異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-55 特別編 ガジム国王編②

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 これは子供の頃のある日にガジム国王と過ごすことがあった。

それは...いつものように私達の住む街で同盟国全ての幹部の人達が集っての話し合いを行っていた時のこと。

会議室に急な伝令が来て、サイスン国王が自国に急遽戻ることになった。

どうやらかなり大きなトラブルがあったようでサイスン国王が必要とのことで、会議を抜けることに。

サイスン国王は自分が不在でも会議をするようにと言っていたが、内容的にサイスン国王も必要とのことで、一度会議を中断することにしたのだった。

そのため、集まっていた同盟国の幹部の人達はサイスン国王が戻ってくるまで私達の街で過ごす事に。

しかもなぜか...ガジム国王は私達の家に泊まりたいと言い出したので、急遽迎え入れる事となった。

会議でのやり取りで慣れた相手だが、お客様として迎え入れたことはなかったため両親は大慌て。

ガジム国王は普通にしてくれたらいいと言っていたが、相手は一国の王様。

ムキじぃーちゃん達と同じ扱いをするわけにはいけないのだと両親は思っているので張り切っていた。

そんな両親とは裏腹に私とお兄ちゃんは普通にガジム国王と家で過ごす。

「ガジムじぃーちゃん?」

「リン!だめだよ!国王様ってつけないと!」

「はははっ!かまんぞ!ガジムじぃーちゃんか!いいなぁー!リン、アキラ。
お前達だけ、その呼び名で呼ぶ事を許すぞ。」

ガジム国王はじぃーちゃん呼びした私を怒ることもせず、逆にじぃーちゃん呼びを受け入れてくれた。

そして、私とお兄ちゃんの頭を優しく撫でてくれたので私もお兄ちゃんもテンションが上がり完全にじぃーちゃん呼びで定着してしまった。
(後で私達がガジム国王をじぃーちゃん呼びしているのを聞いて両親は卒倒したのは...ハハハ。)

両親とドラしゃんとでガジム国王が休める部屋の準備や食事の準備をしている間、私とお兄ちゃんとで家の中を案内することにした。

それこそ初めてじぃーちゃんが家に遊びに来た孫如く張り切ってガジム国王の手を二人で引っ張りながら案内した。

「こっちこっち!」

と言って小さな両手でガジム国王の大きな手を一生懸命引っ張る私とお兄ちゃんの姿を見てガジム国王はデレンデレンとなっている。

知らない人が見たら孫を溺愛する祖父のごとく...。

今思えば、小さな私達に合わせて腰をかがめて歩くのがキツくなったのだろう。

最終的にはガジム国王の両肩に私とお兄ちゃんがそれぞれ座って案内する構図に変わってたけどね。

それで家の隅から隅まで案内した。

ガジム国王が案内された中でも一番気に入ってくれたのが...大浴場だった。

「凄いなぁー!!是非入りたいぞ!」

と興奮気味に言うのでご飯が終わったら一緒に入る事を約束した。

一通り家の中を見て回って帰ろうとした所、ドラしゃんが迎えに来てくれた。

『これはこれは。ガジム国王。申し訳ないです。お嬢様、坊ちゃま、こちらへどうぞ。』

迎えに来たドラしゃんがガジム国王の肩で座っている私とお兄ちゃんの姿を見て驚きながらも自分の方へくるように促すが、それをガジム国王がやんわりと断った。

「できるのであれば、最後までこいつらを私が運ぶぞ。案内頼む。」

ガジム国王にそう言われてドラしゃんは渋々引き下がり、私達をリビングまで案内する。

リビングに着くと、両親が腕によりをかけて作った料理がテーブル一面に並べられている上に、いつのまにかムキじぃーちゃんやロドじぃーちゃんに..って、いつメンが勢揃いしていた。

皆んなそれぞれ手土産を持参して来ているし...。

それを見て驚くガジム国王にドラしゃんがしれっと説明をする。

『家も近いのでだいたい夕食にはこのメンバーが揃うんですよ。』

間違いはないが...そう日に日には来ないよね?と私とお兄ちゃんは思ったが...黙っておくことにした。

ドラしゃんの話を聞いてガジム国王は"仲がいいのは良きことよ!"と言って大笑いする。

私とお兄ちゃんを肩から床へと降ろしてそれぞれの席へと向かった。

ガジム国王は上座に。
その近くに私とお兄ちゃんは座ってあとはいつもの順番に席につく。

席に着くとロドじぃーちゃんが乾杯の音頭をとり楽しい夕食会がスタート。

見た目無骨そうなガジム国だが、意外にも小さな子供の扱いが上手で自分もご飯を食べながらも私やお兄ちゃんのご飯の面倒まで見てくれた。

隣に座っていた両親やドラしゃんが自分達が居るから大丈夫ですと言ってもガジム国王は気にするなっと言って私とお兄ちゃんの面倒を率先して見てくれたのだ。

同盟国の国王の意外な一面をみた皆んなは驚きつつも彼と同盟を結んで良かったと思ったに違いない。

何せガジム国王の表情は、普段自分達が私達に向ける表情を浮かべて楽しそうに世話をしていたからだ。

皆んなそれぞれ満足いくまで飲み食いしたあとは、和気藹々と談笑してそれぞれ家路に着いた。

私とお兄ちゃんは約束通りガジム国王と大浴場へ。
もちろんドラしゃん付き。

両親は食事の後片付けをするからと言ってリビングに残った。

ガジム国王も片付けを手伝うと言ったが、両親が断固拒否した上に眠そうに目を擦る私の姿を見たので渋々引き下がり私達と大浴場へと向かったのだ。

大浴場に着くと忍び寄っていた眠気が遠のき私とお兄ちゃんはお風呂モードに入った。

ガジム国王はそんな私達を見ながら微笑みながらも脱衣の手伝いをしてくれた。

本当はドラしゃんがやると言ったのだけど、ガジム国王が自分がするといって引かなかったので、ドラしゃんがおれたんだよね。

お風呂に入る準備が整うと私達はガジム国王と大浴場への扉を開く。
もちろん背後にはドラしゃんも控えている。

一瞬湯気が襲ってきたが...湯気が遠のくとそこには我が家自慢の大浴場が。

私とお兄ちゃんは見慣れているが、ガジム国王は初めての大浴場に驚いて入り口で固まっていた。

私とお兄ちゃんはそんなガジム国王を残していつものように自分専用の桶と椅子を置き場より取ってそれぞれの定位置に持って行く。

その姿を見てハッと我に戻ったガジム国王は急いで私達の元へと移動する。

ドラしゃんはやれやれと言った感じで溜息を吐きながら入り口のドアを閉めて私とお兄ちゃんの元へ向かう。

私とお兄ちゃんからお風呂の入り方を聞いてガジム国王は私達と同じ様にオケと椅子を取ってきて私とお兄ちゃんの間に座った。

ドラしゃんはもちろん私の横に鎮座する。

全員が揃ったら私は自慢げに説明をする。

「じゃーね、リンがおしえてあげる!まずはこれをさわるの。そしたらじゃーっておゆがでるの。」

私は目の前の蛇口の上にある魔石に手をかざしてお湯を桶に入れて行くのをガジム国王に実践しながら教えると、ガジム国王は微笑みながら私がした様に実践してくれた。

「ほう。これは凄い!」

私はガジム国王の反応をみて嬉しくなりさらに気合を入れて教えていく。

「あとね、このタオルをおけにいれて、ぬらしたら、このボトルのそばにタオルをもっていって、プシュッってするの!」

私はそう言いながら教えると、横で聞いていたお兄ちゃんが訂正を入れてきた。

「リン!その前に身体を濡らさないと!桶にお湯を溜めたらこうやって体にかけるんです。それからタオルを濡らして、身体用のクリームをタオルにつけて体を洗うんです。
身体用のクリームが入ってるのは白色のボトルで、水色と緑は頭用です!」

「あっ!お兄ちゃん!ぜんぶいっちゃだめ!リンがおしえるの!」

私がほっぺたを膨らませてお兄ちゃんに抗議するとガジム国王は笑いながら宥めてくれて、自分の身体を洗う前に私の身体を洗ってくれた。

これには流石のドラしゃんも黙ってられなくなったようで、やんわりとお断りの言葉をガジム国王にいい、私を自分の膝の上に移動させた。

ガジム国王はそんなドラしゃんの態度に怒りもせずに苦笑いを浮かべて、それならと言ってお兄ちゃんの身体を洗い出したのだ。

皆それぞれ身体を洗ったあとは、頭を洗って綺麗になってから浴槽の方へ向かった。

我が家の大浴場には沢山の種類のお風呂を完備している。

泡風呂、水風呂、バブル風呂、柚子風呂、炭酸風呂、熱湯(に近い)風呂、露天風呂、足湯、岩盤浴、サウナなど。

全てお母さんのリクエストで作ったのだけど、どれもおすすめのお風呂だ。

お風呂の種類の多さにはガジム国王は驚いていた。

「お前達はこれだけのお風呂を全て入るのか?」

ガジム国王の言葉に私とお兄ちゃんは首を傾げた。

「僕達は全部は入れないです。見て下さい。こうやって僕達が入れないものもあるんです。」

お兄ちゃんはガジム国王の手を引いて、注意書きがされているのを見せた。

熱湯(に近い)風呂、岩盤浴、サウナ、泡風呂の壁にはドラしゃん手書きの注意書きが貼られている。

それを見てガジム国王はなるほどって納得していた。

「わたしね、このおふろがすきなの。」

私はガジム国王の手を引いて柚子風呂の方を案内した。

「おっ?!これはいい香りがするのう!よし!ここに入るか!」

ガジム国王はそう言うと私とお兄ちゃんを抱き抱えて柚子風呂へと入っていった。

もちろんドラしゃんも一緒だ。

「これはいいのう...。ワシの屋敷にもこの風呂が欲しいのう。」

「ならお父さんに言ってください。ここ、お父さんとドムじぃーちゃんとで作ったので。」

「そうか!なら、お前達の父君にはなしをしてみるかのう。」

ガジム国王がそう言うと満面の笑みを浮かべたドラしゃんが対応しだす。

『ガジム国王、それでしたら商業ギルドを通して頂けるとありがたいです。
実はユウダイ様はかなりの人気がありまして、他にも仕事を抱えてます。仕事の調整の都合もありますので。
あと、詳しい見積もりとかの話もあるので宜しくお願いしますね。』

そう言うとガジム国王は分かったと承諾してくれたのだった。

こうして、私達はたわいもない話をしながらお風呂を楽しんだ。

私とお兄ちゃんが水風呂でオモチャを使って遊んでいる間に、ガジム国王は他のお風呂を堪能していた。

なかなかお風呂から出てこない私達を心配して...と言うか、片付けを終えた両親もお風呂に合流し、いつもより長めにお風呂に入って過ごした。

ガジム国王はお風呂に入りながら父さんにお風呂の建設の依頼をお願いしていた。

もちろん詳しい内容等に関しては商業ギルドを通して改めてお願いするといっていたけどね。

私とお兄ちゃんはお風呂で遊び疲れていつの間にか寝ていた様で、お母さんとドラしゃんとで後処理をしてくれていた。

濡れた髪も乾かしてくれて、パジャマにも着替えさせてくれていた。

そして、ちゃんとベッドまで運んでくれていたのだ。

ガジム国王はその光景を見て私達の両親に、

「この街...いや、国だな。本当に平和だな。ワシは国王って言う立場にあるから、妻や子供は常に危険との隣り合わせだ。
こうやってゆっくり風呂に入る事もできないし、ましてやああやって無防備に眠りにつくことすらできない。
だが、お前さん達と関わって...と言うか、お前さん達のおかげでこの世界は大きく変わってきた。
ワシの国もその影響を少なからず受けておる。ワシは無理だが、せめて子供らぐらいはリンやアキラみたいに安心して暮らせるようにしてやりたいとおもっておるんだ。」

ガジム国王の言葉に両親は驚きながらも笑顔で頷いていた。

「私達で協力できる様なことは協力します。子供達はいつまでも笑顔で平和に過ごして欲しいものですからね。」

「親はそう思うのが当たり前ですよね。自分達はともかく、せめて子供だけでも。それは、私達も同じなので協力は惜しみませんわ。」

両親の言葉にガジム国王は頭を下げたのだった。

その日は私達が眠った後も、大人達だけでお風呂後にお酒を飲みながら盛り上がった様だった。

私とお兄ちゃんが朝起きてきた時には...
ご想像通り、二日酔いで顔色悪くした大人達がリビングで伸びていたのだ。

ちなみにドラしゃんは私とお兄ちゃんと一緒に寝たので問題なしだったのだ。





















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