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―――――第2部―――――
3話「君のものに、なりたい。」⑩
しおりを挟む「私さ、
一緒に帰りはするけど、それでも
ちょっとしか一緒にいられないから、
話し足りないんだよね~。」
「そうなのか…。」
「あ。あとはあれだ、愛情確認?」
鈴木が、おちゃらけるように言って。
「彼氏と同じ楽器のパートって、
女子がほとんどだからさ。
部活でずっと一緒にいるわけだし、
やっぱ不安になっちゃうんだよね~。
……浮気とか。」
ぽつりと、言葉を落とす。
「平日は、一緒に帰ってはいるけど、
私が待ってるからかなとか、
帰り道が同じだからかなー
って、不安になっちゃうし…。」
ぽつぽつ、少し曇った表情でつぶやいて、
また、顔を明るくした。
「でも、やり取りに返してもらえたらさ、
わざわざ家で、夜に、私のために
時間遣ってくれてるわけだし。
ちゃんと愛がある!って、
安心できるんだよね~。」
俺は、気付けば、
その鈴木の、キラキラ話す顔を、
ジッと見てしまっていた。
「……っと。ごめん、なんか長々と。」
鈴木が緩く笑って。
俺は、ハッとし。
「…いや。大丈夫。」
首を横に振って。
そして、自分の席へ向かった。
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