呪殺王と読心姫 ~疎まれ者同士が一緒に歩むことになりました~

あがつま ゆい

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第40話 来訪者

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「……そうか。やはり尻尾は出ず、か」

 ボルテアで起こった襲撃事件……国王並びに王妃を殺害しようとしたとんでもない事件の捜査報告をデニスは受けていた。
 事件の裏側にはアシュトン伯爵がいるという可能性が非常に高いとは読んではいたが、決定的な証拠は一切出てこない。
 相変わらずである証拠隠滅能力の高さはデニスですら「敵ながらもあっぱれ」と思うくらいに感心してしまうほどだ。

「分かった。引き続き調査を頼んだぞ」

「ハッ!」



 山の町ボルテアから帰ってきて3日。アランドル王家一同は王都へと帰ってきて、またいつもの日常が始まろうとしていた、その矢先の出来事だ。

「陛下! 速報です!」

 早馬に乗って伝令を届けに来た兵士がデニスに手紙を渡す。緊急事態の時に使う伝令を使ってまで伝えたいことがある、とはどういう事か?
 デニスは手紙を読んでみると、そこには普通ではありえないことが書かれていた。

「!? エドワード国王が投獄されて国の新たな王にロトエロが就いただと!?」

 確かロトエロは第2王子。いくら長男のエディが「近年まれに見るほどの大バカ者」だとしても彼は第2王子、王位はまず継げないはずである。それなのに一体なぜ?
 それにエドワード国王が投獄されただと? なぜそんなことをしなくてはいけないのだ?
 もしや……考えられる可能性の1つとして「あること」が思い浮かぶ。と同時にその「答え合わせ」が行われる。



 エドワード王国の新たなる王の誕生という一報とほぼ同時に、デニス相手に来訪者がやってきたことを知らせる報が入る。

「陛下、エドワード王国の国王を名乗る男が閣下に会いたいと言ってきています。いかがいたしましょうか? 書いてもらったサインの筆跡ひっせきからしてほぼ本人であることは間違いないと思われます」

「何? エドワード王国の王が? まぁいい。連れてきてくれ」

 速報が正しいというのなら「投獄された」という事になっている人物が馬車だと2日半、早馬に乗っても2日はかかる場所に単身で来るとなると「脱獄して着の身着のまま」で来たのだろう。
 今回の話に関して重要な証人であろう彼の話を聞くためにデニスは兵士に会わせるよう指示した。
 現れたのは側頭部に残る銀色の髪という「落ち武者ヘアー」とでも言うべき頭髪のさびしい中年の男で、結婚式で姿を見せたカレンの父親その人だった。



お義父様おとうさまですね。いったい何があったんですか? こんなところに護衛もつけずに単身で来るなんて何かあったのですか?」

「ああそうだ、とんでもない事が起きたんだ。実は……」

 エドワード国王、いや正式に言えば「元国王」は語りだした。その内容は……。

「!! ちょっと待って下さい! つまりは『クーデターが起きた』という事ですか!?」

『クーデター』エドワード元国王が語った内容は、ものすごく短くして言えば「息子のロトエロにクーデターを起こされて自分は失脚させられた」というものだった。
 骨肉の争いをした挙句、家族同士で殺し合いに発展する。なんていうのは規模の大小関係なく、古今東西よくある話。
 特に王族による身内同士で殺し合いは派手だ。



「そういう事でいい。ロトエロの奴が勝手に王を名乗って私を投獄したのだ。まぁこうして脱獄してここまでは来れたがな。
 正直「内輪もめ」で外部の助力を頼るというのは恥かもしれないが、それを承知でお願いしたい。どうかロトエロを倒すために力を貸してほしい」

「……あなたの息子をあなたや私の手で殺すことになりかねませんよ? それでもやるつもりなのですか?」

「構わない。このまま失脚したまま死ぬのはゴメンだ……何としてでも返り咲く。そうしなければ居場所はなくなる」

 カレンの父親はまだ闘志を秘めていた。それを見てデニスは彼のまだまだもう一花咲かせたい、という強い意志を感じた。

「……その、詳しい話をお聞きしたいのですが、差し支え無い内容で構いませんがお話していただけますか?」

「ああ、良いだろう。事の発端はだな……」

 カレンの父親はクーデターなどという、とんでもない事が起きてしまった事のいきさつを語りだした。
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