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番外編
番外編③ ある侍女の憂愁
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初めまして、私、エリサ王妃様の侍女の一人です。私は誇り高き豹の一族の出で、代々騎士の家系でもあります。幼き頃より未来の王妃様の側仕えになるべく、騎士として、また侍女として鍛錬を積み重ねておりました。
そんな私ですが‥念願叶って王妃様の侍女兼護衛に選ばれた時は、正直戸惑いの方が大きかったのは否めません。なんせ王妃様は陛下の番ではいらっしゃらなかったからです。そう、陛下は竜人でいらっしゃるのに政略結婚をされ、しかも相手は種族としては最下位の人族だったのです。
人族であっても、番であれば私も気にはしなかったでしょう。
しかし…番ではいらっしゃらない。これは獣人としては中々に受け入れ難いものがありました。
それでも…陛下と宰相様から直々にエリサ様をお守りするようにと命じられた私に、拒否権などあろう筈がございません。尊き至高の存在でもあるお二人にそう命じられれば、心躍り、どんな任務であろうと完璧に務める所存です。
こうして私は、エリサ様の侍女兼護衛となったのです。
少々複雑な事情を抱えていた陛下御夫妻でしたが…
周囲の心配をよそに、実はエリサ様が陛下の番だと判明した時には、それ、何のドッキリよ?と思ったのは秘密です。
聞けばエリサ様は陛下に命じられて番除けの香水をお使いだったのだとか。初めての対面で番ではないと判断されたと聞いていますが…どういうわけか最初はエリサ様が番だとはわからなかったそうです。詳しくは教えて貰えませんでしたが、これは我が国の今年一番の話題となるのは間違いないでしょう。まさにびっくり大賞総なめです。
そのお二人は、結婚式から程なくして、正式な番となられたのですが…
「……」
定められた起床時間。私は今日も国王夫妻の部屋の前で入室のタイミングを図っていました。竜人だから仕方ないのですが、陛下のエリサ様への溺愛っぷりは想像以上でした。
それはもう、エリサ様の全てをご自身が把握しなければ気が済まない…と言わんばかりに世話を焼かれ、私達同性の侍女ですらもお側に寄ると無言の圧を放たれるのです。エリサ様が人族で、その圧を感じないせいでしょうか、普通ならお隠しになる筈のそれも全く隠されません。
お陰で私達は毎日、陛下からの威圧との戦いです。もう威圧手当が別途頂きたいくらいです。竜人の威圧は兎人等なら気を失う事もあるほど危険なのですから。
そういう私達にルーベルト様は、いい訓練になるだろうと軽く流されました。いえ、きっとルーベルト様にどうこう出来る事ではないのでしょうが…でも、上司なら一言、陛下にビシッと言って欲しかったですわ。
話は戻りますが、何のタイミングを計っているかというとですね…聞こえるのですよ、陛下がエリサ様をお可愛がりになっていらっしゃるお声が。朝からなに盛ってんのよ、と思わなくもありませんが…竜人ですからね…これも想定内です。
ただ…番どころか恋人もいない私には、この仕事は中々にきついものがあります。どうせなら既婚の侍女を…と思いますが、私達の先輩方の多くは、結婚したら外に出られなくなる方も多くて人がいないのですよね。そりゃあ、名誉あるお役目ではあるので、他の方に譲る気はありませんが…
結局、私が入室できたのはそれから一刻程経った頃でした。さすがに執務の時間があるので、陛下も無限にエリサ様のお側に居るわけではないのです。
それにしても…散々陛下に可愛がられたエリサ様は、精も根も尽き果てたようでぐっすりお眠りになっていました。まだ身体の変化が終わり切らないため、陛下との閨事はご負担なのでしょう。なのにあの鬼畜…いえ、なんでもありません。
それにしても…陛下に愛され尽くされて眠るエリサ様は、身体中に所有の印を散らして、同性の私でもドキッとするほどの色香が漂っています。
この国にいらした時は痩せて髪も肌も艶がなく、王女だと言われても信じられない有様でしたが…
今では頬もふっくらと赤みを帯び、身体もまろやかな丸みを帯びていらっしゃいます。まだ平均的な女性よりは華奢ですが…そんなところも庇護欲をそそりますわね。陛下が愛おしく思われ、人を寄せ付けたがらないのもわからなくもありません。
そのエリサ様が目覚めるのは、大抵お昼頃です。
「エリサ様、そろそろお食事に致しましょう」
「…ごめんなさい、また寝過してしまったわ…」
「お気になさらず。お辛い時はお休みになっていて下さい」
「エリサ、起きたか。食事にしよう」
軽食の準備をしていると…大体陛下がやってきます。誰かの舌打ちが聞こえた気がしましたが…気のせいという事にしておきましょう。お昼ですからね、陛下も昼食をとる必要があるので仕方ありませんが…やっと目覚められたエリサ様のお世話を…と思うとやってくるのです。まるでタイミングを計っているかのように…
きっと昼食のお世話もご自身が…とのお考えなのでしょう。さすがは執着の鬼。竜人は番の全ての世話をご自身の手でしたいというのは間違いないのですね。
今日も当然のようにご自身の膝の上にエリサ様を乗せ、食事を手ずからエリサ様の口元にお運びになる陛下。どこまでも世話をお焼きになり、まるで幼児に離乳食を食べさせる母親の様ですらあります。
でも…母親は食事の合間にキス…なんて事はしませんよね。または口移しで飲み物を飲ませたりも。
「…ヴァル…は、恥ずかしいわ…」
「周りなど気にしなくていい。エリィは私だけを見てくれればいいんだ」
「でも…」
「ほら、こっちを向いて。私以外に意識を向けないで」
私達侍女が控えていても、陛下は私達など存在しないかのように振舞うのはいつもの事です。エリサ様が恥ずかしがって顔を赤く染められる姿は愛らしいのですが…それを楽しんでいるのでしょうね、きっと。しかし…人前で何やっているのでしょうか…見せつけプレイですか?そうですか…
食事が終わったら、私達侍女にとって最も重要な仕事の時間です。そう、陛下をさっさとエリサ様から引っぺがして、執務室に送り出さねばなりません。そうしないと陛下は、ず~っとエリサ様の側に居座り、執務が滞ってしまうからです。
「陛下、そろそろ執務のお時間ですわ」
「まだ早いだろう」
「いいえ、もうと…っくにお時間が過ぎております」
しかし…あのエリサ様への執着心を拗らせている陛下、そう簡単には離れません。まるで母親に縋りつく癇癪を起した幼児のようです。早く行って下さらないと、宰相様から私共が嫌味を言われるのですけど。というか、あれだけいちゃついてまだ足りないのでしょうか…
このまま居座られては、エリサ様の湯浴みなどのお世話が夕方までに終わらなくなってしまいます。エリサ様はまだお身体が出来上がっていないせいで、直ぐお疲れになって眠ってしまうので、湯浴みも時間配分が大切なのです。お身体に負担をかけないようにとこちらがいくら心を砕いても、あの陛下が台無しにしてくれるので、最近の陛下は私達侍女仲間の間では害ちゅ…コホン、いえ、何でもありません。
「ヴァル、ちゃんとお仕事しないと。皆さんが困ってしまうわ」
「私がいなくても国なんか勝手に回るよ」
今、『国なんか』と仰いましたわね?それは宰相様に丸投げしようという意味でしょうか?そんな事をしたら宰相様まで仕事を放棄してしまうではないですか。彼らの世界には番しか存在していないのかもしれませんが、それでは国民たる私達が困るのです。国王ならちゃんと仕事をして頂きませんと。
「でも…国が乱れたら…のんびり過ごす事も出来なくなるわ」
「それは…」
「そうしたら一緒にいる時間が減ってしまうし…」
「……」
エリサ様、ナイスです!竜人にはやはり、番との時間が減ると突きつけるのが一番効果的ですわね。陛下は渋々といった体で執務に戻られました。どうせすぐに戻ってくるのだから、その間くらいは仕事をして下さい。私たちの生活がかかっているのですから…!
湯浴みをして、髪を乾かしながらのお肌のお手入れも、最近のエリサ様には休憩を挟みながらでなければ難しく、夕方までにギリギリ終わる状況です。陛下も少し控えて下さるといいのですが…
陛下は陛下で、変化を早く終わらせないとエリサ様が苦しむ時間が長引くから…と言って容赦がありません。エリサ様が疲れ切って抵抗する気力がないのをいい事にやりたい放題です。やっぱり鬼畜竜…ですわね。
「エリィ、待たせた」
やっとお肌の手入れも終わって小休止…というところで陛下が戻ってきました。ちょ…早過ぎませんか?執務は?仕事してるの?
「ヴァル、早かったのね」
「ああ、エリィが心配だったから最速で片付けてきた」
((オー!ノォオオオオオッ!))
(何で早く帰ってくるんだよ、この鬼畜竜っ!)
(少しはエリサ様の負担を考えろ―!!!)
他の侍女たちの心の叫びが聞こえた気がしますわ。皆目が座っていますし、きっと同じ事を考えているのでしょうね。全く、あんなにクールで冷たい威厳を放っていた陛下はどこに行ってしまわれたのでしょうか…
「そうなの?でも、無理しないで」
「だがエリィ。貴女が心配なんだ」
愛おしそうに、甘すぎる程甘い笑みを浮かべてそうぬかす陛下ですが…心配ならもっとゆっくりして来い!と思うのは私だけではない筈です。いえ、エリサ様の事を考えるなら、この部屋にくるのも三日に一度くらいがちょうどいいんですが…!
「そうなの?心配してくれてありがとう、ヴァル」
そんな私たちの心配をよそに、エリサ様も陛下を笑顔で迎えています。
(いいのですか、エリサ様、本当にこんな鬼畜竜が番で…)
私の心配も、エリサ様には届かないようです。世間ではレイフ様達がバカップルと評判ですが、陛下達もあまり変わりませんわね…
(私も…婚活しようかしら…)
お二人の放つ甘ったるい空気に食傷気味ですし、独り身が侘しく感じますわね。私もそろそろ番探しを始める時期かもしれません。そうでもしないと…やってられませんわ…!
そんな私ですが‥念願叶って王妃様の侍女兼護衛に選ばれた時は、正直戸惑いの方が大きかったのは否めません。なんせ王妃様は陛下の番ではいらっしゃらなかったからです。そう、陛下は竜人でいらっしゃるのに政略結婚をされ、しかも相手は種族としては最下位の人族だったのです。
人族であっても、番であれば私も気にはしなかったでしょう。
しかし…番ではいらっしゃらない。これは獣人としては中々に受け入れ難いものがありました。
それでも…陛下と宰相様から直々にエリサ様をお守りするようにと命じられた私に、拒否権などあろう筈がございません。尊き至高の存在でもあるお二人にそう命じられれば、心躍り、どんな任務であろうと完璧に務める所存です。
こうして私は、エリサ様の侍女兼護衛となったのです。
少々複雑な事情を抱えていた陛下御夫妻でしたが…
周囲の心配をよそに、実はエリサ様が陛下の番だと判明した時には、それ、何のドッキリよ?と思ったのは秘密です。
聞けばエリサ様は陛下に命じられて番除けの香水をお使いだったのだとか。初めての対面で番ではないと判断されたと聞いていますが…どういうわけか最初はエリサ様が番だとはわからなかったそうです。詳しくは教えて貰えませんでしたが、これは我が国の今年一番の話題となるのは間違いないでしょう。まさにびっくり大賞総なめです。
そのお二人は、結婚式から程なくして、正式な番となられたのですが…
「……」
定められた起床時間。私は今日も国王夫妻の部屋の前で入室のタイミングを図っていました。竜人だから仕方ないのですが、陛下のエリサ様への溺愛っぷりは想像以上でした。
それはもう、エリサ様の全てをご自身が把握しなければ気が済まない…と言わんばかりに世話を焼かれ、私達同性の侍女ですらもお側に寄ると無言の圧を放たれるのです。エリサ様が人族で、その圧を感じないせいでしょうか、普通ならお隠しになる筈のそれも全く隠されません。
お陰で私達は毎日、陛下からの威圧との戦いです。もう威圧手当が別途頂きたいくらいです。竜人の威圧は兎人等なら気を失う事もあるほど危険なのですから。
そういう私達にルーベルト様は、いい訓練になるだろうと軽く流されました。いえ、きっとルーベルト様にどうこう出来る事ではないのでしょうが…でも、上司なら一言、陛下にビシッと言って欲しかったですわ。
話は戻りますが、何のタイミングを計っているかというとですね…聞こえるのですよ、陛下がエリサ様をお可愛がりになっていらっしゃるお声が。朝からなに盛ってんのよ、と思わなくもありませんが…竜人ですからね…これも想定内です。
ただ…番どころか恋人もいない私には、この仕事は中々にきついものがあります。どうせなら既婚の侍女を…と思いますが、私達の先輩方の多くは、結婚したら外に出られなくなる方も多くて人がいないのですよね。そりゃあ、名誉あるお役目ではあるので、他の方に譲る気はありませんが…
結局、私が入室できたのはそれから一刻程経った頃でした。さすがに執務の時間があるので、陛下も無限にエリサ様のお側に居るわけではないのです。
それにしても…散々陛下に可愛がられたエリサ様は、精も根も尽き果てたようでぐっすりお眠りになっていました。まだ身体の変化が終わり切らないため、陛下との閨事はご負担なのでしょう。なのにあの鬼畜…いえ、なんでもありません。
それにしても…陛下に愛され尽くされて眠るエリサ様は、身体中に所有の印を散らして、同性の私でもドキッとするほどの色香が漂っています。
この国にいらした時は痩せて髪も肌も艶がなく、王女だと言われても信じられない有様でしたが…
今では頬もふっくらと赤みを帯び、身体もまろやかな丸みを帯びていらっしゃいます。まだ平均的な女性よりは華奢ですが…そんなところも庇護欲をそそりますわね。陛下が愛おしく思われ、人を寄せ付けたがらないのもわからなくもありません。
そのエリサ様が目覚めるのは、大抵お昼頃です。
「エリサ様、そろそろお食事に致しましょう」
「…ごめんなさい、また寝過してしまったわ…」
「お気になさらず。お辛い時はお休みになっていて下さい」
「エリサ、起きたか。食事にしよう」
軽食の準備をしていると…大体陛下がやってきます。誰かの舌打ちが聞こえた気がしましたが…気のせいという事にしておきましょう。お昼ですからね、陛下も昼食をとる必要があるので仕方ありませんが…やっと目覚められたエリサ様のお世話を…と思うとやってくるのです。まるでタイミングを計っているかのように…
きっと昼食のお世話もご自身が…とのお考えなのでしょう。さすがは執着の鬼。竜人は番の全ての世話をご自身の手でしたいというのは間違いないのですね。
今日も当然のようにご自身の膝の上にエリサ様を乗せ、食事を手ずからエリサ様の口元にお運びになる陛下。どこまでも世話をお焼きになり、まるで幼児に離乳食を食べさせる母親の様ですらあります。
でも…母親は食事の合間にキス…なんて事はしませんよね。または口移しで飲み物を飲ませたりも。
「…ヴァル…は、恥ずかしいわ…」
「周りなど気にしなくていい。エリィは私だけを見てくれればいいんだ」
「でも…」
「ほら、こっちを向いて。私以外に意識を向けないで」
私達侍女が控えていても、陛下は私達など存在しないかのように振舞うのはいつもの事です。エリサ様が恥ずかしがって顔を赤く染められる姿は愛らしいのですが…それを楽しんでいるのでしょうね、きっと。しかし…人前で何やっているのでしょうか…見せつけプレイですか?そうですか…
食事が終わったら、私達侍女にとって最も重要な仕事の時間です。そう、陛下をさっさとエリサ様から引っぺがして、執務室に送り出さねばなりません。そうしないと陛下は、ず~っとエリサ様の側に居座り、執務が滞ってしまうからです。
「陛下、そろそろ執務のお時間ですわ」
「まだ早いだろう」
「いいえ、もうと…っくにお時間が過ぎております」
しかし…あのエリサ様への執着心を拗らせている陛下、そう簡単には離れません。まるで母親に縋りつく癇癪を起した幼児のようです。早く行って下さらないと、宰相様から私共が嫌味を言われるのですけど。というか、あれだけいちゃついてまだ足りないのでしょうか…
このまま居座られては、エリサ様の湯浴みなどのお世話が夕方までに終わらなくなってしまいます。エリサ様はまだお身体が出来上がっていないせいで、直ぐお疲れになって眠ってしまうので、湯浴みも時間配分が大切なのです。お身体に負担をかけないようにとこちらがいくら心を砕いても、あの陛下が台無しにしてくれるので、最近の陛下は私達侍女仲間の間では害ちゅ…コホン、いえ、何でもありません。
「ヴァル、ちゃんとお仕事しないと。皆さんが困ってしまうわ」
「私がいなくても国なんか勝手に回るよ」
今、『国なんか』と仰いましたわね?それは宰相様に丸投げしようという意味でしょうか?そんな事をしたら宰相様まで仕事を放棄してしまうではないですか。彼らの世界には番しか存在していないのかもしれませんが、それでは国民たる私達が困るのです。国王ならちゃんと仕事をして頂きませんと。
「でも…国が乱れたら…のんびり過ごす事も出来なくなるわ」
「それは…」
「そうしたら一緒にいる時間が減ってしまうし…」
「……」
エリサ様、ナイスです!竜人にはやはり、番との時間が減ると突きつけるのが一番効果的ですわね。陛下は渋々といった体で執務に戻られました。どうせすぐに戻ってくるのだから、その間くらいは仕事をして下さい。私たちの生活がかかっているのですから…!
湯浴みをして、髪を乾かしながらのお肌のお手入れも、最近のエリサ様には休憩を挟みながらでなければ難しく、夕方までにギリギリ終わる状況です。陛下も少し控えて下さるといいのですが…
陛下は陛下で、変化を早く終わらせないとエリサ様が苦しむ時間が長引くから…と言って容赦がありません。エリサ様が疲れ切って抵抗する気力がないのをいい事にやりたい放題です。やっぱり鬼畜竜…ですわね。
「エリィ、待たせた」
やっとお肌の手入れも終わって小休止…というところで陛下が戻ってきました。ちょ…早過ぎませんか?執務は?仕事してるの?
「ヴァル、早かったのね」
「ああ、エリィが心配だったから最速で片付けてきた」
((オー!ノォオオオオオッ!))
(何で早く帰ってくるんだよ、この鬼畜竜っ!)
(少しはエリサ様の負担を考えろ―!!!)
他の侍女たちの心の叫びが聞こえた気がしますわ。皆目が座っていますし、きっと同じ事を考えているのでしょうね。全く、あんなにクールで冷たい威厳を放っていた陛下はどこに行ってしまわれたのでしょうか…
「そうなの?でも、無理しないで」
「だがエリィ。貴女が心配なんだ」
愛おしそうに、甘すぎる程甘い笑みを浮かべてそうぬかす陛下ですが…心配ならもっとゆっくりして来い!と思うのは私だけではない筈です。いえ、エリサ様の事を考えるなら、この部屋にくるのも三日に一度くらいがちょうどいいんですが…!
「そうなの?心配してくれてありがとう、ヴァル」
そんな私たちの心配をよそに、エリサ様も陛下を笑顔で迎えています。
(いいのですか、エリサ様、本当にこんな鬼畜竜が番で…)
私の心配も、エリサ様には届かないようです。世間ではレイフ様達がバカップルと評判ですが、陛下達もあまり変わりませんわね…
(私も…婚活しようかしら…)
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