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婚約破棄だそうです
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絢爛豪華と言う言葉に相応しいシャンデリアが煌めく王宮で催された、王族主催の夜会。その会場にとある人物が入場した途端、会場内の人々の目がそちらに集まりました。
入場してきたのは、深みのある金の髪と深みのある青い瞳の麗しい男性。そしてその腕には、蜂蜜色の巻き毛と水色の瞳を持つ、儚げで可憐な容姿の美少女が一人。言葉にすると絵になりそうなその二人は仲睦まじく言葉を交わし、極上の笑みを浮かべながら会場内の注目を浴びています。
「まぁ、ご覧になって…」
「あれは…クラウス王子殿下ではありませんか」
「しかも、その隣にいるのはマイヤー家の総領姫ですわ」
「まぁ!では、あの噂はやはり…」
「ええ。本当のようですわね…」
会場内のあちこちから聞こえてくるのはどれもこれも同じような内容で、彼らの姿を視界に捕らえた私はそっと扇で口元を隠しました。口の端が上がってしまいそうになるのを隠すためです。
「アルーシャ様、よろしいのですか?」
近くにいたご令嬢の一人が眉を顰めながらそう尋ねてきました。彼女たちは私の家門に連なる方々で、目の前の麗しい男女の姿に不快感を表すばかりです。
「ふふ、これまでも噂されておりましたから、予想はしておりましたわ」
「…そうですの。でも…」
「大丈夫ですわ。これくらいでどうにかなる我が家でも私でもありませんから」
「まぁ、さすがは我が国一の美女であるアルーシャ様ですわ」
「ええ。お美しさもお胸も、あの方ではアルーシャ様に及びませんわね」
「まぁ、そう言って頂けると嬉しいわ」
そう言ってにっこり笑みを深めると、令嬢たちが頬を染めてしまいましたわ。
そう、自分で言うのもなんですが、私は我が国でも一、二と言われる美女なのです。ああ、言っているのは周りの方々で私じゃありませんわよ?他国の王族から求婚された事もありますし、我が国の美女No.1選手権でも二年連続一位なので、過大評価という訳ではないと思いますわ。
この国では珍しい水色の髪に、神秘的で宝石のようだと言われる紫の瞳。つり目がちだけど顔立ちは整っていますし、肌は白くて瑞々しくシミ一つございません。しかも出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる抜群のプロポーション。これに関しては素直に神様に感謝していますわ。
一方、マイヤー侯爵家の令嬢は美少女として有名です。蜂蜜色のふわふわの巻き毛と、薄青の瞳。庇護欲をそそる守ってあげたくなる容姿で、所作も小動物のような愛らしさだと評判ですわね。
ただし、身体に凹凸が少なく、しかも背が高いのです。私よりも高いし、何なら今一緒にいるクラウス王子とあまり変わりませんわね。いいえ、ヒールの分高いから彼よりは低いのでしょうが。でもあの身長で可愛い路線はきついのではと心配になりますわね。猫背なのもきっとそのせいでしょう。
そんな二人はきょろきょろと周りを見渡していましたが、私と目が合うと睨みつけてからこちらに向かってきました。それに気づいた令嬢たちが険しい視線を向けますが、彼らはそれに気付かないようですわね。
「ここにいたか、アルーシャ=ゲルスター公爵令嬢!」
いきなり大きな声を出したクラウス王子に、周りの視線が集まりました。扇の下でやれやれとため息を漏らした私。相変わらず場を弁えないお方ですわね。
「何でございましょう。そんなに大きな声を出さずとも聞こえておりますわ」
「…っ!う、うるさい。口ごたえするな!」
「まぁ、口ごたえだなんて…周りの皆様が不審に思われているので、ご忠告申し上げただけですわ」
チラと周りに視線を向け、暗に恥を晒すなと申し上げましたが…クラウス王子はわなわなと震えて忌々しいと言わんばかりの表情です。でも、ここで爆発しないのだから少しは成長したって事でしょうか?ほんの少しですけど。
そして隣のマイヤー侯爵令嬢はおどおどした表情で『か弱い私』に擬態中ですわね。彼女が実はかなり気が強くしたたかな性格なのは、令嬢たちの間では有名な話です。
「それで、何の御用でしょう?」
注目を浴びている現状は悪くはないけれど、話が進まないと皆様が困ってしまいますわね。ここは誘導して差し上げるのが親切というものでしょうか。
「ああ、大事な話だ」
「では場を移されますか?」
「いや、いい。ここで、皆の前でなければ意味がないからな」
「左様ですか」
「アルーシャ=ゲルスター公爵令嬢。そなたとの婚約を破棄し、私はこのリーゼロッテ=マイヤー侯爵令嬢と婚約を結び直す。お前はリーゼの婚約者だった、あの白豚令息との婚約を命じる!」
お芝居がかった尊大な態度がおかしくて、思わず吹き出しそうになってしまいましたわ。
入場してきたのは、深みのある金の髪と深みのある青い瞳の麗しい男性。そしてその腕には、蜂蜜色の巻き毛と水色の瞳を持つ、儚げで可憐な容姿の美少女が一人。言葉にすると絵になりそうなその二人は仲睦まじく言葉を交わし、極上の笑みを浮かべながら会場内の注目を浴びています。
「まぁ、ご覧になって…」
「あれは…クラウス王子殿下ではありませんか」
「しかも、その隣にいるのはマイヤー家の総領姫ですわ」
「まぁ!では、あの噂はやはり…」
「ええ。本当のようですわね…」
会場内のあちこちから聞こえてくるのはどれもこれも同じような内容で、彼らの姿を視界に捕らえた私はそっと扇で口元を隠しました。口の端が上がってしまいそうになるのを隠すためです。
「アルーシャ様、よろしいのですか?」
近くにいたご令嬢の一人が眉を顰めながらそう尋ねてきました。彼女たちは私の家門に連なる方々で、目の前の麗しい男女の姿に不快感を表すばかりです。
「ふふ、これまでも噂されておりましたから、予想はしておりましたわ」
「…そうですの。でも…」
「大丈夫ですわ。これくらいでどうにかなる我が家でも私でもありませんから」
「まぁ、さすがは我が国一の美女であるアルーシャ様ですわ」
「ええ。お美しさもお胸も、あの方ではアルーシャ様に及びませんわね」
「まぁ、そう言って頂けると嬉しいわ」
そう言ってにっこり笑みを深めると、令嬢たちが頬を染めてしまいましたわ。
そう、自分で言うのもなんですが、私は我が国でも一、二と言われる美女なのです。ああ、言っているのは周りの方々で私じゃありませんわよ?他国の王族から求婚された事もありますし、我が国の美女No.1選手権でも二年連続一位なので、過大評価という訳ではないと思いますわ。
この国では珍しい水色の髪に、神秘的で宝石のようだと言われる紫の瞳。つり目がちだけど顔立ちは整っていますし、肌は白くて瑞々しくシミ一つございません。しかも出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる抜群のプロポーション。これに関しては素直に神様に感謝していますわ。
一方、マイヤー侯爵家の令嬢は美少女として有名です。蜂蜜色のふわふわの巻き毛と、薄青の瞳。庇護欲をそそる守ってあげたくなる容姿で、所作も小動物のような愛らしさだと評判ですわね。
ただし、身体に凹凸が少なく、しかも背が高いのです。私よりも高いし、何なら今一緒にいるクラウス王子とあまり変わりませんわね。いいえ、ヒールの分高いから彼よりは低いのでしょうが。でもあの身長で可愛い路線はきついのではと心配になりますわね。猫背なのもきっとそのせいでしょう。
そんな二人はきょろきょろと周りを見渡していましたが、私と目が合うと睨みつけてからこちらに向かってきました。それに気づいた令嬢たちが険しい視線を向けますが、彼らはそれに気付かないようですわね。
「ここにいたか、アルーシャ=ゲルスター公爵令嬢!」
いきなり大きな声を出したクラウス王子に、周りの視線が集まりました。扇の下でやれやれとため息を漏らした私。相変わらず場を弁えないお方ですわね。
「何でございましょう。そんなに大きな声を出さずとも聞こえておりますわ」
「…っ!う、うるさい。口ごたえするな!」
「まぁ、口ごたえだなんて…周りの皆様が不審に思われているので、ご忠告申し上げただけですわ」
チラと周りに視線を向け、暗に恥を晒すなと申し上げましたが…クラウス王子はわなわなと震えて忌々しいと言わんばかりの表情です。でも、ここで爆発しないのだから少しは成長したって事でしょうか?ほんの少しですけど。
そして隣のマイヤー侯爵令嬢はおどおどした表情で『か弱い私』に擬態中ですわね。彼女が実はかなり気が強くしたたかな性格なのは、令嬢たちの間では有名な話です。
「それで、何の御用でしょう?」
注目を浴びている現状は悪くはないけれど、話が進まないと皆様が困ってしまいますわね。ここは誘導して差し上げるのが親切というものでしょうか。
「ああ、大事な話だ」
「では場を移されますか?」
「いや、いい。ここで、皆の前でなければ意味がないからな」
「左様ですか」
「アルーシャ=ゲルスター公爵令嬢。そなたとの婚約を破棄し、私はこのリーゼロッテ=マイヤー侯爵令嬢と婚約を結び直す。お前はリーゼの婚約者だった、あの白豚令息との婚約を命じる!」
お芝居がかった尊大な態度がおかしくて、思わず吹き出しそうになってしまいましたわ。
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