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上司の上司?
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「やぁ、ミュッセ嬢、わざわざすまないね」
にこやかな笑顔で気さくに声をかけてきたのは…なんと王太子殿下だった。天敵よりも少し暗めの金の髪に、王族の証の紫の瞳、天敵よりも怜悧さが勝る顔立ちで、天敵とは異なる部類のイケメンと言えるだろう。
いや、王太子殿下をイケメンと呼ぶなんて不敬かもしれない。笑顔で優しい空気を纏ってはいるけど、王者としての威厳が隠し切れなくて威圧感がある。思いがけない人物の登場に、私は暫く呆然としてしまった…
「は…っ、拝顔の栄に浴します。エリアーヌ=ミュッセでございます。王太子殿下にはご機嫌麗しく…」
「ああ、堅苦しいのはなしでいいよ。ミュッセ嬢」
「あ、ありがとう、ございます…」
とんでもない大物、それも次期国王と言う雲の上の存在に、私は魂が抜けそうになっていた。奴よりも身分も地位も上だって聞いていたし、団長もこちら側だって言っていたから間違っていないけど…まさか王族、それも王太子殿下だなんて…
チラと奴を横目で見たら、こっちを見てニヤニヤしている。くそう、私の反応を楽しんでいやがる…!思わず手に力が籠った。殿下がいらっしゃらなかったら殴っていたかもしれない。物凄く殴りたい…後で殴らせろ…。
「大きくなったね、エリー」
固まったままの私だったけれど、殿下の次の言葉で戸惑いが上乗せされた。笑顔で懐かしそうにそう言われたけど、全く心当たりがない。確かにエリーは私の愛称だけど、それで呼ぶ人なんて家族とクラリスくらいなんだけど…王太子殿下に愛称で呼ばれるような接点なんて記憶にない…
「ふふっ、さすがに覚えていないか」
「…え?ぁ、あの…も、申し訳ございません…」
「謝る事はないよ。まぁ、三歳じゃ覚えていなくても仕方ないしね」
「………は?さん、さい?」
三歳って…そりゃあそんな頃の記憶なんか、残っている筈がないんだけど…
「実はエリーと私は一緒に遊んだ仲なんだよ。もう二十年くらい前だけどね」
(…は…ぁあああああ?!!)
何それ、今初めて知ったんだけど?殿下と遊んだ?全然記憶にないんですけど…私は今日、何度驚けばいいの?
「…さ、左様でございますか…」
「へぇ、そうなんだ」
天敵も意外だと言わんばかりの表情だ。うん、今だけは奴に同意する。記憶を掘り返すけど、全く覚えがない…本当なの?
「ああ、エリーの母君は昔、母上の侍女をされていたんだ。その縁でエリーの母君が王都にいらっしゃった時は登城されて母上とお茶をしていたんだ。私とはその時に何度か一緒に遊んだのだよ」
「…母が…さ、左様でございますか…」
確かには母その昔、王太子妃殿下、今の王妃様の侍女をしていたと聞く。王太子に嫁ぐと決まってから暫くの間、仕えていたらしいけど…
「何か懐かれちゃってね~王宮が怖いから一緒に来てって言うんだもの。あんまりにも必死だったから、結婚相手が見つかるまでって約束で侍女をしていたのよ」
そう言っていた母の姿が蘇る。王太子妃殿下相手に懐かれちゃったとか言ちゃう辺りが母らしいと言うか何というか…まぁ、そういう人なんだけど。それにしても、そんな頃に王宮に行っていたとは…覚えていないのが勿体ない。いや、この場合は幸いだろうか?子供だし、絶対粗相をしていただろうから…
「あんなに小さくて私の後を必死で追いかけていたエリーが、こんなに綺麗になって…」
「…あ、ありがとうございます」
しみじみと眩しそうな笑顔で殿下にそう言われてしまった。お世辞でもそう言って貰えるのは嬉しいまぁ、社交辞令なんだけど。でも子供の頃の私は男の子並みに活発で領地の子供達と一緒に走り回っていたんだよね…さすがに殿下相手には…やらかしてない、よね?今無性に母に会いたくなった。今すぐ真相を確かめたい…!
「殿下、今は昔話をしている暇はありませんよ」
別の意味でパニックになりかけていた私だったけど、それを崩したのは天敵だった。
にこやかな笑顔で気さくに声をかけてきたのは…なんと王太子殿下だった。天敵よりも少し暗めの金の髪に、王族の証の紫の瞳、天敵よりも怜悧さが勝る顔立ちで、天敵とは異なる部類のイケメンと言えるだろう。
いや、王太子殿下をイケメンと呼ぶなんて不敬かもしれない。笑顔で優しい空気を纏ってはいるけど、王者としての威厳が隠し切れなくて威圧感がある。思いがけない人物の登場に、私は暫く呆然としてしまった…
「は…っ、拝顔の栄に浴します。エリアーヌ=ミュッセでございます。王太子殿下にはご機嫌麗しく…」
「ああ、堅苦しいのはなしでいいよ。ミュッセ嬢」
「あ、ありがとう、ございます…」
とんでもない大物、それも次期国王と言う雲の上の存在に、私は魂が抜けそうになっていた。奴よりも身分も地位も上だって聞いていたし、団長もこちら側だって言っていたから間違っていないけど…まさか王族、それも王太子殿下だなんて…
チラと奴を横目で見たら、こっちを見てニヤニヤしている。くそう、私の反応を楽しんでいやがる…!思わず手に力が籠った。殿下がいらっしゃらなかったら殴っていたかもしれない。物凄く殴りたい…後で殴らせろ…。
「大きくなったね、エリー」
固まったままの私だったけれど、殿下の次の言葉で戸惑いが上乗せされた。笑顔で懐かしそうにそう言われたけど、全く心当たりがない。確かにエリーは私の愛称だけど、それで呼ぶ人なんて家族とクラリスくらいなんだけど…王太子殿下に愛称で呼ばれるような接点なんて記憶にない…
「ふふっ、さすがに覚えていないか」
「…え?ぁ、あの…も、申し訳ございません…」
「謝る事はないよ。まぁ、三歳じゃ覚えていなくても仕方ないしね」
「………は?さん、さい?」
三歳って…そりゃあそんな頃の記憶なんか、残っている筈がないんだけど…
「実はエリーと私は一緒に遊んだ仲なんだよ。もう二十年くらい前だけどね」
(…は…ぁあああああ?!!)
何それ、今初めて知ったんだけど?殿下と遊んだ?全然記憶にないんですけど…私は今日、何度驚けばいいの?
「…さ、左様でございますか…」
「へぇ、そうなんだ」
天敵も意外だと言わんばかりの表情だ。うん、今だけは奴に同意する。記憶を掘り返すけど、全く覚えがない…本当なの?
「ああ、エリーの母君は昔、母上の侍女をされていたんだ。その縁でエリーの母君が王都にいらっしゃった時は登城されて母上とお茶をしていたんだ。私とはその時に何度か一緒に遊んだのだよ」
「…母が…さ、左様でございますか…」
確かには母その昔、王太子妃殿下、今の王妃様の侍女をしていたと聞く。王太子に嫁ぐと決まってから暫くの間、仕えていたらしいけど…
「何か懐かれちゃってね~王宮が怖いから一緒に来てって言うんだもの。あんまりにも必死だったから、結婚相手が見つかるまでって約束で侍女をしていたのよ」
そう言っていた母の姿が蘇る。王太子妃殿下相手に懐かれちゃったとか言ちゃう辺りが母らしいと言うか何というか…まぁ、そういう人なんだけど。それにしても、そんな頃に王宮に行っていたとは…覚えていないのが勿体ない。いや、この場合は幸いだろうか?子供だし、絶対粗相をしていただろうから…
「あんなに小さくて私の後を必死で追いかけていたエリーが、こんなに綺麗になって…」
「…あ、ありがとうございます」
しみじみと眩しそうな笑顔で殿下にそう言われてしまった。お世辞でもそう言って貰えるのは嬉しいまぁ、社交辞令なんだけど。でも子供の頃の私は男の子並みに活発で領地の子供達と一緒に走り回っていたんだよね…さすがに殿下相手には…やらかしてない、よね?今無性に母に会いたくなった。今すぐ真相を確かめたい…!
「殿下、今は昔話をしている暇はありませんよ」
別の意味でパニックになりかけていた私だったけど、それを崩したのは天敵だった。
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