呪殺王と読心姫 ~疎まれ者同士が一緒に歩むことになりました~

あがつま ゆい

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第21話 自称デニスの両親

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 その日の午前中は、デニスはカレンと一緒に謁見をしたいという人たちと会う予定を入れていた。

「陛下。陛下の両親だと名乗る男女がいるのですがいかがしましょうか?」

「またか……まぁいい、とりあえず顔だけは合わせる。通してくれ」

「ハッ!」

 兵士は待機していた自称デニスの両親を連れてくるためいったん引っ込んだ。



「デニスさんは確か養子としてアランドル家に入ったと聞いていますが本当の御両親って……」

「俺は教会に預けられた、っていうか押し付けられた孤児だったんだ。形見の物は一切なかったから本当の親は今どこで何をしているのかもわからない。
 そもそも親が『本当に人間であるかどうかも分からない』んだよ。魔物の血が入ってるかもしれない。
 今回もどうせ各地を転々とする詐欺師さぎしだろうよ。今年に入ってこれで3件目だ」

 カレンとデニスが話をしている間に兵士に連れられた男女が彼らが言うには息子と邂逅かいこうする。
 2人はデニスとは明らかに似ていない顔つきをしていた。パッと見た感じ、とてもじゃないが親子には見えない。



「あなたたちがデニスさんのご両親らしいですね。なんで捨てたんですか?」

「仕方なかったんだ! 不作でデニスを養う余裕すらなかった! 生きてくためには捨てるしかなかったんだよ!」

「デニス! 母さんたちの事恨んでいるのは承知の上で言うけど、それでも私たちはあなたの親だから!」

「それ、本当の事ですか?」

「もちろんだとも!」

「当然よ! 本当の事しか言って無いから!」

 自称デニスの両親はカレンからの問いかけにそう訴えるが、彼らにとっての息子であるデニスは聞く耳を一切持たなかった。



「カレン、あいつらの本心はどうなんだ? 「はい」か「いいえ」のどっちだ?」

「……2人とも「いいえ」ですね」

「やはりそうか……お前ら、偽物だな」

「!?」



「……あなたたち嘘をついてますよね? 私には全てわかります」

 カレンが冷酷に切り捨てる。嘘を見抜く能力をここぞ、とばかりに全力で使う。

「あなたたちはデニスさんの親を偽って何かしらの資金やコネを融通してもらうためにやってきた……そうなんですよね?」

「!! 違う! 俺は本当にデニスの父親なんだぞ!?」

「そうよそうよ! デニスの事をおなかを痛めてまでして産んだのは私なんだから!」

(2人とも「はい」か。息をするように嘘をつけるのって詐欺師っていう職業はある意味すごいわ)

 2人はとっさにそう言うが、カレンの能力には全く通用しない。すぐに嘘をついていることが嘘る。彼女の表情が度重なるウソで険しくなっていく。



「言っておきますが、私に嘘は通用しませんよ? あなたたちは嘘をついているし、さっき言った話も全部嘘ですよね?
 嘘をついてるかどうかなんて私には全部わかりますから、嘘をつくのは無駄な抵抗ですよ? だって私は「エドワードの魔女姫」なんだから」

「……!!」

 カレンによる死刑宣告にも聞こえる発言で2人は固まる。

「やっぱり嘘か。もういい! 詐欺の容疑で拘束しろ! 詳しい話を聞かせてもらうぞ」

 デニスが合図を送ると、兵士2人が自称デニスの両親を拘束する。



「離せ! デニス! 親に対してこの仕打ちはなんだ!?」

「デニス! 信じて! 私は本当にあなたの親なんだから!」

「そんな事言ってますけど本当はデニスさんの両親だなんて大嘘ついてるんですよね?」

「!!」

 自称デニスの両親は一瞬固まる。



(やっぱり「はい」か。本当に嘘ばっかりついてるのねこの人たちは)

「デニスさん、やっぱりこの人たちデニスさんのご両親では無さそうです。ああ言っていますが本心ではそうは思っていないようです」

「やっぱりそうか。そうかと思ったよ」

 その後の取り調べで、2人は各地を転々としながら詐欺を働く詐欺師さぎしであることが発覚した。
 結局罰金刑に加え広場に見せしめとして10日間さらし者にされる罰が与えられたという。



 1日の仕事を終えた2人はカレンの寝室で話をしていた。

「デニスさん、もし本当にデニスさんのご両親がいたとしたら、恨みますか?」

「……少しは、な」

 少しは、とデニスは答える。少しだけ……なのだろうか? カレンは疑問に思う。

「少し、ですか?」

「捨てられなかったらどうせ平民として人生を終えるところを、捨てられたおかげでこうやって王族になれたんだ。仲直りの握手の代わりに1発殴る程度で許してやるよ」

「……そういうものなのですか?」

「酷い過去があったってのはお前も知ってるだろ? でも過去はどうしようもねえだろ。いくら嘆いたって過去は変えられない。俺はまだ18だから未来がある。
 過去をウジウジと恨んでたらあっという間にジジイになっちまうじゃねえか」



 カレンは自分よりも劣悪な環境で育ったのに、まっすぐに育ったデニスに対し尊敬の念を抱いていた。

「デニスさん……つらい時は遠慮なく言ってください。どれだけの事が出来るかは分かりませんが、力になりますので」

「そうか……わかった。気持ちだけは受け取っておくよ。ま、夫婦ってのはお互い助け合うものだからなぁ。俺1人じゃどうしようもなくなった時は頼るから。
 まぁ、普段からなるべくそうならないようにするけどな」

 この人と結婚する事になってよかった。カレンは心の底からそう思ったという。
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