異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

文字の大きさ
204 / 219
第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-51 家に戻って

しおりを挟む
 南側の街から中央の街への道のりはドラしゃんや魔獣達の頑張りのおかげで1日...もかからずに移動することができた。

もちろん【大聖霊】達も力を貸してくれた事により大幅に時間短縮で帰って来れたのだ。

なんと!中央の街に着いたのはお昼過ぎ。この日、門番をしていたラディじぃーちゃんもあまりにも早い帰宅に驚いていたけど凄く喜んでくれた。

街に入ると大騒ぎ。
私達の帰還に皆で出迎えてくれたのだ。

特にいつメンは泣いて喜んでいた。
両親も珍しく仕事を中断して会いに来てくれた。

「心配してたのよ。でも良かったわ。」

「ああ。元気そうで何よりだ。」

「こ、今度はワシがついていくからな!!」

「俺もだ!!」

「ワテもや!!心配で...。」

大の大人が嗚咽混じりに泣く様は少し怖かったが、そこまで心配されてるとは思わなかったのでかなり嬉しかった。

ロドじぃーちゃんの発案でこの日の夕食は街の広場で大宴会を行う事に。
食料品は持ち寄りだけど皆大賛成していた。

「今日は皆んな!残業なしで切りあげろよ!!」

ロドじぃーちゃんの言葉に皆はおーー!!と声を上げてそれぞれ持ち場へと速やかに散っていく。

私達も宴会に参加するため一度それぞれの家に帰る事にした。

「じゃー晩に広場で!」

「ああ。」

「わかりました。」

「遅れないでくださいね!」

「もちろんよ!」

私達は一度解散してそれぞれ帰路に着いた。

ルミばぁーちゃんはギルドへ。
ラミィお兄ちゃんは守護する森へ。
カシムじぃーちゃんは兵舎へ。
ドラしゃんは私とお兄ちゃんと一緒に家へ。

それぞれ夕刻には広場で会うと約束して別れたのだ。

家に帰ると私とお兄ちゃんはある場所へと直行した。

行った先は...。

「ああ~いい湯だわぁ~。」

「そうだね。家のお風呂が一番だよねぇ~。」

私とお兄ちゃんと向かった先は我が家にある大浴場。
旅先ではシャワーしかなかったのでゆっくり浸かりたかったのだ。

お風呂はもちろん南側の街にもあるのだけど...お風呂の浴槽は小さいのでゆっくり足を伸ばしてつかれない。

だからずっーとシャワーだけで我慢していたのだが...それも限界に来ていたので少しでも早くお風呂にはいりたかったのだ。

私とお兄ちゃんはドラしゃんが呼びに来るまでのんびり大浴場で楽しんだ。

大浴場には【聖獣】達や魔獣達も呼んでみんなでお風呂を満喫した。

「ヨシ!皆んな並んで!洗っちゃうわよ!」

「お前達こっちにおいで!宴会までに綺麗にしておこう!」

私とお兄ちゃんの呼びかけにそれぞれの契約【聖獣】と魔獣達は一列に並んでシャンプーを待つ。

本来ならお風呂に入ると言う事はしないのだが、私達がお風呂のことを楽しく話すので彼らも興味津々になっていた。

【大聖霊】や【聖獣】達は以前にも何回か一緒にお風呂に入った事があるので抵抗なくはいってくれるのだが...。

魔獣達は初めての体験となるため一番最後にしたのだが、大きな体を小さくして怯えた感じで待っているのにはおどろいた。

《あんなに水を浴びて?!》

《なんなんだ?!あの泡は?!!なんの攻撃だ?!》

《なぜあ奴らは平然としているんだ??》

《それどころか自ら腹を見せてるではないか?!》

彼らは先に私とお兄ちゃんに洗われている【聖獣】達の姿を見て不思議そうにしている。

不思議そうにしていながらも尻尾は丸まっている。
水が苦手な子はいないが、水浴びをする習性はない子達ばかり。

私とお兄ちゃんは【聖獣】達を全て洗え終えると魔獣達の方を見る。
【大聖霊】や【聖獣】達を洗うときに使うシャンプーは特別仕様だ。

サクラちゃんとドライアド、ウンディーナに協力して貰って作った専用のシャンプーなのだ。

だが、魔獣達はそれを使って洗うと何がおこるかわからないので、南側の街に滞在中に魔獣達専用のシャンプーを密かに開発しておいたので、それを使うことに。

ベースは動物専用のシャンプーなので問題はないと思う。
私達の前いた世界で使われている物を参考にしている。

魔獣達と契約したときに両親から話を聞いてドラしゃんの協力を得て調べておいたのだ。

「シャワンの実(石鹸みたいに泡立つ木のみ)とジャスミンとフルルリの実(保湿効果のある木のみ)とカモチリルの葉(ダニや蚤など皮膚に寄生する虫除けの葉)を使った物だから大丈夫よ!」

「本当に大丈夫かなぁ??」

「だって、ウメちゃんで先に試してるからね!問題なかったでしょ?」

「まぁ~ねぇ~。」

このシャンプーは南側の街で完成したので、その時、アサくんの契約魔獣であるウメちゃんで効果を試している。

梅干しをウメちゃん専用に特別に大きめの壺一杯に作ると約束して、試しにシャンプーさせて貰ったけど、その効果は問題なかった...。

と言うか、ある意味予想以上の効果が出たのだった。

「全体の毛艶が良くなっただけでなく、身体能力が向上するシャンプーなんて...これ、ルミばぁーちゃん達に見つかったら怒られるよ?」

「そう?どちらかと言うと商品化されそうだけどね??でも、ウメちゃんかなり綺麗になってたから問題ないよ!」

私が満面の笑顔を向けて話すとお兄ちゃんは大きな溜息を吐きながら渋々とそのシャンプーを使う事にしたのだ。

「ヨシ!じゃー頑張るか?!」

「さすがお兄ちゃん!!」

私はそう言って隅の方で縮こまっている魔獣達の方を見つめて準備を開始する。


 私とお兄ちゃんは魔獣達専用のシャンプーボトルを用意して準備を整える。

そして、隅で縮こまっている魔獣達を見つめて私とお兄ちゃんは目で合図をして 二人一緒に魔獣達に近づいていく。

「さぁー今度は君達の番だよ。」

「大丈夫。気持ちいいからね。」

私とお兄ちゃんが笑顔で声をかけると魔獣達は恐る恐る近寄ってきてくれた。

私とお兄ちゃんは1匹ずつ丁寧に洗っていくことに。

初めましてのお風呂なので怖がらせないよう音を立てないようにゆっくりとお湯を流していく。

お湯の温度は気持ち温めにしてかけていく。

「大丈夫?」

「怖くないだろう?」

私達の声かけに魔獣達は頷きながら返事をくれた。

《気持ちがいいよ。思っていたのより怖くないし。》

《確かに。いい感じに擦ってくれているから気持ちが良い。
これなら毎日してほしいぞ。》

彼らの言葉に私とお兄ちゃんは嬉しくなり洗う作業にも熱が入っていく。

それに何より彼らの様子を見て他の魔獣達も怯えより楽しみ感が強くなったようで、目を輝かせて今か今かと待ち構えている。

その期待に応えるべく私とお兄ちゃんは頑張っていく。

次々とシャンプーを終えて、気付いた特には皆の毛がふわふわのキラキラになっていた。

私とお兄ちゃんは魔獣達全員洗ったのでまた汗だくになり、再度自分達もシャンプーし直してゆっくりお湯に浸かって楽しんだ。

どうやら頑張ってシャンプーした結果、魔獣達もお風呂が好きになった様で、それぞれ各々にいつの間にかお風呂を楽しんでいた。

そろそろお風呂から出ようかな?って思っていると脱衣所よりドラしゃんの声がした。

『お嬢様。アキラ様。そろそろ出ないと宴会に間に合いませんよ?』

「えっ?!!もうそんな時間?!」

私とお兄ちゃんは思わずそう声を上げるとドラしゃんの笑い声が聞こえてきた。

『ええ。もうそんな時間ですよ??いつもより長風呂されましたね。』

私とお兄ちゃんは慌てて皆に声をかけてお風呂から上がって脱衣所へ。

ドラしゃんにも手伝ってもらい全員乾かしながら、自分達も着替えるのだった。

私とお兄ちゃんの着替えはちゃんとドラしゃんが用意してくれていたのだが...。

「えっ??ドラしゃんこれ着るの?」

「マジですか?」

私とお兄ちゃんの声にドラしゃんは満面の笑顔でもちろんと答える。

『ええ。久しぶりにお二人の衣類の整理をしていたら懐かしくなりましてね...。昔はよく着てくださったのに最近はサッパリでしょ?ですから。
あっ!ちなみにそちらには疲労回復魔法をかけてますから着ると疲れがとれますよ?』

魔獣達の毛を風魔法を使って乾かしながら話すドラしゃんを見てると私とお兄ちゃんは嫌だと言えなくなり、素直に用意してくれた服を着ることにした。

ちゃんとサイズも手直しされており着やすいし、何より着ると全身の疲れが一気にとれていく。

服を着替え終わると私とお兄ちゃんもドラしゃんの手伝いをして【聖獣】や魔獣達を乾かしていく。

乾かし作業をしながら思ったのだが...。

「お兄ちゃん。あのシャンプーやばくない!!めっちゃ毛がふわふわだよ?!」

私の反応に対してお兄ちゃんも同じ反応していた。

「そうだね。めちゃくちゃふわふわだ。あのシャンプー、もう少し量産しないとだね。」

私達の会話にドラしゃんもくいついてきた。

『おや?南側の街で密かに作っていた物の効果なのですか?』

ドラしゃんの言葉に私とお兄ちゃんは素直に頷いた。

「そうそう。試しに使って、ウメちゃんに使ったら羽毛がふわふわの艶々になったでしょう?」

『ええ。確かに。その後、美味しそうに梅干しを食べていたのが印象的でしたけどね。あの種の魔物は塩辛いものが苦手なはずですのに。』

「えっ?!そうなの?ウメちゃん普通に食べてたよ?!」

『ええ。ですから印象的でした。よほどお嬢様が作られた梅干しが美味しかったのでしょうね。』

ドラしゃんの言葉に私は嬉しくなった。

「でもお母さんの梅干しにはまだまだほどお遠いわ。」

『それは、年季が違いますからね。』

「それは違いないね。僕達が生まれる前からかお母さんは梅干しをつくってるからね。」

お兄ちゃんは苦笑いしながら喋っていると外からお父さん達の声がした。

「リン!アキラ!置いていくぞ!」

「いつまでお風呂に入ってるの?!のぼせるわよ!」

二人の声に私とお兄ちゃんは更に慌てて皆んなの支度をした。

「はーい!もう出て着替えてるから先に行ってて!」

「ドラしゃんと後から行くから!」

私とお兄ちゃんの声に両親はやれやれと言った感じで返事を返してくれた。

「それなら父さんと母さんは先に行ってるからな。」

「遅れない様にね。」

「「はーい!」」

私達の返事を聞くと両親は下へ降りて行ったや様子だった。

私とお兄ちゃん、そしてドラしゃんはフル回転で皆んなを乾かしていった。

「ヨシ!皆んな乾いたわね!」

《こんなふわふわになったの生まれて初めて!》

《自分じゃないみたいで気持ち悪いなぁー。》

魔獣達はふわふわの艶々になった自分達の姿に驚きながらも私とお兄ちゃん、ドラしゃんにお礼をいって影の中に入って行ったり、体を縮小化して邪魔にならない大きさに変わっていったのだった。

「じゃーそろそろ宴会場に行きますか?」

「そうだね。」

『では行きますか?』

こうして私達はどんちゃん騒ぎになるであろう宴会場へと向かうことにしたのだった。






リン:
皆んな毛がふわふわ♪

アキラ:
気持ちいいよね?!

リン:
あのシャンプー凄いね!

アキラ:
うん!匂いもいいし!

リン:
他の動物用にも開発してみる?
売れるかなあ?

アキラ:
それいいね^ ^








しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

処理中です...