僕が”僕”じゃなかったら

パれっと

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 ―――――承【2】―――――

7話「王子の隣は、普通は“女”なんだね。」㉗ー仮ー

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 その翌日。

今日はバイトが午後からなので、
午前中に学校に来て、
劇の練習をしていた。

今日は、
司と直己がいるが、
良太や滝は、部活でいなかった。




「ラストに
 キスシーン入れることにしたって、
 昨日グループで話したじゃん?
 それで、
 その追加の台本書いたから、
 渡すね。」

大原が、来ている役者に、
台本と同じB5サイズの
印刷紙を配る。

それを読むと、
ラストシーンのセリフと流れが
書かれていた。


「へえー!花束で隠すのか~。
 なんかロマンチックだな!」

直己がキラキラした目で、
司に話しかける。

「そうだね…
 直己も追加のシーンがあるね。
 ガラスの靴をシンデレラに
 はめた王子に、
 花束を渡すって。」

「あ、ほんとだ。
 じゃあ
 渡すときの花束の角度も
 研究しなきゃだな!」

「うん。頑張れ。」

2人は相変わらず、
なんだか
ほのぼのした会話をしていた。


「凪くん!頑張ってね!」

姉3役の渡辺が、楽しそうに言ってきた。

「あ、ああ…ありがとう…。」

「ところで、この花束は
 何で作るんだ?」

姉2役である井口が、大原に訊く。

「100均でフラワーペーパーとか
 包装紙買おうと思ってる。
 まあ、手が空いてる人で作ればいいかな…。」

大原は井口と話していて、
ふっと、俺の方を向いた。

「ねえ凪、靴のサイズ教えて。」

「…靴?」

「ガラスの靴さ、
 ヒールの靴を誰かに借りて、
 それにセロファン巻いて
 キラキラさせようと思ってんの。」

大原に言われ、
俺は少し考えて、耳打ちした。

「…あー、
 それならなべちゃんと
 サイズ同じだわ。
 なべちゃん、ヒール持ってる?」

「あ、1足だけ白いの持ってるよ。」

「じゃあなべちゃんの
 貸してもらうねー。
 …しっかし、
 凪は女の子サイズだから、
 衣装用意するの楽でいいわー。」

「…ほっとけ。」


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