フードデリバリー配達員をやっていたら異世界に自由に行けるようになったので、日本からいろいろな物をデリバリーして大金持ちを目指します!

クレール・クール

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守ったもの

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 ドンッッッ!!

 アルフォンスさんから鍵を受け取った瞬間、俺の身体を稲妻が貫いた……ような感覚に襲われた。

「む、どうした? 大丈夫かね」

「あ、は、はい。すいません、大丈夫です」

 そう答えたはいいけど、まだ全身に痺れが残っている……ような感覚がある。

「きゅあああ」

「あ、みそら」

 サエちゃんのペット……というより、最近は大きく成長してきてボディガードのようなことをしてる、蒼いフェニックスのみそらが、ひと声あげると俺を優しい光が包みこむ。

「あ、もしかしてこれって回復魔法?」

「きゃあああ」

 そうだとばかりに頷くみそら。光が消える頃には、すっかり不快な感じも消えていた。

「ありがとう、みそら」

 みそらは気にするなと翼をひと振りして、いつものサエちゃんの頭上に戻っていく。

 それにしても、回復魔法が効いたということは、さっきのはやっぱり気のせいなんかじゃなくて実際に何か俺に起こったっていうことだよなあ?

 さすがに国王からの贈り物をアルフォンスさんが渡してくれる物に、呪い的な物がかかってたりはしないだろうけど、気になるな。

 そもそも、モルタの事件の時にポロポロに作って貰った状態異常耐性(中級)の指輪を着けている。ということは、今起こった何かは少なくとも中級では防げないレベルの何かだったということになる。

「どうしたのかね? さ、行こうじゃないか」

 促されて中へ足を踏み入れると、そこにはオルシャー伯爵邸と比べてもほとんど遜色のない広い庭園と、白を基調とした品の良い屋敷。

 庭には小さいが池もあって、中には魚も泳いでいる。

「アルフォンスさん、ここは?」

「うん。ここはね、王家が所有されている別荘のひとつだった屋敷だよ。そして、今日からは君の屋敷だ」

「……すいません、もういちどいいですか?」

「夏に避暑にこられた時はよくこちらにお泊りになっていたんだよ。代々王家が所有していた由緒ある屋敷なんだが、今回の君の働きに報いるために下賜されることになったんだ。タケシ殿、これは実に名誉なことだよ」

 俺の後ろにいたサエちゃんとポーシャが俺の服の裾をつまむ。その手がプルプル震えているのが分かる。

「本当は名誉貴族の称号を与えてはどうかと陛下に相談も受けていたんだけどね。キミは時々フラッといなくなることもあるからきっと何者にも縛られない生き方のほうが好きなんだろうと思ったんだ。それでいろいろと考えた結果、この屋敷を褒美とすることに決まったんだ」

「あの、アルフォンスさん? 俺、そんなたいしたことはしていないですよ?」

「ひとつ。多数の魔道具を提供し、領内に広がる病の進行を食い止めた」

「あ」

 そういえば、クリスの吐き出す宝石が溜まっていたのをポロポロに頼んで加工し、それをばら撒いたな。

「ふたつ。大量の食料とマスクを調達し、民に体力を付けさせ、衛生環境を大きく改善させた」

 あの時は他の町との流通が遮断されていたから、日本で大量に買って持ち込んだんだっけ。

「みっつ。魔王と友好関係を築くことができたのも、キミのおかげだ」

 それは、たまたま魔王がうちの常連だっただけです。

「最後に……娘のエリシャを助けてくれた」

 …………回復して、良かったよ。

「これだけの功績に対して、屋敷だけというのは本当は少な過ぎるくらいの報酬なんだ。陛下も今はお忙しくて直接お会いになることはできないそうだが、いずれきちんと正式な形でキミに礼を伝えたいと言っておられたよ」

「そんな……俺なんか、そんな……」

「さあ、中へ入ろうか」

 アルフォンスさんに肩を叩かれて、俺たちは広い庭を通り過ぎ屋敷の中へ足を踏み入れた。
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