僕が”僕”じゃなかったら

パれっと

文字の大きさ
上 下
196 / 412
 ―――――承【2】―――――

6話「『同性だから付き合わない』のは、“当たり前”。」㊻

しおりを挟む




「…確かに、
 背骨安定してる気する。」


良太は、
目を閉じたまま、
穏やかに声を出した。


「…だろ。」

俺は、ぽそりとつぶやいて、

掴んでいた手を、
離した。





















「……今日は、


 ………ありがとう…。」



良太の横顔に、囁く。




「…久しぶりに…

 みんなとカレー食べたの

 …うまかったし…


 ……楽し…かった…。


 ……久しぶりに、


 …泊まれたのも…



  ………嬉しい…
        …し…。」





ぼそぼそ、
言葉を続けると、


良太が、
頬を緩ませるのが、見えて。




「…俺も、

 桜も、
 母さんも、
 父さんも。

 あっくんが泊まってくれて、
 楽しかったし、

 …嬉しかったよ。」


穏やかな声が、出された。




「……こうして寝てると…

 小さいとき、思い出すね。」


良太が、
懐かしむように、言って。



「…そうだな。」


俺は
そっと、

毛布の中で、左手を動かして。




 良太の右手に
 触れて、


 その手を、


  キュッと、握った。





「……こんな…風に…


   …手、

   ……握った…よな……。」






離されないように、

手に、

ギュ…と、力を入れて。


良太の手の、
ごつごつした感触と、
体温が、
伝わってきた。






良太は、
目を閉じたまま、


黙っていて。




 そっと、


  手を、








  握り返してきた。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

偽りの告白─偽りから始まる恋─

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:462

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:648

【完結】リゼットスティアの王妃様

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:39

異世界帰還書紀<外>ーーランツェ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

貴方へ愛を伝え続けてきましたが、もう限界です。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:6,139pt お気に入り:3,810

好きになって貰う努力、やめました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,475pt お気に入り:2,187

言の葉でつづるあなたへの想ひ

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:4

処理中です...