【完結】悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!

灰銀猫

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リシャール様の子供の頃

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「そう言えば、リシャール様の子供の頃って、どんな感じでしたの?」

 お二人の世界に軽く浸っていかれたお二人ですが、私も事情はわかっているので静かにお茶を飲みながら待っていました。それが逆に良かったのか、直ぐにお二人は戻ってきてくださいました。謝る二人に私は、思い切ってずっと気になっていた事を尋ねてみました。あ、お尋ねしたのはテオドール様です。実のお兄様から見たリシャール様、どんな風だったのでしょう、ドキドキしますわ。

「子供の頃のあいつは、負けん気が強くて寂しがりやでしたね。母の作ったミートパイと鶏肉のシチューが好きで、食べ過ぎて腹を痛めて学校を休んだこともあるくらいです」
「まぁ、学校を?」
「ええ。魚釣りやボート遊びが好きで、乗馬で遠出もよくしましたね。ああ、ああ見えて子供の頃は本気でお化けを信じていて、嵐の夜はよくベッドに潜り込んできていましたよ」
「まぁ」

 何だか意外でもあり、その通りのようでもありで、不思議な感じですわ。ミートパイですか…リシャール様がお好きなら私も作って差し上げたいですわね。いえ、それなら子爵夫人にレシピを習った方がいいでしょうか。そしてお化けを信じていらっしゃったのですね。可愛かったのでしょうね。その頃のリシャール様にお会いしたかったですわ。

「あと、頑固で気難しい奴でしたね」
「頑固で…気難しい、ですか」

 私はリシャール様のお顔を思い浮かべました。今のリシャール様は穏やかな笑みが尊い、穏やかな人柄だと思っていたのでちょっと意外です。

「そうですよ。今だってそこは変わっていないでしょう」
「そう、でしょうか?」
「ええ。お嬢様の求婚も最初は断ったとか。普通だったら二つ返事でお受けするものですよ」

 確かに家格が上の家から婚約の申し込みがあったら、よほど相手に問題があるなどの場合を除いて受ける一択でしょう。しかも継ぐ爵位のない三男なら喉から手が出るほど欲してもおかしくありません。でも、リシャール様は断られたのですよね…

「損得関係なく、気に入らないと突っぱねる奴でして、よく友達とも喧嘩になっていましたよ。」

 テオドール様は困ったような笑顔を見せました。厳つい顔立ちですが、目は優しくて穏やかなお人柄が伺え、リシャール様を大切に思っていらっしゃるのが伝わってきますわ。

「学園時代には貧民街の連中と揉めていた時期もありました。あれからでしょうか、態度が柔らかくなったのは」
「まぁ、貧民街の…」

 それはあのヒューゴ様が仰っていた、リシャール様をリーダーと呼んでいるという方々の事でしょうか。

「昔、喧嘩をした方達に慕われていると、伺いましたわ」
「ああ、不良グループの若者ですね。ええ、絡まれたのでやり返したら、しつこくリーダーになってくれと言われたとかで辟易していましたよ。あれで相当反省したみたいですね」

 なるほど、リシャール様が温和な態度をとられるようになったのは、それからだったのですね。

「昔の弟しか知らない者だったら、今の姿を見たら驚くでしょうね。見た目もですが、態度も随分と大人になりましたから。私も数年ぶりに会いましたが、また一層変わったと感じましたよ」
「まぁ、そうですの?」
「ええ。いい意味で垢抜けたと言いますか…伯爵家の養子になると聞いてやっていけるのかと心配したのですが…」

 テオドール様がそうって照れたように笑いました。実直そうなテオドール様なので、きっと身内の事を誉めるのが気恥ずかしいのでしょうね。

「兄さん…何を言っているんです?兄さんだって人の事は言えないでしょう?」
「リシュー」
「え?」

 声の方を振り向くと、そこには苦笑に僅かな呆れを添えたリシャール様がいらっしゃいました。今日は朝からお父様と王宮に伺候していらした筈ですが、こんなに早くにお戻りになるなんて、意外でしたわ。



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