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第三章 発展〜街から小さな国へ〜
3-29 迷いをたちきり
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私達と離れて、カブさん達を迎えに行ったロドじぃーちゃん。
カブさん達の姿を探すも見当たらないので、とりあえずカブさんの家に向かうことにした。
カブさんの家に向かっているとカブさんの家から話し声がしたので、気配を消しながら側に行き様子を伺う事にしたロドじぃーちゃん。
どうやらカブさん達は、あれから引き返してカブさんの家で、話し合いをしていた様だった。
「カブさん。俺たちは、このままこの街で本当に生活させて貰ってえんだろうか?」
「そうですよ。私達には、やはり場違いな気がして...。」
モチさんとモチさんの奥さんとなった、ランさんの声がする。
どうやら、そう思っているのは彼らだけではないようだった。
モッケしゃんが拾って来た人、全員がそう思っていた様で、彼らが代表して意見を言っている様子が伺えた。
"やはり、まだ納得してなかったかぁー...。"
ロドじぃーちゃんは、じっと家の外で聞き耳を立てながらどうしたものかと考える。
"あの光景を見せるのは、まずかったかなぁー...。"
そうロドじぃーちゃんが思った時だった。
「そんな事ないよ!俺たちここに住んでいいよ!
そのために、アキラの両親や他の人達も色々やってくれてるじゃないか!」
大人達が尻込みするな威勢よく小さな声があがった。
それは私やお兄ちゃんと仲良くしている
アサくんの声だった。
アサくんは小さい体を奮い立たせて大きな声で皆に訴える。
「そりゃ~、あんなの見たら場違いな気もするけどよ...でもよ。だからって、アイツらが俺たちを蔑ろにした事なんか1度もないじゃないか!
それに、俺たちまだ、アイツらに何も恩を返せてないよ!」
子供のアサくんが、大人に負けじと自分の思いを伝えている。
来た時は、心の傷が深すぎてこの街の大人、誰1人として懐かなくって怯えていたのに...。
お兄ちゃんや私と過ごす時間が増え、訓練場にも通う様になり、アサくんは見事に変わった。
辛い過去を幼いながらも自分の力で乗り切ったのだ。
それは、アサくんの妹達も同様だった。
「お兄ちゃんの言う通りよ!」
「私達、またあんな思いするの嫌。」
ナナちゃんとナサちゃんも負けじと大人達に訴えかける。
「リンやリンの両親も、私達を大事にしてくれるよ。変わった執事さんだって、私達と普通に接してくれるよ。」
「ここにいれば、安全なんだよ。怖い思いしなくて良いんだよ。
できることをすれば良いんだよ。
私達にできることをしてもないのに、逃げるのはダメだよ!」
子供3人に言われて、大人達は何も言い返せない様子だった。
それもそのはず。大人達も心の隅には子供達と同じ思いを抱えていたからだ。
"リンといい、アキラといい。そして、こいつらもか。子供がいうのは時に、大人以上に先を見ていて、怖いもの知らずなんだよなぁー。
たまに、自分がコイツらより子どもだなぁーって思わされる事もあるんだよなぁー"
ロドじぃーちゃんは彼らの話しを盗み聞きしながらついついそう思ってしまった。
しかし、このままでは駄目だと思い、ロドじぃーちゃんは家のドアをノックした。
急なドアのノックに驚きながらもランさんが家のドアを開けてくれた。
「よっ!邪魔するぜぇ~。」
そう言って、ロドじぃーちゃんはカブさんの家に入って行く。
ロドじぃーちゃんの登場に、その場に居た人達から響めきが上がった。
「すまんな。急な訪問で。お前さんらも途中まで、見てたからわかるかと思うが、動物達の小屋と諸々が完成したから呼びに来た。だがよ、その前にだ。」
ロドじぃーちゃんは、そう言うとアサくん達の方へ行き、アサくんの頭をガシガシと撫でくりまわしたかとおもったら、そのまま手をアサくんの頭の上に起き大人達を見回す。
「お前さんらが気後れするのもわかるぜ。俺だって、肩書きに元ギルドマスターってのがあってもよ、元々は小さな村の農民の出だ。」
ロドじぃーちゃんの意外な言葉にその場にいる人達は驚く。
まさか、有名なギルドマスターであるロドじぃーちゃんが、自分達と同じとは...。
そんな、雰囲気が漂っている。
それに気付き、ロドじぃーちゃんは言葉を続けた。
「この街にはよ、肩書きなんて無意味なんだよ。そりゃ~この街の外に出たら、話は別さ。
しかし、この街の中で生活する上で必要なのは、生きる意思と人を思いやる心があれば、それ以上はいらねぇーんだよ。」
ロドじぃーちゃんの言葉に、カブさんをはじめ大人達が動揺する。
「何をチマチマ考えてるのかしらねぇ~けどよ。ここの連中が、一度でも村の出身だから。田舎の町の出だからって言って、アンタらをバカにしたやつが居るか?
居たら言ってみろ!俺がぶっ飛ばしてやる!どうだ?居るか?」
ロドじぃーちゃんの言葉に、大人達は下を向いて口を噤む。
当たり前だ。そんな事をする人はこの街に誰一人いないからだ。
言えるはずもなかった。
「いえねぇ~よな?だって、誰一人として、そんな事言う奴がいねぇーもんなぁ~?
あの一家やフレア、スティールミ、元近衛の連中以外はよ、あんたらと同じ、もしくはそれより酷い生活をしていた奴らばっかりだぜ。」
ドムじぃーちゃんやロドじぃーちゃん、ギルド職員さん。そして、最近来た冒険者の皆は、それぞれ町や村の出身の人がほとんどだった。
なかには、戦争孤児でスラム生活を送っていた人も居た。
それでも、皆は必死に頑張って今の地位まで登りつめて来たのだった。
だけど別にそれを自慢する人もいなかったし、馬鹿にする人もいなかった。
私達一家は、元々そんな事は知らなかったし、知る気もなかった。
だって、一緒に生活していたらその人達がどんな人か自ずと分かってくるし、危害を加える人がまずいなかったので、気にしていなかったと言うのが本音なんだけどね。
それは、私達一家以外の人もそうだった。
私達一家に、危害を加えるかそうでないかでしか、判断していのだ。
特にドラしゃんなんかが良い例。
ロドじぃーちゃんはあと一息だと心の中で呟きながら言葉を続ける。
「だったらよ、もう答えは1つだぜ。
ぐちぐち悩む暇があったらよ、自分達が出来ることを見つけて、仕事をしろよ。
精一杯生きろよ!
それが、この街で生活するって事だ。
それをよ、自分らの半分も生きてねぇ~子供に言われるって、恥ずかしいぞ?」
ロドじぃーちゃんの言葉は、カブさん達にどう届いたのだろうか...。
しばらく沈黙が続いた。
ロドじぃーちゃんが、"こりゃ~ダメか?"って諦めかけそうになった時だった。
「そうだね。そうだったね。私らは何をそんなに卑屈に考えてたんだろうね。」
カブさんの奥さんのモアさんがそう呟いて、旦那のカブさんの手にそっと手を添えた。
「あの一家もそうだけど、この街の人や私達を拾ってくれた人も、誰一人として私達を蔑んだりした人はいなかったわ。
今まで、町や村での生活を思い出してごらんなさいよ。私はあんな生活はごめんよ。」
モアさんの言葉に、カブさんは顔を上げた。モチさんも、ランさんも。他の人達もだった。
「確かに、良い思い出もあるわ。でも、この街ほど安心して、1日を過ごせた事はなかったはずよ?
毎日、野盗や魔獣に怯える日々。旅で立ち寄った人達の心にもない言葉の暴力。もちろん、中には手を挙げられた人もいたし、殺された人も居た人いたわ。
それが、私達にとっては普通だったじゃない?でもここはどう?そんな事ないわ。
確かに、あり得ないことが沢山あるけど、それが何よ。長いこと生きてたらそんな事もあるわよ。
いいじゃない。ただ一度の人生よ。楽しまなくちゃね。せっかく救って貰った命よ。私達ができる事は限られてるわ。
でも、それをするのとしないのであれば、私はする方がいいわ。
こんな、老ぼれでもあの子達は大事にしてくれるんですから。」
モアさんが、そう言い終わる頃には皆の顔付きは変わっていた。
そこには、今まで見え隠れしていた迷いは一切なくなっていたのだ。
"これは、完全に吹っ切れたなぁ。"
ロドじぃーちゃんは、安心した顔になっり、アサくんの頭を軽くポンと叩いたかと思ったら、アサくん達の肩に手を置きながらそっと呟いた。
「よかったな、チビども。お前達も、やるじゃないか。でもよ、あんまりリン達の悪い所は真似するなよ?」
ロドじぃーちゃんの言葉に、アサくん達は不思議そうな顔をしていた。
ロドじぃーちゃんはどうやら、大人達に啖呵切って話すアサくん達の姿に、私やお兄ちゃんの姿が見えたようだ。
アサくんは、そんなロドじぃーちゃんに質問した。
「あの?何しにこられたんですか?」
アサくんの質問に、ロドじぃーちゃんは当初の目的を思い出した。
「そういや忘れるとこだったわ。動物達の棲家が完成したからよ、お披露目兼ねて説明しようかと思って呼びに来たんだった。
世話係も決まったんだろ?もう~面倒くさいから全員ついて来い。」
ロドじぃーちゃんはそう言うと、皆を連れ出して、完成した動物達の住処に向かって歩き出したのだった。
アサくん:
えっ?あのうー何を話せばいいんですか?
ロドじぃーちゃん:
おぅ?お前さんは初めてか?
何でも良いんだよ。
適当に喋ればいいぜ。
アサくん:
はぁ~。適当と言われましても...。
そうだ。この前、リンとアキラの家でお泊りをしました。
妹2人と一緒に。
ロドじぃーちゃん:
そうみたいだなぁ?
アサくん:
俺、あんな事初めて体験したのでドキドキしました。
ロドじぃーちゃん:
そうなのか?
アサくん:
はい。俺の家、裕福でなかったし、近所に年の近い子もいなかったので...。
ロドじぃーちゃん:
そうなのか...。
アサくん:
辛い事もありましたけど、俺、本当にここに来れて良かったです。
リンやアキラやユウキやユウタと友達になれて良かったです^ ^
ロドじぃーちゃん:
思う存分楽しめよ!ガキの頃は、遊ぶのが仕事だからよ^ ^
アサくん:
はい。あと、リンって可愛いですね...。
妹ももちろん可愛んですけど、また違った可愛さがありますよね...(//∇//)
ロドじぃーちゃん:
(O_O)(これは..。)
アサくん:
自分より年下なのに、時々安心感とかあるんですよ。
その反面、俺が守ってやらないとって思う事もあって...。
あっ、これ皆んなには内緒にしてくださいね^ ^
ロドじぃーちゃん:
(ほー。これは面白いなぁー♪)
おう!いいぜ。男と男の約束だ^ ^
アサくん:
ありがとうございます^ ^
ロドじぃーちゃん:
(こりゃ~楽しみだなぁー♪♪♪)
次回もみてくれな^ ^
カブさん達の姿を探すも見当たらないので、とりあえずカブさんの家に向かうことにした。
カブさんの家に向かっているとカブさんの家から話し声がしたので、気配を消しながら側に行き様子を伺う事にしたロドじぃーちゃん。
どうやらカブさん達は、あれから引き返してカブさんの家で、話し合いをしていた様だった。
「カブさん。俺たちは、このままこの街で本当に生活させて貰ってえんだろうか?」
「そうですよ。私達には、やはり場違いな気がして...。」
モチさんとモチさんの奥さんとなった、ランさんの声がする。
どうやら、そう思っているのは彼らだけではないようだった。
モッケしゃんが拾って来た人、全員がそう思っていた様で、彼らが代表して意見を言っている様子が伺えた。
"やはり、まだ納得してなかったかぁー...。"
ロドじぃーちゃんは、じっと家の外で聞き耳を立てながらどうしたものかと考える。
"あの光景を見せるのは、まずかったかなぁー...。"
そうロドじぃーちゃんが思った時だった。
「そんな事ないよ!俺たちここに住んでいいよ!
そのために、アキラの両親や他の人達も色々やってくれてるじゃないか!」
大人達が尻込みするな威勢よく小さな声があがった。
それは私やお兄ちゃんと仲良くしている
アサくんの声だった。
アサくんは小さい体を奮い立たせて大きな声で皆に訴える。
「そりゃ~、あんなの見たら場違いな気もするけどよ...でもよ。だからって、アイツらが俺たちを蔑ろにした事なんか1度もないじゃないか!
それに、俺たちまだ、アイツらに何も恩を返せてないよ!」
子供のアサくんが、大人に負けじと自分の思いを伝えている。
来た時は、心の傷が深すぎてこの街の大人、誰1人として懐かなくって怯えていたのに...。
お兄ちゃんや私と過ごす時間が増え、訓練場にも通う様になり、アサくんは見事に変わった。
辛い過去を幼いながらも自分の力で乗り切ったのだ。
それは、アサくんの妹達も同様だった。
「お兄ちゃんの言う通りよ!」
「私達、またあんな思いするの嫌。」
ナナちゃんとナサちゃんも負けじと大人達に訴えかける。
「リンやリンの両親も、私達を大事にしてくれるよ。変わった執事さんだって、私達と普通に接してくれるよ。」
「ここにいれば、安全なんだよ。怖い思いしなくて良いんだよ。
できることをすれば良いんだよ。
私達にできることをしてもないのに、逃げるのはダメだよ!」
子供3人に言われて、大人達は何も言い返せない様子だった。
それもそのはず。大人達も心の隅には子供達と同じ思いを抱えていたからだ。
"リンといい、アキラといい。そして、こいつらもか。子供がいうのは時に、大人以上に先を見ていて、怖いもの知らずなんだよなぁー。
たまに、自分がコイツらより子どもだなぁーって思わされる事もあるんだよなぁー"
ロドじぃーちゃんは彼らの話しを盗み聞きしながらついついそう思ってしまった。
しかし、このままでは駄目だと思い、ロドじぃーちゃんは家のドアをノックした。
急なドアのノックに驚きながらもランさんが家のドアを開けてくれた。
「よっ!邪魔するぜぇ~。」
そう言って、ロドじぃーちゃんはカブさんの家に入って行く。
ロドじぃーちゃんの登場に、その場に居た人達から響めきが上がった。
「すまんな。急な訪問で。お前さんらも途中まで、見てたからわかるかと思うが、動物達の小屋と諸々が完成したから呼びに来た。だがよ、その前にだ。」
ロドじぃーちゃんは、そう言うとアサくん達の方へ行き、アサくんの頭をガシガシと撫でくりまわしたかとおもったら、そのまま手をアサくんの頭の上に起き大人達を見回す。
「お前さんらが気後れするのもわかるぜ。俺だって、肩書きに元ギルドマスターってのがあってもよ、元々は小さな村の農民の出だ。」
ロドじぃーちゃんの意外な言葉にその場にいる人達は驚く。
まさか、有名なギルドマスターであるロドじぃーちゃんが、自分達と同じとは...。
そんな、雰囲気が漂っている。
それに気付き、ロドじぃーちゃんは言葉を続けた。
「この街にはよ、肩書きなんて無意味なんだよ。そりゃ~この街の外に出たら、話は別さ。
しかし、この街の中で生活する上で必要なのは、生きる意思と人を思いやる心があれば、それ以上はいらねぇーんだよ。」
ロドじぃーちゃんの言葉に、カブさんをはじめ大人達が動揺する。
「何をチマチマ考えてるのかしらねぇ~けどよ。ここの連中が、一度でも村の出身だから。田舎の町の出だからって言って、アンタらをバカにしたやつが居るか?
居たら言ってみろ!俺がぶっ飛ばしてやる!どうだ?居るか?」
ロドじぃーちゃんの言葉に、大人達は下を向いて口を噤む。
当たり前だ。そんな事をする人はこの街に誰一人いないからだ。
言えるはずもなかった。
「いえねぇ~よな?だって、誰一人として、そんな事言う奴がいねぇーもんなぁ~?
あの一家やフレア、スティールミ、元近衛の連中以外はよ、あんたらと同じ、もしくはそれより酷い生活をしていた奴らばっかりだぜ。」
ドムじぃーちゃんやロドじぃーちゃん、ギルド職員さん。そして、最近来た冒険者の皆は、それぞれ町や村の出身の人がほとんどだった。
なかには、戦争孤児でスラム生活を送っていた人も居た。
それでも、皆は必死に頑張って今の地位まで登りつめて来たのだった。
だけど別にそれを自慢する人もいなかったし、馬鹿にする人もいなかった。
私達一家は、元々そんな事は知らなかったし、知る気もなかった。
だって、一緒に生活していたらその人達がどんな人か自ずと分かってくるし、危害を加える人がまずいなかったので、気にしていなかったと言うのが本音なんだけどね。
それは、私達一家以外の人もそうだった。
私達一家に、危害を加えるかそうでないかでしか、判断していのだ。
特にドラしゃんなんかが良い例。
ロドじぃーちゃんはあと一息だと心の中で呟きながら言葉を続ける。
「だったらよ、もう答えは1つだぜ。
ぐちぐち悩む暇があったらよ、自分達が出来ることを見つけて、仕事をしろよ。
精一杯生きろよ!
それが、この街で生活するって事だ。
それをよ、自分らの半分も生きてねぇ~子供に言われるって、恥ずかしいぞ?」
ロドじぃーちゃんの言葉は、カブさん達にどう届いたのだろうか...。
しばらく沈黙が続いた。
ロドじぃーちゃんが、"こりゃ~ダメか?"って諦めかけそうになった時だった。
「そうだね。そうだったね。私らは何をそんなに卑屈に考えてたんだろうね。」
カブさんの奥さんのモアさんがそう呟いて、旦那のカブさんの手にそっと手を添えた。
「あの一家もそうだけど、この街の人や私達を拾ってくれた人も、誰一人として私達を蔑んだりした人はいなかったわ。
今まで、町や村での生活を思い出してごらんなさいよ。私はあんな生活はごめんよ。」
モアさんの言葉に、カブさんは顔を上げた。モチさんも、ランさんも。他の人達もだった。
「確かに、良い思い出もあるわ。でも、この街ほど安心して、1日を過ごせた事はなかったはずよ?
毎日、野盗や魔獣に怯える日々。旅で立ち寄った人達の心にもない言葉の暴力。もちろん、中には手を挙げられた人もいたし、殺された人も居た人いたわ。
それが、私達にとっては普通だったじゃない?でもここはどう?そんな事ないわ。
確かに、あり得ないことが沢山あるけど、それが何よ。長いこと生きてたらそんな事もあるわよ。
いいじゃない。ただ一度の人生よ。楽しまなくちゃね。せっかく救って貰った命よ。私達ができる事は限られてるわ。
でも、それをするのとしないのであれば、私はする方がいいわ。
こんな、老ぼれでもあの子達は大事にしてくれるんですから。」
モアさんが、そう言い終わる頃には皆の顔付きは変わっていた。
そこには、今まで見え隠れしていた迷いは一切なくなっていたのだ。
"これは、完全に吹っ切れたなぁ。"
ロドじぃーちゃんは、安心した顔になっり、アサくんの頭を軽くポンと叩いたかと思ったら、アサくん達の肩に手を置きながらそっと呟いた。
「よかったな、チビども。お前達も、やるじゃないか。でもよ、あんまりリン達の悪い所は真似するなよ?」
ロドじぃーちゃんの言葉に、アサくん達は不思議そうな顔をしていた。
ロドじぃーちゃんはどうやら、大人達に啖呵切って話すアサくん達の姿に、私やお兄ちゃんの姿が見えたようだ。
アサくんは、そんなロドじぃーちゃんに質問した。
「あの?何しにこられたんですか?」
アサくんの質問に、ロドじぃーちゃんは当初の目的を思い出した。
「そういや忘れるとこだったわ。動物達の棲家が完成したからよ、お披露目兼ねて説明しようかと思って呼びに来たんだった。
世話係も決まったんだろ?もう~面倒くさいから全員ついて来い。」
ロドじぃーちゃんはそう言うと、皆を連れ出して、完成した動物達の住処に向かって歩き出したのだった。
アサくん:
えっ?あのうー何を話せばいいんですか?
ロドじぃーちゃん:
おぅ?お前さんは初めてか?
何でも良いんだよ。
適当に喋ればいいぜ。
アサくん:
はぁ~。適当と言われましても...。
そうだ。この前、リンとアキラの家でお泊りをしました。
妹2人と一緒に。
ロドじぃーちゃん:
そうみたいだなぁ?
アサくん:
俺、あんな事初めて体験したのでドキドキしました。
ロドじぃーちゃん:
そうなのか?
アサくん:
はい。俺の家、裕福でなかったし、近所に年の近い子もいなかったので...。
ロドじぃーちゃん:
そうなのか...。
アサくん:
辛い事もありましたけど、俺、本当にここに来れて良かったです。
リンやアキラやユウキやユウタと友達になれて良かったです^ ^
ロドじぃーちゃん:
思う存分楽しめよ!ガキの頃は、遊ぶのが仕事だからよ^ ^
アサくん:
はい。あと、リンって可愛いですね...。
妹ももちろん可愛んですけど、また違った可愛さがありますよね...(//∇//)
ロドじぃーちゃん:
(O_O)(これは..。)
アサくん:
自分より年下なのに、時々安心感とかあるんですよ。
その反面、俺が守ってやらないとって思う事もあって...。
あっ、これ皆んなには内緒にしてくださいね^ ^
ロドじぃーちゃん:
(ほー。これは面白いなぁー♪)
おう!いいぜ。男と男の約束だ^ ^
アサくん:
ありがとうございます^ ^
ロドじぃーちゃん:
(こりゃ~楽しみだなぁー♪♪♪)
次回もみてくれな^ ^
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