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仕事をしたのに怒鳴られました
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それから二日経ったけれど、天敵からは仕事以外の話は何もなかった。奴も忙しいのか、殆ど姿を見る事がなかったのもある。それに日が経って、今頃は馬鹿な事をしたと思っているのだろう。そう私は解釈し、これであの話はなくなっただろうと考えていた。ちょっとだけモヤっとするものがあったけれど、それは酔った際に自分が馬鹿な事を言った事への恥ずかしさだろう。どうせならそれも一緒に奴の記憶から消えて欲しかった。
「おいっ!お前、どういうつもりだ!!!」
エミール様が教えて欲しい事があると訪ねてきたところで、休暇を取っていたアルノワ殿が荒々しくドアを開けて入ってきたと思ったら、突然怒鳴られた。彼の代わりに仕事をしたのだから、怒鳴られる理由はない筈だけど…
「おはようございます、アルノワ殿。いきなり何の事でしょうか?」
天使のエミール様が心配そうな表情でこっちを見ているけど…うう、彼に心配をかけてしまって申し訳ないわね。せっかくの可愛いお顔が泣きそうになっているわ。
「何だと?しらばっくれるな!俺が不在の間に勝手に仕事をしただろうが!」
確かに不在の間に仕事をしたけどそれは上司からの命令で、私は他人の仕事に手を出す趣味はない。そりゃあ困っていたら手を貸すくらいはするけれど、アルノワ殿を手伝う気は…うん、ない。
「何の事でしょう?勝手に仕事をした覚えはありませんが?」
「覚えがないだと?だったらこれは何だ?」
そう言って彼が取り出したのは、既に決済の判が押されたあの書類だった。無事に申請が通ったと知って、私はホッとした。あれは団長がずっと温めていた案件で、今年一番の最重要課題と聞いていたからだ。
「こんなものを勝手に作りやがって!余計な事するんじゃねぇよ!」
「それでしたら、ブーランジェ副団長から緊急の依頼で作りました。異議がおありなら副団長にお願いします」
「な…っ!」
「私は上司に頼まれただけです。それに…あの書類は団長がアルノワ殿に納期厳守で依頼したものだと伺いましたが?」
「そ、それは…」」
「どうして仕事を残したまま休暇を取られたのでしょう?こちらも担当外の仕事を急に振られ、しかも今日中と言われるのは困ります。やるべき事はきちんとやってから休暇をお取りください」
「な…」
こっちだって急な仕事を振られて迷惑したのだ。しかもそのせいで…奴と訳の分からない状況に陥っているのだ。その事を言うことは出来ないけれど、代わりにこれくらいは言ってもいいだろう。本当に迷惑したのは間違いないのだから。
「な…生意気なっ!女のくせに偉そうな事言ってるんじゃねぇよ!!」
どうやら彼は思った以上に激高しやすい性格だったらしい。次の瞬間頬に熱を感じて、身体が床に倒れこむのを感じた。どうやら殴られたらしい。
「エリアーヌ様!」
「俺は侯爵家の人間なんだ。貧乏伯爵家のお前が逆らっていい相手じゃないんだよ!」
そう言うと彼は、荒々しくドアを閉めて部屋を出て行った。まさか殴られるとは思わなかったけれど…その行為が家名に泥を塗っていると理解しているのだろうか。
「エリアーヌ様、大丈夫?」
「え、ええ。大丈夫です」
「全く!女性に手を上げるなんて許せない!」
直ぐにエミール様が駆け寄って助け起こしてくれて、私の代わりに怒ってくれたのが心強かった。幸いなのはエミール様がアルノワ殿よりも家格が上という事だった。そうでなければきっと、仕事を押し付けられて大変な目に遭っていただろうから。
「おいっ!お前、どういうつもりだ!!!」
エミール様が教えて欲しい事があると訪ねてきたところで、休暇を取っていたアルノワ殿が荒々しくドアを開けて入ってきたと思ったら、突然怒鳴られた。彼の代わりに仕事をしたのだから、怒鳴られる理由はない筈だけど…
「おはようございます、アルノワ殿。いきなり何の事でしょうか?」
天使のエミール様が心配そうな表情でこっちを見ているけど…うう、彼に心配をかけてしまって申し訳ないわね。せっかくの可愛いお顔が泣きそうになっているわ。
「何だと?しらばっくれるな!俺が不在の間に勝手に仕事をしただろうが!」
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「何の事でしょう?勝手に仕事をした覚えはありませんが?」
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そう言って彼が取り出したのは、既に決済の判が押されたあの書類だった。無事に申請が通ったと知って、私はホッとした。あれは団長がずっと温めていた案件で、今年一番の最重要課題と聞いていたからだ。
「こんなものを勝手に作りやがって!余計な事するんじゃねぇよ!」
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「そ、それは…」」
「どうして仕事を残したまま休暇を取られたのでしょう?こちらも担当外の仕事を急に振られ、しかも今日中と言われるのは困ります。やるべき事はきちんとやってから休暇をお取りください」
「な…」
こっちだって急な仕事を振られて迷惑したのだ。しかもそのせいで…奴と訳の分からない状況に陥っているのだ。その事を言うことは出来ないけれど、代わりにこれくらいは言ってもいいだろう。本当に迷惑したのは間違いないのだから。
「な…生意気なっ!女のくせに偉そうな事言ってるんじゃねぇよ!!」
どうやら彼は思った以上に激高しやすい性格だったらしい。次の瞬間頬に熱を感じて、身体が床に倒れこむのを感じた。どうやら殴られたらしい。
「エリアーヌ様!」
「俺は侯爵家の人間なんだ。貧乏伯爵家のお前が逆らっていい相手じゃないんだよ!」
そう言うと彼は、荒々しくドアを閉めて部屋を出て行った。まさか殴られるとは思わなかったけれど…その行為が家名に泥を塗っていると理解しているのだろうか。
「エリアーヌ様、大丈夫?」
「え、ええ。大丈夫です」
「全く!女性に手を上げるなんて許せない!」
直ぐにエミール様が駆け寄って助け起こしてくれて、私の代わりに怒ってくれたのが心強かった。幸いなのはエミール様がアルノワ殿よりも家格が上という事だった。そうでなければきっと、仕事を押し付けられて大変な目に遭っていただろうから。
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