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お荷物テイマーだけどテンプレ通り最強になってざまぁします

あとがき

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 読者の皆様方、こんなヘンテコな作品に最後までお付き合いいただき、まことにありがとうございました。
 今回は正直ウケ狙いで書いたものでこういうのが好きで、書きたくて書いたわけじゃありません。人気取りのために書きました。
 なので精神的にすごくきつかった。

 何というか本作は例えて言うなら「デビューして以来J-POPを書き続けた作曲家が急に『演歌を作ってもらいたい』という依頼を引き受けてしまい、
 リテイクを繰り返し締め切りに追われながら必死で作った『演歌っぽい何か』」とでも言えばいいでしょうか?



 きっかけは2020年秋アニメで「エタニティ 深夜の濡恋ちゃんねる」(濡恋ぬれこいってなんだ……いまだに謎)っていうのを知ったこと。
 これは12本のWEB小説が原作で、1話で原作1冊を消化するというまぁ豪勢なモノでした。
 それを知って「これで追放系を12作集めてアニメ化出来ねえかな? 読者なんてどうせザマァ後は見ないし作者も書きたくないだろうし」と思って書いたのが今作です。



「追放ものは必ず2回キモチイイ箇所があるし簡単に書ける」って言われているけどこれは本当の話。

「追放前では気づかなかった能力に目覚める」という第1の快楽と「追放した相手が落ちぶれる所を見て「ザマァミロ」と言う」第2の快楽の2回保障が強いし、
 最初で読者を「怒らせて」後でその怒りを解消することで「スッキリ」するという構造も極めつけに強く「鉄板」と言ってもいい位受けが良い。
 人を怒らせるのは、泣かせたり喜ばせたりするよりも格段にラクだから書きやすいのだ。

 実際、なろう以外でもドラマでは「半沢直樹」が大ヒットしたし、まとめサイトも怒りを覚えさせる記事=管理人の編集になっているのもそのため。

 加えて「勧善懲悪」という点でも、主人公を追い出した奴にバチが当たるのも、主人公自ら罰をくらわすのもこれまた「鉄板」と言ってもいい位ウケが良くて強い。
 なろうではあまりにも安直に、インスタントに快楽を追求しすぎていて品が全くないのは承知の上だが、まぁウケ続けるにもそれなりの理由があるんだよな。

 実際、私が書いた小説の中では結構受けが良くて結構PV伸びたんですよね。



「なろうは悲惨な人生を歩んでるオッサン作者とオッサン読者のもの」「『残酷描写』というのは『作者と読者の人生の描写が残酷』という意味」と言いますが、
 私は比較的まともな人生を歩んでいるので「理性で理解」は出来ても「感情で共感」は出来ない、に落ちない部分が多々あります。

 こんなもの(自分で作っといて「こんなもの」とは暴言だが)にすがらなくてはいけない位追い詰められているわけではありません。一応は「粛々しゅくしゅくと大人をやって」います。
 だって作っといてこんなこと言うのもアレですが、これ本当にウケるのか? って常に疑問でしたから。



 正直今回のお話は「毒」だと分かって作っていたので、精神衛生上かなりよろしくない時期が長かったですね。
 何度も連載を途中で投げ出したくなる時期も随分とまぁ長かったこと長かったこと。
「ファストフード店にドレスコートやテーブルマナーなんていらない」のと一緒で「早いうまい安いで腹が膨れればそれでいいんだ。栄養面とかどうでもいい!」っていう人向けと割り切って書いておりました。

 さすがに同じジャンルが複数続くと「本当に面白いのか?」と疑問に思ってしまって「お荷物テイマー」なんていう変化球というよりは顔面狙いのデッドボールを投げたくなってしまうのですが。



 あとから見返すとまぁ酷い箇所は多々あります。

 例を挙げれば「天界の掃除人」の主人公も書いてて「こいつすげえ嫌な奴!」と思いながら書いておりました。
 立場が変わると態度を急変させるなんて「仕事では上司相手にヘコヘコ頭を下げてるのに、コンビニで買い物すると店員に横暴な態度をとってうさ晴らしするカス」以外の何物でも無くて、俺がこの世で一番嫌いな奴そのものです。
 なろう読者がざまぁするためだけに、わざとあんなセリフを吐かせ(てしまい)ましたが、もう少し大人の対応は出来ないのかとは思いましたよ。

 同作のギルド長には何度も何度も「お前には損な役回りをさせてしまって本当にすまない。我慢してくれ」と本当に何度も何度も頼み込みましたよ。



 他にも、宝石娘の話では「強くてかわいくてエッチが大好きでどんなプレイでもOKなマスターにとことん尽くす女の子」とか、フェミじゃなくてもキレていい案件だと思います。

 そもそもハーレム物って人間はまず「平等に愛する」ことができないし、女の側も男の目から見えてないだけで裏では嫉妬とか呪詛とかとんでもないことになってるはずなんだが……。
 そういうところを見ないでハーレムだとか言ってるのは、オタクの童貞臭すげえなとは思うのだが。



「閃きと見切りで異世界を征服する」では、主人公を勝手に召喚しといて身勝手な理由で殺せと命じるとか、あまりにも自己中心的で傲慢にもほどがあるだろっていう話ですし、
「これはいじめじゃない、しつけだ」とか「いじめなんかしていない。利子を付けて借りを返してるだけ」とか「これは爆薬ではない、救済の粉だ」とか暴力を暴力以外の言葉で書き換えるのも相当ヤバいと思います。
 いじめの加害者が相手とはいえ足の骨をブチ折っておいて「実にNICEナイスな叫び声だな」とか言い出すのは読者の欲望を満たすためとはいえ正直イカレてるとは思う。



 そもそも追放ものって「なぜ追放される前にゴミスキルが神スキル(安易に神の名を使うのは神の名を汚すことになりかねんと思うが……)になる」と誰も気づかないんだ?
 歴史上の人物の中にスキルの秘密に目覚めて英雄になった。っていう話は吟遊詩人の格好の商売道具なのになぜその話がどこにもないのか?
 そもそも「なぜ追放されるタイミングで都合よくスキルが開花しなくてはいけないんだ?」という根本的な問いに答えられないんですよね……。

「そうしたほうがウケが良いから。少なくともなろうジャンキー達においては」としか答えようがないんですよね。
 一応は「ハズレスキル「会話」は実はダンジョンと会話して仲良くなれる最強スキルでした」の話では
 過去に「会話」スキルの真の力に気づいたギウ=ミューシャという英雄がいて、もっともらしく見える理由でその能力をだれにもばらさずに隠し通して死んだってことにしたんですが納得できたでしょうか?



 あと全部のお話で敵、かみ砕いていえば「ざまぁされる側」の書き込みが「いかにもなろう臭い」安直、インスタント、即席めんみたいな
 紙みたいにペラッペラな出来だったりするので「読んでる連中はこんなので本当に満足できるのか!?」と常に疑心暗鬼状態でしたが。

 それに設定にもかなりのアラがあって、例えば「雨男と砂漠の国」では主人公を外国の大使館勤務にして、
 必要に応じて帰国させれば別に追放しなくてもいいんですが、それをせずに追放するってのはどうかと思う。周りはなぜフォローしなかったのか。



 昔は「どいつもこいつもトラックにかれて死んで異世界転生してばかり」なんて馬鹿にされていたジャンルでしたが、まさか「あの頃よりも」酷くなるとは思ってなかった。
 もしかしたらあと10年くらいしたらさらにひどいのが流行って「追放ものが流行ってた頃はまだよかった」ってなるかもしれんが。
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