呪殺王と読心姫 ~疎まれ者同士が一緒に歩むことになりました~

あがつま ゆい

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第28話 オババ様への報告

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 初夜が明けた6月2日早朝。デニスは前日は結婚式のために翌日、つまりは今日になるまで後回しにしていたオババ様の墓参りをアレクと一緒にしていた。

「オババ様、俺は無事に結婚できました。まぁ子供が出来るのはだいぶ先になると思いますけど」

「式典での陛下の身辺警護を無事にやり遂げました。個人的にはアシュトン伯爵のシャンパン投げを事前に食い止めたのは良かったことだと思います」

 2人が特に昨日の出来事を報告している中、カレンがやってきた。



「デニスさんもアレクさんもマメですね。命の恩人っていうのなら当然そうなるでしょうけど」

 カレンは月の初めであることと、食堂にデニスの姿を見かけなかったので墓参りに行ってるだろう、と思ってやってきたのだ。

「まぁな。俺の人生における1番の恩人だからな」

「俺の恩人の恩人となれば墓参りという形で感謝するのは当然の事ですよ。実際この国に拾われてから1年前までは彼女と交友もありましたから」

 デニスもアレクも、口をそろえて「恩人だ」と言う。彼女の功績は断片的に聞いていたが、相当なものなのだろう。



「それにしても、そのオババ様っていう人でしたっけ? 確か3年前の流行り病でも生き延びたのに何でまた1年前に……?」

「ああそれか。人間って油断してると「ささいな事」で簡単に逝っちまうものなんだよ。
 3年前の城内の流行り病にかかっても生きてたのに、1年前の春に珍しく風邪を引いたと思ったら、1週間も経たずにあっけなく逝っちまったからなぁ」


 なるほどそういう事か。
 そういえばエドワード王国にいた頃、居心地の悪い城を抜け出してやってきた教会で
「木登りして遊んでる最中に木から落ちて死んだ子供の葬式」が行われていたりしてたっけ。というのをカレンは思い出していた。
 人間というのは、ふとした事で死んでしまうこともあるのだというのを知ってはいたのだが……。



「オババ様が死んだ当時はショックだったよなー。そりゃ年も年だしそろそろいつ逝っても不思議じゃなかったんだけど、もう少しだけ生きてもよかったけどなぁ」

「ですよね。いくら人の生き死には神の領域だとしても、さすがにオババ様の件は拍子抜けするくらいあっさりと逝ってしまいましたからなぁ」

「そうですか……ところでその「オババ様」って周りの人からはどう思われてました?」

 カレンは話題を変えるのと、彼女に関してちょっと聞きたかったことがあったので2人から話を聞く。彼らはこころよく話してくれた。



「そうだなぁ。前にも少し言ったかもしんないけど、普段は国内外問わない強力なコネや人脈で恐れられてたのと同時に、いざという時には頼りにされてたよなぁ。
 何せ国王ですら真正面からやりこむことが出来なかったからなぁ。本当に影の支配者って感じだな。悪い人じゃなくて本当によかったよ」

「へぇ、本当にすごい人だったんですね。なんだかあこがれるなぁ。年を取ったら彼女みたいに周りから魔女って呼ばれて、怖がられるような人間になろうかしら」

「!? なんだって!?」

「王妃様! 本気ですか!?」

「ある程度は本気よ。あくまで「ある程度」だけど」

 どうせ持っている能力ゆえに「魔女姫」と呼ばれているんだ。だったら本当に「魔女」らしく影の支配者になるのも悪くない話だ。とカレンは思っていた。



「カレン、お前変わってるなぁ。そりゃ生い立ちが普通じゃなければ目指すものも普通じゃない、ってのは感覚では分かるけどさぁ」

「王妃様に無礼を働くつもりはございませんが、陛下がおっしゃるように変わってますねぇ」

「やっぱりそう思われても仕方ないかぁ。嫌われてるのは慣れてるから案外私にとっては居心地のいいポジションかもよ? もちろんデニスさんやロロム君に悪いことはするつもりは一切ないけどね」

「……」

 デニスとアレクはお互いの目を見る。カレンがあのオババ様みたいな影の支配者と恐れられる老婆になる……? 今一つ想像ができない領域だ。
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