156 / 238
夜会が始まりました
夜会が始まりました。急な夜会ではありましたが、思ったよりも参加者は多いように感じました。今日の私達は銀地に水色の透青玉のブローチが目立つよう、上半身は濃青、スカートやズボンは青銀色に揃えた衣装です。こうする事でブローチが一際目立って面映ゆいですわ。リシャール様にエスコートされて、両親と一緒に会場に入りました。
「え?ちょっと見て!レティシア様のあれって…」
「あ、あれは後継者の証?」
「確か現侯爵が爵位を継ぐ前に付けていた…」
「ああ、間違いない。では、公爵家の後継はレティシア様が?」
「それにファリエール伯爵令息も。では、正式に婿に決定したと?」
私達が身に付けたブローチを見て、両親と同年代かその上の方々が口々にそう囁いているのが聞こえました。どこの家もその家なりに後継者の証のようなものがありますし、それで公式に発表する前に家の意向を知らしめるのですが…どうやらお父様の意図は皆様に広がったようです。
「では…あの男が婿に…」
「そんな…子爵家の三男だろう?だったら私だって…」
「よせ!あの証を付けた以上、侯爵が認めたんだ。今更横槍を入れるもんじゃない」
やっぱりリシャール様が子爵家の三男だったからと侮る人も一定数はいるのですね。でも、もうそれも過去の話です。私が望み、お父様が認めた以上、これを覆い返すのは無理というものですし、私だって許しませんわ。
「しかし…レアンドル様はどうなったのだ?」
「ああ、エストレ国に留学して…あの件の後は行方不明なんだろう?」
「もしかしてあの王女が…」
「今日の夜会はその件で?今日はあの王女も出席だと聞いたが?」
「ああ。だがリスナール国の王太子殿下も出席するのだろう?」
「いくら何でもリスナール国の王太子殿下が出席するんだ。その件は関係ないだろう」
貴族達も私達のブローチの意味と、そこから想定される事象に興味津々です。今後の政局にも影響するので尚更でしょう。まだ正式な発表はしていませんが、これで私がラフォン侯爵家を継ぐとはっきりしたのですから。
「…注目されていますね」
さすがに人の目がこれまでにないほどに注がれているせいか、リシャール様が苦笑しながらそう仰いました。想定内とはいえ、こうも話題の中心になると気負いしますわね。
「ええ。でも、これからが気になりますわ。あの王女が何をするか…」
「そうですね。でも、貴女に危害を加えると言うのなら、私がお守りします」
「…っ!あ、ありがとう、ございます」
そんな風に言って貰えるなんて想定外で嬉しさよりも驚きの方が勝ってしまいましたわ。私がリシャール様をお守りしなければと思っていましたのに。でも、今日は本当に何が起きるかわからないので、喜ぶのは無事屋敷に帰ってからにしないといけませんわ。それでも…つい頬が緩んでしまいそうです…
そうしている間に、国王陛下をはじめとする王族の皆様が入場されました。そしていよいよセレスティーヌ様の入場ですが…その瞬間を前に私はドキドキしてきました。
「リスナール王国王太子殿下、セレスティーヌ様のご入場です!」
高らかな宣言と共に入場したのは、セレスティーヌ様とそれをエスコートするお兄様でした。
(ど、どうか何も起きませんように…!)
事前に知らされていた事ではありますが…この後入場する予定のアドリエンヌ様の事もあって、私は別の意味で手に汗握りながらこの夜会の無事の終了を祈るのでした。
「え?ちょっと見て!レティシア様のあれって…」
「あ、あれは後継者の証?」
「確か現侯爵が爵位を継ぐ前に付けていた…」
「ああ、間違いない。では、公爵家の後継はレティシア様が?」
「それにファリエール伯爵令息も。では、正式に婿に決定したと?」
私達が身に付けたブローチを見て、両親と同年代かその上の方々が口々にそう囁いているのが聞こえました。どこの家もその家なりに後継者の証のようなものがありますし、それで公式に発表する前に家の意向を知らしめるのですが…どうやらお父様の意図は皆様に広がったようです。
「では…あの男が婿に…」
「そんな…子爵家の三男だろう?だったら私だって…」
「よせ!あの証を付けた以上、侯爵が認めたんだ。今更横槍を入れるもんじゃない」
やっぱりリシャール様が子爵家の三男だったからと侮る人も一定数はいるのですね。でも、もうそれも過去の話です。私が望み、お父様が認めた以上、これを覆い返すのは無理というものですし、私だって許しませんわ。
「しかし…レアンドル様はどうなったのだ?」
「ああ、エストレ国に留学して…あの件の後は行方不明なんだろう?」
「もしかしてあの王女が…」
「今日の夜会はその件で?今日はあの王女も出席だと聞いたが?」
「ああ。だがリスナール国の王太子殿下も出席するのだろう?」
「いくら何でもリスナール国の王太子殿下が出席するんだ。その件は関係ないだろう」
貴族達も私達のブローチの意味と、そこから想定される事象に興味津々です。今後の政局にも影響するので尚更でしょう。まだ正式な発表はしていませんが、これで私がラフォン侯爵家を継ぐとはっきりしたのですから。
「…注目されていますね」
さすがに人の目がこれまでにないほどに注がれているせいか、リシャール様が苦笑しながらそう仰いました。想定内とはいえ、こうも話題の中心になると気負いしますわね。
「ええ。でも、これからが気になりますわ。あの王女が何をするか…」
「そうですね。でも、貴女に危害を加えると言うのなら、私がお守りします」
「…っ!あ、ありがとう、ございます」
そんな風に言って貰えるなんて想定外で嬉しさよりも驚きの方が勝ってしまいましたわ。私がリシャール様をお守りしなければと思っていましたのに。でも、今日は本当に何が起きるかわからないので、喜ぶのは無事屋敷に帰ってからにしないといけませんわ。それでも…つい頬が緩んでしまいそうです…
そうしている間に、国王陛下をはじめとする王族の皆様が入場されました。そしていよいよセレスティーヌ様の入場ですが…その瞬間を前に私はドキドキしてきました。
「リスナール王国王太子殿下、セレスティーヌ様のご入場です!」
高らかな宣言と共に入場したのは、セレスティーヌ様とそれをエスコートするお兄様でした。
(ど、どうか何も起きませんように…!)
事前に知らされていた事ではありますが…この後入場する予定のアドリエンヌ様の事もあって、私は別の意味で手に汗握りながらこの夜会の無事の終了を祈るのでした。
あなたにおすすめの小説
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
恋人が聖女のものになりました
キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」
聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。
それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。
聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。
多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。
ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……?
慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。
従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。
完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。
菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。
小説家になろうさんでも投稿します。
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。