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第二章
謝罪と再会3『アレはアレ』
しおりを挟むテックアート家の屋敷は玄関の扉からしてなんかすごかった。
年季の入った重厚な木の扉に手の込んでそうな緻密な文様が刻まれてたりして、荘厳さ? っていうのが漂っていた。
俺に芸術は理解できないから、一言で言えば結局のところすべて『なんかすごかった!』で終わるわけだが。
屋敷に入っても入り口から正面の階段までまっすぐ伸びた高級そうな赤い絨毯や、天井に吊るされた煌びやかなシャンデリアがお出迎えしてくる。
別に欲しいとは思わなかったが、どれもこれも迫力があるとは感じた。
廊下の途中に飾ってあった絵画・調度品の類も見る人が見れば唸る一品なのだろう。
俺には価値がちっともわからんけど。
応接間らしき部屋まで通されると、スタントンはレグル嬢に俺が来訪したことなどを報告すると言って下がっていった。
『など』と言ったのは、恐らくディーゼル君の打ち首のこともあるからだろう。
言葉に含まれた裏の意味を知るとなんか嫌な気分になるよな。
その後の応対は近くにいたメイドが引き継いだ。
メイドは米俵のようにリュキアを担いだ俺を見ても眉一つ動かさなかった。
それどころか笑顔で対応してきた。
さすがだな、こういう揺るがないプロフェッショナルさは尊敬したくなる。
腰かけることを勧められたソファもやはり細々とした加工がなされていて、これまたいいお値段がしそうだった。
「グレン様、紅茶でございます」
リュキアをソファの隣に転がし、ソファのクッション性を堪能していると、メイドから熱々の紅茶を出された。
ズズッと一口、うん美味い。
これもいい茶葉使ってんだろうな。
領主のところで味わったやつより数ランク上じゃないかな?
知らんけど。
「これは美味い。ありがとう」
「勿体ないお言葉です」
感謝を述べると、メイドは朗らかな表情で答えた。
だけど、いつの間に用意したんだ?
部屋にはティーセットもなかったはずなのに……。
ふと見ると、彼女の隣にティーワゴンがあった。
彼女はずっと同じ部屋にいたよな?
……これは気にしたらいけないことかもしれない。
ちょっとだけ落ち着かない気持ちになりながら、俺はレグル嬢がくるのを待った。
数刻後、レグル嬢はエヴァンジェリンを伴って部屋に訪れた。
レグル嬢は派手ではないがふんわりとした装飾のついた白いドレスを着ていた。
エヴァンジェリンは変わらず鎧姿。
久しぶりだな、二人とも。
なんか焦ってるみたいだけど、どうしたの?
「当家の騎士が無礼を働いたそうで、大変申し訳ありませんでした!」
会うなり、レグル嬢とエヴァンジェリンは頭を深く下げてきた。
ああ、そのことで畏まってたのか。
「別に気にしなくていいですよ。俺も門壊しちゃいましたし。それにアレはアレ、レグル嬢はレグル嬢ですから」
リュキアに倣って俺もロクでもないやつをアレ呼ばわりしてみる。
意外とスカッとするなこれ。今度また嫌なやつにあったときに使ってみよう。
「そ、そう言っていただけると助かります……」
レグル嬢は恐縮しまくりながらも、ゆっくり表情を和らげていった。
まったく、ディーゼル君のせいでせっかくの再会が慌ただしくなっちまったぜ。
今度会ったら嫌味でも言ってやるか。
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