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待望のオーギュ様の筋肉

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初夜。
それはオーギュ様の尊い筋肉と念願の初顔合わせの瞬間!

の筈でしたが…

こ、これはどういう事でしょうか?!

オーギュ様は、上から下までしっかりと肌が隠れるナイトウエアを纏っていらっしゃいました。
これでは…尊い筋肉が全く見えません…
私、何かお気に触る事をしてしまったのでしょうか…

「オ、オーギュ様…そのお姿、は…」
「ああ、これか。これはその…あなたに不快な思いをさせないようにと…」
「不快、でございますか?」

私は呆然としながらもお尋ねしましたが、返って来た答えは思いがけないお言葉でした。

「その…若い女性は私の様な体は怖がるというので…」
「は…?怖がる…?」
「ああ。筋肉があり過ぎるのは見苦しいのだろう?だから少しでも目に映らないようにと…」

何という事でしょう!
オーギュ様は、私がオーギュ様の筋肉を不快に思っていると誤解されているようです。
確かにこれまでのオーギュ様は、それが理由で若い女性に怖がられていましたが…

「そんな筈ございませんわ!」
「だが、しかし…」
「オーギュ様の筋肉は見苦しくなんかありません!むしろ尊い一択ですわ。ええ、この国の宝、それも国宝級の素晴らしさです!それを見苦しいなどと、神への冒涜と同じですわっ!」
「……」
「……」

はっ!わ、私ったら、今、何を…!
思いがけない展開に混乱したせいか、思わず叫んでしまいましたが、こ、これでは…ただの痴女ではありませんか…
私は背に冷たい汗が流れるのを感じました。いや、実際には流れていませんけど…

オーギュ様も驚きの表情で固まっていらっしゃいます。
ああ、初っ端から詰みましたわ…私…
今夜は記念すべき初夜ですのに…

「そうか…」

お互いに固まったまま見つめ合っていましたが、その緊張感に満ちた場を壊したのはオーギュ様でした。
さすがは幾度も死線を潜り抜けてこられたオーギュ様…
って、今はそこに感心している場合ではありませんわ…

「レットは私の筋肉が不快ではないのか…」
「…は、はい…全く」

な、何でしょう、笑顔なのに、何だかオーギュ様からの圧が凄いのですが…
何気に金色の瞳がキランと光ったような気がします。

「そうか、それは…非常に嬉しいよ」
「…そ、それは…よろしゅう、ございまひた…」

ひぃいいぃぃ…!
それはそれは嬉しそうな笑みを浮かべられたオーギュ様が、首と胸元を緩めながら近づいてこられました。
服の隙間から、オーギュ様の筋肉がチラ見えです。
こ、これは…全て晒されるよりも、な、艶めかしいかも…

だ、ダメですわ、これでは…は、鼻血…鼻血が噴出しそうです…!
しょ、初夜の場を…鼻血で染めるわけにはいきませんわ…!
こ、ここは…そう、そうですわ…!ジスラン様のしぼんだ風船のような筋肉で落ち着かないと…!

「レット…」
「…ひ、ひゃい?」
「初夜に他の男の名を呼ぶのは…どういう事だ?」
「ひゃいいぃっ?!」
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