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結婚式後も命がけ
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ジーク様が出て行った後、私達はお茶を淹れ直して、式やパーティーの状況を教えて貰いました。式もパーティーも私はベールを被っていたので、周りがよく見えず、何がどうなっているのかあまりわかっていなかったからです。そこで私は、王妃やカミラの残念な態度を改めて知る事になりました。
ジーク様の結婚式だというのに、ジーク様の色を纏ったカミラは、他国からはやはり特異に見えたそうです。ジーク様から謹慎を命じられていましたが、父王と王妃が到着するとカミラは二人に泣きつき、式だけは出席を許されたのだとか。
これにはマルダーンの面子もありました。カミラがここに来ているのは知られていたため、出席しない事で余計な詮索をされるのは両国のためにならないと、話合いの結果判断されたそうです。一応同盟の当事者なので、ここで異母姉の姿がないと王族内の不和が外に漏れるのを異母兄が憂いたそうです。
しかし…披露パーティーへの出席は断られたにも拘らず、カミラはまたしても会場に現れました。これには父王と王妃、異母兄も驚いたそうです。しっかり部屋には見張りを付けていたのにどうやって出てきたのかと問い詰めるも、タイミング悪くパーティーが始まってしまったため、それ以上追及する間も出来ず…
挨拶を終えたら直ぐに部屋に戻る事を約束して、挨拶だけは参加させたのだとか。他国の参加者が既に集まっている場では追い返せないようにと、周到に準備していたようです。
それを聞いて私は、あのカミラが…と思わずにはいられませんでした。だってカミラは直情的で無計画なのです。そんな細かいところに気が回るでしょうか…その点はラウラも同じように感じたようです。
「協力者が…いたんでしょうか?」
「確かに、カミラ王女がそこまで考えられるとは思えませんわね」
「きっとそうですわ。あのカミラがタイミングを計るなんて芸当、出来るとは思えません」
ラウラが何気に手厳しいですが、私も同感です。直情的で我慢が出来ないカミラが、タイミングを計るなどとても出来るとは思えません。
「どこの誰か…までは証拠がないけれど、誰かが手を貸している可能性はあると思いますわ」
マリーア様がそう言った事で、私達の予測は確証に変わりました。そしてそれを否定する材料も特にありません。
「目的は…エリサ様って事?朝の件もあるし…」
ベルタさんは朝、火矢が放たれた事も関係していると感じているようですが…そこは皆さんの表情からして同じ気持ちのようです。
「エリサ様が狙いなのは間違いないと思いますわ。陛下を害するよりもずっと簡単ですもの」
「そうだね、陛下はお強いから。でも、誰が…」
「この同盟をよく思わない者か、陛下ご自身をよく思わない者だろうと、先ほどジーク様は仰っていたわ」
「…確かに、このタイミングでとなれば、そうなんだろうけど…」
さすがに誰が…という問いには誰も答えませんでした。いえ、この場で具体的な国名を出すのはさすがに憚られます。証拠もないのに疑ったと相手に知れれば、それはそれで国際問題になりかねません。だからこそ、ジーク様達も騎士の皆さんも、厳戒態勢を敷いていらっしゃるのでしょうが…
「カミラ達はただの私怨だろうけど…それを利用しようと思う者がいた、という事だろうね」
「そうなるわね」
相手は私達が不仲なのもご存じのようです。となれば、それなりにマルダーン国の事情に通じている者、という事でしょうか…いえ、マルダーンの様子からして、都合の悪い情報を統制する能力があるのかも疑問なのですが…
そんな話をしている間に、時間もかなり経ったのでしょう。ジーク様が戻られたと部屋の前に控えている騎士達が告げました。どうやらジーク様も退席されたようです。どこの国でも大抵披露パーティーの際は、まずは新婦が、その後で新郎が中座するのが慣例です。これは一般的には式の後は初夜を迎えるからなのですが…私たちの場合はちょっと事情が違います。
それよりも、先ほどの事を思い出して、私はどんな顔で会えばいいのかと戸惑いました。また手が熱を持ったように感じましたが…今度は気のせい、ですよね…
「マリーア王女、すまなかった」
「いえ、お役に立てたなら幸いです。何と言いますか…悪い予感が当たったのは残念でしたけれど…」
うう、それを言われると何とも苦い気分です。悪い予感の元が母国の義母と異母姉というのが何とも残念で申し訳ないです。そんな家族を持つ私に、皆さんが色々配慮して下さったのは有難いのですが、居たたまれません。全く、どうしてあんな風になってしまったのか…いえ、それでも父王がまだ真っ当だったのはせめてもの救いでしょうか…
「では、私はこれで失礼致します」
「ああ、すまない。また後日改めて礼をしよう」
「まぁ、お気になさらず。私も思うところがありましたから」
ジーク様と話すマリーア様の様子から、どうやらマリーア様にも何かお考えがあったようです。それを聞いていいのかわかりませんが…今ここで明らかにしたという事は、知られても困らない事なのでしょうね。
「ではエリサ様、また」
「マリーア様、ありがとうございました」
優雅に一礼されたマリーア様は、笑みを浮かべると退出されました。ドアの外にエーギル様の姿が見えたので、これからお二人で会場に戻られるようです。パーティーも王族にとっては大事な人脈作りの場であり、情報収集の場でもあります。セーデンはラルセンの友好国なので他国よりも動きやすいでしょうから、この機会を最大限に利用される事でしょう。我が国に関しては、きっと宰相様やエリック様が色々と計画されていそうですし。
「エリサ、先に言っておきたいのだが…」
私の方に振り返って話しかけられたジーク様に、私は何を言われるのかとドキドキしてしまいました。
が…それはこれから私室へ戻るまでの間にある渡り廊下で、火矢が放たれる可能性があるという、全く思い描いていたものとは違う内容でした。結婚式の後って、こんなにも危険なのでしょうか…
「私達を狙う者が…」
「そう。今朝の件はまだ解決していないんだ。火矢を放った者を捕らえたのだが…どうやら向こうも用意周到で、見つかったら自死するように命じられていたらしい」
「自死…では?」
「ああ、自供させる間もなく死んでいた」
「そんな…」
朝の件はまだ終わっていなかったのですね。ジーク様は手を打ってあると仰いましたが…相手も手練れのようで、犯人を捕らえるのは難しいかもしれないと仰いました。それでも、ある程度犯人の目星は付いているそうですが…
「では戻ろうか」
ジーク様に声をかけられて、私はエスコートされながら自室がある棟を目指しました。これも私が狙われる可能性があるための自衛策なのです。二人同時を狙う者もいるでしょうが、ジーク様はお強いし、今はラウラやベルタさんだけでなく、侍女や護衛も付いての厳戒体制です。しかも私の周りにはジーク様だけでなくベルタさんをはじめとする女性騎士がガードしています。
渡り廊下に差し掛かる少し前、私達は一つの部屋に入りました。ここは聖堂になっています。中には…私達とよく似た装束の人達が居ました。どうやら彼らが先ほど聞いた身代わりのようです。私達が全員室内に入って暫くすると、彼らは頷くと無言で部屋を出ていきました。
「さ、エリサはこれを被って」
そう言って渡されたのはフード付きのコートでした。ラウラやユリア先生も同じようなフードを被り、護衛騎士達は上着だけ色違いのものに着替えています。何と言いますか、こういう緊張感は求めていなかったのですが…
「行こうか」
話をするのも憚られる緊張感の中、私はジーク様のエスコートで部屋を出ました。その時です。
「火だ!」
「襲撃だ!気を付けろ!」
「陛下をお守りしろ!」
前方で声が上がるのがここまで届きました。向こうに赤いものが見えるのは火矢でしょうか?しかし次の瞬間、庭がいきなり明るくなりました。何事かと思って視線を向けると…そこにはたくさんの我が国の騎士と、逃げ出そうとする黒っぽい服装の者が数人見えます。彼らが襲撃犯なのでしょうか…
「さぁ、我々はこっちだ」
ジーク様にそう促された私は、角を曲がって別のルートで自室に戻りました。相手はあの一カ所だけに狙いを定めていたようでその後は何もありませんでしたが…緊張感に神経がガリガリ削られる気分でした。部屋に辿り着いた時には、私は緊張のあまりその場にへたり込みそうになりました。
ジーク様の結婚式だというのに、ジーク様の色を纏ったカミラは、他国からはやはり特異に見えたそうです。ジーク様から謹慎を命じられていましたが、父王と王妃が到着するとカミラは二人に泣きつき、式だけは出席を許されたのだとか。
これにはマルダーンの面子もありました。カミラがここに来ているのは知られていたため、出席しない事で余計な詮索をされるのは両国のためにならないと、話合いの結果判断されたそうです。一応同盟の当事者なので、ここで異母姉の姿がないと王族内の不和が外に漏れるのを異母兄が憂いたそうです。
しかし…披露パーティーへの出席は断られたにも拘らず、カミラはまたしても会場に現れました。これには父王と王妃、異母兄も驚いたそうです。しっかり部屋には見張りを付けていたのにどうやって出てきたのかと問い詰めるも、タイミング悪くパーティーが始まってしまったため、それ以上追及する間も出来ず…
挨拶を終えたら直ぐに部屋に戻る事を約束して、挨拶だけは参加させたのだとか。他国の参加者が既に集まっている場では追い返せないようにと、周到に準備していたようです。
それを聞いて私は、あのカミラが…と思わずにはいられませんでした。だってカミラは直情的で無計画なのです。そんな細かいところに気が回るでしょうか…その点はラウラも同じように感じたようです。
「協力者が…いたんでしょうか?」
「確かに、カミラ王女がそこまで考えられるとは思えませんわね」
「きっとそうですわ。あのカミラがタイミングを計るなんて芸当、出来るとは思えません」
ラウラが何気に手厳しいですが、私も同感です。直情的で我慢が出来ないカミラが、タイミングを計るなどとても出来るとは思えません。
「どこの誰か…までは証拠がないけれど、誰かが手を貸している可能性はあると思いますわ」
マリーア様がそう言った事で、私達の予測は確証に変わりました。そしてそれを否定する材料も特にありません。
「目的は…エリサ様って事?朝の件もあるし…」
ベルタさんは朝、火矢が放たれた事も関係していると感じているようですが…そこは皆さんの表情からして同じ気持ちのようです。
「エリサ様が狙いなのは間違いないと思いますわ。陛下を害するよりもずっと簡単ですもの」
「そうだね、陛下はお強いから。でも、誰が…」
「この同盟をよく思わない者か、陛下ご自身をよく思わない者だろうと、先ほどジーク様は仰っていたわ」
「…確かに、このタイミングでとなれば、そうなんだろうけど…」
さすがに誰が…という問いには誰も答えませんでした。いえ、この場で具体的な国名を出すのはさすがに憚られます。証拠もないのに疑ったと相手に知れれば、それはそれで国際問題になりかねません。だからこそ、ジーク様達も騎士の皆さんも、厳戒態勢を敷いていらっしゃるのでしょうが…
「カミラ達はただの私怨だろうけど…それを利用しようと思う者がいた、という事だろうね」
「そうなるわね」
相手は私達が不仲なのもご存じのようです。となれば、それなりにマルダーン国の事情に通じている者、という事でしょうか…いえ、マルダーンの様子からして、都合の悪い情報を統制する能力があるのかも疑問なのですが…
そんな話をしている間に、時間もかなり経ったのでしょう。ジーク様が戻られたと部屋の前に控えている騎士達が告げました。どうやらジーク様も退席されたようです。どこの国でも大抵披露パーティーの際は、まずは新婦が、その後で新郎が中座するのが慣例です。これは一般的には式の後は初夜を迎えるからなのですが…私たちの場合はちょっと事情が違います。
それよりも、先ほどの事を思い出して、私はどんな顔で会えばいいのかと戸惑いました。また手が熱を持ったように感じましたが…今度は気のせい、ですよね…
「マリーア王女、すまなかった」
「いえ、お役に立てたなら幸いです。何と言いますか…悪い予感が当たったのは残念でしたけれど…」
うう、それを言われると何とも苦い気分です。悪い予感の元が母国の義母と異母姉というのが何とも残念で申し訳ないです。そんな家族を持つ私に、皆さんが色々配慮して下さったのは有難いのですが、居たたまれません。全く、どうしてあんな風になってしまったのか…いえ、それでも父王がまだ真っ当だったのはせめてもの救いでしょうか…
「では、私はこれで失礼致します」
「ああ、すまない。また後日改めて礼をしよう」
「まぁ、お気になさらず。私も思うところがありましたから」
ジーク様と話すマリーア様の様子から、どうやらマリーア様にも何かお考えがあったようです。それを聞いていいのかわかりませんが…今ここで明らかにしたという事は、知られても困らない事なのでしょうね。
「ではエリサ様、また」
「マリーア様、ありがとうございました」
優雅に一礼されたマリーア様は、笑みを浮かべると退出されました。ドアの外にエーギル様の姿が見えたので、これからお二人で会場に戻られるようです。パーティーも王族にとっては大事な人脈作りの場であり、情報収集の場でもあります。セーデンはラルセンの友好国なので他国よりも動きやすいでしょうから、この機会を最大限に利用される事でしょう。我が国に関しては、きっと宰相様やエリック様が色々と計画されていそうですし。
「エリサ、先に言っておきたいのだが…」
私の方に振り返って話しかけられたジーク様に、私は何を言われるのかとドキドキしてしまいました。
が…それはこれから私室へ戻るまでの間にある渡り廊下で、火矢が放たれる可能性があるという、全く思い描いていたものとは違う内容でした。結婚式の後って、こんなにも危険なのでしょうか…
「私達を狙う者が…」
「そう。今朝の件はまだ解決していないんだ。火矢を放った者を捕らえたのだが…どうやら向こうも用意周到で、見つかったら自死するように命じられていたらしい」
「自死…では?」
「ああ、自供させる間もなく死んでいた」
「そんな…」
朝の件はまだ終わっていなかったのですね。ジーク様は手を打ってあると仰いましたが…相手も手練れのようで、犯人を捕らえるのは難しいかもしれないと仰いました。それでも、ある程度犯人の目星は付いているそうですが…
「では戻ろうか」
ジーク様に声をかけられて、私はエスコートされながら自室がある棟を目指しました。これも私が狙われる可能性があるための自衛策なのです。二人同時を狙う者もいるでしょうが、ジーク様はお強いし、今はラウラやベルタさんだけでなく、侍女や護衛も付いての厳戒体制です。しかも私の周りにはジーク様だけでなくベルタさんをはじめとする女性騎士がガードしています。
渡り廊下に差し掛かる少し前、私達は一つの部屋に入りました。ここは聖堂になっています。中には…私達とよく似た装束の人達が居ました。どうやら彼らが先ほど聞いた身代わりのようです。私達が全員室内に入って暫くすると、彼らは頷くと無言で部屋を出ていきました。
「さ、エリサはこれを被って」
そう言って渡されたのはフード付きのコートでした。ラウラやユリア先生も同じようなフードを被り、護衛騎士達は上着だけ色違いのものに着替えています。何と言いますか、こういう緊張感は求めていなかったのですが…
「行こうか」
話をするのも憚られる緊張感の中、私はジーク様のエスコートで部屋を出ました。その時です。
「火だ!」
「襲撃だ!気を付けろ!」
「陛下をお守りしろ!」
前方で声が上がるのがここまで届きました。向こうに赤いものが見えるのは火矢でしょうか?しかし次の瞬間、庭がいきなり明るくなりました。何事かと思って視線を向けると…そこにはたくさんの我が国の騎士と、逃げ出そうとする黒っぽい服装の者が数人見えます。彼らが襲撃犯なのでしょうか…
「さぁ、我々はこっちだ」
ジーク様にそう促された私は、角を曲がって別のルートで自室に戻りました。相手はあの一カ所だけに狙いを定めていたようでその後は何もありませんでしたが…緊張感に神経がガリガリ削られる気分でした。部屋に辿り着いた時には、私は緊張のあまりその場にへたり込みそうになりました。
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