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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜
5-24 仲間も増えて...問題も解決?
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私が仲間にした新しい魔獣はSSランクの雪山に生息する珍しい魔獣の一種で、"ホワイトキングトリスタ"と呼ばれる大型の魔物。
全身が真っ白で足音なく移動するため発見が難しく、ツノと毛皮が高級素材として取引されているのだとか。
お肉も干物肉にしたら絶品だとムキじぃーちゃんが教えてくれた。
私からしたらサンタさんの御使いのトナカイにしか見えないけどね。
それはお兄ちゃんも同じ様だった。
私がもふもふしていたらお兄ちゃんも触りたそうにしていたので、一緒に触らせてあげたらお兄ちゃんもこの毛皮に虜となった。
そんな私達兄弟を生暖かい目線で見つめる人達と【大聖霊】と【聖獣】。
「ワシ、人生であの生き物見るの二度目だ。それだけ珍しい生き物だぞ?」
『諦めましょう。きっとこれからこんな感じでほいほい来るのでは?』
「...。」
『やはりもふもふしてないと主人はきらいなのでしょうか?』
『羨ましいのか?』
『えっ?!お前羨ましくないのか?』
『...うーん。微妙だな。だって、嫌われていないってわかってるからなぁー。』
『?!!』
『俺たちは【大聖霊】だぜ?もふられる対象ではないからな。俺たちの領域で主人の助けができているなら俺は満足だ。
何より必ず俺たちを主人は頼ってくれるだろう?それだけ十分じゃないか。』
ウンディーナの言葉に他の【大聖霊】と【聖獣】。
そして、保護者達が驚きつつも納得する。
『主人は新しい仲間ができたからと言ってずっといる俺たちを蔑ろにしたことなんかないだろう?
それどころか仲間が増えるたびに頼りにされる回数が増えている気がするがな。』
『そうだね。新しい寝床作りにも必ず声をかけてくれるね。』
『主人の交友関係についての説明なんかも任されるな。』
『本来の自分らの役目って?と思うぐらいいろんな事頼まれるようになったよな
。』
『お嬢様は何も考えてない様で、ちゃんと周りに心配り出来る方ですからね。』
そんな話をされている事も気付かずに私とお兄ちゃんはもふもふしているとまた、複数の気配を感じた私とお兄ちゃん。
そして私達に遅れて他の人達も感じた様でまた警戒し戦闘体制をとる。
《主人殿。我に戯れている間匂いがかなり濃くなったから一気にここを目指して色々集まっているみたいですよ。》
"ホワイトキングトリスタ"がそう言って私とお兄ちゃんに忠告してくれた。
しかしもう少し早く言って欲しかったかなぁー。
視界に入る範囲ですでに八体ぐらいは魔物の姿が確認できている状況なのだから。
どれも威嚇行為等はなし。
ただ離れた場所でこちらを確認している感じだった。
八体中五体はお兄ちゃんの匂いにつられて来た様で、視線がずっとお兄ちゃんの方を向いている。
残りは三体は私のようだ。
お兄ちゃんの匂いにつられてきた五体と言うと、"グランドギングコンゴ""ダークスネーク""シルバーフォーク""サンダータイガー""グレードタートル"でどれも高位の魔物達。
しばらく睨めっこが続いて...全てお兄ちゃんの仲間になった。
私の匂いにつられてきた三体はと言うと、"フォレストキャット""ハニーベア""パールメーリープ"。
こちらもレアな高位魔物達で、ちゃんと契約を果たした。
保護者達はもう何も言わなくなった。
《後こちらに向かっているのはどうやら主人達の匂いに不快を感じて攻撃目的でやってくるものばかりの様です。》
《道中幾らかは威嚇して近づかないようにしたが、それでも取り逃がしがいたか。》
《ごめんね主人殿。》
必死に私とお兄ちゃんに説明してくれているのだが...私はもふもふに囲まれてもうどうでも良くなっていた。
しかし保護者達はそうもいかない様だった。
「聞いたかフレア。」
『ああ。今の所はこれで打ち切りの様ですね。後は狩りとってよいものばかりかぁ~。』
『見た感じ高ランクの奴らのみこっちに向かってるぜ。』
『低いランクの奴らは逃げて元の場所に戻ったり、道中他の魔物にやられてるね。』
『街の方も被害は今の所ない様子です。』
『真っ直ぐこっちに向かっている感じですね。』
「おい!リン!アキラ!お前たちの事だぞ!話に参加せんか!」
ムキじぃーちゃんはさすがにこのままではいかないと感じたのだろう。
私とお兄ちゃんの方へ来てもふもふ堪能していた私達の首根っこを掴んで持ち上げる。
「きゃ!」
「えっ?!」
「たく。お前達は。ほれ!話に混じれ!」
ムキじぃーちゃんはそのまま私達を持ち上げてドラしゃん達の方へ連れて行く。
その後を魔獣達が睨みをきかせてついてくるとなんとも微妙な構図だった。
「だって!もふもふだよ!」
「後でいくらでも堪能しろ!今は解決しないといかん問題があるだろうが!」
「はい。」
珍しくムキじぃーちゃんに怒られてさすがに私もお兄ちゃんも反省して話し合いに参加した。
問題は...。
『攻撃意思を表示して向かっているのですから狩りとって問題はないでしょう。
高ランクですから素材としても売れますしね。
お嬢様とアキラ様の戦闘訓練にもなるでしょう。』
『殺生は俺たちはダメだけど、主人の助けはできるからすぞ!』
『僕達もです!』
「ここで迎え撃てばいい?」
「邪魔な木々とかどうします?」
「切って罠も仕掛けるか?」
『良いですね!罠とかなら準備は手伝えます。』
『ではその段取りで行きますか。』
「あ、あのう。その前に...。」
『わかっております。ご飯ですよね?用意しますよ。』
こうしてあらかたの段取りが決まり、ご飯にすることにした。
一気に複数と契約したからお腹が空いてしまった私とお兄ちゃん。
ドラしゃんがご飯の準備をしている間、私とお兄ちゃんはそれぞれ契約した魔獣に名前を付けて【大聖霊】や【聖獣】達に紹介していく。
なんと名前をつけて契約したことにより魔獣達は体の大きさを自由に変えれるようになった。
皆んな私とお兄ちゃんが抱き抱えやすい様に小さくなってくれたが、その姿もまた可愛く思わず私は鼻血を出してしまった。
興奮しすぎて鼻血を出したのには皆んな驚いて、ドラしゃんなんか錯乱仕掛けたほどだ。
ハニーベアのハニーちゃんなんか小さくなるとく○のプ○さんみたいに愛くるしくなるんだから...。
ちなみにハニーベアーの主食は蜂蜜や果実がメインだが、基本雑食だ。
手足が蜂蜜色をしているからハニーベアーなのだとか...。
見た目は可愛いのに繁殖期になると凶暴化するらしい。
もちろん他の子達も曲者ばかりだった。
改めてムキじぃーちゃんや【大聖霊】達から話を聞くとなんで契約できたのか不思議な魔獣ばかりだ。
特にお兄ちゃんが契約した五体はムキじぃーちゃんですら初めて見た魔獣ばかりだったようだ。
なんやかんや言っていたムキじぃーちゃんも子供の様にはしゃいで魔獣達を見ていた。
魔獣達は嫌そうにしていたが、私とお兄ちゃんがお願いしたら渋々ムキじぃーちゃんの相手をしてくれた。
そんな最中でもドラしゃんは次から次へと料理を作成して、食事用のテーブルに並べていく。
ドラしゃんが作ってくれたご飯をたらふく食べて準備終えた私達は魔物達を迎え撃つ準備をする。
視界が良くなる様にある程度の場所の木々を刈り取って、それを加工して幾つか罠を作った。
仮住まいも改造して見張り棟の様にして活用する。
ドラしゃんからそれぞれの街や国へ現場について連絡を入れてもらった。
契約した魔獣達も協力してくれると言うので戦力的には申し分ないどころか過剰なぐらいだ。
新しく改造した見張り棟に登って周囲を見渡していたら四方から砂煙??波??みたいなものがたっていた。
スカイとフウちゃんに偵察をお願いしたらやはり魔物の集団だった。
数は数えるのも難しいぐらいの大群だという。
『主人、見た事もない魔獣の集団だよ。』
『どうやら高ランクばかりのようです。かなり殺気だってこちらに向かってますね。』
そんなに数多くの魔獣が来るとは思わなかった。
スカイとフウちゃんからの報告を聞いて血の気が引く音がした私とお兄ちゃん。
そんな私達とは正反対に楽しそうなムキじぃーちゃんとドラしゃん。
「フレア。久しぶりだから鈍っているんじゃないか?」
『はっ?誰にいってるんですか?あなたこそ歳ですから足手まといにはならないで下さいね。』
軽くウォーミングアップをしながら笑顔で話す二人。
「なんでそんなに楽しそうなの二人共。」
「あんな数無理じゃないですか?」
私とお兄ちゃんが力なく二人に声をかけると二人は不思議そうに返事をするのだ。
「へっ?あんなの少ない方だろう?」
『そうですよ。』
えっ???
少ないってなに?
あれって少ない方なのかなぁ?
えっ?
十分多い気がするのは...気のせい?
私とお兄ちゃんは二人を見つめながらそう心の中で呟いたのは言うまでもない。
「リン、アキラ。これぐらいでビビってたら外へは冒険なんてできねぇ~ぜ。」
『そうですね。これぐらいでビビっているのでは冒険者やめた家で私とゆっくり過ごしましょうね。
そうだ。そうしましょう♪
今回は私とムキファーで全て始末しますので。』
すごく嬉しそうに話すドラしゃん。
あれは本気(マジ)だ!!
私とお兄ちゃんはこのまま何もしないでいたら本当に冒険者を辞めさせられる!と危機感を感じとった私とお兄ちゃんは、気持ちを落ち着かせた。
「大丈夫。やるよ私。」
「僕もだ。」
恐怖心はまだあるがそれより違うものが私達の心を占領した。
武器を構えた私とお兄ちゃんを見てニヤッと笑うムキじぃーちゃんと残念そうな顔をするドラしゃん。
劣勢の様な状況下に見えるが、落ち着き払っている保護者達がいるのでなんとかなるときがしてきたのだ。
「なる様になれよ!皆んな大人しくなって寝床に帰ってくれたらいいのにぃー!!」
「リン!ナイスだね!それは僕も賛成だよ。」
なんの考えもなく叫んだ一言。
????
周りの人達の雰囲気が変になった???
私とお兄ちゃんがキョトンとしながら周りを見渡すと...????!
あれれれ?
何故かこちらに向かって来ていた魔獣達が一斉に来た道を戻っていくではないか...???
「ありゃ??」
「あれ???」
せっかく戦う意志を見せたのに何故?と疑問に思いながら首を傾げていると、私達の背後より大きな溜息と共になんとも言えない視線が...。
「リン。お前、何をした?」
ムキじぃーちゃんの一言に驚く私。
「えっ?!私?!」
「お前しかおらんだろう?!」
そう言われても...な感じの私。
それはお兄ちゃんも同じだった様でなんとも言えない表情を浮かべて私を見ているのだ。
「私は普通に、「なる様になれよ!皆んな大人しくなって寝床に帰ってくれたらいいのにぃー!!」って言っただけよ!他は何もしてないわよ!」
私がほんの寸前に叫んだ内容をゆっくりはっきりムキじぃーちゃんに向かって言うと、ドラしゃんが何やら嫌な予感を感じた様な表情をしながら私に声をかけてきた。
『お嬢様。もしかしたらその叫んだ言葉が原因かもしれませんね。』
「はい??」
「なんでい?!それなら毎回リンが何かを叫ぶたびに何か起こるのか?」
ドラしゃんの言葉にまの抜けた返事を返す私と、異議を申し立てるムキじぃーちゃん。
そんな私達に冷静に答えるドラしゃん。
『それしか...考えが浮かびません。まぁ~お嬢様が叫ぶたびに何かが起きるのであれば、今までにもたくさん色んなことが起きているはずです。
しかし、今回叫んだ内容と何かが組み合わさってあのような現象が起きたのではないでしょうか?』
ドラしゃんの言葉に何も言い返せないムキじぃーちゃん。
私はもう、意味が分からず固まるしかなかった。
するとだ。
《主人(リン)の匂いが消えたよ。》
《主人(アキラ)の匂いもです。》
「えっ?!そうなの?」
「えへぇー?!」
《はい。先程まで匂っていた匂いが完全にきえましたね。》
思ってもみなかった獣魔達からの言葉にドラしゃんのみ一人納得した様な感じだった。
私とお兄ちゃん、ムキじぃーちゃんはいまいち現状が掴めず惚けた顔をしているしかなかった。
「匂いが消えた?!そんでもってリンが叫んだら帰って...なんなんだ?!」
『それはなんとも言えませんが、もう暫く様子を見て、魔獣たちが本当に住処に帰ったか確認する必要がありますね。』
この時のドラしゃんのなんとも言えない笑顔がかなり印象的だった。
私達に向かって来ていた魔獣の集団が私のなんの考えのない一言により踵を返して去っていったのがほんの数時間前の出来事だ。
念のためと言って戦闘体制を崩さずに暫く周囲を警戒しながら待機していたのだが...。
「こんのう。」
「来ないですね。」
『来ない様ですね。』
「えっ!本当に帰ったのかなぁ?」
『我々が上空より確認して来ます。』
私達が困惑しながら周囲を警戒しているため、スカイとフウちゃんが上空より偵察をしに行ってくれた。
【大聖霊】達も自分達の手段で魔獣の現在地を確認にあたってくれていた。
その間に私達はことの成り行きを確認するために、彼らからの報告を待つ事にした。
私とお兄ちゃんの訳の分からない"匂い"のせいで本来姿を見せない高ランクの魔獣が各地に現れた。
"匂い"に好感を持てた魔獣のみ契約が可能で契約魔獣として使役する事が可能となる。
しかし、"匂い"に好感が持てない魔獣は敵意を剥き出しとして襲って来る。
その高ランクの魔獣は本来の生息地を出て人里近くで活動しているため少しずつだが、生態系に異常が乱れ出した。
そのため、今回問題解決のため人や街などに被害が及ばない様に無人島に出てきて魔獣討伐をするなり、契約を結ぶなりする予定だった。
「ここまではいいか?」
ムキじぃーちゃんがそう言って私とお兄ちゃんに質問して来た。
私とお兄ちゃんは大丈夫だと返事をする。
『ここからが問題なのですよね。契約を結べるだけ結んだまでは良しとしましょう。
しかしです。あれだけ集団で怒濤を組んでこちらへ向かって来ていた資源(魔獣)が、お嬢様のなんの変哲もない一言で動きを止めて、なおかつ踵を返してもと来た道を帰っていくことなんてあります?』
ドラしゃんは息継ぎもせずに一気に言い放った。
それに関しては言葉を放った張本人である私も、側でいたお兄ちゃんやムキじぃーちゃんですら疑問に思っていることだ。
私達が頭を抱えていると偵察に行っていたスカイとフウちゃんが戻ってきた。
『空から見て来たけど、ここら近辺には本来生息している魔獣の姿しかなかったよ。』
『破壊された街や村なんかもなかったのう。警戒はしていたみたいだったけどのう、どこも被害がない様じゃのう。』
スカイとフウちゃんの言葉にホッと溜息を漏らす。
『我々の方も調べてみましたが、あれだけいた魔獣はチリチリになり、本来の生息地へと一直線に戻っていった様子です。』
『憑き物が落ちたってな感じだったぞ。本来魔獣は自分の縄張りを荒らしたりしない限りは自分達から襲うなんて事はしないからなぁー。』
ドライアドとイフリートの言葉に他の【大聖霊】や【聖獣】達が頷いていた。
じゃ~どう言う事??
私とお兄ちゃんが首を傾げていると、契約した魔獣達が遠慮気に話しかけて来た。
《あ、あのう。多分なんですが...》
『なんだ。はっきり言え。』
おどおどしながら言葉を発する魔獣達にあたりキツく言葉をかけるドラしゃん。
「もう!ドラしゃん。優しくしてあげて。ごめんね。何かなぁー?わかることがあるなら教えて?」
私が頬っぺたを膨らませてドラしゃんに注意して、怯える魔獣達を宥めていると今度はドラしゃんが不貞腐れてしまった。
しかし、今はこの訳の分からない状況を少しでも理解できる言葉が欲しかったので、ドラしゃんのご機嫌取りは後回しにした。
私が笑顔で魔獣達に声をかけると、まだ怯えながらも話の続きを答えてくれた。
《あ、あのう。多分なんですけどね。あれだけ濃く充満していた主人達の"匂い"が今は全くと言っていいほどしないんです。》
《かなり"匂い"が薄れたと言うか、契約した我々のみに感じられる"匂い"に変わったと言った方がいいのだろう。》
《そうだね。契約する前に香ってた"匂い"と今香っている"匂い"が違うんだよね。》
《そうそう。そうだよ。契約するまでは濃厚で、鼻の粘膜にこべりついてのがない!って感じの"匂い"だったんだけど、今香っているのは、透き通ったほんのり甘い香りでしっかり嗅いでないと消えそうな感じの"匂い"だよね?》
《そうそう。それそれ。まさにそれ!"匂い"が濃すぎてとれないもんだから、原因を知りたくって"匂い"を辿って来たんだよなぁー。》
《そうよね。中には不愉快そうにして怒り狂って、ひとに八つ当たりしてくるヤツもいたぐらいだからね。》
《だ、たから、"匂い"がなくなったから他の魔獣達は本来の自分に戻ったんだと思う。》
《そんでもって、我にかえり住処へ帰ったんだと思うぞ。》
《まぁ~あくまでも、我々の考えであってそうなのかは知らないけどね。》
魔獣達の言葉を聞きながら【大聖霊】や【聖獣】達、ムキじぃーちゃんやドラしゃんは自分達の頭の中で出来事と彼らの言葉を比較して考えを纏めている様だった。
私とお兄ちゃんはと言うと、必死に自分の体を嗅いでいた。
"匂い"って...。気になるじゃない。
しかし、いくら嗅いでも魔獣達の言う"匂い"が分からなかった。
するとだ。
『なるほど。私達がお嬢様やアキラ様から感じる"オーラの波動"がお前達にしたら"匂い"にあたるのだな。
それなら納得いく話だ。』
と、ドラしゃんはどうやら先程の内容で考えが纏まり納得がいった様だ。
しかしそれはドラしゃんだけでなく、ムキじぃーちゃんも【大聖霊】達や【聖獣】達も同じだった。
分からないのは私とお兄ちゃんのみの様だった。
リン:
匂いって!やばい!
お風呂に入ってるのに!!
アキラ:
リン!僕臭くない?!
リン:
クンクン。だ、大丈夫よ!
ねぇ~私は?
アキラ:
クンクン,大丈夫だよ!
リン・アキラ:
良かったぁー
全身が真っ白で足音なく移動するため発見が難しく、ツノと毛皮が高級素材として取引されているのだとか。
お肉も干物肉にしたら絶品だとムキじぃーちゃんが教えてくれた。
私からしたらサンタさんの御使いのトナカイにしか見えないけどね。
それはお兄ちゃんも同じ様だった。
私がもふもふしていたらお兄ちゃんも触りたそうにしていたので、一緒に触らせてあげたらお兄ちゃんもこの毛皮に虜となった。
そんな私達兄弟を生暖かい目線で見つめる人達と【大聖霊】と【聖獣】。
「ワシ、人生であの生き物見るの二度目だ。それだけ珍しい生き物だぞ?」
『諦めましょう。きっとこれからこんな感じでほいほい来るのでは?』
「...。」
『やはりもふもふしてないと主人はきらいなのでしょうか?』
『羨ましいのか?』
『えっ?!お前羨ましくないのか?』
『...うーん。微妙だな。だって、嫌われていないってわかってるからなぁー。』
『?!!』
『俺たちは【大聖霊】だぜ?もふられる対象ではないからな。俺たちの領域で主人の助けができているなら俺は満足だ。
何より必ず俺たちを主人は頼ってくれるだろう?それだけ十分じゃないか。』
ウンディーナの言葉に他の【大聖霊】と【聖獣】。
そして、保護者達が驚きつつも納得する。
『主人は新しい仲間ができたからと言ってずっといる俺たちを蔑ろにしたことなんかないだろう?
それどころか仲間が増えるたびに頼りにされる回数が増えている気がするがな。』
『そうだね。新しい寝床作りにも必ず声をかけてくれるね。』
『主人の交友関係についての説明なんかも任されるな。』
『本来の自分らの役目って?と思うぐらいいろんな事頼まれるようになったよな
。』
『お嬢様は何も考えてない様で、ちゃんと周りに心配り出来る方ですからね。』
そんな話をされている事も気付かずに私とお兄ちゃんはもふもふしているとまた、複数の気配を感じた私とお兄ちゃん。
そして私達に遅れて他の人達も感じた様でまた警戒し戦闘体制をとる。
《主人殿。我に戯れている間匂いがかなり濃くなったから一気にここを目指して色々集まっているみたいですよ。》
"ホワイトキングトリスタ"がそう言って私とお兄ちゃんに忠告してくれた。
しかしもう少し早く言って欲しかったかなぁー。
視界に入る範囲ですでに八体ぐらいは魔物の姿が確認できている状況なのだから。
どれも威嚇行為等はなし。
ただ離れた場所でこちらを確認している感じだった。
八体中五体はお兄ちゃんの匂いにつられて来た様で、視線がずっとお兄ちゃんの方を向いている。
残りは三体は私のようだ。
お兄ちゃんの匂いにつられてきた五体と言うと、"グランドギングコンゴ""ダークスネーク""シルバーフォーク""サンダータイガー""グレードタートル"でどれも高位の魔物達。
しばらく睨めっこが続いて...全てお兄ちゃんの仲間になった。
私の匂いにつられてきた三体はと言うと、"フォレストキャット""ハニーベア""パールメーリープ"。
こちらもレアな高位魔物達で、ちゃんと契約を果たした。
保護者達はもう何も言わなくなった。
《後こちらに向かっているのはどうやら主人達の匂いに不快を感じて攻撃目的でやってくるものばかりの様です。》
《道中幾らかは威嚇して近づかないようにしたが、それでも取り逃がしがいたか。》
《ごめんね主人殿。》
必死に私とお兄ちゃんに説明してくれているのだが...私はもふもふに囲まれてもうどうでも良くなっていた。
しかし保護者達はそうもいかない様だった。
「聞いたかフレア。」
『ああ。今の所はこれで打ち切りの様ですね。後は狩りとってよいものばかりかぁ~。』
『見た感じ高ランクの奴らのみこっちに向かってるぜ。』
『低いランクの奴らは逃げて元の場所に戻ったり、道中他の魔物にやられてるね。』
『街の方も被害は今の所ない様子です。』
『真っ直ぐこっちに向かっている感じですね。』
「おい!リン!アキラ!お前たちの事だぞ!話に参加せんか!」
ムキじぃーちゃんはさすがにこのままではいかないと感じたのだろう。
私とお兄ちゃんの方へ来てもふもふ堪能していた私達の首根っこを掴んで持ち上げる。
「きゃ!」
「えっ?!」
「たく。お前達は。ほれ!話に混じれ!」
ムキじぃーちゃんはそのまま私達を持ち上げてドラしゃん達の方へ連れて行く。
その後を魔獣達が睨みをきかせてついてくるとなんとも微妙な構図だった。
「だって!もふもふだよ!」
「後でいくらでも堪能しろ!今は解決しないといかん問題があるだろうが!」
「はい。」
珍しくムキじぃーちゃんに怒られてさすがに私もお兄ちゃんも反省して話し合いに参加した。
問題は...。
『攻撃意思を表示して向かっているのですから狩りとって問題はないでしょう。
高ランクですから素材としても売れますしね。
お嬢様とアキラ様の戦闘訓練にもなるでしょう。』
『殺生は俺たちはダメだけど、主人の助けはできるからすぞ!』
『僕達もです!』
「ここで迎え撃てばいい?」
「邪魔な木々とかどうします?」
「切って罠も仕掛けるか?」
『良いですね!罠とかなら準備は手伝えます。』
『ではその段取りで行きますか。』
「あ、あのう。その前に...。」
『わかっております。ご飯ですよね?用意しますよ。』
こうしてあらかたの段取りが決まり、ご飯にすることにした。
一気に複数と契約したからお腹が空いてしまった私とお兄ちゃん。
ドラしゃんがご飯の準備をしている間、私とお兄ちゃんはそれぞれ契約した魔獣に名前を付けて【大聖霊】や【聖獣】達に紹介していく。
なんと名前をつけて契約したことにより魔獣達は体の大きさを自由に変えれるようになった。
皆んな私とお兄ちゃんが抱き抱えやすい様に小さくなってくれたが、その姿もまた可愛く思わず私は鼻血を出してしまった。
興奮しすぎて鼻血を出したのには皆んな驚いて、ドラしゃんなんか錯乱仕掛けたほどだ。
ハニーベアのハニーちゃんなんか小さくなるとく○のプ○さんみたいに愛くるしくなるんだから...。
ちなみにハニーベアーの主食は蜂蜜や果実がメインだが、基本雑食だ。
手足が蜂蜜色をしているからハニーベアーなのだとか...。
見た目は可愛いのに繁殖期になると凶暴化するらしい。
もちろん他の子達も曲者ばかりだった。
改めてムキじぃーちゃんや【大聖霊】達から話を聞くとなんで契約できたのか不思議な魔獣ばかりだ。
特にお兄ちゃんが契約した五体はムキじぃーちゃんですら初めて見た魔獣ばかりだったようだ。
なんやかんや言っていたムキじぃーちゃんも子供の様にはしゃいで魔獣達を見ていた。
魔獣達は嫌そうにしていたが、私とお兄ちゃんがお願いしたら渋々ムキじぃーちゃんの相手をしてくれた。
そんな最中でもドラしゃんは次から次へと料理を作成して、食事用のテーブルに並べていく。
ドラしゃんが作ってくれたご飯をたらふく食べて準備終えた私達は魔物達を迎え撃つ準備をする。
視界が良くなる様にある程度の場所の木々を刈り取って、それを加工して幾つか罠を作った。
仮住まいも改造して見張り棟の様にして活用する。
ドラしゃんからそれぞれの街や国へ現場について連絡を入れてもらった。
契約した魔獣達も協力してくれると言うので戦力的には申し分ないどころか過剰なぐらいだ。
新しく改造した見張り棟に登って周囲を見渡していたら四方から砂煙??波??みたいなものがたっていた。
スカイとフウちゃんに偵察をお願いしたらやはり魔物の集団だった。
数は数えるのも難しいぐらいの大群だという。
『主人、見た事もない魔獣の集団だよ。』
『どうやら高ランクばかりのようです。かなり殺気だってこちらに向かってますね。』
そんなに数多くの魔獣が来るとは思わなかった。
スカイとフウちゃんからの報告を聞いて血の気が引く音がした私とお兄ちゃん。
そんな私達とは正反対に楽しそうなムキじぃーちゃんとドラしゃん。
「フレア。久しぶりだから鈍っているんじゃないか?」
『はっ?誰にいってるんですか?あなたこそ歳ですから足手まといにはならないで下さいね。』
軽くウォーミングアップをしながら笑顔で話す二人。
「なんでそんなに楽しそうなの二人共。」
「あんな数無理じゃないですか?」
私とお兄ちゃんが力なく二人に声をかけると二人は不思議そうに返事をするのだ。
「へっ?あんなの少ない方だろう?」
『そうですよ。』
えっ???
少ないってなに?
あれって少ない方なのかなぁ?
えっ?
十分多い気がするのは...気のせい?
私とお兄ちゃんは二人を見つめながらそう心の中で呟いたのは言うまでもない。
「リン、アキラ。これぐらいでビビってたら外へは冒険なんてできねぇ~ぜ。」
『そうですね。これぐらいでビビっているのでは冒険者やめた家で私とゆっくり過ごしましょうね。
そうだ。そうしましょう♪
今回は私とムキファーで全て始末しますので。』
すごく嬉しそうに話すドラしゃん。
あれは本気(マジ)だ!!
私とお兄ちゃんはこのまま何もしないでいたら本当に冒険者を辞めさせられる!と危機感を感じとった私とお兄ちゃんは、気持ちを落ち着かせた。
「大丈夫。やるよ私。」
「僕もだ。」
恐怖心はまだあるがそれより違うものが私達の心を占領した。
武器を構えた私とお兄ちゃんを見てニヤッと笑うムキじぃーちゃんと残念そうな顔をするドラしゃん。
劣勢の様な状況下に見えるが、落ち着き払っている保護者達がいるのでなんとかなるときがしてきたのだ。
「なる様になれよ!皆んな大人しくなって寝床に帰ってくれたらいいのにぃー!!」
「リン!ナイスだね!それは僕も賛成だよ。」
なんの考えもなく叫んだ一言。
????
周りの人達の雰囲気が変になった???
私とお兄ちゃんがキョトンとしながら周りを見渡すと...????!
あれれれ?
何故かこちらに向かって来ていた魔獣達が一斉に来た道を戻っていくではないか...???
「ありゃ??」
「あれ???」
せっかく戦う意志を見せたのに何故?と疑問に思いながら首を傾げていると、私達の背後より大きな溜息と共になんとも言えない視線が...。
「リン。お前、何をした?」
ムキじぃーちゃんの一言に驚く私。
「えっ?!私?!」
「お前しかおらんだろう?!」
そう言われても...な感じの私。
それはお兄ちゃんも同じだった様でなんとも言えない表情を浮かべて私を見ているのだ。
「私は普通に、「なる様になれよ!皆んな大人しくなって寝床に帰ってくれたらいいのにぃー!!」って言っただけよ!他は何もしてないわよ!」
私がほんの寸前に叫んだ内容をゆっくりはっきりムキじぃーちゃんに向かって言うと、ドラしゃんが何やら嫌な予感を感じた様な表情をしながら私に声をかけてきた。
『お嬢様。もしかしたらその叫んだ言葉が原因かもしれませんね。』
「はい??」
「なんでい?!それなら毎回リンが何かを叫ぶたびに何か起こるのか?」
ドラしゃんの言葉にまの抜けた返事を返す私と、異議を申し立てるムキじぃーちゃん。
そんな私達に冷静に答えるドラしゃん。
『それしか...考えが浮かびません。まぁ~お嬢様が叫ぶたびに何かが起きるのであれば、今までにもたくさん色んなことが起きているはずです。
しかし、今回叫んだ内容と何かが組み合わさってあのような現象が起きたのではないでしょうか?』
ドラしゃんの言葉に何も言い返せないムキじぃーちゃん。
私はもう、意味が分からず固まるしかなかった。
するとだ。
《主人(リン)の匂いが消えたよ。》
《主人(アキラ)の匂いもです。》
「えっ?!そうなの?」
「えへぇー?!」
《はい。先程まで匂っていた匂いが完全にきえましたね。》
思ってもみなかった獣魔達からの言葉にドラしゃんのみ一人納得した様な感じだった。
私とお兄ちゃん、ムキじぃーちゃんはいまいち現状が掴めず惚けた顔をしているしかなかった。
「匂いが消えた?!そんでもってリンが叫んだら帰って...なんなんだ?!」
『それはなんとも言えませんが、もう暫く様子を見て、魔獣たちが本当に住処に帰ったか確認する必要がありますね。』
この時のドラしゃんのなんとも言えない笑顔がかなり印象的だった。
私達に向かって来ていた魔獣の集団が私のなんの考えのない一言により踵を返して去っていったのがほんの数時間前の出来事だ。
念のためと言って戦闘体制を崩さずに暫く周囲を警戒しながら待機していたのだが...。
「こんのう。」
「来ないですね。」
『来ない様ですね。』
「えっ!本当に帰ったのかなぁ?」
『我々が上空より確認して来ます。』
私達が困惑しながら周囲を警戒しているため、スカイとフウちゃんが上空より偵察をしに行ってくれた。
【大聖霊】達も自分達の手段で魔獣の現在地を確認にあたってくれていた。
その間に私達はことの成り行きを確認するために、彼らからの報告を待つ事にした。
私とお兄ちゃんの訳の分からない"匂い"のせいで本来姿を見せない高ランクの魔獣が各地に現れた。
"匂い"に好感を持てた魔獣のみ契約が可能で契約魔獣として使役する事が可能となる。
しかし、"匂い"に好感が持てない魔獣は敵意を剥き出しとして襲って来る。
その高ランクの魔獣は本来の生息地を出て人里近くで活動しているため少しずつだが、生態系に異常が乱れ出した。
そのため、今回問題解決のため人や街などに被害が及ばない様に無人島に出てきて魔獣討伐をするなり、契約を結ぶなりする予定だった。
「ここまではいいか?」
ムキじぃーちゃんがそう言って私とお兄ちゃんに質問して来た。
私とお兄ちゃんは大丈夫だと返事をする。
『ここからが問題なのですよね。契約を結べるだけ結んだまでは良しとしましょう。
しかしです。あれだけ集団で怒濤を組んでこちらへ向かって来ていた資源(魔獣)が、お嬢様のなんの変哲もない一言で動きを止めて、なおかつ踵を返してもと来た道を帰っていくことなんてあります?』
ドラしゃんは息継ぎもせずに一気に言い放った。
それに関しては言葉を放った張本人である私も、側でいたお兄ちゃんやムキじぃーちゃんですら疑問に思っていることだ。
私達が頭を抱えていると偵察に行っていたスカイとフウちゃんが戻ってきた。
『空から見て来たけど、ここら近辺には本来生息している魔獣の姿しかなかったよ。』
『破壊された街や村なんかもなかったのう。警戒はしていたみたいだったけどのう、どこも被害がない様じゃのう。』
スカイとフウちゃんの言葉にホッと溜息を漏らす。
『我々の方も調べてみましたが、あれだけいた魔獣はチリチリになり、本来の生息地へと一直線に戻っていった様子です。』
『憑き物が落ちたってな感じだったぞ。本来魔獣は自分の縄張りを荒らしたりしない限りは自分達から襲うなんて事はしないからなぁー。』
ドライアドとイフリートの言葉に他の【大聖霊】や【聖獣】達が頷いていた。
じゃ~どう言う事??
私とお兄ちゃんが首を傾げていると、契約した魔獣達が遠慮気に話しかけて来た。
《あ、あのう。多分なんですが...》
『なんだ。はっきり言え。』
おどおどしながら言葉を発する魔獣達にあたりキツく言葉をかけるドラしゃん。
「もう!ドラしゃん。優しくしてあげて。ごめんね。何かなぁー?わかることがあるなら教えて?」
私が頬っぺたを膨らませてドラしゃんに注意して、怯える魔獣達を宥めていると今度はドラしゃんが不貞腐れてしまった。
しかし、今はこの訳の分からない状況を少しでも理解できる言葉が欲しかったので、ドラしゃんのご機嫌取りは後回しにした。
私が笑顔で魔獣達に声をかけると、まだ怯えながらも話の続きを答えてくれた。
《あ、あのう。多分なんですけどね。あれだけ濃く充満していた主人達の"匂い"が今は全くと言っていいほどしないんです。》
《かなり"匂い"が薄れたと言うか、契約した我々のみに感じられる"匂い"に変わったと言った方がいいのだろう。》
《そうだね。契約する前に香ってた"匂い"と今香っている"匂い"が違うんだよね。》
《そうそう。そうだよ。契約するまでは濃厚で、鼻の粘膜にこべりついてのがない!って感じの"匂い"だったんだけど、今香っているのは、透き通ったほんのり甘い香りでしっかり嗅いでないと消えそうな感じの"匂い"だよね?》
《そうそう。それそれ。まさにそれ!"匂い"が濃すぎてとれないもんだから、原因を知りたくって"匂い"を辿って来たんだよなぁー。》
《そうよね。中には不愉快そうにして怒り狂って、ひとに八つ当たりしてくるヤツもいたぐらいだからね。》
《だ、たから、"匂い"がなくなったから他の魔獣達は本来の自分に戻ったんだと思う。》
《そんでもって、我にかえり住処へ帰ったんだと思うぞ。》
《まぁ~あくまでも、我々の考えであってそうなのかは知らないけどね。》
魔獣達の言葉を聞きながら【大聖霊】や【聖獣】達、ムキじぃーちゃんやドラしゃんは自分達の頭の中で出来事と彼らの言葉を比較して考えを纏めている様だった。
私とお兄ちゃんはと言うと、必死に自分の体を嗅いでいた。
"匂い"って...。気になるじゃない。
しかし、いくら嗅いでも魔獣達の言う"匂い"が分からなかった。
するとだ。
『なるほど。私達がお嬢様やアキラ様から感じる"オーラの波動"がお前達にしたら"匂い"にあたるのだな。
それなら納得いく話だ。』
と、ドラしゃんはどうやら先程の内容で考えが纏まり納得がいった様だ。
しかしそれはドラしゃんだけでなく、ムキじぃーちゃんも【大聖霊】達や【聖獣】達も同じだった。
分からないのは私とお兄ちゃんのみの様だった。
リン:
匂いって!やばい!
お風呂に入ってるのに!!
アキラ:
リン!僕臭くない?!
リン:
クンクン。だ、大丈夫よ!
ねぇ~私は?
アキラ:
クンクン,大丈夫だよ!
リン・アキラ:
良かったぁー
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