大地のためのダンジョン運営

あがつま ゆい

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大地のための旅

第65話 目撃情報

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「ふーむ……」

 ソルは配下のラタトスクが集めてきた情報をまとめた報告書を読んでいた。
 そこには魔王デイブレイクに関する目撃情報が記載されていた。その量や質からするとどうやらデマ情報ではなく本当にいるらしい。

「この情報、本当の事なのか?」
「噂話も含まれていますので信憑性としては100%の保証はありませんが、それでもある程度は信憑性のある情報をまとめています」
「そうか、分かった。引き続き調査を頼む」
「ハッ」



 ソルは配下のラタトスクにそう指示して引き続き調査を依頼するが、頭には疑問符がくっついたままだ。
 ……なぜだ?

 魔王デイブレイクは確かに自らこの手で殺したはず。なのになぜ生きている? 倒したのは影武者なのだろうか? いやそんなことは無い。
 人間を辞めたとはいえ、相手は自分の祖父。一応は血の繋がっている相手を見間違う事は無いし、他人のなりすましだったらすぐ分かる。

 あるいは倒したのが本物で今いるのがそれを知らない影武者、なのだろうか。
 いや、本物が倒されたら真っ先に速報が入るはずだし、そもそも魔王が影武者を立てる意味が、あるだろうか?
 疑問は晴れない。大きな謎は謎のままソルの頭の中で転がり続けている。



「生……先生……先生!」
「!!」

 そばで呼ばれているのに気づかなかった。ソルはレナの方を振り向く。

「先生、ここ最近険しい顔ばかりしてますけど大丈夫ですか? やっぱり魔王デイブレイクの事が気になってしまうのですか?」
「……まぁな。なぜアイツが生きてるのかいくら考えても分からなくてな」

 普通はこういう所ではウソでもいいから「大丈夫だ」と言って心配をかけないものだが、一応は相手は自分の妻であるがゆえに素直に不安を口にする。
 夫婦での隠し事は不和の始まり。仲の良かった両親が口グセのように言ってたのでそこは見習って守っている。



「先生が気になって仕方ないっていうのも分かりますけど、気にしたところで何にもならないじゃないですか。
 いくら悩んでも答えが出ない事を悩んだって1歩も進めませんよ。それよりは建設的なことをして進めさせた方がいくらかマシだと思います」
「……かもしれないな」

 どうやらレナはレナなりに悩んでいるソルに対して手助けをしたいらしい。
 それはとても有難い事だと素直に受け取る。夫婦たるのも2人3脚で助けたり助けられたり、という人生だからだ。

「気晴らしに酒場でも行こうか」
「ええ。それと最近お酒の量増えてますよ? 飲みすぎは身体に毒ですから程々にして下さいね」
「分かってるさ。きちんとした酒はこういう機会でしか飲めないからな。錬成部屋で出せる酒は味気ないからなぁ」



 時刻は夕方。一行は酒場に寄った。

「魔王デイブレイク、ねぇ。そういえばどこかの国で倒されたっていう噂話は聞いてるが、何かあったのか?」
「いや、魔王がいるっていう情報を聞いてね。どうしたものか知りたくてさ。今日はエールを頼む」
「あいよ。少々お待ちいただけますかな?」

 マスターは奥に引っ込み、酒を持ってくる。

「お待ちどうさま。そう言えばアンタ、確かソルさんだね? アンタを探してる人がいるってよ。ちょっと呼ぶから待っててくれ」
「俺に客? まぁいい。誰だ?」

 ソルの質問に答えるよりも早く、マスターは彼を探しているという人を呼んだ。その人は……。



「おお! ソル! レナ! こんなところにいたのか!」
「レイラか! 久しぶりだな」
「イリーナさんも! お元気そうですね」

 レイラとイリーナの姉妹である。相変わらず姉妹仲良く冒険者をやっているようだ。

「レイラ、俺に会いたい。って事は何かあるんだな? 回りくどい話は無しに教えてほしい」
「ああ、いいだろう。魔王デイブレイクが再び現れたそうだ。噂じゃ隣の地域にダンジョンを構えているそうだ」
「!!」

 ラタトスクの調べでは目撃情報がある。とは聞いていたが、ダンジョンを構えているという新情報が飛び込んできた。



「……ウソじゃないだろうな? 魔王デイブレイクなら俺たちが退治したはずなんだが」
「それが分からんのだが……とにかく魔王デイブレイクが再び現れた、っていうのは本当の事らしい。このように賞金もかかってる」

 レイラはそう言って手配書を見せる。

 賞金首:魔王デイブレイク
 賞金額:大金貨2枚と金貨7枚
 備考:生死問わずDead or Alive


「奴と戦うにはお前たちの協力が欠かせない……頼む。報酬は山分けするから討伐に協力してくれないか?」
「もちろん。協力しよう」

 魔王デイブレイクが関わっているというのなら助力は惜しまない。当然のように討伐に参加する事になった。
 この後、予想外な出来事に出くわすのだが、ソルはそれをまだ知らない。
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