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大地のための旅
第66話 ……弱すぎる
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ソル達がレイラ・イリーナ姉妹と出会った翌日、一行は朝に町を発ち魔王デイブレイクのダンジョンへと向かった。
移動に半日を使い、ダンジョンについたのは夕方。初回なだけあってお試しという形で潜ることになった。
が、ダンジョンは出来立てなのか単純な造り。防衛のための召喚獣もおらず、また罠の類も無かったため拍子抜けするほどあっけなく最深部へとたどり着いてしまった。
「来たか」
最深部で待つのは、ソルによく似た若い男。だが服装が古式ゆかしい古いものでそこから違和感を漂わせている。
間違いない、とソルは確信していた。目の前にいる男はかつての自分の祖父であり、彼の娘、ソルの母親の命を奪って魔王になった「魔王デイブレイク」だ。
「また会ったな爺ちゃん、いや魔王デイブレイク」
「また会った、か。確かに久しぶりだな、ソル」
ソル、レナ、イリーナは武器を抜いて身構え、レイラは拳を握り、ドラとゴンは爪を相手に見せて威嚇するように構える。
「6対1でも文句言うなよ」
「……」
それを見た魔王デイブレイクは「剣を抜いて」襲いかかってきた。
「!?」
魔王デイブレイクを討伐しに来た一行はそれに「強烈な違和感」を抱く。
前に戦った際には自動攻撃を加える8本の蜘蛛の足を出す『蜘蛛の構え』を使ったはず。なぜそれを使わない?
戸惑う、と言うよりは「拍子抜けする」と言った方が正しいが、相手に悟られないよう戦いに臨む。
『火鼠の構え』
レイラは『火鼠の構え』で自らの拳に炎を宿らせる。同時に肉体を活性化させて普段以上に動きのキレが冴えるようになる。
「ハァア!」
レイラは拳の連打を魔王デイブレイクに叩き込む。相手は剣でガードしてはいるが手一杯なのだろう、背中ががら空きだった。
ボトッ
突如魔王デイブレイクが剣を握っていた右腕がダンジョンの床に落ちた。血が噴き出て激痛が走る。
「何が起きた!?」魔王はなぜそうなったのかが、まるでつかめていなかった。
周囲の人間の認識を狂わせて気配を完全に消せる『虚無の構え』で存在を隠したソルが彼の背後に回り込み、右腕を切断したのだと気づくのは大勢が決した後の話だ。
腕が落ちた後、魔王はレイラの拳の連打をまともに食らってしまう。彼女は『炎拳のレイラ』というあだ名が付くほどの実力者。
殴られた箇所が胸だったら肋骨がへし折れ、顔面だったら顔の骨が砕ける程のダメージだ。
「ぐうっ!」
痛烈な打撃に魔王デイブレイクは思わず後ずさりをしてしまう。
態勢を立て直しまずは剣を拾いなおさなくては。と思い駆けようとするが、剣に手が届くことは無かった。
ソル同様『虚無の構え』で存在を隠したレナが彼の首を切断したからだ。
前のめりになった胴体が崩れ落ちて床を転がり、首の上もボトリと床に落ちる。
戦いは拍子抜けする位あっさりと終わった。ソル側は負傷らしい負傷もせず「完勝」と言っていいくらいのもので、あまりにもあっけなさすぎる幕切れだ。
「おい魔王デイブレイク、なぜ『蜘蛛の構え』を使わないんだ? 詳細を話してくれたら見逃してやってもいいぞ」
「……何の事だ? あいにく何も知らんのでね」
「!? 何だお前、自分の事さえ分からないのか!?」
剣の先に首を突き刺した状態で魔王デイブレイクの首を運ぶソルは彼と話をする。
『蜘蛛の構え』を使わないことに対し「何の事だ?」と答える魔王……おかしい、明らかに何かが根本的におかしい。
だが何故そのような事になるのかがその時のソルには分からなかった。
その後もソルは問い詰めるが相手との会話が全く持ってかみ合わない。話を聞いていると、かつてソルのダンジョンを乗っ取ったことさえ、全く覚えていないという。
……なぜだ?
結局謎は謎のままだった。もっと情報を聞き出したかったが日没が迫っていた以上時間が無く、仕方なく沈みつつある日光に浴びせて相手をチリに変えた。
「魔王デイブレイクって言ったら、確かあれだ『蜘蛛の構え』とか言ったな。アレを使わなかったのはなぜだ?」
「分からん。正直俺にもよく分からん」
レイラの問いかけにソルは正直に「分からない」と答えるしかなかった。
「ソルさん、相手がニセモノとか影武者っていうのは考えられますか?」
「それは無い。相手は間違いなく魔王デイブレイクだ。人間は辞めちまったけどかつては俺の祖父だったから、間違えることは絶対にない。血の繋がりって奴だ」
イリーナの案をソルは否定する。
確かに奴は魔王デイブレイクだった。影武者でもニセモノでもない本物、かつてとはいえ自分の祖父だった、間違えるはずがない。
でも過去の出来事を覚えていないようだったし、何より『蜘蛛の構え』を使わなかったのは、なぜだ?
その後、冒険者ギルドに魔王デイブレイクを倒した証拠として彼が着ていた服や持っていた装備品を提出し、賞金をもらったが疑念は晴れなかった。
移動に半日を使い、ダンジョンについたのは夕方。初回なだけあってお試しという形で潜ることになった。
が、ダンジョンは出来立てなのか単純な造り。防衛のための召喚獣もおらず、また罠の類も無かったため拍子抜けするほどあっけなく最深部へとたどり着いてしまった。
「来たか」
最深部で待つのは、ソルによく似た若い男。だが服装が古式ゆかしい古いものでそこから違和感を漂わせている。
間違いない、とソルは確信していた。目の前にいる男はかつての自分の祖父であり、彼の娘、ソルの母親の命を奪って魔王になった「魔王デイブレイク」だ。
「また会ったな爺ちゃん、いや魔王デイブレイク」
「また会った、か。確かに久しぶりだな、ソル」
ソル、レナ、イリーナは武器を抜いて身構え、レイラは拳を握り、ドラとゴンは爪を相手に見せて威嚇するように構える。
「6対1でも文句言うなよ」
「……」
それを見た魔王デイブレイクは「剣を抜いて」襲いかかってきた。
「!?」
魔王デイブレイクを討伐しに来た一行はそれに「強烈な違和感」を抱く。
前に戦った際には自動攻撃を加える8本の蜘蛛の足を出す『蜘蛛の構え』を使ったはず。なぜそれを使わない?
戸惑う、と言うよりは「拍子抜けする」と言った方が正しいが、相手に悟られないよう戦いに臨む。
『火鼠の構え』
レイラは『火鼠の構え』で自らの拳に炎を宿らせる。同時に肉体を活性化させて普段以上に動きのキレが冴えるようになる。
「ハァア!」
レイラは拳の連打を魔王デイブレイクに叩き込む。相手は剣でガードしてはいるが手一杯なのだろう、背中ががら空きだった。
ボトッ
突如魔王デイブレイクが剣を握っていた右腕がダンジョンの床に落ちた。血が噴き出て激痛が走る。
「何が起きた!?」魔王はなぜそうなったのかが、まるでつかめていなかった。
周囲の人間の認識を狂わせて気配を完全に消せる『虚無の構え』で存在を隠したソルが彼の背後に回り込み、右腕を切断したのだと気づくのは大勢が決した後の話だ。
腕が落ちた後、魔王はレイラの拳の連打をまともに食らってしまう。彼女は『炎拳のレイラ』というあだ名が付くほどの実力者。
殴られた箇所が胸だったら肋骨がへし折れ、顔面だったら顔の骨が砕ける程のダメージだ。
「ぐうっ!」
痛烈な打撃に魔王デイブレイクは思わず後ずさりをしてしまう。
態勢を立て直しまずは剣を拾いなおさなくては。と思い駆けようとするが、剣に手が届くことは無かった。
ソル同様『虚無の構え』で存在を隠したレナが彼の首を切断したからだ。
前のめりになった胴体が崩れ落ちて床を転がり、首の上もボトリと床に落ちる。
戦いは拍子抜けする位あっさりと終わった。ソル側は負傷らしい負傷もせず「完勝」と言っていいくらいのもので、あまりにもあっけなさすぎる幕切れだ。
「おい魔王デイブレイク、なぜ『蜘蛛の構え』を使わないんだ? 詳細を話してくれたら見逃してやってもいいぞ」
「……何の事だ? あいにく何も知らんのでね」
「!? 何だお前、自分の事さえ分からないのか!?」
剣の先に首を突き刺した状態で魔王デイブレイクの首を運ぶソルは彼と話をする。
『蜘蛛の構え』を使わないことに対し「何の事だ?」と答える魔王……おかしい、明らかに何かが根本的におかしい。
だが何故そのような事になるのかがその時のソルには分からなかった。
その後もソルは問い詰めるが相手との会話が全く持ってかみ合わない。話を聞いていると、かつてソルのダンジョンを乗っ取ったことさえ、全く覚えていないという。
……なぜだ?
結局謎は謎のままだった。もっと情報を聞き出したかったが日没が迫っていた以上時間が無く、仕方なく沈みつつある日光に浴びせて相手をチリに変えた。
「魔王デイブレイクって言ったら、確かあれだ『蜘蛛の構え』とか言ったな。アレを使わなかったのはなぜだ?」
「分からん。正直俺にもよく分からん」
レイラの問いかけにソルは正直に「分からない」と答えるしかなかった。
「ソルさん、相手がニセモノとか影武者っていうのは考えられますか?」
「それは無い。相手は間違いなく魔王デイブレイクだ。人間は辞めちまったけどかつては俺の祖父だったから、間違えることは絶対にない。血の繋がりって奴だ」
イリーナの案をソルは否定する。
確かに奴は魔王デイブレイクだった。影武者でもニセモノでもない本物、かつてとはいえ自分の祖父だった、間違えるはずがない。
でも過去の出来事を覚えていないようだったし、何より『蜘蛛の構え』を使わなかったのは、なぜだ?
その後、冒険者ギルドに魔王デイブレイクを倒した証拠として彼が着ていた服や持っていた装備品を提出し、賞金をもらったが疑念は晴れなかった。
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