『完結』貧弱王子に婚約破棄されましたが、理想の筋肉騎士団長に求婚されました

灰銀猫

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幸せは筋肉と共に

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初夜を鼻血で染めるのを防ごうと、ジスラン様の筋肉を思い出して落ち着こうとしていた私でしたが…

「初夜に他の男の名を呼ぶとは…どういう事だ?」
「ひゃいいぃっ?!」

急にオーギュ様が、元々低いお声をさらに低くして尋ねてこられました。
も、もしかして今の心の声…漏れていたのでしょうか?
あ、圧が…オーギュ様からの圧が五割は増した気がします…
もしかして…お怒りになってしまったのでしょうか…

「…もしかして…レットはまだ…ジスラン殿下を忘れられないのか?」
「いいえ!それはジスラン様がマッチョになるくらいあり得ない事ですわ!」

ま、まさかそんな風に思われるとは思いませんでした。
そんな筈がありませんわ!
あんな筋肉のきの字もないジスラン様を忘れられないなんて…
いえ、別の意味では忘れられないでしょうけど、それはオーギュ様とは真逆の意味です。

「では、どうしてあの方の名を?」
「…しょ、しょれは…」

お、オーギュ様の圧が…く、苦しいくらいですわ…
さすがは我が国一の猛将とも謳われるオーギュ様…

「それは?」
「オーギュさまの…き、筋肉が…素晴らししゅぎて…」
「……」
「…は、鼻血が…出そう…なので…」
「…鼻、血?」
「…ジスランしゃまの…貧弱…な筋肉を、想像して…お、お、落ち着こうと…」
「……」

ど、どうしましょう…圧に負けてつい白状してしまいましたが…
オーギュ様は今度こそ本当に、目を見開いたまま固まってしまわれました。
しかも私、か、噛み噛みです…
これは…もしかして完全に呆れてしまわれたのでしょうか…

「…レット」
「…ひ、ひゃいっ…」

うう、お声が沈んだままでいらっしゃるわ。やっぱり…呆れてしまわれたのですわね。
でも、仕方ありませんわ…
初夜に筋肉筋肉騒いだうえ、他の男性の名を出す花嫁なんて、聞いた事がありませんもの…
私は枕と絶望的な気分を抱えたまま、オーギュ様の言葉を待ちました。

「可愛い人だな、あなたは…」
「…へ…?」

か、可愛い…?な、なにがでしょう…今までの会話のどこにそんな要素が…
って…ギシリ…と音を立てて、オーギュ様がベッドに乗ってこられました。
ひゃぁああぁ…!こ、心の準備がぁ…!

「だが…初夜のベッドの上で他の男の名を呼ぶなど…これはお仕置きが必要だな」
「…お、お、お仕置きぃ…?」

この場から逃げ去りたい気分でいっぱいだった私の耳に届いたのは、思いがけないお言葉でした。
でも…お、お仕置きって…物騒感が半端ないのですが…
ランプの明かりが逆光になって、オーギュ様の表情もよく見えないのも、私の不安を煽ってきます。

「二度と他の男の名など呼ばぬよう、しっかり教えて差し上げよう」
「…!」

こうして…私はオーギュ様にお仕置きをされて、二度と寝室で他の男性の名を出す事はなくなりました。

どんなお仕置きだったかは…
ええもう、察してくださいませ…
とてもじゃないけど、口が裂けても言えませんわっ!

 

  【完】


- - - - - -
最後まで読んでくださってありがとうございました。
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みんなの感想(66件)

A・l・m
2024.02.12 A・l・m
ネタバレ含む
2024.02.12 灰銀猫

こちらにもコメントありがとうございます。
メイドはとばっちりですが、そもそも聖女検査を逃げたのも違法でした。
主人公、多分子供の頃から筋肉愛があり、思春期に自覚したと思います。

解除
芹香
2023.01.11 芹香
ネタバレ含む
2023.01.12 灰銀猫

コメントありがとうございます。そしてこちらの作品も読んで下さって嬉しいです。
筋肉愛と勢いで書いてしまった作品ですが、そうなんです、細マッチョはマッチョじゃないんですよね!
そこが言いたくて書いた作品でもあったので、共感して頂けて嬉しいです。
そして、顔よりも筋肉!私も同じです♪勝手に目が行っちゃいますよね。

解除
ゆらぽって
2022.05.29 ゆらぽって

やっぱり筋肉はいい…!

2022.05.30 灰銀猫

筋肉、いいですよね。
筋肉を尊ぶお話、また書きたいです。

解除

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