異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-49 警備隊も新しくなり、南側の街での最後の食事を

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 いつの間にかできていた訓練場。
しかしそれは、警備隊の人達がカシムじぃーちゃんにアドバイスを貰って自分達で作り上げたものだった。

良く見ると手作り感満載の道具たち。
建物も急拵え感が満載。
それでも一生懸命作った感があって私は好きだ。

何よりこの訓練場ができたことにより彼らの体が少しずつだが引き締まっていて、ザッ!漢って感じがして内心私はほくそ笑んでいた。

実は私最近になって知ったんだけど、筋肉マッチョな男性が好みのタイプであることを。

もちろん1番の好みはフワモコだ!!これは絶対に譲れない!!

最初はそれなりに身体が整っているかなぁ?って感じの人達だったのだが、カシムじぃーちゃんが来て本格的に訓練指導を開始してから体形がかなり変わったのだった。

バランスの取れた肉体の上に引き締まった体付きに。
何より雰囲気的に安心感が備わって来たのだ。

最初の頃はこの人達大丈夫なのかなぁ?って感じから、守ってもらえそうに変わったのだ。

まぁ~あくまでも私の主観なんだけどね。

でも、よく見ていると彼ら自身の顔つきもかなり変わってきていて、自信に満ち溢れている。

「リンさん!カシム隊長!!皆さんのお陰で私達自身がつきました。
何より安心して仕事に集中できるようになりました。」

「人も増えましたし、何より仕事形態がはっきりして割り振りもしやすくなりましたし、警備員同士の縦と横の繋がりが以前より強くなりました。」

「安心して家族を養ってやれます!」

「この仕事につけて俺!彼女と結婚ができました!」

「両親を呼んで一緒に暮らせる様になりした!」

「「本当にありがとうございます!」」

警備隊の人達に囲まれて一斉にお礼の言葉とお辞儀を貰ったときには本当に嬉しかった。

私達は慌てて皆に頭を上げる様に伝えた。

「ちょっと!やめてくださいよ!そんな事される様なことしてないですって!」

「この程度でお礼とはなぁー。まだまだ指導し足りないのだが...まぁ~前に比べたら全然サマになっているから大丈夫だろう。時々抜き打ちで見に来るからサボるなよ!」

「「はい!!」」

警備隊の人達はそれぞれまだお礼の言葉を言いながらも持ち場に戻って行った。

残ったのは隊長と副隊長だ。

私達が街に戻るまでに最終的な話をするために残ってもらっていた。

「どうだ?なんとかなりそうか?」

カシムじぃーちゃんが質問すると隊長と副隊長は苦笑いを浮かべていた。

「ええ、まぁ~なんとか。」

「ただ、以前より人が増えた分どうしようかな悩んでいる所なんです。」

話を聞くと人が一気に増えた分中々伝達事項が全員に行き渡りにくくなったそうだ。

それをどうしたものかも悩んでいるとか。

するとお兄ちゃんがボソッと...。

「人が多いなら幾つかのグループに分けたらどうですか?
グループに分けるのも、ちゃんと経験や脳力バランスを整えてわけるんです。
で、グループのリーダーを作って伝言をリーダーに伝えて、リーダーから他の隊員達に伝えてもらうのはどうでしょうか?」

お兄ちゃんの言葉に隊長と副隊長は笑顔を浮かべる。

「おっ!いいな!その案。そういや俺の所もそうしてたな。忘れてたわ!」

豪快に笑うカシムじぃーちゃん。

私達は苦笑いを浮かべるしかなかったが、お兄ちゃんの案は即採用された。

カシムじぃーちゃんにも隊員達の情報を見てもらいグループ分けをする事に。

「そうだな。元冒険者の連中やそれなりの経験のある奴をリーダーにする方がいいだろうな。あと、サブも付けてやるといい。
サブはできたらリーダーとは違う性格の奴の方がいいぞ。」

カシムじぃーちゃんの言葉に隊長と副隊長は互いの顔を見合わせてクスッと笑いながらメモをとっていく。

「確かに。同じ考えや価値観の人ですと、間違いが起こった時に気付きにくかったり指摘をしなくなったりするからね。」

「そうですね。あえて性格の違うもの同士を使うことにより多少のトラブルはあるかもしれませんが、それが個々の成長に繋がることもありますからね。」

どうやらお互いの事を考えていたかの様な口ぶりに、聞いていた私達も思わずニヤニヤしてしまった。

そんな中ドラしゃんが何かを思い出したように呟き出す。

『まるでロドムカとスティールミの様ですね。似てる様で似てない生活ですからしょっちゅう衝突してますしね。
だからといって大きなトラブルを起こすわけでもなく、周りの人間の成長にも繋がってますし互いの闘争心を燃やす燃料にもなっえますよね?』

その言葉を聞いてルミばぁーちゃんが、ムッとした表情を浮かべる。

「お黙り!私らの事はどうだっていいんだよ!
確かに合わない奴が側に居るのはストレスだけどね、案外そんな奴の意見が助けになったりするもんだ。
何より上に立つものならどんな奴とでもやってける様な器がないと駄目だね。」

ルミばぁーちゃんの言葉に今度はパーティーメンバーが呟き出す。

「それならリンは最適だよね。どんな人とでも直ぐに打ち解けるし。」

「確かに。俺たちのリーダーは無敵だよな。」

「そうですね。勝てる相手がいませんからね。」

「そうそう。リーダーの鏡ですよ。」

「そうですね。でも、リンちゃんみたいな子はそうそう産まれませんよ。奇跡みたいな存在ですからね。」

「確かにだな。しかしよ、リンみたいなのばかりだと、食糧確保が大変だぞ?」

「あーー。」

「ちょ!何よ!私そんなに食べてないわよ!」

せっかくいい感じに話が進んでいたのに...最終的には私を揶揄って!!
皆馬笑いながら話をするのだが私的には不本意だ!!

私達のやり取りを隊長達も笑いながら見ていた。

そのあとも暫く話し合って最終的にはリーダーに元冒険者や警備経験の豊富な人にしてサブにリーダーの人材とは少し毛色の変わった人を付けることにした。

全部で約百組のグループを作りそれぞれに約十人ずつ隊員を割り振った。

意外にも時間がかかったが人一人一人の情報を確認して、実際その人と話をして決めて行った。

リーダーもサブもそれぞれ年齢も性別も様々。
今回警備隊には女性の人も増えたからだ。

男女差別をせずに個々の脳力や人柄を見ての人選となった。

「とりあえずこんなものだな。明日には全員に話して来月から本格的にこれで動ける様にしておけよ。」

「はい!ありがとうございます。」

「本当に何から何までお世話になります!」

「皆んなでいい警備隊を作り上げて下さいね!」

「「はい!」」

この日、日が暮れるまで警備隊の宿舎で話し合いをして宿へともどることにした。


 南側の街の冒険者ギルドも商業ギルドも警備隊や他の店々も私達が訪れた時より数段と良くなった。

店やギルドの雰囲気が変わっただけでなく、失業者も減り活気が上がったのが一番いい傾向だ。

今までは固定の職につかずその日暮らしをしている人が多かったのだが、就業規則や賃金の見直しを大々的に行ったことにより就職率が向上したみたいで、街全体がより活気に溢れてきた。

何より警備隊がしっかりと起動する事により街の治安が良くなり子育て世代が安心して生活できる場所になっていったのだ。

「もう大丈夫そうだね。」

「そうだね。あとは皆が頑張るしかないしね。」

「俺たちの出番は暫くないだろうよ。」

「アサくん達はここ二日ほどカシムじぃーちゃんに連れられて警備隊の訓練指導に参加してたもんね。」

「参加どころか私達も一緒になってしごかれましたよ。」

「死ぬかと思ったぁー。」

「何を言っとるか!あの程度でねをあげてどうする!帰ったらしごきなおしだな!」

「「「「げっ!勘弁してよ!」」」」

カシムじぃーちゃんにそう言われて半泣きになるお兄ちゃん達。

楽しく?談笑していたら朝食の買い出しに外へ出ていたドラしゃんとラミィお兄ちゃんが戻ってきた。

「楽しそうだね。」

『食材買って来ました。今すぐ支度をしますのでお待ちを。』

ドラしゃんはそう言うとこちらの返事を聞く前にキッチンへと向かっていたのだった。

ここで食べる最後の朝食。
手持ちの食材を使ってもいいのだけど、この街の特産品を使った料理が食べたいと言った私のお願いを聞いて朝早くからドラしゃんとラミィお兄ちゃんが食材を買い出しに行ってくれていたのだった。

朝早くって日の出前によ?!

店開いてるの?って確認すると、どうにでもなりますと笑顔で返事をして買い出しに行ったのが凄かった。

しかもちゃんと袋五つ分しっかり買い物して帰ってくるあたりが凄いのだけどね...。

どの店で購入したかはあえて聞かずに待つ事にした。

帰宅準備は前日の晩に済ませてあるからあとは朝ごはんを食べてギルドに挨拶をするだけとなった。

ドラしゃんがキッチンに入って五分もしないうちに朝食が完成した。

この街特産品であるココナ(ココナッツみたいな大きな木のみ)とパリルー(アロエみたいな植物の葉っぱ)を使用したサラダとスープに、ホホムギのパンにココナアイスにカフィッシュ(魚)のフライがテーブルに並べられた。

みんな揃って朝食を食べる。

「相変わらずあんた器用だね。」

「スゲェ~いい匂い!」

「腹減ったぁー!」

「私もです!」

「美味しそう!」

「あ!アイスまである!!ヤッタァー!!」

「リン!野菜も食べるんだぞ!」

「リンはなんでも食べるから大丈夫ですよ。」

「「「「確かに!」」」」

「失礼ね!もう!そんな事言うと皆んなの分も食べるわよ!」

「「「「駄目!」」」」

『まだまだありますから大丈夫ですよ。』

「じゃーみんな揃って!」

『「「「「「「いただきます!」」」」」」』

ドラしゃんが作ったものはどれも美味しかった。
特産品と言うだけあって味もかなり美味しい。

同じ品を作っているのに料理によって味合いが変わって不思議だった。

黙々と食べ進めて、余分に作ってあったものも全部完食した。

ほぼ私一人で食べたのにはルミばぁーちゃんもカシムじぃーちゃんもかなり心配したがお兄ちゃん達が平然としているので驚いていた。

「リンはよく食べるのう!しかも食べるわりには太ってないし。」

「たしかに。子供の頃もそれなりに食べていたけど、ここまで食べてはいなかったでしょう?」

「へへへっ。全然太らないのよ。なんかね【大聖霊】いわく魔力補給のために食べてるんだって。食べた分すべて魔力に還元されるから太らないんだって。凄いでしょう?!」

私の言葉に皆は絶句する。

お兄ちゃんと魔力量が多い方だが私ほどは食べない。
それはお兄ちゃんが魔力コントロールが上手なのもあるが、それほど魔力の消費をしないからだ。

でも私は無意識下で魔力を使っている事がほとんどなので常に魔力補給が必要らしい。

だから食べて魔力補給をおこなっていると教えてくれた。

「確かにこの世界の食べ物には多少なりとも魔力を備えてますからね。理論としては成立しますが...それでも...ねぇー...。」

「ああ。食う量が半端ないぞ。若い頃の俺より食ってるぞ。リンは。」

「へっ?」

『でもこれだけ綺麗に食べてくださると作る側としては嬉しい限りですよ。』

私達がそんな話をしていると部屋のドアがノックされた。

調べてみるとギルマスだった。

「はーい!いま開けます!」

私はそう言ってドアを開けるとやはりギルマスが立っていた。

「よっ!おはようさん。」

「おはようございます。もう少ししたらギルドに行こうと思ってましたの。どうしたんですか?」

私がそう言うとギルマスが言いにくそうな表情をしていた。

「そんな所で立ち話もなんだ。中に入れてやれ。」

カシムじぃーちゃんにそう言われて私はギルマスを部屋へ招き入れた。

ドラしゃんはすかさずお茶の準備を。

空いている椅子にギルマスを案内して話を聞く事にした。

「少し言いにくいのですが...。」

出し渋るギルマスにカシムじぃーちゃんがはっぱをかける。

「どうした。隠し立てしても仕方がないぞ。言ってしまえ。」

「はい。実は...。」

こうしてギルマスが話してくれた内容は頭が痛くなる様な話だった。

今回南側の街で行った私達の事が他の街にも知れ渡った様だ。

別に知られて困る事ではないのだが、どうやらどの街もそれなりにトラブルを抱えているらしく、急ぎ自分達の街にも来て欲しいと私達に直接依頼を出して来たそうだ。

しかもその依頼はこの街のギルドに早朝届けられたと言うのだ。

「皆さんが一度中央の街にお戻りになるとお伺いしていましたので、どうしたものかと思いまして...。」

大きな体を小さくしながら話すギルマスの姿があまりにも哀れなのと、私達がこのままでは中央の街に帰れないと言う事に皆んなで大きな溜息をついたのだった。










リン:
ドラしゃんの料理っていつも美味しいよね♪

ドラしゃん:
ありがとうございます。

リン:
ドラしゃんって作れない料理ってあるの?

ドラしゃん:
そうですね...今の所は思い浮かびませんね。

リン:
凄い!また美味しいのお願いね^ ^

ドラしゃん:
もちろんです^ ^



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