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第三章 発展〜街から小さな国へ〜
3-8 花の開花と説教
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ドラしゃん達が胃を痛めながら話し合いを行った翌日の朝。
いつもの様に起きて来た私達一家は、仲良くリビングに降りて来たのだが...本来ならドラしゃん姿もあるのだが、その日に限って姿がなかった。
どうやら昨晩遅くまで話し合っていたためか、珍しくまだ起きて来ていなかった。
とりあえず、お父さんとお母さんは朝ごはんの準備を始める。
私とお兄ちゃんは、ご飯の準備が完了するまで裏の菜園へ。
菜園の水やりと収穫をしにく事にした。
いつもなら玄関から外に行くのに、今日はキッチン横から裏の菜園へ行くことに。
その方が近道なので、両親から勧められてこちらから行くことにした。
以前改築工事をした時に1階のキッチン横より裏の中庭へすぐいける様に、私達兄弟様にドラしゃんが、出入り口を作ってくれたのだ。
そこから出入り出来るのは私とお兄ちゃんだけで、扉を開けるとドラしゃんに直通の連絡がいく仕組みに密かになっていた。
兄妹仲良く手を繋いで外に出ると、天気がいいのに粉雪がチラチラと舞い降りてくる。
あれ?寒くないのに?
不思議に思いお父さん達に確認しようとしたが、忙しそうにしていたので何も言わずにそのまま外にでる。
粉雪がチラついているが本当に全く寒くない。
それどころか異様な光景が...。
お空には燦々と太陽が照りついているのに溶けない粉雪。
私が手を差し伸ばし、粉雪をとろうとしたら何か光るモノが落ちて来た。
お兄ちゃんには見えておらず、私だけに見えてるみたい。
粉雪と共にキラキラ光るモノが私の手のひらに入って来たのだが、それは...キラキラ光る氷の結晶の様な型をしていた。
私は本能的に、"種"だと思いソレを胸のポケットにしまった。
私がポケットにしまうと、さっきまでチラついていた粉雪が嘘の様にやんだ。
私達はお互いに顔を見合わせて、"綺麗だったね"って感想を言って、菜園の水やりと収穫をおこなうことにした。
私は腕輪に呼びかけると皆が出てくる。
ウンディーナとミスト、シルフで水やりをして、ノーム、ドライアド、イフリートとお兄ちゃんで収穫をおこなっていく。
私はその間に菜園の側にある花園館へ向かった。
私が花園館の入り口に着くと鍵が掛かっていた。
扉を押しても引いても開かないので、諦めて菜園へ戻ろうとした時だった。
"ガチャ"と音がして扉がひとりでに開いたのだ。
そして中から心地良い花の香りがしたので、私は香りに導かれるまま中に入って行く。
私が中に入ると開いた扉は静かに閉まった。
私が花園館へ入った後、菜園で作業をしていたお兄ちゃん達は外から花園館の様子を見ていた。
「リン1人で大丈夫なの?」
お兄ちゃんは側にいる【大聖霊】達に声を掛けると
『あー。リンだけでないとダメなんだよ。』
『アレは呼ばれましたようね。』
『どんな奴なんだろうな。』
『主人を選んだ奴だ。変な奴ではないだろう。』
『楽しみだね。』
『...そうだね。』
微笑しながら【大聖霊】達が話すので、彼らの言葉を信じてお兄ちゃんは待つ事にした。
「でも、コレドラしゃんが知ったらどうなるんだろう?」
お兄ちゃんの言葉に【大聖霊】達は無言になる。
えっ?!大丈夫なの?っと不安になったお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃん達の事は気にせず、私は香りに誘われるまま花園館の中を歩いていた。
例の植物の蕾の前に来るとひときわ甘い香りがした。
私がその植物に手を触れると、蕾がゆっくりと花開きだす。
その花は今まで見たこともない色と形をしていてとても不思議な花だった。
開いた花びらは1枚1枚色が異なり、グラデーションがかかった七色の花びらをしている。
その花の中心に花びらと同じ様な色の花の髪飾りを付けた女の子がちょこんと座っているのだ。
髪の毛は桜の花みたいにピンク色で長くふわふわしていて、可愛く三つ編みされていた。
服はお母さんが好きな"甘ロリ"って言うタイプのふわふわレースたっぷりのピンク系のワンピースドレスみたいな服を着ている。
睫毛は長くてお母さんがコレクションしていた西洋ドールみたいな感じ。
(絶対お母さんが喜びそうなタイプだ。)
そう思いながら見つめていると閉じていた瞼がゆっくりと開く。
瞳の色は角度によって七色に変化しているようにみえた。
「可愛い。」
思わずボソっと呟くと目の前の子が花の様な笑顔を向けてくれた。
私は思わず顔が真っ赤になってしまった。
『初めまして。主人殿。私は【華の大聖霊 サク・フラーワ】以前この世界に居た【花の大聖霊 フラワー】と【日本の花と木の樹霊】のハーフです。この世界にただ1人の貴女の為の大聖霊です。よろしくお願いします。』
どうやら目の前の【大聖霊】は新しい種から産まれたオリジナルの【大聖霊】。日本に咲く桜の花の様な子。
私はその子に向かって自己紹介した。
「初めまして。私はリンです。よろしくね。じゃー、サクラちゃんだね。」
私の言葉に目の前の【大聖霊】は嬉しそうに微笑む。
『主人の好きに呼んでください。あと、この世界の花の大精霊の種を預かってますがどうしましょう?』
そう私に言うとサクラちゃんは小さな手のひらの中に"種"を持っていた。
私はどうしようかと悩みながら横を向くと...?!!
建物の外で私のことを見ていたお兄ちゃんと目があった。
「あっ!いるいる!それ預けれる人居るよ。」
私はそう言うとサクラちゃんの手を引いて花園館からお兄ちゃんの方へ向かって走って行く。
サクラちゃんが私に手を引かれて花から降りると、咲いていた植物は一瞬にして消え、まるでそこには何も無かったかのようになっていた。
一連の様子を外から見ていたお兄ちゃん達。
新しい【大聖霊】の誕生日の瞬間を見て皆で大喜びしていた。
「凄い!変わった聖霊だね。」
お兄ちゃんは驚きながらも呟いていた。
その言葉に周りに居た【大聖霊】達もそれぞれ感想をいう。
『まぁ~。やはり新しい子ね。まだ幼い上に見たことない力の持ち主ね。これからが楽しみだわ。』
『ヘェ~。新しい華の大聖霊かぁ~。前の子と全く違った子だね。この子の方が可愛系だね。』
『確かに!可愛じゃねぇーか。前のはお高くとまった感じの奴だったからな。あれはあれでまたいいんだがな。』
『主人と同じぐらいの大きさか?並ぶとなお愛らしさが増すなぁー。』
『ヘェ~、あんな子初めて見たよ。いいね。可愛こは大歓迎だよ。』
『...可愛い。嬉しい...。』
それぞれが花園館の様子を見ながら感想を述べて居る背後に忍び寄る影がある事に誰一人気付いていなかった。
気配を消して怒りを押し殺した例の人が背後に居る事にだ。
まさかドラしゃんが居るとは思わず、私は呑気げにサクラちゃんの手を引いてお兄ちゃん達の元に行った。
「お兄ちゃん!お願いがあるの!」
私の声にお兄ちゃんは不思議そうに首を傾げながら私の方へ歩み寄って来ていた。
「リン!どうしたんだ!」
お兄ちゃんの前に行くと私は息を整えながら話をした。
「ちょっ、ちょっと待って...ふー。
よし!あのね。こちらサクラちゃん。
サクラちゃん、私のお兄ちゃんで、アキラお兄ちゃん。」
まず私は手を引いて連れてきたサクラちゃんをお兄ちゃんに紹介した。
私の言葉にサクラちゃんは一瞬驚きお兄ちゃんをじっと見つめる。
そして、お兄ちゃんの腕輪に気付いて微笑んだ。
『初めまして。私は【華の大聖霊 サク・フラーワ】以前この世界に居た【花の大聖霊 フラワー】と【日本の花と木の樹霊】のハーフです。この世界にただ1人の主人の為の大聖霊です。よろしくお願いします。』
サクラちゃんの自己紹介にお兄ちゃんは照れながらも自分の自己紹介をする。
「あっ。丁寧にありがとうございます。僕はリンのお兄ちゃんのアキラです。よろしくお願いします。」
お兄ちゃんがそう自己紹介し終わったのを確認してから私はお兄ちゃんにお願いをする。
「お兄ちゃん。お願いがあるの。サクラちゃんがね、この世界の花の大聖霊の"種"を持って居るの。お兄ちゃんに預けてもいい?」
私がお兄ちゃんにそう話をすると、サクラちゃんが"種"を持った手をゆっくり開く。
すると...?!お兄ちゃんの腕輪が光りだしたかと思ったら、火の大聖霊の種が埋まって居る横の石が光って、サクラちゃんの手の中にある"種"を吸収したではないか。
「やった!良かったね。サクラちゃん!」
私は嬉しそうにサクラちゃんを見つめると、サクラちゃんも嬉しそうに微笑んでくれた。
お兄ちゃんだけキョトンとしていた。
その光景を呆れた感じて見ていた【大聖霊】達だったが、...背後に不穏な気配をようやく感じ取り慌て出す。
それには私もお兄ちゃんも気づく。
不穏な気配がする方がへ視線を皆で向けると...悪魔の笑顔をしたドラしゃんが仁王立ちしているではないか。
【大聖霊】達の行動は早かった。
サクラちゃん以外の【大精霊】は、ドラしゃんが何かを言う前に私の腕輪の中に消えた。
(裏切り者だ!)
その場に残ったのは私とお兄ちゃんとサクラちゃん。
そして...ドラしゃんだ。
いつものドラしゃんでないので、私はお兄ちゃんの背後に隠れる様にした。
お兄ちゃんはドラしゃんの気配に動けなくなっていた。
『おや?おかしいですね。何が起こってるんですか?今、朝ですよね?なんでこんな短時間で?私に説明お願いできますか?』
ドラしゃんは笑顔のまま私達に声をかけてきた。
さぁー、どう説明して行こうか...。
私とお兄ちゃんは動けないまま悩んでいた。
楽しい雰囲気から一変して、不穏な空気が私とお兄ちゃんを襲ってくる。
笑顔だけど笑顔じゃないドラしゃんが私達の前に現れたからね。
しかも、サクラちゃん以外の【大聖霊】達は我先にと腕輪に戻ってしまった。
『さぁー。お嬢様。坊っちゃま。お話をして頂けますか?』
ドラしゃんの再びの問いかけにお兄ちゃんが意を決して答えた。
「お父さんとお母さんが朝ご飯を作っている間に菜園の水やりと収穫をしていました。」
お兄ちゃんの答えにドラしゃんは笑顔で頷いて聞いていた。
ドラしゃんは別にお兄ちゃんのやっていた事を聞きたかったわけではなかったのだ。
ドラしゃんが聞きたかったのは私のしていた事だったのだ。
それは、私もお兄ちゃんもなんとなくわかっていた。
『坊っちゃまの事は分かりました。収穫した物は私が後で運んで起きますので先に家にお戻り下さい。
では、お嬢様。お嬢様は何をされていたのか詳しく教えてくれますか?』
ドラしゃんの言葉にお兄ちゃんはチラッと私を見て残ろうとしていたが、ドラしゃんの迫力に負けて"ごめん"と言って私達をその場に残して家に入って行った。
私はお兄ちゃんの後ろ姿を見送りなら、サクラちゃんの手を握り締めた。
私の不安を感じとったサクラちゃんがドラしゃんに対して攻撃体勢をいきなりとりだす。
それに気付いたドラしゃんも応戦姿勢をとろうとした。
さすがにまずいと思った私はドラしゃんとサクラちゃんに声をかけた。
「ちょっと、まって!サクラちゃん。あの人はドラしゃんなの。私の家族よ。ドラしゃん!この子はサクラちゃん。新しい仲間だよ!あのお部屋に咲いていた植物の子だよ!」
私は早口でそれぞに話した。
私の慌てぶりにサクラちゃんは攻撃体勢を解いた。
ドラしゃんもサクラちゃんの対応を感じとり応戦姿勢を解く。
「お兄ちゃん達と菜園にきてたの。でも呼ばれたからあの部屋に行ったの。そしたら...つぼみだった植物が花咲いたの。サクラちゃんがいたの。」
私はドラしゃんに必死に説明した。
すると、サクラちゃんもドラしゃんに自己紹介をする。
『初めまして。主人の家族殿。私は、【華の大聖霊 サク・フラーワ】以前この世界に居た【花の大聖霊 フラワー】と【日本の花と木の樹霊】のハーフです。この世界にただ1人の、主人の為の大聖霊です。よろしくお願いします。』
そうサクラちゃんが話すとドラしゃんの怒りオーラがいつの間にか消えていた。
『では先程、坊っちゃまに渡していた物は?』
ドラしゃんがサクラちゃんに質問するとサクラちゃんは普通に答えた。
『あれは、この世界の花の大聖霊の種です。私は主人の為の大聖霊ですから、この世界の花の大聖霊が居ないとパワーバランスが崩れるので。』
そうサクラちゃんが話をするとドラしゃんは大きく溜息をついた。
『私は主人の魔力を沢山貰って産まれたから主人以外に遣える気はなの。
主人の為だけに存在するの。』
そうサクラちゃんは話すると私に満面の笑顔を向けてくれた。
私はサクラちゃんの笑顔を見て嬉しくなり同じ様に笑顔を返した。
すると安心したのかサクラちゃんは私の腕輪の中に消えた。
サクラちゃんが消えたら腕輪がまた新しく変化した。
私の中指にサクラの型をした指輪がはめられていた。
その指輪から細い鎖が伸びて手の甲に桜柄の玉が現れて腕輪と玉を繋いでいた。
私が驚きながら腕輪を見ているとドラしゃんに抱っこされた。
『お嬢様。私がお側にいない時に無理をされないで下さい。
私が側に居ない時に勝手をされましたら、何かあった時に対応が取れません。
しかも、今回仲間になった【大聖霊】は新種になります。お嬢様のお身体にどの様な影響が出るかわかりません。
今の所はどうもない様ですが...お願いですから。お嬢様に何かあれば...私生きてはいけませんので...。』
ドラしゃんは切なそうな顔で私を見ながら話をする。
ドラしゃんの顔を見て私の胸はチクンと痛みが走った。
まさかそこまでドラしゃんに心配をかけているとは思っても見なかったのでこの時はちゃんと反省した。
『これ以外に他には何もされてませんよね?何もありませんでしたよね?』
ドラしゃんは更に追い討ちをかけるかの様に私に質問してきた。
私は朝外に出た時の事を思い出した。
話さないでおこうと思ったが、今回の様にドラしゃんに心配をかけるのは良くないと思い正直に話す事にした。
「あのね。朝お外に出た時に粉雪が舞ってたの。手をこうやってお空に向けて広げたらキラキラ光る物が落ちてきたの。でね、ポッケにしまったの。」
私はそう話しながら身振り手振りで朝の出来事を教えたのだ。
最後には胸ポケットの中も見せた。
胸ポケットの中には朝入れたままの状態で、キラキラ光"種"が入っていた。
しかし、どうやらドラしゃんには見えない様だった。
『本当にこちらに入っているのですか?』
ドラしゃんは不思議そうに私の胸ポケットと顔を交互に見ながら尋ねてきた。
私は自信満々に頷く。
『どうやら"種"の状態では私には見えない様です。
お嬢様がそうお話になられるのであればそれは間違いなく【大聖霊】の"種"でしょう。
状況から察するに【氷の大聖霊】の可能性が高いですね。
いいですかお嬢様。今度は私が側に居る時にお願いしますね。』
ドラしゃんに念を押されたので私は首が取れるかと思うぐらい縦に振った。
私の反応に安心したドラしゃんは私を抱えたままお兄ちゃん達が収穫した野菜類を鞄に収納して家に戻って行く。
家に入るとテーブルの上には朝ご飯の準備ができていた。
お兄ちゃんはちゃっかり椅子に座ってご飯を食べる準備をしていた。
私とドラしゃんの姿を見たお父さんとお母さんは私達が座る席にお箸とコップを用意してくれた。
私はドラしゃんにそのまま席に連れて行かれ、いつもの席に腰を下ろす。
「皆揃ったわね。では、ご飯食べましょう。いただきます。」
皆が席に着くのを確認したお母さんが食事の前の挨拶をすると、それに合わせて皆で手を合わせて挨拶をする。
今日も美味しい朝食を食べはじめる。
リン:
最近ドラしゃんに怒られる事が増えた気がする...(´Д` )
アキラ:
リン、少しは自覚した方が良いよ。
無茶をしているって
リン:
ʕʘ‿ʘʔ何もしてないよ??
アキラ:
∑(゚Д゚)
ドラしゃん:
坊っちゃま。お嬢様は無自覚ですから無理ですよ。
アキラ:
ドラしゃん(T_T)
リン:
??2人ともどうしたの?
ドラしゃん:
何でもないですよ^ ^
アキラ:
今度ドラしゃんに何かプレゼンします。
ドラしゃん:
お気持ちだけで大丈夫ですよ^ ^
次回もよろしくお願いします^ ^
いつもの様に起きて来た私達一家は、仲良くリビングに降りて来たのだが...本来ならドラしゃん姿もあるのだが、その日に限って姿がなかった。
どうやら昨晩遅くまで話し合っていたためか、珍しくまだ起きて来ていなかった。
とりあえず、お父さんとお母さんは朝ごはんの準備を始める。
私とお兄ちゃんは、ご飯の準備が完了するまで裏の菜園へ。
菜園の水やりと収穫をしにく事にした。
いつもなら玄関から外に行くのに、今日はキッチン横から裏の菜園へ行くことに。
その方が近道なので、両親から勧められてこちらから行くことにした。
以前改築工事をした時に1階のキッチン横より裏の中庭へすぐいける様に、私達兄弟様にドラしゃんが、出入り口を作ってくれたのだ。
そこから出入り出来るのは私とお兄ちゃんだけで、扉を開けるとドラしゃんに直通の連絡がいく仕組みに密かになっていた。
兄妹仲良く手を繋いで外に出ると、天気がいいのに粉雪がチラチラと舞い降りてくる。
あれ?寒くないのに?
不思議に思いお父さん達に確認しようとしたが、忙しそうにしていたので何も言わずにそのまま外にでる。
粉雪がチラついているが本当に全く寒くない。
それどころか異様な光景が...。
お空には燦々と太陽が照りついているのに溶けない粉雪。
私が手を差し伸ばし、粉雪をとろうとしたら何か光るモノが落ちて来た。
お兄ちゃんには見えておらず、私だけに見えてるみたい。
粉雪と共にキラキラ光るモノが私の手のひらに入って来たのだが、それは...キラキラ光る氷の結晶の様な型をしていた。
私は本能的に、"種"だと思いソレを胸のポケットにしまった。
私がポケットにしまうと、さっきまでチラついていた粉雪が嘘の様にやんだ。
私達はお互いに顔を見合わせて、"綺麗だったね"って感想を言って、菜園の水やりと収穫をおこなうことにした。
私は腕輪に呼びかけると皆が出てくる。
ウンディーナとミスト、シルフで水やりをして、ノーム、ドライアド、イフリートとお兄ちゃんで収穫をおこなっていく。
私はその間に菜園の側にある花園館へ向かった。
私が花園館の入り口に着くと鍵が掛かっていた。
扉を押しても引いても開かないので、諦めて菜園へ戻ろうとした時だった。
"ガチャ"と音がして扉がひとりでに開いたのだ。
そして中から心地良い花の香りがしたので、私は香りに導かれるまま中に入って行く。
私が中に入ると開いた扉は静かに閉まった。
私が花園館へ入った後、菜園で作業をしていたお兄ちゃん達は外から花園館の様子を見ていた。
「リン1人で大丈夫なの?」
お兄ちゃんは側にいる【大聖霊】達に声を掛けると
『あー。リンだけでないとダメなんだよ。』
『アレは呼ばれましたようね。』
『どんな奴なんだろうな。』
『主人を選んだ奴だ。変な奴ではないだろう。』
『楽しみだね。』
『...そうだね。』
微笑しながら【大聖霊】達が話すので、彼らの言葉を信じてお兄ちゃんは待つ事にした。
「でも、コレドラしゃんが知ったらどうなるんだろう?」
お兄ちゃんの言葉に【大聖霊】達は無言になる。
えっ?!大丈夫なの?っと不安になったお兄ちゃん。
そんなお兄ちゃん達の事は気にせず、私は香りに誘われるまま花園館の中を歩いていた。
例の植物の蕾の前に来るとひときわ甘い香りがした。
私がその植物に手を触れると、蕾がゆっくりと花開きだす。
その花は今まで見たこともない色と形をしていてとても不思議な花だった。
開いた花びらは1枚1枚色が異なり、グラデーションがかかった七色の花びらをしている。
その花の中心に花びらと同じ様な色の花の髪飾りを付けた女の子がちょこんと座っているのだ。
髪の毛は桜の花みたいにピンク色で長くふわふわしていて、可愛く三つ編みされていた。
服はお母さんが好きな"甘ロリ"って言うタイプのふわふわレースたっぷりのピンク系のワンピースドレスみたいな服を着ている。
睫毛は長くてお母さんがコレクションしていた西洋ドールみたいな感じ。
(絶対お母さんが喜びそうなタイプだ。)
そう思いながら見つめていると閉じていた瞼がゆっくりと開く。
瞳の色は角度によって七色に変化しているようにみえた。
「可愛い。」
思わずボソっと呟くと目の前の子が花の様な笑顔を向けてくれた。
私は思わず顔が真っ赤になってしまった。
『初めまして。主人殿。私は【華の大聖霊 サク・フラーワ】以前この世界に居た【花の大聖霊 フラワー】と【日本の花と木の樹霊】のハーフです。この世界にただ1人の貴女の為の大聖霊です。よろしくお願いします。』
どうやら目の前の【大聖霊】は新しい種から産まれたオリジナルの【大聖霊】。日本に咲く桜の花の様な子。
私はその子に向かって自己紹介した。
「初めまして。私はリンです。よろしくね。じゃー、サクラちゃんだね。」
私の言葉に目の前の【大聖霊】は嬉しそうに微笑む。
『主人の好きに呼んでください。あと、この世界の花の大精霊の種を預かってますがどうしましょう?』
そう私に言うとサクラちゃんは小さな手のひらの中に"種"を持っていた。
私はどうしようかと悩みながら横を向くと...?!!
建物の外で私のことを見ていたお兄ちゃんと目があった。
「あっ!いるいる!それ預けれる人居るよ。」
私はそう言うとサクラちゃんの手を引いて花園館からお兄ちゃんの方へ向かって走って行く。
サクラちゃんが私に手を引かれて花から降りると、咲いていた植物は一瞬にして消え、まるでそこには何も無かったかのようになっていた。
一連の様子を外から見ていたお兄ちゃん達。
新しい【大聖霊】の誕生日の瞬間を見て皆で大喜びしていた。
「凄い!変わった聖霊だね。」
お兄ちゃんは驚きながらも呟いていた。
その言葉に周りに居た【大聖霊】達もそれぞれ感想をいう。
『まぁ~。やはり新しい子ね。まだ幼い上に見たことない力の持ち主ね。これからが楽しみだわ。』
『ヘェ~。新しい華の大聖霊かぁ~。前の子と全く違った子だね。この子の方が可愛系だね。』
『確かに!可愛じゃねぇーか。前のはお高くとまった感じの奴だったからな。あれはあれでまたいいんだがな。』
『主人と同じぐらいの大きさか?並ぶとなお愛らしさが増すなぁー。』
『ヘェ~、あんな子初めて見たよ。いいね。可愛こは大歓迎だよ。』
『...可愛い。嬉しい...。』
それぞれが花園館の様子を見ながら感想を述べて居る背後に忍び寄る影がある事に誰一人気付いていなかった。
気配を消して怒りを押し殺した例の人が背後に居る事にだ。
まさかドラしゃんが居るとは思わず、私は呑気げにサクラちゃんの手を引いてお兄ちゃん達の元に行った。
「お兄ちゃん!お願いがあるの!」
私の声にお兄ちゃんは不思議そうに首を傾げながら私の方へ歩み寄って来ていた。
「リン!どうしたんだ!」
お兄ちゃんの前に行くと私は息を整えながら話をした。
「ちょっ、ちょっと待って...ふー。
よし!あのね。こちらサクラちゃん。
サクラちゃん、私のお兄ちゃんで、アキラお兄ちゃん。」
まず私は手を引いて連れてきたサクラちゃんをお兄ちゃんに紹介した。
私の言葉にサクラちゃんは一瞬驚きお兄ちゃんをじっと見つめる。
そして、お兄ちゃんの腕輪に気付いて微笑んだ。
『初めまして。私は【華の大聖霊 サク・フラーワ】以前この世界に居た【花の大聖霊 フラワー】と【日本の花と木の樹霊】のハーフです。この世界にただ1人の主人の為の大聖霊です。よろしくお願いします。』
サクラちゃんの自己紹介にお兄ちゃんは照れながらも自分の自己紹介をする。
「あっ。丁寧にありがとうございます。僕はリンのお兄ちゃんのアキラです。よろしくお願いします。」
お兄ちゃんがそう自己紹介し終わったのを確認してから私はお兄ちゃんにお願いをする。
「お兄ちゃん。お願いがあるの。サクラちゃんがね、この世界の花の大聖霊の"種"を持って居るの。お兄ちゃんに預けてもいい?」
私がお兄ちゃんにそう話をすると、サクラちゃんが"種"を持った手をゆっくり開く。
すると...?!お兄ちゃんの腕輪が光りだしたかと思ったら、火の大聖霊の種が埋まって居る横の石が光って、サクラちゃんの手の中にある"種"を吸収したではないか。
「やった!良かったね。サクラちゃん!」
私は嬉しそうにサクラちゃんを見つめると、サクラちゃんも嬉しそうに微笑んでくれた。
お兄ちゃんだけキョトンとしていた。
その光景を呆れた感じて見ていた【大聖霊】達だったが、...背後に不穏な気配をようやく感じ取り慌て出す。
それには私もお兄ちゃんも気づく。
不穏な気配がする方がへ視線を皆で向けると...悪魔の笑顔をしたドラしゃんが仁王立ちしているではないか。
【大聖霊】達の行動は早かった。
サクラちゃん以外の【大精霊】は、ドラしゃんが何かを言う前に私の腕輪の中に消えた。
(裏切り者だ!)
その場に残ったのは私とお兄ちゃんとサクラちゃん。
そして...ドラしゃんだ。
いつものドラしゃんでないので、私はお兄ちゃんの背後に隠れる様にした。
お兄ちゃんはドラしゃんの気配に動けなくなっていた。
『おや?おかしいですね。何が起こってるんですか?今、朝ですよね?なんでこんな短時間で?私に説明お願いできますか?』
ドラしゃんは笑顔のまま私達に声をかけてきた。
さぁー、どう説明して行こうか...。
私とお兄ちゃんは動けないまま悩んでいた。
楽しい雰囲気から一変して、不穏な空気が私とお兄ちゃんを襲ってくる。
笑顔だけど笑顔じゃないドラしゃんが私達の前に現れたからね。
しかも、サクラちゃん以外の【大聖霊】達は我先にと腕輪に戻ってしまった。
『さぁー。お嬢様。坊っちゃま。お話をして頂けますか?』
ドラしゃんの再びの問いかけにお兄ちゃんが意を決して答えた。
「お父さんとお母さんが朝ご飯を作っている間に菜園の水やりと収穫をしていました。」
お兄ちゃんの答えにドラしゃんは笑顔で頷いて聞いていた。
ドラしゃんは別にお兄ちゃんのやっていた事を聞きたかったわけではなかったのだ。
ドラしゃんが聞きたかったのは私のしていた事だったのだ。
それは、私もお兄ちゃんもなんとなくわかっていた。
『坊っちゃまの事は分かりました。収穫した物は私が後で運んで起きますので先に家にお戻り下さい。
では、お嬢様。お嬢様は何をされていたのか詳しく教えてくれますか?』
ドラしゃんの言葉にお兄ちゃんはチラッと私を見て残ろうとしていたが、ドラしゃんの迫力に負けて"ごめん"と言って私達をその場に残して家に入って行った。
私はお兄ちゃんの後ろ姿を見送りなら、サクラちゃんの手を握り締めた。
私の不安を感じとったサクラちゃんがドラしゃんに対して攻撃体勢をいきなりとりだす。
それに気付いたドラしゃんも応戦姿勢をとろうとした。
さすがにまずいと思った私はドラしゃんとサクラちゃんに声をかけた。
「ちょっと、まって!サクラちゃん。あの人はドラしゃんなの。私の家族よ。ドラしゃん!この子はサクラちゃん。新しい仲間だよ!あのお部屋に咲いていた植物の子だよ!」
私は早口でそれぞに話した。
私の慌てぶりにサクラちゃんは攻撃体勢を解いた。
ドラしゃんもサクラちゃんの対応を感じとり応戦姿勢を解く。
「お兄ちゃん達と菜園にきてたの。でも呼ばれたからあの部屋に行ったの。そしたら...つぼみだった植物が花咲いたの。サクラちゃんがいたの。」
私はドラしゃんに必死に説明した。
すると、サクラちゃんもドラしゃんに自己紹介をする。
『初めまして。主人の家族殿。私は、【華の大聖霊 サク・フラーワ】以前この世界に居た【花の大聖霊 フラワー】と【日本の花と木の樹霊】のハーフです。この世界にただ1人の、主人の為の大聖霊です。よろしくお願いします。』
そうサクラちゃんが話すとドラしゃんの怒りオーラがいつの間にか消えていた。
『では先程、坊っちゃまに渡していた物は?』
ドラしゃんがサクラちゃんに質問するとサクラちゃんは普通に答えた。
『あれは、この世界の花の大聖霊の種です。私は主人の為の大聖霊ですから、この世界の花の大聖霊が居ないとパワーバランスが崩れるので。』
そうサクラちゃんが話をするとドラしゃんは大きく溜息をついた。
『私は主人の魔力を沢山貰って産まれたから主人以外に遣える気はなの。
主人の為だけに存在するの。』
そうサクラちゃんは話すると私に満面の笑顔を向けてくれた。
私はサクラちゃんの笑顔を見て嬉しくなり同じ様に笑顔を返した。
すると安心したのかサクラちゃんは私の腕輪の中に消えた。
サクラちゃんが消えたら腕輪がまた新しく変化した。
私の中指にサクラの型をした指輪がはめられていた。
その指輪から細い鎖が伸びて手の甲に桜柄の玉が現れて腕輪と玉を繋いでいた。
私が驚きながら腕輪を見ているとドラしゃんに抱っこされた。
『お嬢様。私がお側にいない時に無理をされないで下さい。
私が側に居ない時に勝手をされましたら、何かあった時に対応が取れません。
しかも、今回仲間になった【大聖霊】は新種になります。お嬢様のお身体にどの様な影響が出るかわかりません。
今の所はどうもない様ですが...お願いですから。お嬢様に何かあれば...私生きてはいけませんので...。』
ドラしゃんは切なそうな顔で私を見ながら話をする。
ドラしゃんの顔を見て私の胸はチクンと痛みが走った。
まさかそこまでドラしゃんに心配をかけているとは思っても見なかったのでこの時はちゃんと反省した。
『これ以外に他には何もされてませんよね?何もありませんでしたよね?』
ドラしゃんは更に追い討ちをかけるかの様に私に質問してきた。
私は朝外に出た時の事を思い出した。
話さないでおこうと思ったが、今回の様にドラしゃんに心配をかけるのは良くないと思い正直に話す事にした。
「あのね。朝お外に出た時に粉雪が舞ってたの。手をこうやってお空に向けて広げたらキラキラ光る物が落ちてきたの。でね、ポッケにしまったの。」
私はそう話しながら身振り手振りで朝の出来事を教えたのだ。
最後には胸ポケットの中も見せた。
胸ポケットの中には朝入れたままの状態で、キラキラ光"種"が入っていた。
しかし、どうやらドラしゃんには見えない様だった。
『本当にこちらに入っているのですか?』
ドラしゃんは不思議そうに私の胸ポケットと顔を交互に見ながら尋ねてきた。
私は自信満々に頷く。
『どうやら"種"の状態では私には見えない様です。
お嬢様がそうお話になられるのであればそれは間違いなく【大聖霊】の"種"でしょう。
状況から察するに【氷の大聖霊】の可能性が高いですね。
いいですかお嬢様。今度は私が側に居る時にお願いしますね。』
ドラしゃんに念を押されたので私は首が取れるかと思うぐらい縦に振った。
私の反応に安心したドラしゃんは私を抱えたままお兄ちゃん達が収穫した野菜類を鞄に収納して家に戻って行く。
家に入るとテーブルの上には朝ご飯の準備ができていた。
お兄ちゃんはちゃっかり椅子に座ってご飯を食べる準備をしていた。
私とドラしゃんの姿を見たお父さんとお母さんは私達が座る席にお箸とコップを用意してくれた。
私はドラしゃんにそのまま席に連れて行かれ、いつもの席に腰を下ろす。
「皆揃ったわね。では、ご飯食べましょう。いただきます。」
皆が席に着くのを確認したお母さんが食事の前の挨拶をすると、それに合わせて皆で手を合わせて挨拶をする。
今日も美味しい朝食を食べはじめる。
リン:
最近ドラしゃんに怒られる事が増えた気がする...(´Д` )
アキラ:
リン、少しは自覚した方が良いよ。
無茶をしているって
リン:
ʕʘ‿ʘʔ何もしてないよ??
アキラ:
∑(゚Д゚)
ドラしゃん:
坊っちゃま。お嬢様は無自覚ですから無理ですよ。
アキラ:
ドラしゃん(T_T)
リン:
??2人ともどうしたの?
ドラしゃん:
何でもないですよ^ ^
アキラ:
今度ドラしゃんに何かプレゼンします。
ドラしゃん:
お気持ちだけで大丈夫ですよ^ ^
次回もよろしくお願いします^ ^
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