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第三章 発展〜街から小さな国へ〜
3-17 モッケしゃんへ 感謝の言葉と
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私達が菜園で収穫をしている頃の出来事だ。
モッケしゃんはドムじぃーちゃんに案内されて、私達が建てたモッケしゃんのお家に向かっていた。
この街を旅立ってから色んなものが変わっていて、モッケしゃんは視界に入るもの全てが新鮮に見えいたようで、落ち着きなくキョロキョロと辺りを見渡しながら歩いている。
先を歩くドムじぃーちゃんに"アレはなんですか?""これは?"っと、次々と聞いて回っていた。
ドムじぃーちゃんは呆れながらも一つ一つ丁寧に説明していく。
「そっか。お前さんがこの街を旅立ってから結構経つもんなぁー。アレから色々増えていったんだよなぁー。」
ドムじぃーちゃんにとっては当たり前の光景になっている物ばかりだが、モッケしゃんにとっては真新しい物ばかりなのだからだ仕方がない。
「コレは、ユイカとユウダイの工房だ。まだ、殆ど使ってないがな。まぁー、ある程度落ち着いてきたらここも本格的に活用していくさ。
そして、ここが1番お前さんに見せたかった所さ。」
そう言ってドムじぃーちゃんは一軒の家の前にモッケしゃんを案内する。
お父さん達の工房の近くでドムじぃーちゃん達の家の近くに建てた、モッケしゃんの工房兼お家を案内したのだ。
案内されたモッケしゃんは呆然と家を眺める。
「この建物は、...なんですか?」
モッケしゃんは横にいるドムじぃーちゃんに尋ねる。
ドムじぃーちゃんは、何を言ってるんだコイツは?ってな表情でモッケしゃんを見て答えた。
「何のためにお前さんをここに案内したのか判らんのか?」
ドムじぃーちゃんの言葉にモッケしゃんは一瞬不思議そうな顔をしていたが、家とドムじぃーちゃんの顔を交互に眺めだす。
そして...ある一つの答えを自ら導き出した。
「えっ?えっ?えっーーーー!?
イヤ。イヤァーーー....。
ほんまでっか?嘘ちゃいますよね?」
モッケしゃんは独りでワタワタしだす。
そんな様子をみてドムじぃーちゃんは、笑いを堪えるのに必死だった。
「なんだよ!えっ?やっぱり嘘なのか?どっちなんだよぉ~!?」
モッケしゃんはどうリアクションしていいのか判らない感じだった。
ドムじぃーちゃんはもう我慢できなかったみたいで
「ワァーーーハッハッハ。お前さんはさすがだなぁ~。
大丈夫だ。安心しろ、お前さんの思っているので正解だよ。
この家はお前さんの家だよ。
ユウダイとユイカ達が、お前さんの事を思って建てたんだよ。
良かったなぁー。旅をしなくてもここでも店が開ける様に工房もセットで建ててある。あとはお前さん次第だ。
改装はいつでも請け負ってやるよ。」
豪快に笑いながら話すドムじぃーちゃんの言葉を聞いてモッケしゃんの目から自然と涙が溢れていた。
それは...嬉し涙だった。
まさか、自分に帰ってこれる家が。
根付く事ができる家を持つ事がまた出来るとは思ってなかった。
このまま、旅をしながら何処かで朽ちるのだろうと思っていたからだ。
「良かったなぁー。お前さんは、もうあの一家の家族になってるんだよ。
お前さんだけでない。俺達もだ。」
泣いているモッケしゃんを優しく慰めるドムじぃーちゃん。
実はモッケしゃんのことを知る人達皆がふらふらと旅をしながら行商人しているモッケしゃんのことが心配だったのだ。
決して安全とは言えないこの世界。
弱くはないが、世帯も持たずにどこか世捨て人の様に生活している節があったので、どうにかしてやりたいと思ってはいたようなの。
しかし、昔からの付き合いもあり、モッケしゃんの性格上どうも周りの人達は、対応に悩んでいたのだ。
そこに、異世界から私達がやって来た私達家族の存在が彼らの導き手のようなものに。
神の導きなのか、気まぐれなのか分からなかった。
しかも、私達一家のサポート役に気の知れたメンバーばかりが選ばれた。
この機会を利用して、どうにかしてやれるのでは?と思っていた中、私達が自ら進んでドムじぃーちゃん達が思っていた事をモッケしゃんにしてくれたというのだ。
しかも、モッケしゃんだけでなく自分達にも分け隔てなく家を、存在意義を与えてくれる私達家族は、いつの間か彼らにとってなくてはならない存在になっていた。
「ここまでされたらよ。お前さんも俺達もだ。少しずつでも、アイツらに恩を返していかねぇとなぁー。
アイツらの事だ。そんなこった気にしてもいないだろう。
良い奴らに合わせて貰えて、俺達は幸せもんだぜ。」
ドムじぃーちゃんの言葉にモッケしゃんは涙を流しながらうなずくだけだった。
しかし、モッケしゃんの想いはドムじぃーちゃんにはちゃんと届いていた。
「おいおい。あんまり泣くなよなぁー。情けない姿をアイツらに見せるのか?
それにまだ、家の前だぜ?中も見ないといけないんだからよ、もう泣きやめやぁ~。」
ドムじぃーちゃんは、揶揄いながらモッケしゃんの背中を優しく叩く。
モッケしゃんの口元には、少し笑みが見えていた。
なんとか涙を引っ込めて、獣魔を小型化して獣魔用の小屋に連れていった。
その後にドムじぃーちゃんと共に家の中に入っていく。
案内されて入った家の中で、またモッケしゃんは涙を流すハメになった。
家の1階部分は、工房兼お店になっていて、モッケしゃんが好きそうな素朴な雰囲気に仕上げられている。
モッケしゃんのキャラ性を考えたら、派手系を思い浮かべてガチだが、意外に素朴な雰囲気が好きなモッケしゃん。
それを知っているのは、ほんの数人しかいない。
勿論だが、家を建てる時点で私達一家も知らなかった。
「これは、俺たちは一切手を入れてないぞ。ユウダイ達に任せてあるからな。
ちなみに、カウンターの床から地下倉庫にいける様に仕掛けは、俺がしてある。他にも何かいるなら、いつでも改装は可能だから言えよ。」
そうドムじぃーちゃんが言いながら、モッケしゃんを見るとまた静かに涙を流していた。
「おいおい。どんだけ泣くんだよ...。ほら。コレ使え。」
ドムじぃーちゃんは、ズボンのポケットからクシャクシャになったハンカチを取り出してモッケしゃんへ渡す。
今のモッケしゃんの涙腺は崩壊していのだった。
多分何をしても、何を言っても涙が流れてしまう仕様になってしまっていた。
もうドムじぃーちゃんは、諦めて案内を続ける。
「ここら上に行けるからなぁー。」
そう言って、涙を流し続けるモッケしゃんの手を引きながら扉の前に行った。
扉を開けると階段になっており、2階の住居スペースにいける様になっていて、
2階に上がって行くと、何処か懐かしい雰囲気のある内装になっていた。
2階には、台所もきちんと備えられていて、ベランダもある。
テーブルも椅子も観葉植物もあった。
「あっ。」
モッケしゃんは、涙で視界が歪んだ中ふと目に入ったモノの側に駆け寄った。
そこには、竹細工のパーテーションや籠等があった。
「おっ。良いもんに気づくじゃねぇ~か。それはな、ユイカがお前さんのためにあしらえただそ。」
モッケしゃんの祖父が異世界の人と聞いて、お父さんとお母さんは日本文化を取り入れてあげた方がモッケしゃんは喜ぶのではないかと考えていたのだ。
そこで、竹細工の家具を一部用意したのだった。
それはモッケしゃんの祖父がまだ生きていた頃に、祖父の家に置いてあった物に似ていた物だった。
それに関しては、誰にも話してなかった。
それなのに、なんでって気持ちがあった。
モッケしゃんの様子が気になりドムじぃーちゃんは声をかけた。
「どうしたんだ?」
ドムじぃーちゃんの声に、モッケしゃんは呟く様に答えた。
「これと似たやつが、祖父の家にもあったんですわ。コレは、誰にも話してなかったのに...。
ここにあるので、不思議で...。」
そう呟くと、モッケしゃんは竹細工の家具をゆっくり摩り出した。
何かを思い出すかの様に...。
その様子を見て、ドムじぃーちゃんはそっと話しかけた。
「あの一家も、お前さんのじぃーさんの様に異世界から来た連中だ。
何か、感じるものがあったのかもな。」
ドムじぃーちゃんの言葉に、モッケしゃんは涙でぐしゃぐしゃになった顔を向けて、苦笑いをした。
「こんな素敵なものを、沢山もらったら頑張らんとあきまへんなぁ~。
ワテ。頑張りますわ。恩を仇で返す様な真似はしまへんで。」
まるで、何かに誓うかのように宣言するモッケしゃん。
そう言ったモッケしゃんからは、以前あった投げやりな雰囲気はいつの間にか消えていた。
「良かったじゃないか。ようやく地に足をつけて生きていけるな。」
ドムじぃーちゃんは、そうモッケしゃんに聞こえないように呟く。
「ワテ、ここに荷物置いていきますわ。手伝うて貰ってかまへんか?
てか、手伝ってくれるんやろ??」
モッケしゃんの申し出に、ドムじぃーちゃんは了承した。
最初からそのつもりでいたからだ。
モッケしゃんは、ドムじぃーちゃんから貰ったハンカチで顔を拭いた。
涙が消えてもかなり泣き腫らした顔だが、いつものヘラヘラ顔に戻った。
そして、獣魔の元へ行き持って来た荷物を運び込む事に。
一通り泣き倒してスッキリしたモッケしゃんは、ドムじぃーちゃんに協力して貰い荷物を家の中に運び込む。
荷馬車に積んでいた、自分の生活用品を全て家に運んだ。
そして、あらかた片付けが終わると、ドムじぃーちゃんはモッケしゃんを自分の家へ連れて行った。
泣き腫らした顔と涙で濡れた服を新しい物に着替えをさせるのと、お風呂に入れるためだった。
モッケしゃんの家にもお風呂はあるが、自分も片付けで汚れたので、自分の所に連れて行く方が面倒がなくて良かったからだ。
モッケしゃんを自分の家に連れて行って風呂場に押し込むと、ドムじぃーちゃんは着替えの用意をした。
自分のと、モッケしゃんの分だ。
着替えの服は、粗方昔の自分の家からの持ち込みもあるし、ここに来てからお母さんが試作品だと言って、幾つか皆の服を作って渡したのがあったのだ。
着替えの用意が終わると、ドムじぃーちゃんも風呂に一緒に入った。
風呂場では、モッケしゃんと背中の流し合いや、連れて来た人達の話を少し聞いていた。
風呂場でサッパリして一息付いた2人は、皆が待つ噴水広場へ向かうことにした。
噴水広場へ行くと、遠目から私達の姿を見つけると、やっと落ち着いたモッケしゃんの涙腺がまた、崩壊しかかっていた。
私達が文字の勉強していると、声がしたので視線を向けると、涙を流しながら駆け寄ってくるモッケしゃんと、それを追いかけるドムじぃーちゃんの姿があった。
こっちに向かってくるモッケしゃんの顔はかなりぱんぱんだった。
泣きらはしたのが、一目でわかる感じだった。
モッケしゃんは、私とお兄ちゃんの姿を見つけると飛びかかって来たのだが...。
それを、ドラしゃんが寸前の所で蹴散らした。
「痛いですなぁ~。酷いですわぁ~。」
モッケしゃんは、ドラしゃんに叩かれた頬を摩りながら文句を言っていた。
「モッケしゃん?大丈夫?」
私は心配になり、モッケしゃんに声を掛けた。
すると、モッケしゃんは嬉しそうに返事をしてくれた。
「あんさん達は優しいですわぁ~。」
私にそう言うと、モッケしゃんはぱんぱんの顔でキリッと雰囲気を変えて、姿勢を正した。
「そっだった。あんさんらに御礼を言い忘れる所でしたわ。
ありがとうございます。」
そう言うと、モッケしゃんはまさに土下座して御礼をいう。
それには、ご飯の準備をしながらこちらのようすを伺っていた、お母さん達も驚いた。
「はっ?お前に御礼を言われる事をしていないぞ?」
「お前は、変な奴だな。」
王子達がそうモッケしゃんに言うと、モッケしゃんはすかさず突っ込みを入れた。
「あんさんらはあほかい?
誰があんさんらに御礼を言うかいなぁー!
ワテが御礼を言っているのは、お嬢ちゃん達にや!」
モッケしゃんにそう言われて、王子達はムスッとしていた。
離れた所で、食事の準備をしていたお父さんとお母さんが私達の方へ駆け寄って来た。
「モッケしゃん?どうしたの?」
「何があったんだ?」
お父さん達の言葉に私達より王子達が返事をした。
「コイツが、俺達に向かってあほって言った!」
「コイツ!失礼な奴だ!」
王子達の言葉にドラしゃんが指摘した。
『実際にアホですから良いじゃないですか?何もしてないのに、自分達に言われていると勘違いしている時点でアホでしょう?』
ドラしゃんの言葉に王子達は涙目になって来た。
私とお兄ちゃんは王子達が少し哀れに思えたが、黙って様子を伺うことにした。
「あっ!ユイカはん、ユウダイはん。ほんまに、ありがとうございます。
ワテ、家を見させて頂きました。
あんな素晴らしいもの...貰えるとは思ってませんでしたわ。
ワテ、大事に使わせて頂きますわ。
コレからも、こんなワテですけどよろしくお願いしますわ。」
モッケしゃんの言葉に、お父さんとお母さんはキョトンとしていたが、言っている意味を理解して苦笑いした。
「いえいえ。大丈夫ですよ。気にって頂けて良かったわ。」
「私達の為に、色々してくれてるんですからあの程度、お安い御用ですよ。」
お父さんとお母さんの言葉にモッケしゃんの涙腺は、何回目かの崩壊をした。
「ほんま...ほんま、おおきにですわ...。
」
モッケしゃんの言葉に、ドラしゃんは溜息をついた。
そして、私とお兄ちゃんを離した。
私達はドラしゃんを見上げると頷くので、モッケしゃんの側に駆け寄った。
「モッケしゃん。わたしたちのかぞくです。」
「旅もいいですけど、またにはゆっくりして下さいね。」
私とお兄ちゃんは、モッケしゃんにしがみついて励ました。
モッケしゃんは涙が止まるまでずっと"ありがとう"と御礼の言葉を呟いていた。
私達にモッケしゃんを預けるとお母さんとお父さんは夕飯の準備に戻って行った。
王子達はドラしゃんの言葉が効いたのかまだ凹んでいた。
王子達も励まそうとしたが、ドラしゃんに止められた。
『ここでは、王子と言う立場ではなく、一般の子供としての扱いをする様に、保護者から言われてますのでほっておいて構いません。
いずれ上に立つ立場になる方なのに、人を見下したような物言いや態度をするのは情けない事です。反省させておきなさい。』
前半は私達に向けて、後半は凹んでいる王子達に向けてドラしゃんは言葉を発した。
その言葉に、ラディーじぃーちゃんとカシムじぃーちゃんが捕捉して王子達に伝えた。
「王宮では、王子と言う立場でいいですが...ここでは普通の子供ですよ?
お忘れですか?それに、偉いのはあなた方の親であってあなた達ではありません。
しかも、モッケロンは目上の人です。目上の者に言う言葉ではありませんでしたね。」
「あなた方は、ここで人との接し方や言葉遣いなどを学ぶ事も言われてませんか?王は、国民あっての王です。
国民に慕っていただけないと、国は成り立ちません。
今のあなた方では、誰も慕ってはくれませんよ?」
ふたりの言葉に凹みつつも、王子達は理解したようだ。
王子達は、モッケしゃんの側に行き頭を下げた。
「失言を言いました。申し訳ないです。」
「失礼しました。」
素直なふたりに私は笑顔で声をかけた。
「すなおににあやまれるなんて、かっこいね。」
私の言葉に王子達は赤面した。
モッケしゃんも王子達に謝った。
「ワテもあほって言うて失礼しましたわ。」
雰囲気がほのぼのした時にお母さん達の声がした。
「ご飯ができたわよ!」
ご飯の準備は完了した。
モッケしゃんも来たが、まだルミばぁーちゃん達が来ない。
どうしようかと悩んでいたら、ロドじぃーちゃんが私達にある提案をしてきた。
「ちょっくら、お前さん達で様子を見てきてくれるか?どうも、アイツ手こずってそうだからよ。」
その言葉を聞き後のことは、ロドじぃーちゃんやラディーミル達に任せて、私とお兄ちゃん、そしてドラしゃんの3人で様子を見に行く事にしたのだった。
「ルミばぁーちゃん何してるのかなぁ?」
私は抱き上げて歩くドラしゃんに聞いてみた。
『彼らの様子を考えると、相当手こずってるとは思いますよ。
一度不信感や絶望を味わった者を相手にするのは、容易い事ではありませんからね。』
ドラしゃんの言葉に、私とお兄ちゃんは少し不安になって、ドラしゃんの服を握ったのだった。
『まぁー。行って様子を見て、対応を考えましょう。』
そう言うドラしゃんと一緒に、ルミばぁーちゃん達の居る仮住居へ向かったのだ。
リン:
モッケしゃんの顔凄かったよね?
アキラ:
原型がわからなかったよね?
リン:
顔の輪郭と声で、モッケしゃんって判断したよ(´Д` )
モッケしゃん:
えっ!マジでっか?!∑(゚Д゚)
ドラしゃん:
それ程違いましたかね?
あまり違和感はありませんでしたよ?
リン:
え?!かなり違うかったよ?
目なんかぱんぱんだったよ!
アキラ:
カエルみたいに大きかったよね?
モッケしゃん:
カエルって...(T_T)
ドラしゃん:
そしたら、普段と変わらないじゃないですか^ ^
よかったですね^ ^
おっと。皆さん、次回もよろしくお願いしますね^ ^
モッケしゃんはドムじぃーちゃんに案内されて、私達が建てたモッケしゃんのお家に向かっていた。
この街を旅立ってから色んなものが変わっていて、モッケしゃんは視界に入るもの全てが新鮮に見えいたようで、落ち着きなくキョロキョロと辺りを見渡しながら歩いている。
先を歩くドムじぃーちゃんに"アレはなんですか?""これは?"っと、次々と聞いて回っていた。
ドムじぃーちゃんは呆れながらも一つ一つ丁寧に説明していく。
「そっか。お前さんがこの街を旅立ってから結構経つもんなぁー。アレから色々増えていったんだよなぁー。」
ドムじぃーちゃんにとっては当たり前の光景になっている物ばかりだが、モッケしゃんにとっては真新しい物ばかりなのだからだ仕方がない。
「コレは、ユイカとユウダイの工房だ。まだ、殆ど使ってないがな。まぁー、ある程度落ち着いてきたらここも本格的に活用していくさ。
そして、ここが1番お前さんに見せたかった所さ。」
そう言ってドムじぃーちゃんは一軒の家の前にモッケしゃんを案内する。
お父さん達の工房の近くでドムじぃーちゃん達の家の近くに建てた、モッケしゃんの工房兼お家を案内したのだ。
案内されたモッケしゃんは呆然と家を眺める。
「この建物は、...なんですか?」
モッケしゃんは横にいるドムじぃーちゃんに尋ねる。
ドムじぃーちゃんは、何を言ってるんだコイツは?ってな表情でモッケしゃんを見て答えた。
「何のためにお前さんをここに案内したのか判らんのか?」
ドムじぃーちゃんの言葉にモッケしゃんは一瞬不思議そうな顔をしていたが、家とドムじぃーちゃんの顔を交互に眺めだす。
そして...ある一つの答えを自ら導き出した。
「えっ?えっ?えっーーーー!?
イヤ。イヤァーーー....。
ほんまでっか?嘘ちゃいますよね?」
モッケしゃんは独りでワタワタしだす。
そんな様子をみてドムじぃーちゃんは、笑いを堪えるのに必死だった。
「なんだよ!えっ?やっぱり嘘なのか?どっちなんだよぉ~!?」
モッケしゃんはどうリアクションしていいのか判らない感じだった。
ドムじぃーちゃんはもう我慢できなかったみたいで
「ワァーーーハッハッハ。お前さんはさすがだなぁ~。
大丈夫だ。安心しろ、お前さんの思っているので正解だよ。
この家はお前さんの家だよ。
ユウダイとユイカ達が、お前さんの事を思って建てたんだよ。
良かったなぁー。旅をしなくてもここでも店が開ける様に工房もセットで建ててある。あとはお前さん次第だ。
改装はいつでも請け負ってやるよ。」
豪快に笑いながら話すドムじぃーちゃんの言葉を聞いてモッケしゃんの目から自然と涙が溢れていた。
それは...嬉し涙だった。
まさか、自分に帰ってこれる家が。
根付く事ができる家を持つ事がまた出来るとは思ってなかった。
このまま、旅をしながら何処かで朽ちるのだろうと思っていたからだ。
「良かったなぁー。お前さんは、もうあの一家の家族になってるんだよ。
お前さんだけでない。俺達もだ。」
泣いているモッケしゃんを優しく慰めるドムじぃーちゃん。
実はモッケしゃんのことを知る人達皆がふらふらと旅をしながら行商人しているモッケしゃんのことが心配だったのだ。
決して安全とは言えないこの世界。
弱くはないが、世帯も持たずにどこか世捨て人の様に生活している節があったので、どうにかしてやりたいと思ってはいたようなの。
しかし、昔からの付き合いもあり、モッケしゃんの性格上どうも周りの人達は、対応に悩んでいたのだ。
そこに、異世界から私達がやって来た私達家族の存在が彼らの導き手のようなものに。
神の導きなのか、気まぐれなのか分からなかった。
しかも、私達一家のサポート役に気の知れたメンバーばかりが選ばれた。
この機会を利用して、どうにかしてやれるのでは?と思っていた中、私達が自ら進んでドムじぃーちゃん達が思っていた事をモッケしゃんにしてくれたというのだ。
しかも、モッケしゃんだけでなく自分達にも分け隔てなく家を、存在意義を与えてくれる私達家族は、いつの間か彼らにとってなくてはならない存在になっていた。
「ここまでされたらよ。お前さんも俺達もだ。少しずつでも、アイツらに恩を返していかねぇとなぁー。
アイツらの事だ。そんなこった気にしてもいないだろう。
良い奴らに合わせて貰えて、俺達は幸せもんだぜ。」
ドムじぃーちゃんの言葉にモッケしゃんは涙を流しながらうなずくだけだった。
しかし、モッケしゃんの想いはドムじぃーちゃんにはちゃんと届いていた。
「おいおい。あんまり泣くなよなぁー。情けない姿をアイツらに見せるのか?
それにまだ、家の前だぜ?中も見ないといけないんだからよ、もう泣きやめやぁ~。」
ドムじぃーちゃんは、揶揄いながらモッケしゃんの背中を優しく叩く。
モッケしゃんの口元には、少し笑みが見えていた。
なんとか涙を引っ込めて、獣魔を小型化して獣魔用の小屋に連れていった。
その後にドムじぃーちゃんと共に家の中に入っていく。
案内されて入った家の中で、またモッケしゃんは涙を流すハメになった。
家の1階部分は、工房兼お店になっていて、モッケしゃんが好きそうな素朴な雰囲気に仕上げられている。
モッケしゃんのキャラ性を考えたら、派手系を思い浮かべてガチだが、意外に素朴な雰囲気が好きなモッケしゃん。
それを知っているのは、ほんの数人しかいない。
勿論だが、家を建てる時点で私達一家も知らなかった。
「これは、俺たちは一切手を入れてないぞ。ユウダイ達に任せてあるからな。
ちなみに、カウンターの床から地下倉庫にいける様に仕掛けは、俺がしてある。他にも何かいるなら、いつでも改装は可能だから言えよ。」
そうドムじぃーちゃんが言いながら、モッケしゃんを見るとまた静かに涙を流していた。
「おいおい。どんだけ泣くんだよ...。ほら。コレ使え。」
ドムじぃーちゃんは、ズボンのポケットからクシャクシャになったハンカチを取り出してモッケしゃんへ渡す。
今のモッケしゃんの涙腺は崩壊していのだった。
多分何をしても、何を言っても涙が流れてしまう仕様になってしまっていた。
もうドムじぃーちゃんは、諦めて案内を続ける。
「ここら上に行けるからなぁー。」
そう言って、涙を流し続けるモッケしゃんの手を引きながら扉の前に行った。
扉を開けると階段になっており、2階の住居スペースにいける様になっていて、
2階に上がって行くと、何処か懐かしい雰囲気のある内装になっていた。
2階には、台所もきちんと備えられていて、ベランダもある。
テーブルも椅子も観葉植物もあった。
「あっ。」
モッケしゃんは、涙で視界が歪んだ中ふと目に入ったモノの側に駆け寄った。
そこには、竹細工のパーテーションや籠等があった。
「おっ。良いもんに気づくじゃねぇ~か。それはな、ユイカがお前さんのためにあしらえただそ。」
モッケしゃんの祖父が異世界の人と聞いて、お父さんとお母さんは日本文化を取り入れてあげた方がモッケしゃんは喜ぶのではないかと考えていたのだ。
そこで、竹細工の家具を一部用意したのだった。
それはモッケしゃんの祖父がまだ生きていた頃に、祖父の家に置いてあった物に似ていた物だった。
それに関しては、誰にも話してなかった。
それなのに、なんでって気持ちがあった。
モッケしゃんの様子が気になりドムじぃーちゃんは声をかけた。
「どうしたんだ?」
ドムじぃーちゃんの声に、モッケしゃんは呟く様に答えた。
「これと似たやつが、祖父の家にもあったんですわ。コレは、誰にも話してなかったのに...。
ここにあるので、不思議で...。」
そう呟くと、モッケしゃんは竹細工の家具をゆっくり摩り出した。
何かを思い出すかの様に...。
その様子を見て、ドムじぃーちゃんはそっと話しかけた。
「あの一家も、お前さんのじぃーさんの様に異世界から来た連中だ。
何か、感じるものがあったのかもな。」
ドムじぃーちゃんの言葉に、モッケしゃんは涙でぐしゃぐしゃになった顔を向けて、苦笑いをした。
「こんな素敵なものを、沢山もらったら頑張らんとあきまへんなぁ~。
ワテ。頑張りますわ。恩を仇で返す様な真似はしまへんで。」
まるで、何かに誓うかのように宣言するモッケしゃん。
そう言ったモッケしゃんからは、以前あった投げやりな雰囲気はいつの間にか消えていた。
「良かったじゃないか。ようやく地に足をつけて生きていけるな。」
ドムじぃーちゃんは、そうモッケしゃんに聞こえないように呟く。
「ワテ、ここに荷物置いていきますわ。手伝うて貰ってかまへんか?
てか、手伝ってくれるんやろ??」
モッケしゃんの申し出に、ドムじぃーちゃんは了承した。
最初からそのつもりでいたからだ。
モッケしゃんは、ドムじぃーちゃんから貰ったハンカチで顔を拭いた。
涙が消えてもかなり泣き腫らした顔だが、いつものヘラヘラ顔に戻った。
そして、獣魔の元へ行き持って来た荷物を運び込む事に。
一通り泣き倒してスッキリしたモッケしゃんは、ドムじぃーちゃんに協力して貰い荷物を家の中に運び込む。
荷馬車に積んでいた、自分の生活用品を全て家に運んだ。
そして、あらかた片付けが終わると、ドムじぃーちゃんはモッケしゃんを自分の家へ連れて行った。
泣き腫らした顔と涙で濡れた服を新しい物に着替えをさせるのと、お風呂に入れるためだった。
モッケしゃんの家にもお風呂はあるが、自分も片付けで汚れたので、自分の所に連れて行く方が面倒がなくて良かったからだ。
モッケしゃんを自分の家に連れて行って風呂場に押し込むと、ドムじぃーちゃんは着替えの用意をした。
自分のと、モッケしゃんの分だ。
着替えの服は、粗方昔の自分の家からの持ち込みもあるし、ここに来てからお母さんが試作品だと言って、幾つか皆の服を作って渡したのがあったのだ。
着替えの用意が終わると、ドムじぃーちゃんも風呂に一緒に入った。
風呂場では、モッケしゃんと背中の流し合いや、連れて来た人達の話を少し聞いていた。
風呂場でサッパリして一息付いた2人は、皆が待つ噴水広場へ向かうことにした。
噴水広場へ行くと、遠目から私達の姿を見つけると、やっと落ち着いたモッケしゃんの涙腺がまた、崩壊しかかっていた。
私達が文字の勉強していると、声がしたので視線を向けると、涙を流しながら駆け寄ってくるモッケしゃんと、それを追いかけるドムじぃーちゃんの姿があった。
こっちに向かってくるモッケしゃんの顔はかなりぱんぱんだった。
泣きらはしたのが、一目でわかる感じだった。
モッケしゃんは、私とお兄ちゃんの姿を見つけると飛びかかって来たのだが...。
それを、ドラしゃんが寸前の所で蹴散らした。
「痛いですなぁ~。酷いですわぁ~。」
モッケしゃんは、ドラしゃんに叩かれた頬を摩りながら文句を言っていた。
「モッケしゃん?大丈夫?」
私は心配になり、モッケしゃんに声を掛けた。
すると、モッケしゃんは嬉しそうに返事をしてくれた。
「あんさん達は優しいですわぁ~。」
私にそう言うと、モッケしゃんはぱんぱんの顔でキリッと雰囲気を変えて、姿勢を正した。
「そっだった。あんさんらに御礼を言い忘れる所でしたわ。
ありがとうございます。」
そう言うと、モッケしゃんはまさに土下座して御礼をいう。
それには、ご飯の準備をしながらこちらのようすを伺っていた、お母さん達も驚いた。
「はっ?お前に御礼を言われる事をしていないぞ?」
「お前は、変な奴だな。」
王子達がそうモッケしゃんに言うと、モッケしゃんはすかさず突っ込みを入れた。
「あんさんらはあほかい?
誰があんさんらに御礼を言うかいなぁー!
ワテが御礼を言っているのは、お嬢ちゃん達にや!」
モッケしゃんにそう言われて、王子達はムスッとしていた。
離れた所で、食事の準備をしていたお父さんとお母さんが私達の方へ駆け寄って来た。
「モッケしゃん?どうしたの?」
「何があったんだ?」
お父さん達の言葉に私達より王子達が返事をした。
「コイツが、俺達に向かってあほって言った!」
「コイツ!失礼な奴だ!」
王子達の言葉にドラしゃんが指摘した。
『実際にアホですから良いじゃないですか?何もしてないのに、自分達に言われていると勘違いしている時点でアホでしょう?』
ドラしゃんの言葉に王子達は涙目になって来た。
私とお兄ちゃんは王子達が少し哀れに思えたが、黙って様子を伺うことにした。
「あっ!ユイカはん、ユウダイはん。ほんまに、ありがとうございます。
ワテ、家を見させて頂きました。
あんな素晴らしいもの...貰えるとは思ってませんでしたわ。
ワテ、大事に使わせて頂きますわ。
コレからも、こんなワテですけどよろしくお願いしますわ。」
モッケしゃんの言葉に、お父さんとお母さんはキョトンとしていたが、言っている意味を理解して苦笑いした。
「いえいえ。大丈夫ですよ。気にって頂けて良かったわ。」
「私達の為に、色々してくれてるんですからあの程度、お安い御用ですよ。」
お父さんとお母さんの言葉にモッケしゃんの涙腺は、何回目かの崩壊をした。
「ほんま...ほんま、おおきにですわ...。
」
モッケしゃんの言葉に、ドラしゃんは溜息をついた。
そして、私とお兄ちゃんを離した。
私達はドラしゃんを見上げると頷くので、モッケしゃんの側に駆け寄った。
「モッケしゃん。わたしたちのかぞくです。」
「旅もいいですけど、またにはゆっくりして下さいね。」
私とお兄ちゃんは、モッケしゃんにしがみついて励ました。
モッケしゃんは涙が止まるまでずっと"ありがとう"と御礼の言葉を呟いていた。
私達にモッケしゃんを預けるとお母さんとお父さんは夕飯の準備に戻って行った。
王子達はドラしゃんの言葉が効いたのかまだ凹んでいた。
王子達も励まそうとしたが、ドラしゃんに止められた。
『ここでは、王子と言う立場ではなく、一般の子供としての扱いをする様に、保護者から言われてますのでほっておいて構いません。
いずれ上に立つ立場になる方なのに、人を見下したような物言いや態度をするのは情けない事です。反省させておきなさい。』
前半は私達に向けて、後半は凹んでいる王子達に向けてドラしゃんは言葉を発した。
その言葉に、ラディーじぃーちゃんとカシムじぃーちゃんが捕捉して王子達に伝えた。
「王宮では、王子と言う立場でいいですが...ここでは普通の子供ですよ?
お忘れですか?それに、偉いのはあなた方の親であってあなた達ではありません。
しかも、モッケロンは目上の人です。目上の者に言う言葉ではありませんでしたね。」
「あなた方は、ここで人との接し方や言葉遣いなどを学ぶ事も言われてませんか?王は、国民あっての王です。
国民に慕っていただけないと、国は成り立ちません。
今のあなた方では、誰も慕ってはくれませんよ?」
ふたりの言葉に凹みつつも、王子達は理解したようだ。
王子達は、モッケしゃんの側に行き頭を下げた。
「失言を言いました。申し訳ないです。」
「失礼しました。」
素直なふたりに私は笑顔で声をかけた。
「すなおににあやまれるなんて、かっこいね。」
私の言葉に王子達は赤面した。
モッケしゃんも王子達に謝った。
「ワテもあほって言うて失礼しましたわ。」
雰囲気がほのぼのした時にお母さん達の声がした。
「ご飯ができたわよ!」
ご飯の準備は完了した。
モッケしゃんも来たが、まだルミばぁーちゃん達が来ない。
どうしようかと悩んでいたら、ロドじぃーちゃんが私達にある提案をしてきた。
「ちょっくら、お前さん達で様子を見てきてくれるか?どうも、アイツ手こずってそうだからよ。」
その言葉を聞き後のことは、ロドじぃーちゃんやラディーミル達に任せて、私とお兄ちゃん、そしてドラしゃんの3人で様子を見に行く事にしたのだった。
「ルミばぁーちゃん何してるのかなぁ?」
私は抱き上げて歩くドラしゃんに聞いてみた。
『彼らの様子を考えると、相当手こずってるとは思いますよ。
一度不信感や絶望を味わった者を相手にするのは、容易い事ではありませんからね。』
ドラしゃんの言葉に、私とお兄ちゃんは少し不安になって、ドラしゃんの服を握ったのだった。
『まぁー。行って様子を見て、対応を考えましょう。』
そう言うドラしゃんと一緒に、ルミばぁーちゃん達の居る仮住居へ向かったのだ。
リン:
モッケしゃんの顔凄かったよね?
アキラ:
原型がわからなかったよね?
リン:
顔の輪郭と声で、モッケしゃんって判断したよ(´Д` )
モッケしゃん:
えっ!マジでっか?!∑(゚Д゚)
ドラしゃん:
それ程違いましたかね?
あまり違和感はありませんでしたよ?
リン:
え?!かなり違うかったよ?
目なんかぱんぱんだったよ!
アキラ:
カエルみたいに大きかったよね?
モッケしゃん:
カエルって...(T_T)
ドラしゃん:
そしたら、普段と変わらないじゃないですか^ ^
よかったですね^ ^
おっと。皆さん、次回もよろしくお願いしますね^ ^
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