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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-46 今度こそ南側の街づくりへ
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予想を遥かに超える速さと、内容で西側の街が新たに生まれ変わり、より住みやすい場所へとなった。
街全体を一通り見る頃には日もくれたので、一晩西側の街で過ごす事にし、翌朝、私とお兄ちゃんが起きる前には大人達皆は起きて身支度を済ませていた。
私とお兄ちゃんが寝ている間に、生まれ変わった西側の街の事は、他の人達にもドラしゃんより連絡済みで、予定通り南側へ行き、南側の街造りをするという段取りで動くことになっている。
そうでなくても、西側の街造りでは誰も何もしてないから、体力が有り余っていたのだ。
朝食もそこそこにして、南側へ向かって皆で移動を開始した。
【聖獣】達も朝には元気になっていて、私とお兄ちゃんは、それぞれの【聖獣】の背に乗って移動をはじめた。
南側の街へたどり着くと、...?!
街の半分近くが、海のはずだった場所が、全部陸地へと変わっていた。
まるで西側の街と南側の街を変えたかの様な仕様に...姿が変わっていたのだ。
でもいつのまに?
南側の最初の原型を見ている、私とお兄ちゃん、ドラしゃんとムキじぃーちゃんは唖然としてしまい、状況を伝言でしか知らない、ドムじぃーちゃん達は、"聞いていた話と違うぞ?"とざわつく。
こんな事をやってのける人物なんか、思い浮かぶのは数人しかいない。
一緒にいるドラしゃんが、これだけ驚いているのだから、ドラしゃんでない事は確か。
だったら...犯人は、私とお兄ちゃんの腕輪の中で寝ている連中しか居なかった。
私の考えがわかったのか、お兄ちゃんも自分の腕輪と私の腕輪を交互に見ていた。
「お兄ちゃんもそうおもう?」
「うん。リンも?」
「「絶対(ぜったい)、この子達(こたち)だよ。」」
私とお兄ちゃんの声で、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも私達を見る。
そして...静かに頷く。
とりあえず、ずっとこのまま呆然としているわけには時間が勿体無いので、街の隅に仮設住居を建てて、今出来る事をする事にした。
仮住居にそれぞれ荷物を載せて置いて、日が暮れる前にどんな街を造るかを話し合う事にした。
地面に話し合いの内容を書いて、それをドムじぃーちゃんが図面に起こして行く。
するとリュモさんが、ある事を言い出したのだ。
「あのう、南側と繋がっている同盟国はどのような国なんですか?」
その言葉を聞いて、ドムじぃーちゃんとムキじぃーちゃんは、ドラしゃんを見つめた。
ドラしゃんは、やれやれと言った表情をして、リュモさんの質問に答える。
『南側の街と繋がる同盟国は、ファールト王国ですね。
活火山と灼熱の大地に囲われていて、別名「炎の王国」と呼ばれてます。
確か、観光業を中心としていたはずですね。ファイン国王が統治している国です。それぐらいですかね。』
ドラしゃんの説明をして聞いて、リュモさんは考え出す。
「どうした?リュモ。」
ドムじぃーちゃんが声をかけると、リュモさんはある事を言い出した。
「私達人魚族が、体質的に特別と言うのもありましたが...。そのう、ファールト王国で住んでいる方も、何かしら体質に特徴的とかないんでしょうか?
例えば、寒いのが苦手とか...。
暑い場所でないと、体調を崩してしまうとか...。
もしそんなのがあれば、それに合わせた街づくりをした方が良いのかと思いました。
あっ、素人が生意気言って申し訳ないです。」
そう言って、頭を下げるリュモさん。
しかし、リュモさんの言葉に誰も怒りはしなかった。
それどころか...
「リュモ。よく言ってくれた。そうだよな。そう言う事も踏まえて、街づくりをしないとなぁー!!いやぁー、ありがとうよ。」
感謝の言葉を述べるドムじぃーちゃんたち。
リュモさんは、そんなドムじぃーちゃん達の反応に驚きつつも照れていた。
「よし。フレア。ちと、ファイン国王に聞いて来てくれ!これは、お前しかできん!」
そう言って、ドラしゃんの肩を叩くムキじぃーちゃん。
ドラしゃんは冷たい視線をムキじぃーちゃんに送った。
「それなら、街にいるファールト王国から来た人達に聞いても大丈夫なんじゃないですか?」
お兄ちゃんが、そう言うと皆は考え出した。
そうなんですよ。
無理にファイン国王に聞かなくても、街に戻ればファールト王国から来た人達がいるのだ。
その人達に聞けば済む話。
お兄ちゃんの一言で、せっかく南側の街にきたが、中央の街へ戻る事にした。
しかし、まだ【大聖霊】達は腕輪の中で眠ったまま。
その為、西側の街を経由する必要があった。
さぁーどうする?
そう思った時だった。
街の外からこちらに向かってくる足音が複数聞こえてきたのだ。
それに気付いて、ドラしゃん、ムキじぃーちゃん、ドムじぃーちゃんは、戦闘体勢をとり、リュモさん達は避難の準備をしだす。
私達が警戒する中、街予定地に足を踏み入れたのは...!!
なんと、ロドじぃーちゃんとカカンさん達だった。
思いがけない来客に驚くほど一同。
「いったいどうしたんだ?ロドムカ?
なんで、お前さんがここに?」
ドムじぃーちゃんはそう質問を投げかけると、ロドじぃーちゃんは頭を掻きながら答えてくれた。
「いやさぁー、こいつらがどうしてもお前さん達の所に行きテェーて、うるさいからよ連れて来たんだ。
こいつらだけでも行けるのは分かってたが、リンとアキラの顔が見たくてなぁー。」
そう言って、私とお兄ちゃんの方をチラチラと見るロドじぃーちゃん。
皆は呆れた顔をしてロドじぃーちゃんたちを見つめる。
私とお兄ちゃんは、ドラしゃんの顔を見て許可を貰ってからロドじぃーちゃんの元へ走っていった。
私とお兄ちゃんが来ると、ロドじぃーちゃんは満面の笑顔になり
「あー、やっぱりリンとアキラは可愛いなぁー。癒されるわ。
日々しわくちゃのばぁーさんとムサイ連中に囲まれてるからなぁー...。」
そう言いながら、私とお兄ちゃんに頬ずりするロドじぃーちゃん。
その間に、カカンさん達はドムじぃーちゃんの元へ。
「ドム師匠。俺達やっぱり、あんたの元で技術を磨きたいんです。どうか、お供をさせて下さい。」
そう言って、皆で頭を下げてドムじぃーちゃんに同行の許可を貰おうと必死に説得しだす。
「カカン、カシン、タイカ、タロン、サフマ。仕方がねぇーなぁー。
いいだろう。最後まで、きっちり着いてこいよ!」
あまりにも必死にお願いをするので、ドムじぃーちゃんは彼らの同行を許した。
そうでなくても、丁度彼らの存在が必要だったからね。
「じゃー早速お前達に仕事を与える。」
「なんですか?なんでもします。」
「ファールト王国で、住んでたお前達にしか、できない事だ。
お前さん達、ファールト王国で住んでた連中は、どんな環境を好むんだ?
あと、どんな環境が苦手なんだ?
教えてくれ!」
「へっ??」
ドムじぃーちゃんの質問に、すっトンキョンな声を上げるカカンさん達。
まさか、そんな事を聞かれるとは思ってなかったよね。
カカンさん達は、不思議そうに周りを見渡した。
皆馬教えてくれっと言わんばかりの顔をしていた。
その為、カカンさん達は恐る恐る答える。
「あ、あのう。俺達はオーガって言うのもあって、どんな環境でも大丈夫ですぜ。」
「ただ、俺達みたいなオーガ以外のやつは、暑すぎる環境は苦手としてましたね。」
「直ぐにねを上げてましたし、倒れもしてました。」
「でも、温泉っていう、あったかい風呂に入るのは好きそうでしたよ。俺達もですけどね。」
その話を聞いて、ドムじぃーちゃん達は考え込みだした。
南側の街をどんな街にするべきか。
どんな街なら喜んで住んでもらえるかを。
私とお兄ちゃんは、そんなドムじぃーちゃん達を、ロドじぃーちゃんの頬ずり攻撃を受けながら見ていた。
カカンさん達の参加により、南側の街造りの手がかりを得る事が出来たのだが、その手がかりを元に街の構造を考えるのが意外に難しい様だった。
まるまる同じ環境にしてしまうのでは、芸がないし味気ない。
かと言って、オリジナルにしてしまうと前回の様にまたやり直しになってしまっては、二度手間になってしまうのだ。
だから、今度こそ一発で街を完成させたいのが、ドムじぃーちゃんの本音のようだった。
ドムじぃーちゃんは、更に詳しくカカンさん達から情報を得る事にしたみたいだ。
今回は、サクサクとは進まない様だと判断したドラしゃんは私とお兄ちゃん。
そして、【聖獣】達を連れて仮住まいの増築とご飯の準備をする事にした。
ドムじぃーちゃん達から少し離れた場所に、ドラしゃんは魔法を使って仮住居を作った。
見た目はテントなのに、中はえっ?!って感じとなっていた。
どうんな風になっているのか聞くのが怖いので、黙って中に入った。
ドラしゃんが作った仮住居は、私とお兄ちゃん用の仮住居で、子供が本気で楽しめる仕様になっていた。
外観は少し大きめのテント風建物なのに、中はどこかのテーマパークのホテルみたいな感じ仕上がっているのだからこれまた凄い。
ふわふわの大きさまちまちのクッションが敷き詰められていて、ふわふわのソファーもあって、快適空間が広がっている。
【聖獣】達とはしゃいでも傷一つつかないのだ。
私とお兄ちゃん、そして【聖獣】達で仲良く遊んでいるのを確認して、ドラしゃんは建物から出て、食事の支度に取り掛かった。
まえもって中央の街から出てくる時、お母さんとナナばぁーちゃん達から何日分?と言いたくなる様な量の食材を預かって来ていたドラしゃん。
メンバーの中で、唯一食材を無駄なく使用してくれそうな人というのもあるのだろう。
何より、ドラしゃんは私とお兄ちゃんの食べる物に関しては、一切の手抜きをしない。
見た目はシンプルでも、栄養バランスが常に考えられている料理が出されるのだった。
それもあって、旅に出る際お母さんは食事面に関しては全くの心配をしていなかったそうだ。
それぐらい信頼されているドラしゃん。
そんなドラしゃんが本日作る料理はと言うと...。これまた種類豊富で色とりどりの料理だった。
しかも、見たこともない料理もあり、量もそうだが、種類も多かった。
メイン料理も副菜もデザートもだ。
あっという間に、次々と作っていくドラしゃん。
手際の良さもそうだが、まるでドラしゃんが何人もいる様に見える速さ。
私とお兄ちゃんと【聖獣】は、そんなドラシャンの姿をちゃっかり見ていた。
「ドラしゃんって、ほんとうにすごいよね。」
「僕、絶対真似できない。」
『あれは、真似ができるものではないぞ?』
『そうそう。あんなの真似ができるわけがない。』
『あれは、アヤツだからこそできるものだ。』
『ヒトには向き不向きがあるからね。』
『出来る事を頑張ったらいいよ。』
『それに、主人達にはアイツでもできない事が出来るんだから、大丈夫だよ。』
そんな話をしているのも、作業をしながらも聞き逃さないのがドラしゃんだ。
私とお兄ちゃん、【聖獣】達はそんな事もつゆと知らず、話を続けていた。
「えっ?ドラしゃんでもできない事を、私とお兄ちゃんはできてるの?」
「そんな事ってあるの?」
私とお兄ちゃんの言葉に、【聖獣】達は笑顔で"当たり前だよ"と答えた。
『主人たちはもっと自分自身に、自信を持たないと...。』
『そうだよ。主人たちは、あのドラゴンより凄いんだから。』
『そうそう。もっと自信持たないと。』
『自信を持つのは良い事だのう。しかし、"過信"や"慢心"し過ぎるのはよろしくないのう。
何事においても、謙虚にあるのが1番良いのう。
主人たちの親御殿のようにのう。』
『そうだね。自信を持つのは、大事な事だね。自信を持つことにより今ある自分の力を最大限、有効活用出来る様になるから。
しかし、"過信"や"慢心"する事により大事なものを失う事にも繋がる。
度が過ぎるのは、何事も良くないね。』
『だから、アイツの様になる前に自分達の親御殿の様になる様にした方がいいよ。』
『私たちから見ても、主人たちの親御殿のはとても素晴らしいからね。』
『それに、アイツは主人たち限定的なモノがかなり強いから、あまり参考にしない方がいいよ。』
『そうそれ。それよ!いい歳してるんだから、もう少し大人にならないとね。』
『そうだのう。しかし、それは我らとて同じだのう。
我らも、ヤツと同じで主人たちが絡むとどうにもならぬモノがあるからのう。』
『あーぁー。確かに。それは、言えてるわ。』
『そうなると、やっぱり主人たちは凄いよね。』
『そうそう。私たちの主人たちは凄い!』
いつのまにか、【聖獣】達の間だけで話が完結したいた。
私とお兄ちゃんは、何のことかさっぱりわからなかった。
唯一分かったのは、お父さんとお母さんが素晴らしい人である事とドラしゃんが凄いことぐらいだ。
そして、私たちの話をしながら笑っている【聖獣】達が何より可愛い事だ。
私とお兄ちゃんは、私達を置き去りにして話に夢中になっている【聖獣】達に抱きつきにいきじゃれあった。
そんな私達のやり取りを、ドラしゃんが聞き耳を立てながらも料理をしつつ、【聖獣】達に私とお兄ちゃんにバレない様お仕置きをどの様にしようか暗躍しているとは思いもよらなかったのだった。
リン:
ドラしゃんと出会えてよかったね。
アキラ:
急にどうしたんだリン?
リン:
だって、ドラしゃんと出会えた事によって、私達ってこの世界でとても楽しく生活できてるなぁーって思ったの。
アキラ:
確かにね。
それは、そうだね。
リン:
だから、私おおきくなったら"ドラしゃんの日"を作ろうかと思うの。
アキラ:
えっ?ドラしゃんの日?
リン:
そう。ドラしゃんの日。
母の日みたいに、日頃お世話になっているドラしゃんに感謝を伝える日を作りたいの。
アキラ:
なる程。
でも、それなら大きくならなくてもいいんじゃない?
リン:
えっ!?なんで?
アキラ:
だって、リンがその日がドラしゃんの日と思えば、その日がそうなると思うよ?
リン:
なる程!?
お兄ちゃん頭いいね!!
アキラ:
照れるじゃないか...。
リン:
じゃーいつがいいかなぁ?
アキラ:
そうだねぇ~。
いつがいいだろう??
街全体を一通り見る頃には日もくれたので、一晩西側の街で過ごす事にし、翌朝、私とお兄ちゃんが起きる前には大人達皆は起きて身支度を済ませていた。
私とお兄ちゃんが寝ている間に、生まれ変わった西側の街の事は、他の人達にもドラしゃんより連絡済みで、予定通り南側へ行き、南側の街造りをするという段取りで動くことになっている。
そうでなくても、西側の街造りでは誰も何もしてないから、体力が有り余っていたのだ。
朝食もそこそこにして、南側へ向かって皆で移動を開始した。
【聖獣】達も朝には元気になっていて、私とお兄ちゃんは、それぞれの【聖獣】の背に乗って移動をはじめた。
南側の街へたどり着くと、...?!
街の半分近くが、海のはずだった場所が、全部陸地へと変わっていた。
まるで西側の街と南側の街を変えたかの様な仕様に...姿が変わっていたのだ。
でもいつのまに?
南側の最初の原型を見ている、私とお兄ちゃん、ドラしゃんとムキじぃーちゃんは唖然としてしまい、状況を伝言でしか知らない、ドムじぃーちゃん達は、"聞いていた話と違うぞ?"とざわつく。
こんな事をやってのける人物なんか、思い浮かぶのは数人しかいない。
一緒にいるドラしゃんが、これだけ驚いているのだから、ドラしゃんでない事は確か。
だったら...犯人は、私とお兄ちゃんの腕輪の中で寝ている連中しか居なかった。
私の考えがわかったのか、お兄ちゃんも自分の腕輪と私の腕輪を交互に見ていた。
「お兄ちゃんもそうおもう?」
「うん。リンも?」
「「絶対(ぜったい)、この子達(こたち)だよ。」」
私とお兄ちゃんの声で、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも私達を見る。
そして...静かに頷く。
とりあえず、ずっとこのまま呆然としているわけには時間が勿体無いので、街の隅に仮設住居を建てて、今出来る事をする事にした。
仮住居にそれぞれ荷物を載せて置いて、日が暮れる前にどんな街を造るかを話し合う事にした。
地面に話し合いの内容を書いて、それをドムじぃーちゃんが図面に起こして行く。
するとリュモさんが、ある事を言い出したのだ。
「あのう、南側と繋がっている同盟国はどのような国なんですか?」
その言葉を聞いて、ドムじぃーちゃんとムキじぃーちゃんは、ドラしゃんを見つめた。
ドラしゃんは、やれやれと言った表情をして、リュモさんの質問に答える。
『南側の街と繋がる同盟国は、ファールト王国ですね。
活火山と灼熱の大地に囲われていて、別名「炎の王国」と呼ばれてます。
確か、観光業を中心としていたはずですね。ファイン国王が統治している国です。それぐらいですかね。』
ドラしゃんの説明をして聞いて、リュモさんは考え出す。
「どうした?リュモ。」
ドムじぃーちゃんが声をかけると、リュモさんはある事を言い出した。
「私達人魚族が、体質的に特別と言うのもありましたが...。そのう、ファールト王国で住んでいる方も、何かしら体質に特徴的とかないんでしょうか?
例えば、寒いのが苦手とか...。
暑い場所でないと、体調を崩してしまうとか...。
もしそんなのがあれば、それに合わせた街づくりをした方が良いのかと思いました。
あっ、素人が生意気言って申し訳ないです。」
そう言って、頭を下げるリュモさん。
しかし、リュモさんの言葉に誰も怒りはしなかった。
それどころか...
「リュモ。よく言ってくれた。そうだよな。そう言う事も踏まえて、街づくりをしないとなぁー!!いやぁー、ありがとうよ。」
感謝の言葉を述べるドムじぃーちゃんたち。
リュモさんは、そんなドムじぃーちゃん達の反応に驚きつつも照れていた。
「よし。フレア。ちと、ファイン国王に聞いて来てくれ!これは、お前しかできん!」
そう言って、ドラしゃんの肩を叩くムキじぃーちゃん。
ドラしゃんは冷たい視線をムキじぃーちゃんに送った。
「それなら、街にいるファールト王国から来た人達に聞いても大丈夫なんじゃないですか?」
お兄ちゃんが、そう言うと皆は考え出した。
そうなんですよ。
無理にファイン国王に聞かなくても、街に戻ればファールト王国から来た人達がいるのだ。
その人達に聞けば済む話。
お兄ちゃんの一言で、せっかく南側の街にきたが、中央の街へ戻る事にした。
しかし、まだ【大聖霊】達は腕輪の中で眠ったまま。
その為、西側の街を経由する必要があった。
さぁーどうする?
そう思った時だった。
街の外からこちらに向かってくる足音が複数聞こえてきたのだ。
それに気付いて、ドラしゃん、ムキじぃーちゃん、ドムじぃーちゃんは、戦闘体勢をとり、リュモさん達は避難の準備をしだす。
私達が警戒する中、街予定地に足を踏み入れたのは...!!
なんと、ロドじぃーちゃんとカカンさん達だった。
思いがけない来客に驚くほど一同。
「いったいどうしたんだ?ロドムカ?
なんで、お前さんがここに?」
ドムじぃーちゃんはそう質問を投げかけると、ロドじぃーちゃんは頭を掻きながら答えてくれた。
「いやさぁー、こいつらがどうしてもお前さん達の所に行きテェーて、うるさいからよ連れて来たんだ。
こいつらだけでも行けるのは分かってたが、リンとアキラの顔が見たくてなぁー。」
そう言って、私とお兄ちゃんの方をチラチラと見るロドじぃーちゃん。
皆は呆れた顔をしてロドじぃーちゃんたちを見つめる。
私とお兄ちゃんは、ドラしゃんの顔を見て許可を貰ってからロドじぃーちゃんの元へ走っていった。
私とお兄ちゃんが来ると、ロドじぃーちゃんは満面の笑顔になり
「あー、やっぱりリンとアキラは可愛いなぁー。癒されるわ。
日々しわくちゃのばぁーさんとムサイ連中に囲まれてるからなぁー...。」
そう言いながら、私とお兄ちゃんに頬ずりするロドじぃーちゃん。
その間に、カカンさん達はドムじぃーちゃんの元へ。
「ドム師匠。俺達やっぱり、あんたの元で技術を磨きたいんです。どうか、お供をさせて下さい。」
そう言って、皆で頭を下げてドムじぃーちゃんに同行の許可を貰おうと必死に説得しだす。
「カカン、カシン、タイカ、タロン、サフマ。仕方がねぇーなぁー。
いいだろう。最後まで、きっちり着いてこいよ!」
あまりにも必死にお願いをするので、ドムじぃーちゃんは彼らの同行を許した。
そうでなくても、丁度彼らの存在が必要だったからね。
「じゃー早速お前達に仕事を与える。」
「なんですか?なんでもします。」
「ファールト王国で、住んでたお前達にしか、できない事だ。
お前さん達、ファールト王国で住んでた連中は、どんな環境を好むんだ?
あと、どんな環境が苦手なんだ?
教えてくれ!」
「へっ??」
ドムじぃーちゃんの質問に、すっトンキョンな声を上げるカカンさん達。
まさか、そんな事を聞かれるとは思ってなかったよね。
カカンさん達は、不思議そうに周りを見渡した。
皆馬教えてくれっと言わんばかりの顔をしていた。
その為、カカンさん達は恐る恐る答える。
「あ、あのう。俺達はオーガって言うのもあって、どんな環境でも大丈夫ですぜ。」
「ただ、俺達みたいなオーガ以外のやつは、暑すぎる環境は苦手としてましたね。」
「直ぐにねを上げてましたし、倒れもしてました。」
「でも、温泉っていう、あったかい風呂に入るのは好きそうでしたよ。俺達もですけどね。」
その話を聞いて、ドムじぃーちゃん達は考え込みだした。
南側の街をどんな街にするべきか。
どんな街なら喜んで住んでもらえるかを。
私とお兄ちゃんは、そんなドムじぃーちゃん達を、ロドじぃーちゃんの頬ずり攻撃を受けながら見ていた。
カカンさん達の参加により、南側の街造りの手がかりを得る事が出来たのだが、その手がかりを元に街の構造を考えるのが意外に難しい様だった。
まるまる同じ環境にしてしまうのでは、芸がないし味気ない。
かと言って、オリジナルにしてしまうと前回の様にまたやり直しになってしまっては、二度手間になってしまうのだ。
だから、今度こそ一発で街を完成させたいのが、ドムじぃーちゃんの本音のようだった。
ドムじぃーちゃんは、更に詳しくカカンさん達から情報を得る事にしたみたいだ。
今回は、サクサクとは進まない様だと判断したドラしゃんは私とお兄ちゃん。
そして、【聖獣】達を連れて仮住まいの増築とご飯の準備をする事にした。
ドムじぃーちゃん達から少し離れた場所に、ドラしゃんは魔法を使って仮住居を作った。
見た目はテントなのに、中はえっ?!って感じとなっていた。
どうんな風になっているのか聞くのが怖いので、黙って中に入った。
ドラしゃんが作った仮住居は、私とお兄ちゃん用の仮住居で、子供が本気で楽しめる仕様になっていた。
外観は少し大きめのテント風建物なのに、中はどこかのテーマパークのホテルみたいな感じ仕上がっているのだからこれまた凄い。
ふわふわの大きさまちまちのクッションが敷き詰められていて、ふわふわのソファーもあって、快適空間が広がっている。
【聖獣】達とはしゃいでも傷一つつかないのだ。
私とお兄ちゃん、そして【聖獣】達で仲良く遊んでいるのを確認して、ドラしゃんは建物から出て、食事の支度に取り掛かった。
まえもって中央の街から出てくる時、お母さんとナナばぁーちゃん達から何日分?と言いたくなる様な量の食材を預かって来ていたドラしゃん。
メンバーの中で、唯一食材を無駄なく使用してくれそうな人というのもあるのだろう。
何より、ドラしゃんは私とお兄ちゃんの食べる物に関しては、一切の手抜きをしない。
見た目はシンプルでも、栄養バランスが常に考えられている料理が出されるのだった。
それもあって、旅に出る際お母さんは食事面に関しては全くの心配をしていなかったそうだ。
それぐらい信頼されているドラしゃん。
そんなドラしゃんが本日作る料理はと言うと...。これまた種類豊富で色とりどりの料理だった。
しかも、見たこともない料理もあり、量もそうだが、種類も多かった。
メイン料理も副菜もデザートもだ。
あっという間に、次々と作っていくドラしゃん。
手際の良さもそうだが、まるでドラしゃんが何人もいる様に見える速さ。
私とお兄ちゃんと【聖獣】は、そんなドラシャンの姿をちゃっかり見ていた。
「ドラしゃんって、ほんとうにすごいよね。」
「僕、絶対真似できない。」
『あれは、真似ができるものではないぞ?』
『そうそう。あんなの真似ができるわけがない。』
『あれは、アヤツだからこそできるものだ。』
『ヒトには向き不向きがあるからね。』
『出来る事を頑張ったらいいよ。』
『それに、主人達にはアイツでもできない事が出来るんだから、大丈夫だよ。』
そんな話をしているのも、作業をしながらも聞き逃さないのがドラしゃんだ。
私とお兄ちゃん、【聖獣】達はそんな事もつゆと知らず、話を続けていた。
「えっ?ドラしゃんでもできない事を、私とお兄ちゃんはできてるの?」
「そんな事ってあるの?」
私とお兄ちゃんの言葉に、【聖獣】達は笑顔で"当たり前だよ"と答えた。
『主人たちはもっと自分自身に、自信を持たないと...。』
『そうだよ。主人たちは、あのドラゴンより凄いんだから。』
『そうそう。もっと自信持たないと。』
『自信を持つのは良い事だのう。しかし、"過信"や"慢心"し過ぎるのはよろしくないのう。
何事においても、謙虚にあるのが1番良いのう。
主人たちの親御殿のようにのう。』
『そうだね。自信を持つのは、大事な事だね。自信を持つことにより今ある自分の力を最大限、有効活用出来る様になるから。
しかし、"過信"や"慢心"する事により大事なものを失う事にも繋がる。
度が過ぎるのは、何事も良くないね。』
『だから、アイツの様になる前に自分達の親御殿の様になる様にした方がいいよ。』
『私たちから見ても、主人たちの親御殿のはとても素晴らしいからね。』
『それに、アイツは主人たち限定的なモノがかなり強いから、あまり参考にしない方がいいよ。』
『そうそれ。それよ!いい歳してるんだから、もう少し大人にならないとね。』
『そうだのう。しかし、それは我らとて同じだのう。
我らも、ヤツと同じで主人たちが絡むとどうにもならぬモノがあるからのう。』
『あーぁー。確かに。それは、言えてるわ。』
『そうなると、やっぱり主人たちは凄いよね。』
『そうそう。私たちの主人たちは凄い!』
いつのまにか、【聖獣】達の間だけで話が完結したいた。
私とお兄ちゃんは、何のことかさっぱりわからなかった。
唯一分かったのは、お父さんとお母さんが素晴らしい人である事とドラしゃんが凄いことぐらいだ。
そして、私たちの話をしながら笑っている【聖獣】達が何より可愛い事だ。
私とお兄ちゃんは、私達を置き去りにして話に夢中になっている【聖獣】達に抱きつきにいきじゃれあった。
そんな私達のやり取りを、ドラしゃんが聞き耳を立てながらも料理をしつつ、【聖獣】達に私とお兄ちゃんにバレない様お仕置きをどの様にしようか暗躍しているとは思いもよらなかったのだった。
リン:
ドラしゃんと出会えてよかったね。
アキラ:
急にどうしたんだリン?
リン:
だって、ドラしゃんと出会えた事によって、私達ってこの世界でとても楽しく生活できてるなぁーって思ったの。
アキラ:
確かにね。
それは、そうだね。
リン:
だから、私おおきくなったら"ドラしゃんの日"を作ろうかと思うの。
アキラ:
えっ?ドラしゃんの日?
リン:
そう。ドラしゃんの日。
母の日みたいに、日頃お世話になっているドラしゃんに感謝を伝える日を作りたいの。
アキラ:
なる程。
でも、それなら大きくならなくてもいいんじゃない?
リン:
えっ!?なんで?
アキラ:
だって、リンがその日がドラしゃんの日と思えば、その日がそうなると思うよ?
リン:
なる程!?
お兄ちゃん頭いいね!!
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照れるじゃないか...。
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じゃーいつがいいかなぁ?
アキラ:
そうだねぇ~。
いつがいいだろう??
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定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
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