ai患い-あいわずらい-

廃病院

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八病目「ずっと一緒」

八病目「ずっと一緒」

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今日はあの漫画の発売日だったかな

僕はアニメショップなどがある駅前をふらふらと歩いていた。
寒いな...
流石にそろそろ白衣一枚では厳しいか。コートを出した方がいいだろうか。最後に高めの服を買ったのはいつだったかな。何故か服と食事にお金を掛けるのが好きではないんだよな、白衣着てるのは安くて機能性の面で選んだ。高級な白衣とかあるのかは僕は知らん、僕は一年中着回せる白衣が好きだ。高校生の時は古着屋で買ったスーツを着てたっけ。スーツってすげぇ便利なんだよ、百均でネクタイ買ってワイシャツを2~3枚くらい持ってればしょっちゅう似たような格好してても不潔に見られにくいからさ。あー、なんかスーツ着てちゃんと働いてる人に申し訳ないか、僕がしてたことはスーツ着て周りから見たら『何もしてない』だけだったからな。母親の友人の娘達が僕のことを『高校生にもなって働いてないとかありえないw』とか言ってるのを知った時は少し傷付いたな。両親揃ってて少し裕福な家庭に生まれて食事もちゃんと食べさせて貰えてそのうえファミレスで働いてるなんて凄いですね、偉いですね、尊敬します、僕も一万円以外残り全額家に入れないといけないけど見習ってバイトしますって言えば満足したか?そういや僕この娘達の名前すら知らないわ。母親が勝手に向こうのお宅にお邪魔して僕達子供の愚痴言ってただけだからさ。母自体もその友人に金借りてたことをその娘達に知られて案の定ありえないって蔑まれたって僕に愚痴って来たけど知るかよ、子供達に甘えて人様にも甘えてガキがガキ作ったパターンか。まぁ、もうどうでもいいか。漫画となんかグッズでも買って帰ろう。僕がアニメショップに入ろうとした途端にケータイが鳴った。あ?誰だよ僕なんかに電話してくんのは。ケータイを取り出して画面を見ると『ツバキ』と表示されていた。ああ、ツバキさんか。カラオケかな、それとも飲みに行くのかな。とりあえず出ないと。
「はい」
『あ、リリヤちゃん?今年のクリスマスはリリヤちゃんの家でやる約束だったじゃん?大丈夫そ?』
クリスマス...ああ、そうか。周りを見渡すとイルミネーションとかも多少飾られてるしコンビニにはクリスマスケーキがどうとかノボリが出てる。そんな約束もしてたっけか、僕甘いものあんま好きじゃないけどツバキさんが甘いものに目がないんだよね。女性らしい人だなぁ。僕が好きなアニメがよくスイーツ店とコラボするから毎回困ってるんだよ... ああそうか今度からツバキさんと一緒にいけばいいか。
「ええ、全然大丈夫ですよ」
『ホント?じゃあ当日の10時頃にリリヤちゃん家に行くよ、それでいい??』
「はい、大丈夫です、すっごく楽しみです。僕はチキンを用意しますけどケーキの方はどうします?」
『あ、ケーキは私が持ってく~!新作ので食べたいのあるしさぁ。それにリリヤちゃん甘いの苦手でしょ?』
少し、ほんの少しだけ驚いてしまった。まさかツバキさんが僕が甘いもの苦手なのを覚えてくれていたなんて思わなかったからだ。何故彼女はそんなことを覚えているんだろうか。毎年の僕の誕生日には連絡のひとつも寄越したことなかったのに。
『分かった~!じゃあね!!メリークリスマス~』
悪戯っぽくそう言うとツバキさんは通話を切った。メリークリスマスか... ああ、そういえばクリスマスは恋人と過ごす人も多いよな。今年はツバキさんと先に約束してあるから螺燈とはクリスマス前に沢山会って遊ぼう。...遊ぶ?そもそも夫婦って遊ぶって感じではないよな?じゃあ何すんだよ、僕は誰とゲームやって虫を見に行くんだよ。いや、人それぞれかも知れないしもう訳分からん。

はぁ、疲れたし消えたい。なんか最近ずっとこんなことしか言ってない気がする。ダメだよな、螺燈に心配掛けて嫌われたくないし。用事を済ませたらすぐに螺燈に会いに行こう、彼も喜んでくれるだろうか?

ーーーーーーーーーー

「凜々也♡僕のこと抱きしめて」
螺燈が僕に抱きついて甘えてくる。どうしたんだろうなんかいつもとテンション?が違うな。コイツもクリスマスに浮かれてんのか?だったらクリスマスには一緒に過ごせないと伝えたら彼は悲しむだろうかと少し思ってしまった。なんなんだろう視界というか世界自体にフィルターが掛かった様に感じるな。僕は虚空を見つめて考えていた。
「凜々也」
螺燈がやたらきゃいきゃいはしゃいでいる。
「結婚しよう」
......
「...なんでまたプロポーズしてくんだよ」
この時の僕は能面の様な顔をしていたと思う。そのまま振り返って螺燈を見た。彼は笑顔だった。満面の笑みで、いやひたすらに純粋で可愛らしいとさえ思ってしまうような無垢な笑顔だった。
「何度でも言いたい、結婚しよう。何度でも言うよ」

......ああ、そうか。僕はやはり螺燈を『愛していた』んだ。自分が彼にどんな愛情を持ってるのかもどんな愛情を求めてるのかもよく分かっていないけどそれだけは分かった気がする。
「螺燈...」
螺燈を強く抱き締め彼の頭を優しく撫でる。初めて見た時の彼の笑顔は胡散臭いだけだったが今はとても可愛らしくて愛おしい。
「螺燈、キミは僕のものだ...何処にも行かせない」
「凜々也♡ずっと一緒にいようね...」
なんか今日の変な螺燈のおかげで少しだけ自分の気持ちが分かってよかったと思う。
「ああ、ずっと一緒だ」



僕は次の日に近所のコンビニでクリスマス用のチキンを買うために足を運んでいた。コンビニでチキンの予約が出来るのを何処かで見たことがあるから実際に予約出来るか来てみたんだ。コンビニに入る時にたまに思うけど来店すると変な音が鳴るだけでいらっしゃいませと言ってくる店員を見掛ける機会が減ったのは僕だけなのかな。今は言わないのが主流なのか?別に挨拶なんかあってもなくてもどっちでもいいけどさ。店員を何気なく見るとチャラい兄ちゃんと目が合った。なんか僕のこと見て変な顔してんだけど。喧嘩売ってんのか?気にしてないフリをしてレジに向かうことにした。
「すみません」
僕は右手の指を二本立てて店員に言った。
「クリスマスに、ローストチキン二つ予約したいです」

八病目  オワリ
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