大地のためのダンジョン運営

あがつま ゆい

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大地のための旅

第68話 防衛システム

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 ダンジョンへの道のりは「ハイキング」と言えるほど気軽なものではなかった。
 町を発ってから森の中を獣道を頼りに進み、歩き続ける事1時間。ようやく目的地にたどり着いた。
 方位磁石と地図が無ければ確実に迷子になっているであろう山林の中に、狩人が偶然見つけたというダンジョンの入り口が開いていた。
 誰も潜ったことのない未踏の地というのもうなづける。

「ここからが本番、ですね」
「ああ。レナ、何があるか分からんから気を付けるんだぞ」
「先生と一緒なら大丈夫ですよ」

 一行はダンジョンの中へと入っていく。山歩きで火照ほてった体にダンジョン特有のひんやりとした空気はある意味心地いい。



「待ってくれ、地図を引き出す。10秒ほど待ってくれないか?」

 ダンジョンに入ってすぐ、ソルは壁に手を当て「ハッキング」を仕掛けて地図を引き出し始めた。
 すぐに「ハッキング」は成功し地図を描き始めた。

「先生、どうでした? うまくいったみたいですけど」
「何か、妨害しないんだよな。セキュリティの堅さはそれなりだけど管理者がいなくて対策をしてこないって感じで妙だなぁ」
「たまたま主が留守にしてた、とかじゃないの?」
「だといいけど」

 軽く話をしながら地図を描いていった。
 途中までは1本道で、そこを抜けると奥に複数の部屋が固まっているという構造だ。普通に考えれば、奥にお宝が隠されていると言っていい。



 1本道の途中にあった部屋はすべて生産部屋。大地のマナエネルギーを増幅して活性化する他、ダンジョンの部屋を動かすエネルギー源としてもつかわれる。

「へぇ、結構エネルギーが貯まってるじゃねえか。これだけでも十分な収穫だな」

 エネルギーをマナ結晶という形で取り出し、トレジャーハンターの冒険者は大満足。しかしこれは冒険者を満足させて追い払うための「おとり」だ、本命はこの奥にある。一行は歩みを進める。
 奥へと通じる部屋とつながっている、1本道最後の部屋。そこにそいつらはいた。

 身長は大人の男と同程度で、身の丈に達するような大ぶりの刀を持った木製のゴーレム5体が一斉に視線をダンジョンへの侵入者一同に向けた。
 その獲物はたとえドラゴンの鱗でも当たり所によっては大けがはまぬがれない「恐るべき」凶器だ。

「……お友達になろう、ってわけじゃあ無さそうだな」
「そうだな。来るぞ!」

 戦闘が始まった。



虚無きょむの構え』

 ソルは『虚無きょむの構え』で気配を消しゴーレムの背後に回る。
 が、突如グルリ! と相手の頭が回り、背後にいた彼を見ると同時に持っていた大ぶりの刀で斬りつけてきた!
 幸い避ける事が出来て当たらなかったが……。

(やはり『虚無きょむの構え』は効かないか……)

虚無きょむの構え』はあくまで「対生物」の術。人造生命体であるゴーレムにはやはり無効なようだ。



 切っ先を避けると同時にソルが相手の首を斬ると、まるで人間が首を斬られたかのように、胴体がプツリと糸が切れた操り人形のごとく動きを止め、バタンと床に倒れ込む。

「首だ! もしくは頭を狙え! そこが弱点だ!」
「は、はい!」
「「ガァア!」」

 ソルは仲間に敵を倒すコツを教えた。



 ドラは熱を圧縮した超高温のブレス、というよりは空気の塊を口から吐き出す。それは「かすっただけで」皮膚が焼けただれるような代物。
 ドラゴンの特権とでも言える「鉄すら溶かす」程の強力な武器だ。
 そのブレスがゴーレムの脳天に直撃する! 当然タダで済むわけがない。頭部の機能は直撃を受けた瞬間に失われ、相手はその場に倒れ込んだ。



 ウルフェンは倒した敵が落とした武器を拾い、渾身の力を込めてふるう。それはゴーレムにとっても致命傷だったようで、木製の胴体をたった一振りで両断する。
 相当な筋力が無ければできない芸当だが、人狼という人並み以上に肉付きの良い種族であること、それに歴然の戦士で数えきれない実戦で鍛えられた彼であることがそれを可能にした。

 ソル一行が手練だったのもあって、ゴーレムたちは次々と沈黙していく。やがてソル達が戦いに勝利した。



「ふう。さすが魔王を倒しただけある。アンタいつでも勇者やれるぜ?」
「誉め言葉として受け取らせていただくよ」
「それと、前から聞きたかったんだけど、アンタらダンジョンマスターなんだろ?」
「!!」

 ソルとレナの顔が一瞬ピクリ、と反応する。

「大丈夫大丈夫、内緒にしとくよ。せっかくのお宝を手に入れるチャンスなんだからな。その辺のサービスはしっかりしないとバチが当たるからな」

 冒険者はウインクしつつ気さくに語ってくれた。とりあえずは一安心、と言ったところか。
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