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思いがけない来訪者

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ジスラン殿下からのお茶のお誘いから1週間、私は平和な日々を送っておりました。

一度、オーギュ様からお便りが届きました。討伐隊のお仕事は予想していた通り、隣国とのいざこざの影響で手こずっているとの事でした。あのオーギュ様でも手こずるだなんて、きっと大変な状況なのでしょう。

私は益々オーギュ様の無事を熱心に祈りました。お側にいれば多少の怪我なら治す事も出来ますが、こうも離れていては何も出来ません。もどかしい思いを抱えながら、ご帰還される日を指折り数えながら待っていました。ああ、筋肉が足りません…早くオーギュ様の麗しい国宝級の筋肉を愛でたい…禁断症状でしょうか…



オーギュ様がご帰還されるとの知らせが入ったのは、出立から1か月と5日経った日の午後でした。やはり隣国とのいざこざが影響して、一月では終わりませんでした。
それでも、ご帰還が3日後との連絡に私の心は踊りました。ようやくあの素晴らしい筋肉をお持ちの、私の最愛のオーギュ様がお戻りになるのです。
オーギュ様が戻られれば、その後は結婚式の準備が本格的に始まります。
ええ、オーギュ様にお似合いの衣装を準備せねばなりませんわね。ああ、どんな衣装がお似合いになるのでしょう。やはり筋肉が引き立つデザインを…いえ、さすがに結婚式でそれは無理でしたわね。

そわそわと、オーギュ様のご帰還を今か今かと待っていた私の元に、侍女が血相を変えて飛び込んできたのは、オーギュ様のご帰還の前日でした。
あまりの慌てように、オーギュ様がお戻りになったのかと浮足立ってしまいましたが‥‥

残念な事に、やって来たのは王家からのご使者でした。あ、いえ…残念と言っても、別に王家に不満とかそういうんじゃないですわよ。まぁ、ジスラン殿下には不満は多々ありましたが…

お父様に呼ばれて玄関ホールに向かうと、そこには顔色を真っ青にしたお父様と、文官らしい方と四人の騎士様がいらっしゃいました。ううむ…筋肉がイマイチですわね…これは細マッチョに分類される筋肉だから…30点というところでしょうか‥

って、今は筋肉談義の時間じゃありませんでしたわね。尋常じゃない顔色の悪さのお父様に何事かと尋ねて、私はもっと驚く事になりました。

「フェリアール伯爵家アルレット嬢。ジスラン殿下への殺害未遂で逮捕する!」
「…はぁ?」

家を訪れた王家からのご使者の言葉に、私もお父様も固まってしまいました。驚きすぎて、変な声まで出てしまいました。

ジスラン殿下?
殺害未遂?
いったいどういう事でしょう?
呪いを解除して助けた事なら数え切れないほどありますが…

何が何だかさっぱりわからないまま、私は細マッチョの騎士様に拘束されたのでした。

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