掴んだ。我が家の影も同じ場所を示している。ほぼ間違いないだろう」
「では…」
騎士団と我が家の影がそう言うのなら、ほぼ間違いないでしょう。となれば、ようやくリシャール様をお救い出来るようです。攫われてから既に七日、怪我はないにしても、体力的にも精神的にも限界に近いのではないでしょうか。それでも明日にはお助けしてお会い出来るかと思うと、今度は逸る気持ちを抑えるのがかえって苦しいほどです。
「今回の組織、貴族が絡んでいるらしい」
「やはり、そうですか…」
これだけ大規模で、我が家の影ですらも所在を掴むのに時間がかかったのです。貴族、それも相当力のある貴族が絡んでいるのだろうとは思っていましたが…
「それで、その貴族と言うのは…」
「まだ断定は出来んが…あの屋敷にドニエ伯爵家の者が出入りしているそうだ」
「ドニエ伯爵って…確か…」
「ああ、あのバルト公爵の妻の実家だ」
「では、ラザール様のお母様の…」
ドニエ伯爵家は元王族で、公爵から伯爵に降爵した家の一つです。代を重ねているために王家の血は薄れて王位継承権もないに等しく、それほど栄えている家ではないと記憶しています。既に公爵夫人は他界していますが、ラザール様にとっては母親の実家でもありますし、交流が切れているとは言い切れないでしょう。
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「断定は出来んが、レティにしつこく求婚していたからな。動機としては十分だろう」
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そうです、リシャール様が邪魔だというのであれば、わざわざ攫う必要はないでしょう。事故に見せかけて殺してしまった方が後腐れはないのですから。
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