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脳筋vs醜怪侯爵?
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ルシアを糾弾し、そこに飛び込んできた異母兄にも同じ事をしたけれど…自分がした事を自覚して黙り込んだルシアに対し、何も知らない異母兄は私に掴みかかろうと歩を進めた。
でも、その足取りも、地獄の使いのような低いバリトンの声によって、勢いを削がれた。
「ロッ、ローウェル侯爵、様…」
入り口でドアに身体を預けて佇むアイザック様の姿に、異母兄はあからさまに狼狽えた。うわ、そんなお姿もかっこいいなんて…反則だ。そして異母兄、引き立て役ご苦労様。
「な、ど、どうして侯爵様、がここ、に…」
「ここは私の屋敷だ。私が私の屋敷にいて何か問題でも?」
「…っ」
あらまぁ、異母兄がテンパったわね。全くアイザック様の言う通りで、ここはアイザック様のお屋敷なのよ?その当主であるアイザック様がいたって何ら問題がない。自分が訪問者だってこと忘れたの?
アイザック様はゆっくりと歩を進め、異母兄の横を通り過ぎると私のところまでやってきた。
「セイナ、大丈夫か?」
「ええ、ありがとうございます」
私の手を取って笑みを向けたアイザック様だけど…絶対わざとやってますよね?って言うか、最初からずっと見てましたよね?それでその台詞は…異母兄への嫌味ですか、そうですか。
「久しいな、ライナス殿。最後にお会いしたのは…昨年の御前試合だったか?」
「…っ、そ、その…」
「赤晶騎士団は随分お忙しいと見える」
「そ…」
ええっ?昨年以来って…私達婚約して半年は経ってますけど―?しかもルシアが妊娠したと分かって二週間は経ってますけど―!
(なに、この人…アイザック様に挨拶もしていなかったの?)
いくらセラフィーナやシンシアさんが嫌いでも、そこは礼を尽くすのが次期当主でしょうが…!つーか、自分が次期当主だって自覚はないの?
「ま、さか、アイザック様…」
「ん?何だ、セイナ?」
「兄は…アイザック様にご挨拶を…」
「ああ、まだ一度も来ていないな」
「はぁああ?!!」
「…っ」
何と言う事でしょう!異母兄、次期ハットン子爵だと言うのに、妹婿になるアイザック様に挨拶もまだだったとは…!
あの人の脳みそ、大丈夫なの?入ってるの?ハットン家なんてしがない子爵家よ?ローウェル侯爵家は名門中の名門で、王族とも血縁関係があるのよ?身分制度が厳しい世界なのよ?アイザック様がその気になったら、ハットン家なんてプチッと潰れちゃうのよ?
(異母兄、死にたいの?それとも…究極のドM?)
思わずそんな言葉が出そうになった私は間違っていない筈。異母兄のやっている事は…とんでもなく非礼で非常識だからだ。
いや、婚約もまだなのに子供作っている時点で、常識がないのは丸わかりだけど…
「ちなみに、主家であるレイトン侯爵への挨拶もまだだそうだ」
「げ…!」
思わずあられもない声が出てしまったけど…何やってんのよ、この馬鹿!それって…今直ぐ廃嫡されても文句言えないんですけど?そんなんで『私の身体』を守れるわけ?もう心配で異母兄には任せたくないレベルなんですけど…!
軽蔑以外にどんな視線を向ければいいのよ…と思った私の目の前で、異母兄は狼狽えていた。
いやーないわーあり得ないわーこの調子だと、ハットン子爵家は異母兄の代で潰れるかもしんない…私はクリフォードさんやシンシアさんの顔を思い浮かべて、何とも気の毒な気分になった。
これはアレかしら?私が産んだ子に継がせた方がいいのかしら?ローウェル侯爵家の血も入るし、その方が絶対いいかもしれない。
「貴殿は子爵家の後継者だと言うのに、剣以外の事は苦手とみえるな」
「そ、そんな事は…」
「では、今の今まで挨拶もなかったのはどういうことだ?」
「そ、それは…業務が忙しくて…」
「そうか?だが、リット子爵からは今は比較的暇でゆっくり出来ると聞いていたが?」
「な…マイルズ殿、が…」
「彼は貴殿の義父になる間柄。知らぬわけもあるまいに」
アイザック様は冷静に、むしろ普段よりも親しみのある物言いだけど、異母兄の顔色はもう、白を通り越して青くなっていた。うん、なんて言うか役者が違うと言うか、格が違うと言うか…こいつ、これで私やアイザック様と年が変わらないって本当なの?
「貴殿が中々来ないのでな。私やレイトン侯爵、リット子爵やハットン子爵と話をしたのだ」
「は、話…とは…」
「ああ、貴殿らの今後の身の振り方だ」
「み、身の…?」
「ああ、ルシアはこのままこの屋敷で出産させる。これは命令だ。拒否は許さない。その理由は…ルシア、貴女にはお分かりだろう?」
「…っ」
アイザック様の宣告に、ルシアは顔色を青くしながらも何も言い返せなかった。きっと私の身体を心配しての決定だとわかっているのだろう。でも…
「そ、そんな勝手に!ルシアは実家のリット子爵家で…」
「そのリット子爵家は、息女が出産のため里帰り中だ。ルシアを迎える余裕はないと言われたぞ」
「な…」
「ハットン子爵家も同様だ。改装中の屋敷に妊婦を置くわけにもいくまい。それに…悪阻が酷く移動は医者が反対している」
「しかし…」
「何だ?我が家の世話に不満でも?今も医者も出産経験のある侍女も付けているが、貴殿はそれ以上のものを提供できると?」
「……」
いや、騎士団の寮住まいの異母兄に、ここ以上にいい条件など用意出来る筈ないでしょう。
「そして貴殿には、騎士団を辞めてハットン子爵領に行って貰う」
「な…何故?!!」
アイザック様の宣告に、異母兄は信じられないものを見るようにアイザック様を見上げた。
でも、その足取りも、地獄の使いのような低いバリトンの声によって、勢いを削がれた。
「ロッ、ローウェル侯爵、様…」
入り口でドアに身体を預けて佇むアイザック様の姿に、異母兄はあからさまに狼狽えた。うわ、そんなお姿もかっこいいなんて…反則だ。そして異母兄、引き立て役ご苦労様。
「な、ど、どうして侯爵様、がここ、に…」
「ここは私の屋敷だ。私が私の屋敷にいて何か問題でも?」
「…っ」
あらまぁ、異母兄がテンパったわね。全くアイザック様の言う通りで、ここはアイザック様のお屋敷なのよ?その当主であるアイザック様がいたって何ら問題がない。自分が訪問者だってこと忘れたの?
アイザック様はゆっくりと歩を進め、異母兄の横を通り過ぎると私のところまでやってきた。
「セイナ、大丈夫か?」
「ええ、ありがとうございます」
私の手を取って笑みを向けたアイザック様だけど…絶対わざとやってますよね?って言うか、最初からずっと見てましたよね?それでその台詞は…異母兄への嫌味ですか、そうですか。
「久しいな、ライナス殿。最後にお会いしたのは…昨年の御前試合だったか?」
「…っ、そ、その…」
「赤晶騎士団は随分お忙しいと見える」
「そ…」
ええっ?昨年以来って…私達婚約して半年は経ってますけど―?しかもルシアが妊娠したと分かって二週間は経ってますけど―!
(なに、この人…アイザック様に挨拶もしていなかったの?)
いくらセラフィーナやシンシアさんが嫌いでも、そこは礼を尽くすのが次期当主でしょうが…!つーか、自分が次期当主だって自覚はないの?
「ま、さか、アイザック様…」
「ん?何だ、セイナ?」
「兄は…アイザック様にご挨拶を…」
「ああ、まだ一度も来ていないな」
「はぁああ?!!」
「…っ」
何と言う事でしょう!異母兄、次期ハットン子爵だと言うのに、妹婿になるアイザック様に挨拶もまだだったとは…!
あの人の脳みそ、大丈夫なの?入ってるの?ハットン家なんてしがない子爵家よ?ローウェル侯爵家は名門中の名門で、王族とも血縁関係があるのよ?身分制度が厳しい世界なのよ?アイザック様がその気になったら、ハットン家なんてプチッと潰れちゃうのよ?
(異母兄、死にたいの?それとも…究極のドM?)
思わずそんな言葉が出そうになった私は間違っていない筈。異母兄のやっている事は…とんでもなく非礼で非常識だからだ。
いや、婚約もまだなのに子供作っている時点で、常識がないのは丸わかりだけど…
「ちなみに、主家であるレイトン侯爵への挨拶もまだだそうだ」
「げ…!」
思わずあられもない声が出てしまったけど…何やってんのよ、この馬鹿!それって…今直ぐ廃嫡されても文句言えないんですけど?そんなんで『私の身体』を守れるわけ?もう心配で異母兄には任せたくないレベルなんですけど…!
軽蔑以外にどんな視線を向ければいいのよ…と思った私の目の前で、異母兄は狼狽えていた。
いやーないわーあり得ないわーこの調子だと、ハットン子爵家は異母兄の代で潰れるかもしんない…私はクリフォードさんやシンシアさんの顔を思い浮かべて、何とも気の毒な気分になった。
これはアレかしら?私が産んだ子に継がせた方がいいのかしら?ローウェル侯爵家の血も入るし、その方が絶対いいかもしれない。
「貴殿は子爵家の後継者だと言うのに、剣以外の事は苦手とみえるな」
「そ、そんな事は…」
「では、今の今まで挨拶もなかったのはどういうことだ?」
「そ、それは…業務が忙しくて…」
「そうか?だが、リット子爵からは今は比較的暇でゆっくり出来ると聞いていたが?」
「な…マイルズ殿、が…」
「彼は貴殿の義父になる間柄。知らぬわけもあるまいに」
アイザック様は冷静に、むしろ普段よりも親しみのある物言いだけど、異母兄の顔色はもう、白を通り越して青くなっていた。うん、なんて言うか役者が違うと言うか、格が違うと言うか…こいつ、これで私やアイザック様と年が変わらないって本当なの?
「貴殿が中々来ないのでな。私やレイトン侯爵、リット子爵やハットン子爵と話をしたのだ」
「は、話…とは…」
「ああ、貴殿らの今後の身の振り方だ」
「み、身の…?」
「ああ、ルシアはこのままこの屋敷で出産させる。これは命令だ。拒否は許さない。その理由は…ルシア、貴女にはお分かりだろう?」
「…っ」
アイザック様の宣告に、ルシアは顔色を青くしながらも何も言い返せなかった。きっと私の身体を心配しての決定だとわかっているのだろう。でも…
「そ、そんな勝手に!ルシアは実家のリット子爵家で…」
「そのリット子爵家は、息女が出産のため里帰り中だ。ルシアを迎える余裕はないと言われたぞ」
「な…」
「ハットン子爵家も同様だ。改装中の屋敷に妊婦を置くわけにもいくまい。それに…悪阻が酷く移動は医者が反対している」
「しかし…」
「何だ?我が家の世話に不満でも?今も医者も出産経験のある侍女も付けているが、貴殿はそれ以上のものを提供できると?」
「……」
いや、騎士団の寮住まいの異母兄に、ここ以上にいい条件など用意出来る筈ないでしょう。
「そして貴殿には、騎士団を辞めてハットン子爵領に行って貰う」
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