【完結】悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!

灰銀猫

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一夜明けて…

 一夜明けました。昨夜はすっかり遅くなってからの帰宅だったうえ、中々寝付けなかったのもあって、目が覚めた時は既に太陽はかなり高い位置にありました。慌てて飛び起きましたが…

「お嬢様、お目覚めになりましたか」
「コ、コレット…?」

 いつもなら、お嬢様、いつまで寝ているんですか!と厳しい先生の様に起こしに来るコレットが、今日はにこにこしながら部屋に入ってきました。珍しい事もあるものです。どうしたのでしょうか。

「ゆっくり眠れましたか?あら、目が腫れていますわね」
「え…?」

 そう言えば、いつもよりも目が重く感じます。それにしても…

「コレットったら…起こしてくれたらよかったのに…」

 こんなに日が高くなるまで放っておくなんて、コレットにしては珍しいです。いくら学園が自由登校だからと言って、こんな時間まで…

「そうですか?でも旦那様が、昨日は遅かったから今日くらいはゆっくり寝かせてやってくれと仰ったので」
「え?あ…」

 そこまで言われて、ようやく私は昨夜の事を思い出しました。そうです、昨夜ようやくリシャール様を助け出して、一緒に帰ってきたのです。そして…

(こ、これって…)

 そこで私は、自分の身体に引っかかっている毛布の存在に気が付きました。それは私が普段使っている物にはないもので…

(…リシャール様の部屋にあった…)

 一気に昨夜の事が思い出されて、私は暫くその記憶に悶絶する羽目になりました。ま、まずいですわ、コレットに怪しまれてしまいます…

「お嬢様、目が腫れていますわね。ちょっとタオルで冷やしましょう」

 そう言うとコレットは部屋を出て行ったので、私は赤くなっているであろう顔を見られずに済んだことにホッとしました。でも…

(あれから私…どうやって部屋に?も、もしかして…)

 リシャール様の部屋で泣いたところまでは覚えていますが…その後の記憶がさっぱりありません。という事は、あのまま寝てしまったという事、ですよね?では、またしてもリシャール様にお姫様抱っこで運ばれたのでしょうか?だ、だとしたら眠っていたなんてもったいない、私!じゃなくて、重かったでしょうに申し訳ないですわ…リシャール様こそ私などよりもずっとお疲れだったでしょうに…再びの失態とも言える自分に居たたまれない気持ちが積み上がっていきました。でも…

(ご無事でお帰り下さって…本当に良かった)

 今はどうしようもない恥ずかしさよりも、ご無事だった事への安堵の方が大きく感じました。本当に、この一言に尽きるのです。あんなにも不安で生きた心地のしなかった日々は、これまでの人生で経験がありませんでしたから。
毛布を手に取ると微かにリシャール様の匂いがして、何とも言えない幸せな気持ちが胸いっぱいに広がりました。一時は最悪の事態も考えていたのですから、感無量です。でも…

(やっぱりどんな顔してリシャール様にお会いすればいいの…)

 この毛布がここにあるという事は…もしかしてずっと握りしめて手放さなかったのでしょうか。それでリシャール様は毛布も一緒に私を…

(リシャール様の前では完璧な淑女でいたいと思うのに、どうしてこうも上手くいかないのかしら…)

 もう何度も繰り返されるこの疑問に、終わりが来る日はあるのでしょうか…




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