フードデリバリー配達員をやっていたら異世界に自由に行けるようになったので、日本からいろいろな物をデリバリーして大金持ちを目指します!

クレール・クール

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シルエイティ

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 黒龍が彫られた大きなドアを開けると、吹き抜けになっている広いロビーだった。

「お待ちしておりました、ご主人様」

 整列していた12人がいっせいに腰を折る。

 ええと、この場合、不本意ながらご主人様というのは多分俺のことなんだろう。でも、彼ら彼女らはいったい?

 どうしたものかとオロオロしていると、列から2人前に出てきた。

「はじめまして。私、このお屋敷の管理を陛下より命じられておりましたエイティと申します。本日より、ご主人様の執事としてお仕えさせていただくことになりました」

 最初に名乗り出たのは、50歳くらいに見える初老の男性だ。この世界で50歳といえば、かなりの高齢のはず。なのにそれを感じさせないピンと伸びた姿勢と精悍な顔付きで、聞いていなければ30台半ばくらいにも見える。

「私、シルビアと申します。ご主人様とはお会いしたことがあるのですが、覚えていらっしゃいますか?」

「え? あ! もしかしてアルフォンスさんのところにいた?」

「はい。オルシャー伯爵様のお屋敷で働かせていただいておりましたが、本日よりタケシ様の元で働かせていただくことになりました。どうか、よろしくお願いいたします」

 彼女は俺たちがはじめて伯爵邸に行った時からずっと世話をしてくれた女性だ。ちょっとしたことにも気が付き、こっちが何か頼む前に動いてくれるメイドの中のメイド。俺を目覚めさせてくれたエンジェル。いや、ヴィーナス。

「……たーくん、手」

 はっ!? いつの間にかシルビアさんの手を握っていた。恐ろしい娘!

「いやあ、ははは。知っている人がいてくれて嬉しいですよ」

 ぽりぽりと頭をかきながら誤魔化しておきました。

「彼らの給金は、1年は王家が支払うことになっている。それ以降はキミに払ってもらうことになる。今のキミの店の売り上げなら問題はないと思うが、もし何かあれば相談に乗るからその時は声をかけてほしい」

「分かりました」

「今いる人数ではキミとサエ殿のふたりの世話と屋敷の維持をするギリギリの人数だ。もし増やすならエイティとシルビアに相談するといい」

「え、サエちゃんとふたり?」

「キミたちは交際しているんだろう? なら、何も問題はないさ」

「……サエちゃん、いいの?」

「うーん……。まあ、いいんじゃないかな。たーくんのことは好きだし、そもそもたーくん、草食系だし」

「……信用してくれて、嬉しいよ」

 こうして俺たちはマジリハの町での拠点を手に入れた。

 日本との行き来もこれでだいぶ楽になる。

 そのかわり、サエちゃんと12人の使用人のみんなの生活を守らないといけない責任が生まれた。

 クリスとみそらも気に入ってくれたみたいで、庭を飛び回っている。

「これから、今まで以上に頑張らないとな」

「大丈夫だよ。わたしもいっしょに頑張るからさ」
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