異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第一章 運命のはじまりと新たな出会い

1-9 新しい家族と新しいステータス

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 ドラしゃんからの"テスト"という名のこの世界で生活できるかを試された試験が無事に終得る事ができた両親の気持ちは複雑だった。

テストが合格して嬉しい気持ちもあり、少し寂しい気持ちが入り混じっていたから...。

今回のテストを受けてもう二度と前の生活には戻れないんだという現実を突きつけられたのと新しい世界でも生きていける力があるという事を確信できたからだった。

テスト後しばらくお父さん達の気持ちの整理が落ち着くまで地面に倒れ込んだまま過ごすかとおもったがそうはならなかったみたい。

なぜって?私のお腹の虫が騒いだからだ。
私のお腹の虫はどうやら空気が読めないようで盛大に鳴いている。

私のお腹の虫の音を聞いてドラしゃんは自分の上に乗っているお父さん達ごと抱えて家の中に入る。

あまりの展開にお父さん達の涙は止まり苦笑いが顔に浮かんでいる。

ドラしゃんは玄関口にお父さんとお母さんを降ろすと私とお兄ちゃんをテーブルまで連れていき、指定席に座らせるとキッチンに素早く移動して素早い動きで次々と料理を作っていく。

その間玄関口に置いてかれたお父さん達はちゃんと気持ちの整理をつけ、顔を洗いに行きドラしゃんの手伝いに参加する。

お父さん達も加わり昼食の準備は予定より早く完了した。

私とお兄ちゃんの前には沢山の料理がならび、私のお腹の虫は感激の声をあげている。

料理はお父さん達の好物も勿論用意されており、ドラしゃんなりのお祝いの料理だようで皆んな揃ってお昼ご飯を食べた。

お父さん達のテスト合格祝いと新しい生活へのスターを祝してね。

さぁー料理を食べましょう!といったときだった。

玄関のドアをノックする音が私達の耳に入ってきたのでいっせいに玄関を見つめた。

なぜ玄関のドアを?しかも誰がノックしているのかがわからなかった。

恥ずかしい事に私達一家はこの世界に来てからまだドラしゃん以外の住人に会った事がないからだ。

ドラしゃんより魔力も魔法も使えないので外を出歩くのは危険だと言われていたから家の敷地内以外で出歩いた事がない。

(敷地内はドラしゃんの強力な結界が張られているため危険な物は全て排除されるのだ。)

 しかもこの家は村はずれの奥の方にあるため近くには人が住む様な建物はなく、近所と言ってもかなり離れている所に一軒あるぐらいだ。

だからこの家を訪ねて来る知り合いもいないし、まず私達がここに住んでいる人がいるとは思えなかった。

私達が考え込んでいる間もノックはされ続けていた。
ドラしゃんが私達に保護結界を張ろうとした時玄関から声がした。

「オイ!居るんだろ、フレア!!
とっとと出てこい!いつまで待たせる気だ!」

どうやら玄関をノックしているの男の人の様でしかもドラしゃんのことを知っている様子。

私達一家はいったい誰の事を呼んでいるのか分からず悩んでいるとドラしゃんが思い出した様に立ち上がり玄関に向かって行く。

それを見てお父さんはハッとしてドラしゃんの後ろ姿を見る。

私達は普段ドラしゃんと読んでいるためドラしゃんの名前を忘れていたのだ。
"フレア・ファルールフ"。それがドラしゃんの本名。

ドラしゃんはため息をつきながら玄関へ向かって歩いて行き外にいる人物に声をかけた。

『うるさいですよ。今開けますから叩くの辞めなさい。ドアが壊れます。』

そう言うのと同時に玄関のドアを開けた。
ドアの外には1人の男性が立っており、老いた見た目に反して身体は筋肉隆々。

どことなく覇気を纏った戦士の様な雰囲気がある男性がいた。

お父さん達は私とお兄ちゃんの側に来てドラしゃんの様子を伺っていたが、私とお兄ちゃんは口の中に入っている食べ物を必死に噛んでいた。

私達の事を気にしながらドラしゃんは玄関の外にいた人物と話をする。

『いったい貴方は何しにきたのですか?
呼んでませんよ。』

ドラしゃんは平然とした態度で玄関の外の男の人に向き合い会話をする。
そんなドラしゃんの態度にイラついたのか男の人は怒鳴る様にドラしゃんにくってかかりだす。

「なんだと!お前さんも知ってるだろうが!奴が、来てワシに頼み事をしに来たのを。
 ワシは、奴の言葉を信じてちゃんと待っておったわ。
しかし、待てどくらせどお前さんはちっともこんではないか!
だから、ワシから出向いてきたんだろうが!
1ヶ月だぞ!1ヶ月!あとどんだけ待たせる気だ!」

凄い!いくら老いていても体格が良いので迫力があり、リビングでいる私達の元にもその声が届いた。

どうやら2人は知り合いの様だったが全く話が見えない。

お父さんとお母さんは息を潜めて状況を見守り、お兄ちゃんは男の人の声にびっくりしてお父さんにしがみついた。

私は口の中に入っていた物を飲み込みゆっくりと椅子から降りてドラしゃんの元へと行こうとしたが、お父さんとお母さんは慌てて私を止めようした。

私はそれを上手に避けてドラしゃんの元へ向かった。

ドラしゃんは玄関口にて男の人と睨み合い続けていたので私はドラしゃんの足元にたどり着くと声をかける。

「ドラしゃん?だーれ?」

ドラしゃんのズボンを両手で握り上を見上げる様ような姿勢で2人を見た。

すると目の前の2人の男は顔を赤らめてヴっと呻いていた。

私が更に首をかしげると2人は倒れそうになる。
私は何も答えてくれなかったので更にドラしゃんに声をかける。

「ドラしゃん!だーれ?ねぇーおちえて!」

私が頬っぺたを膨らませてドラしゃんのズボンを引っ張るとドラしゃんと男の人は悶絶しながら座り込んでしまった。

慌てて追いかけてきたお父さん達はそんな様子を見て固まる。

悶絶しながら座り込んだドラしゃんはなんとか力を振り絞って私の問いにやっと答えてくれた。

『お嬢様...御教え...しますので、...少し落ち着いて...くだ...さい。』

いつものドラしゃんらしくはなかったが答えてくれたので私は嬉しくなり返事をしてお父さん達の元へ向かい、ドラしゃんの返事を待つことに。

私がお父さん達の元に戻った頃にはドラしゃんも男の人も落ち着きを取り戻していた。

『取り敢えず中へどうぞ。』

ドラしゃんが男の人を連れて戻ってきて改めて私達はリビングに向かい席に着く。

ドラしゃんが男の人の分もお皿等を準備しご飯を再開するこにした。
なぜなら私のお腹の虫がまた大きな鳴き声を発したからだ。

お互いに様子を伺いながら沈黙のままご飯を食べ進める。
その沈黙を先に破ったのは来客の男の人だった。

「フレア、この一家がそうなのか?」

男の人は用意された皿にドラしゃん達が作ったご飯を食べながらドラしゃんに尋ねる。

ドラしゃんはいつもの様に私のご飯の手助けをしながら答えた。

『お嬢様、こちらもおいしですよ。
どうぞ。あーそうだ。別にわざと合わせなかった訳ではないのでね。』

ドラしゃんの答えに器用に片眉だけを上げて疑いの眼差しを向ける男性。

お父さんも恐る恐るドラしゃんに尋ねた。

「あのードラしゃん?こちらの人はどなたなんでしょうか?」

お父さんの問いかけにお母さんもドラしゃんの方を見つめた。
お兄ちゃんも目の前のご飯を食べながらドラしゃんの方を向いた。

皆んなの視線を浴びてドラしゃんは覚悟を決めて話し出した。

『こちらの老人は私の古い知り合いです。名前は、ディロン・ムキファー。本名は、武林 勇作です。
皆様と同じ世界から来られた方です。
しかし、皆様と彼は少し立場が異なります。彼は転生者です。』

その言葉にお父さんとお母さんは目を見開いてディロン・ムキファーと紹介された男性を見つめ恐る恐る尋ねた。

「ドラしゃんが、言ったことは本当なんですか?」

お父さんの問いに男性は自分の口で返事をして自分の事を話し出した。

「ドラしゃん?あー、フレアの事か。
そいつが言ったことは本当のことだ。
ワシの名前はこの世界では、ディロン・ムキファーだ。
ワタシのオヤジやから貰った名前だ。
そして、前世の名前は武林 勇作だ。よろしくな。あと、元SSランクの冒険者だ。」

そう言うとお茶を飲んで続きを話し出した。

「今は隠居してのんびり老後を過ごそうかと思っていたら1ヶ月前に久しぶりに神の奴がワシの元に来たんだ。
そしてワシと同じ世界の人間が、しかも子連れの一家でこの世界に来ている事を話してくれたんだよ。
同郷のよしみで助けてやって欲しいと言われたんでなぁー。
人生最後の仕事かと思い待っていたんだ。
しかし、いくら待っても来ないから今日訪ねて来たんだ。」

その話を聞いてお父さん達は驚き再び固まってしまった。
まさか自分達以外の日本人に会うとはおもわなかったからだろう。
色々突っ込んで聞きたいことがあったが何から聞いて良いのか分からなかった。

そんな両親をよそに私は嬉しそうに男性に向かって言葉を発する。

「じぁーあー、ムキじぃーちゃんだ!」

私は笑顔でそう言うとムキじぃーちゃんと繰り返し声をかけた。
するとムキじぃーちゃんと言われたディロンはまた悶え出した。

お父さんとお母さんは私を叱りつけてディロンに謝り出した。
ドラしゃんは不満そうにしていた。

お兄ちゃんは私と一緒にムキじぃーちゃんかぁ~、良いねって言って喜んでくれた。

呼ばれた当の本人は私を叱るお父さん達大丈夫だと宥め私に

「もう一回呼んでくれるか?」

と優しい顔で言ってくれたのでわたしは笑顔でふたたび

「ムキじぃーちゃん」

と呼んだ。
するとディロンは何回か頷いて

「よし、今日からワシはムキじぃーちゃんだ。
お嬢ちゃん達はワシの孫だ。あんたらはワシの子供た。困った事があったら頼ってくれ。
こんな老ぼれでも顔は広い。
生活していける様に援助してやる。」

思いがけない言葉にお父さん達は焦った。
しかしムキじぃーちゃんは一歩も譲らなかった。

「ワシはこの世界にオヤジ達の子供として生まれ変わって生活をする事になったが、前世の記憶があるから中々オヤジ達にもこの世界にも慣れなかった。

それでも、オヤジ達は諦めなかったおかげでこの歳になっても生活できる術を身につけられた。
今は、オヤジ達もこの世にいない。人と違った自分がこの世界の人っていうのが受け入れなくてなぁーこんな歳になっても独り身だ。
最期は1人で逝くもんだと思っていた。
年寄りの我儘さ。ダメかいなぁー?」

そう言われたら両親は何も言えなかった。
私達にとっても同郷の人間が側にいるのは心強い。
しかも、ムキじぃーちゃんは何処となく亡くなったじぃーちゃんに似ていたのだ。

ドラしゃんを見つめると半ば諦めた顔をしていた。
ドラしゃんの知り合いだし元SSランクの冒険者だ。
悪い人ではないだろう。
何より私が懐いているのだ。

お父さん達はよろしくお願いしますと頭を下げた。
そして改めて自己紹介をした。

「私は父親の藤咲 雄大です。ユウダイで大丈夫です。」

「私はユウダイの妻で、この子達の母親の藤咲 由花です。ユイカで大丈夫です。」

「僕は、リンのお兄ちゃんの藤咲 陽です。5歳です。アキラて呼んでください。」

「わたちは、ふじさき りんです。3つです。」

それぞれの自己紹介も済ませるとムキじぃーちゃんはドラしゃんに

「一通り自己紹介も済んだしワシもここに住むわい。フレア、ワシの部屋も用意してくれ。」

と思いがけない一言を放つ。
お父さん達は驚き、私とお兄ちゃんは喜んだ。

「「やっあー!ムキじぃーちゃんもいっしょ!」」

こうなればもうドラしゃんもどうする事もできなかった。

『分かりました。どうせ断っても勝手に住み着くんでしょが。用意しますよ。
よろしいでしょうか?旦那様、奥様?』

ドラしゃんはお父さん達に確認をとった。
確認を取られてもムキじぃーちゃんは住む気満々だし子供達も喜んでいる。
これを断れる人はこの中に誰もいなかった。

こうして今日からまた新しい家族が1人増えたのだ。

 突然増えた家族ムキじぃーちゃん。
元SS冒険者と言っていただけあって体格はがっしりしており今も冒険者をしていると言われても疑わない感じだ。

今日から私達と住む事になった。
すると、ゼンは急げと言わんばかりにムキじぃーちゃんは食事を平らげて自分の荷物を取りに一旦家に帰って行った。

私達は取り敢えず残りの食事を食べ終えて片付けをした。
そして、落ち着いた頃にし忘れていた事をドラしゃんが思い出し、お父さん達を再度椅子に座らせた。

『突然の来客のせいで忘れるところでした。お二人のステータスを確認しましょう。
今回は、ステータス・オープンで出してみて下さい。』

ドラしゃんの台詞にお父さん達も思い出した。
ドラしゃんが良いと言うまでステータスを確認するのをお預けされていた。
そして、テスト合格したら確認ができるのだった。

お父さんとお母さんは、私達の前で自分達のステータスを開いたのだった。

「「ステータス・オープン」」

お父さん達がそう言うと以前見た内容とは少し違ったものが表示されていた。

「これは、前のと何か違う気が...。」

お父さんが驚いたように呟くとドラしゃんが答えてくてた。

『以前と違って当たり前です。以前と今とでは、得た知識量や能力も異なっています。
御自身が成長すれば成長した分ステータスの中身も成長します。』

ドラしゃんは成長を喜ぶ親の様にお父さん達に教えた。
しかし、たった1ヶ月でこうも変わってくるか?と疑わずにはいられなかった。

【ユウダイ新ステータス】
名前:ユウダイ 年齢:26歳
性別:男 種族:人間(神に選ばれし者)
家族:妻、息子、娘、ドラしゃん、ムキじぃーちゃん

HP:40000/40000 MP:25000/25000
魔力属性:水・土
魔法属性:火・水・風・土
体力:35   知力:50   回避力:35  
身体状態:良好 幸運:20    速力:35
スキル:一家の大黒柱、努力の鬼、未知の
知識を持つ者、魔法初心者、土の伝道者、×××、×××

【ユイカ新ステータス】
名前:ユイカ 年齢:25歳
性別:女 種族:人間(神に選ばれし者)
家族:夫、息子、娘、ドラしゃん、ムキじぃーちゃん

HP:32000/32000 MP36000/36000
魔力属性:火・光
魔法属性:火、水、風、光
体力:30  知力:40  回避力:30
身体状態:良好 幸運:30  速力:30
スキル:一家の縁柱、台所の守護神、未知の知識を持つ者、魔法初心者、癒しの手、細工職人、×××、×××


ドラしゃんに貰った小冊子に載っていた内容に似たステータス表示に切り替わっていた。
そして、色々増えていた。

「みて!ドラしゃんのなまえあるよ!」

私は家族欄にドラしゃんとムキじぃーちゃんの名前がある事に喜んだ。

「本当だ!表記も少し変わっている。
確か、前は子供2人だった気がする。」

お父さんとお母さんは私の声に反応してステータス欄を見ながらドラしゃんを見たのだった。

『私達のは旦那様達が家族とお認めになられましたから追加されました。
お嬢様達の表示の仕方が変わったのは...お2人の能力が上がったためだと思われます。』

ドラしゃんは嬉しさ半分嫌々半分の表情で答えたのだった。

「そしたら、今後色んな人に出会ってもし私達が家族と認めたら増えるのですか?」

お母さんは楽しそうに質問した。

『この世界は、皆様の世界の様に厳密な戸籍を示すものがございません。
その為、ステータス表示でお互いの家族欄に表示がある事で確認する事が多いです。
 独り者が番を見つけ互いに認め合えば記載は増えます。
今後、皆様が色んな方々とであって家族と心から認め合えば可能です。』

ドラしゃんはお母さんの質問に分かりやすく丁寧に答えたのだった。

「喧嘩とかしてついお前はもう息子でもなんでもないって言ってしまったらどうなんだ?」

お父さんはドラしゃんに不安そう質問したら言葉にしただけでは書き換えるのは不可能であることを分かりやすく教えるドラしゃん。

『本当にその人が心の底から思わない限り書き換える事はできません。
こればかりは私も詳しくは存じ上げませんが不思議なものです。
 あと、魔力属性も書き換え不能です。
産まれた時から決まってますから。
書き換えられるとしたら神様ぐらいでしょうね。
他のもに関しては経験や努力次第で内容が変わっていきます。
しかし、数値ばかりに気を取られてはいけません。』

ドラしゃんが心配そうに言葉を発すると

「それに関しては、大丈夫だと思います。この数値が普通なのか異常なのか今の私達にはわかりませんし。
それに、私達は極める事が大好きので。」

「そうそう昔してたゲームでも、もう少し強くならないかなぁー?とか他にも魔法編み出さないか模索したよなぁ~。あれが凄く楽しいんだよなぁー!」

お父さんとお母さんは楽しそうに話した。

「ドラしゃん、ありがとうなぁー。
色々心配掛けるだろうけどこれからもよろしくお願いします。」

「ゲームみたいな世界だけどゲームじゃないのよね。でも、私達の気持ちは変わらないわ。
 家族皆んなで楽しく過ごす。
そして、アキラやリンの成長を見届けるのが私達の目標よ。
だから、ドラしゃんこれからもよろしくお願いします。」

どうやらドラしゃんの心配は杞憂に終わったようだった。
私達の親は凄いのだ。

(何が凄いって?
それはね、普通の人がしない様な発想をするのよ。
やっぱりオタクは無敵です。)

「ドラしゃん、あきらめて下さい。僕たちの親はこんな感じです。」

お兄ちゃんはドラしゃんの袖を引っ張って笑顔で言った。
お兄ちゃんの言葉に私も頷いたのだった。

私達の言葉にお父さん達は何かブーイングを出していたが気にしない。
ドラしゃんは苦笑いしながら私とお兄ちゃんの頭を撫でてくれた。

楽しい家族会話とステータス確認を終えると、お父さんが思い出したかの様にドラしゃんに声をかけた。

「ドラしゃん、ムキじぃーちゃんの部屋はどうするですか?」

そうだったのだ。
今この場にはいないが奴が今日からこの家に住むと言いだしたのだった。

ドラしゃんはしばらく考え込みお父さん達に一度自室に戻ってきますのでお待ち下さいといい地下へと降りて行った。

ドラしゃんが戻って来るまでお父さん達と一緒に久しぶりにプレイスペースで遊んで貰った。

私達がプレイスペースで遊んでいる頃、ドラしゃんは地下の自室に行き神様へ連絡をしていたのだった。

『おい!見ていただろう!どうする?』

ドラしゃんは、自室に置いてある水晶に向かって語りかけていた。
それは、特別な水晶で神と通話出来るものだった。

『見てたよ。いいんじやない?彼らにとってこれから助けになるしね。』

神様はしれっと答えるのだった。
しかし、ドラしゃんは納得がいかなかった。別にムキファーが嫌いではない。
それどころが気の知れた親友の1人だ。

だが、私に対する態度に自分と同じ匂いを感じたため、少しでも私と過ごす時間を減らしたかったのだった。
神様はそれを見抜いていたのだった。

『意地悪は、駄目だよ。やっぱりカケは引き分けだったね。
ちゃんとお土産持って行くから仲良くするんだよ。
家は改造していいよ。ただし、あの部屋はあのままだよ。分かってるね。じゃーまたね。』

神様は、自分の言いたい事をいって通信を切ったのだった。
こうなる事は、分かっていた。
あの晩、神から奴に連絡してあると聞いた時から。

ドラしゃんは通信が切れてからもしばらく悩んでいたが、悩んでも埒があかないので覚悟を決め部屋を後にした。


ドラしゃんが地下から戻って来るとそこには、一旦家に荷物を取りに行っていたはずのムキじぃーちゃんの姿があった。

しかも、私とお兄ちゃんと楽しそうに遊んでいたのだった。

その姿を見たドラしゃんは背後になんとも言えない黒いオーラを出し近づいてきていた。
背後から不穏な空気がし出したことに気づいた、お父さんとお母さんはゆっくり後ろを振り向き固まったのだった。

そんな両親に気付いても無視をしムキじぃーちゃんは私とお兄ちゃんを肩に乗せたり自分の腕にぶら下げたりとしていた。

ドラしゃんは静かに気配を消してムキじぃーちゃんの背後に立ち肩に乗っていた私を抱き上げたのだった。

私がドラしゃんの顔を不思議に眺めるとドラしゃんはいつも通りの笑顔を向けてくれた。
笑顔でドラしゃんの首に私は抱きついた。

そんな、私とドラしゃんを見てムキじぃーちゃんは不貞腐れた顔をしてドラしゃんに話かけた。

「おい、せっかく遊んでいたのに邪魔すんなよ。ヤキモチかぁ?」

ムキじぃーちゃんはドラしゃんがその行動に出るのが分かっていたかの様だった。
ムキじぃーちゃんの言葉が図星だったのかドラしゃんは少し言い淀んでいた。

『お嬢様が怪我をされたら困るでしょう?危ない行動はよして下さい。』

あまりの展開にお父さんもお母さんも硬直が解けても暫く動かす成り行きを見守った。

「そう言うことにしといてやるよ。」

ムキじぃーちゃんは、お兄ちゃんを私の代わりに肩車しながら勝ち誇った顔でいた。

私とお兄ちゃんは、そんな2人のやりとりを笑顔で見ていた。
少し、素のドラしゃんを見れた気がしたので嬉しかったのだ。

(本当に仲が良いんだなぁーとこの時思ったんだよね。)

ドラしゃんとムキじぃーちゃんは、私とお兄ちゃんの喜ぶ顔を見てやれやれと言った顔をして、本題を話し出した。

『許可は貰えたのでここに住むのは可能です。しかし、貴方の部屋は用意していないので、今から作りますから手伝いなさい。』

ドラしゃんは、ムキじぃーちゃんにそう伝えた。
ムキじぃーちゃんは、ここに住めるなら別に何処でも良いと言っていたがそう言うわけにもいかなかった。

「別に手伝うのは良いけどよどうするんだ?増築するのか?」

ムキじぃーちゃんの台詞に静かに事の成り行きを見守っていたお父さん達が食いついてきた。

「「それ、私達も手伝わせて下さい!!」」

お父さんとお母さんの言葉に、ドラしゃんとムキじぃーちゃんは、すごく驚いていた。
お父さん達の存在を完全に忘れていたのだった。
























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