どうやら私はバッドエンドに辿りつくようです。

夏目

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第一章 夜の女王とミミズク

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「よくお似合いです。カルディア姫」

 燕尾服を着たギスランは、私を見るなり、相貌を崩し近寄ってきた。真っ赤だった目の周りは腫れがひいていた。たぶん、目立たないように白粉をはたいたのだろう。
 にこにことしている。だが、目を合わせて硬直した。獣がまだ、瞳の中で飛び出す用意をしている。
 動揺を隠すために唾を飲み込んだ。

「やはり、赤い薔薇がよくお似合いになる」

 ギスランもネクタイピンは赤薔薇の形をしていた。私の髪飾りとお揃いにしたのだろう。
 ギスランはポケットから赤い手袋を出した。私の指を優しく掴むと一本一本、ゆっくりとはめる。指が触れ合うと過剰に反応してしまう。楽しむように、時間をかけて、左右の指を布で覆われた。

「素直になる気分になられた?」
「……」
「焦らすのが、お上手だ」

 腕を絡ませる。夜会が行われる貴族の寄宿舎まで寄り添うように歩く。夜会へ参加するためには一度回廊に出て、正面玄関から入らねばいけない。

「お前、いつ帰ってきたの」
「一番にお会いしたかったのは、貴女様でしたので。帰って、すぐカルディア姫のもとに」

 つい、顔が緩みそうになる。くそ、こうやって、女達を陥落させてきたのか、こいつは。
 調子に乗ってはいけない。

「空賊を捕まえたのでしょう? リーダーはどんな奴だったの?」
「カルディア姫、王は戦場には顔を出さぬものですよ。捕まえたのは、幹部の一人です。根城を聞き出すために躾をしている最中ですので、詳しくはなにも」
「被害は出ずにするんだ?」
「ええ。むしろ、水害と疫病がひどい」
「疫病?」
「そのせいでコリン領に滞在する期間が長くなってしまった。水害も恐ろしかったが、王都ほどではありませんでしたので」

 コリン領はどうやら、水害はある程度で収まったらしい。王都はどうなのだろう。そういえば、被害状況は新聞でしか伝わっていない。
 それも、あの宗教じみたものだけだ。

「隣国からの嬉しくない輸入品です。患者は隔離し、感染はまだ広がっていませんが、じきに抑えられなくなる。清族に薬をつくらせていますが、間に合うかどうか」
「夜会に参加している場合ではないでしょう!」

 ギスランは冷静にと諌めた。

「対策はすでに父に頼んでいます。いくら急いでも特効薬の精製には時間がかかる。周辺の領にも触れを出しています。アルジュナからの密入国者を厳しく取り締まるようにと。だが、こればかりは防ぎきれるかどうか」
「ただでさえ、大雨が降ったのに、次は疫病? 最悪の年だわ」
「同感ですが、慌てふためいてもいけない。それに、今夜は夜会に専念されて構わないでしょう」

 ギスランは考え込むように沈黙したあと、おずおずと尋ねてきた。

「サラザーヌ公爵令嬢はなにかおっしゃっていましたか?」
「誰に、なにを?」
「貴女様に。告懈など」
「まさか。サラザーヌ公爵令嬢とは今夜の夜会は煌びやかなものになるとしか聞いていないわ」


 一瞬の間。そして、ギスランは、よく分かったとばかりに頷いた。
 どうしてサラザーヌ公爵令嬢の名前が飛び出してくるんだ?
 こいつ、やはりなにかあるのか。あの令嬢と。

「ギスラン。夜会が終わったら、リストの部屋で話し合いたいことがあるの」
「私の部屋ではいけない?」
「ええ。リストにもいてもらうつもりよ」
「……私は共有するつもりはありませんが」

 腰に手をまわされる。
 ギスランの瞳は、ぎとぎとと油のように鈍い光を放っていた。

「カルディア姫は、男を誘うことがお上手。だが、誰とも貴女様を分け合うつもりはない」
「……は?」
「リスト様とも淫らに交わりたい? 魔性過ぎます、カルディア姫」

 盛大に噎せた。喉がひりつく。
 ありえない。なんてことを口にするんだこの男は。
 ぎろりと睨みつける。ギスランは憂いを帯びた顔をした。そしてすぐに拗ねたように口を尖らせた。

「やはり、私の部屋がいい。夜会ではなにも口にしないように。食事をしましょう。……ああ、したくてもできませんでしたか」

 ギスランの肌に歯をたててやりたくなった。
 白い指に噛みつくことができたら、さぞ胸がすくことだろう。

「うるさい。だいたい、そういうことではないわ。お前には、いろいろと訊きたいことがあるの」
「今、お訊きになればいい」
「いや、リストがいるときではないと。はぐらかすわ、絶対」
「カルディア姫が答えよと厳命されるなら、いくらでもお答えいたしますのに」
「……では、サラザーヌ公爵令嬢のことを、お前はどう思っているの」

 質問内容が意外だったのか、ギスランは目を見開いた。

「妬いていらっしゃるか、尋ねても?」
「妬いていない。尋問しているつもりなのだけど」
「面白くありません。可愛らしく悋気してくださればよろしいのに」

 ギスランを愉快にしたくて訊いているわけではない。

「どうでもいいと思っていますよ」

 突き放した言い方に眉が上がる。どうでもいい? 素っ気ない態度だ。真実、そう考えているとは到底思えなかった。

「強いて言えば、同情しています。サラザーヌ公は愛人に貢いでいるとお伝えいたしましたね? もっと正確に申し上げると、男娼にです」

 愛人は男か。
 女だとばかり思っていた。サラザーヌ公はサラザーヌ公爵令嬢と血の繋がりを感じさせるきつめの男性だ。恰幅がよくて、自尊心が高く、神経質そうに眉を顰めている姿が記憶に残っている。
 若い時は女遊びが激しかったときいていたが、それに飽いたのだろうか。

「私もその男娼にお目にかかったことがある。おそらくサガル様が飼育していらっしゃる男だ。ただ、面白いことに、サラザーヌ公が女のように振る舞うのですよ」
「女のように振る舞う?」
「ドレスを身に纏い、パニエを履いて。化粧をして。店でーー王都にそういう女装癖を楽しむ高尚な店があるのですが、そこで。サラザーヌ公爵令嬢はそれを、ご存知ない。父親は亡き母にいつまでも恋する愛妻家だと思っていらっしゃる」

 正直、未知の世界だった。男性が女の格好をするだなんて。コルセットをつけて、わざわざ体を縛り付けるような真似をする?
 サラザーヌ公爵のしゃちほこばった立ち姿を思い出す。軍隊式の挨拶を真似しすぎてそうなったに違いない、独特なものを。
 そんな彼が、ドレスに化粧?
 全く、想像できなかった。

「彼女のドレスがどうも種類が少ないと思われなかった? 父親が搾取しているのです。だが、サラザーヌ公爵令嬢はそれに気が付かない。使用人が盗んだのだと濡れ衣をきせる」

 形のいい眉がぴくりと上がり、ギスランは婉然と微笑んだ。

「親は子が思っているほど完璧な人間ではありません。それどころかろくでなしな場合が多い。金策に喘いでも、その本質を理解していなければ、どうしようもない。サラザーヌ公爵令嬢は使用人が資金を持ち逃げしたと思っていらっしゃる。すべて、他者のせい。責任を放り投げ、罪を問うている」
「サラザーヌ公爵令嬢に教えてあげた方がいいのでは?」
「貴女の父親は女装の趣味がおありで、さらに男娼に貢いでいらっしゃるようですよ、と? それはそれで愉快な反応が見れそうですが。カルディア姫はそれを望んでいらっしゃる?」
「……よほど差し迫った場合ではない限り、保留にしましょう」

 事情をきいてしまうと、サラザーヌ公爵令嬢を憎いと思う気持ちが和らぐのだから、困る。
 彼女の家庭環境は、彼女の態度とは別問題なはずなのに。誰も知らない秘密を知ることで、親近感を覚えているのだろうか。

「カルディア姫がおっしゃるなら。もうしばらくは貝のように口を閉じておいて差し上げる」

 ギスランの指が意味ありげに唇に押し付けられる。
 沈黙を促すような仕草に、どうしてか、暗い欲望が灯った。



 貴族の寄宿舎は、一言でいえば荘厳だ。
 六百年前にいた高名な建築家が、当時の貴族のために建てた屋敷を増改築してある。
 今は、夜会用の優美な飾り付けをされて、ますます洗練された美しさがあった。
 サラザーヌ公爵令嬢のことをなめていた。品がいい、けれど貴族らしい金のかけ方をした統一された調度品。貴族の寄宿舎にあるサロンを三つ貸し切り、全て違う催し物が開かれるらしい。寄宿舎自体、彼女の屋敷のように彼女用に設えられていた。青薔薇がモチーフなのだろう。青薔薇の飾りが多かった。
 美しい、綺麗だと感嘆するよりもまず、感心してしまう。人を招くことに慣れた、人間の余裕があちこちに点在している。
 例えば、香りだ。薔薇の香りが充溢している。くらくらと目を回してしまうほど。金がないとは決して思えない。どういうことなんだ?
 憎いことは、ギスランがそれをさも当然と受け止めていることだ。ちらちらと品なくあちこち視線を投げる私を、呆れた様子で観察している。
 社交に参加するのは久しぶりだ。こうやって、いちいち感心してしまうのも、経験が少ないからだ。ギスランからすれば、見慣れたものなのになぜそんなにそわそわしているのだという感じだろう。
 寄宿舎の玄関には、大階段がある。そこでは、仮面を被った一軍が激しい動きの踊りを披露している。
 まるで、劇の一部を切り取ったような光景だった。音楽に操られるように、令嬢や令息を巧みに誘い込み、一緒にダンスを踊らせている。

「市井で人気の『仮面舞踏会』という戯曲です。貴族にも人気なのですよ」

 ギスランが、私の耳に顔を近付けて囁いた。
 嬉しくて、手を合わせて、笑ってしまう。

「『女王陛下の悪徳』の『仮面舞踏会』ね!」

『女王陛下の悪徳』で愛人を陥落させるシーンの章題が『仮面舞踏会』だ。舞台になっていたなんて。高鳴る胸をおさえつつ、彼ら一人一人に目を向ける。
 あっ、一人だけ女王の格好をした女性がいる!
 それに、相手役の貴族風の男性も。男性は銀の仮面にコバルトブルーの羽根をつけていた。
 女王役は金の仮面にレッドの羽根。対になるようになっている!

「気に入られた?」
「すごく! なんという劇団なのかしら。公演を観に行きたいわ」
「よく見て下さい。胸に、紋章を刺繍されている」

 目を細めてみると、確かにどの役者達にも胸に刺繍がされていた。あれは……兄様の、サガルの紋章だ。

「サガル様、お抱えの劇団らしい」
「サガルの……」

 なんで、サラザーヌ公爵令嬢の夜会にサガルが抱えている劇団員がいるの?

 呼吸がおかしくなる。目を伏せて、気持ちを落ち着ける。めまいが襲う。冷静にならなくては駄目だ。怒りと悲しみで前が見えなくなる。
 泣いているように見えたのか、愛人役の男がつかつかと歩み寄ってきた。胸ポケットのハンカチを取り出すと、そのまま私の頬に押しあてた。

「あ、ありがとう」

 仮面の奥で、気障にウィンクされた。そのまま、私の二つ横の令嬢にちょっかいをかけて、女王役をやきもきさせている。
 ギスランが、むすっとしながら、私の頬を手のひらで擦る。汚れが移ったといわんばかりに、執拗に繰り返した。

「サガル様は目利きですね。いい、演者達だ」

 なによりダンスがいいと、ギスランは褒めちぎった。少しだけ悔しそうだ。自分もパトロン役として何人か芸術家を囲っているからだろう。他人に、自分が見つけられなかった才能を見つけられて、歯噛みしている。

「動作がぎこちないのが、難点ですが。あまり、彼らの身分が高くないせいでしょう」
「お前が育ててみたかった?」
「私でなくとも、この場の貴族のほとんどが思うことです。この劇団は伸びる。それこそ、王都一と言われるほどに。才気を感じないならば、無能の証だ」

 仮面を被った一軍が、くるくる踊りを変えながら、貴族達を出迎える。飽きず、魅入られる。
 サラザーヌ公爵令嬢は彼らを最初の楽しみとして出し惜しみせずに披露させた。人を惹きつけてやまない劇団員達を前座として扱っているのだ。
 そのことによる期待。そしてそれをサラザーヌ公爵令嬢ならば叶えてくれるはずだという安心感が周りに広がっている。
 ここは、貴族の娯楽の場だ。そして、サラザーヌ公爵令嬢は望まれるものを、望まれた以上に返すことが出来る人間なのだ。
 ギスランも、他の貴族達も、それが当たり前だと認識している。私だったら無理だ。まず、貴族達を喜ばせられない。自分の好きなものを並べて、ほら楽しいでしょうと強要するぐらいしか。

 ふらふら視線を蠢かせる。見るものが、真新しく感じられる。どこか、違う世界から見ているような。
 愛人役の男と目があった気がした。
 にこりと微笑まれる。歓声が上がった。
 頬が熱くなる。私に微笑んだと思ったのに、実際には私の近くにいる他の令嬢達にも微笑んでいた。
 不特定多数に向けての感情の込もらないものなんて、欲しくない。
 ギスランの腕を引っ張る。
 ギスランだってそうだ。他の女に笑いかけるそのままを私に向ける。自惚れな感情を誤魔化すために八つ当たり気味にギスランを睨み付ける。

「どうされたの、カルディア姫」
「他の女に微笑まないで」
「……カルディア姫が、私をここで誘惑されたいのはわかりました」
「どうして、そうなるのよ」
「他にどうとらえろと? ああ、もう。顔が熱い」

 口を一文字に結んだまま、ギスランが、今度は自分の頬を擦った。恥じらっているらしい。思ったままを口にしたのに。……考えてみれば、軽率な言い方だったかもしれないが。

「その、そういう意味ではなく」
「なら、他にどういう意味だと? 何事も、考えてから言われては? お茶会の時とて、私を悶えさせる一言を放たれた。おかげで私は兎のように逃げ惑ってしまった。あのような失態、初めてしてしまった」
「そんな、恥ずかしいことは言っていないわ!」
「他の女に目をくれるなと言われた。それのどこが恥ずかしいものではない? お前の視線を全て捧げよと言っているようなものだ」

 そんなこと言ってしまっていたか?
 いや、言われてみれば、あの時は興奮状態で思考が麻痺していた。ぽんと軽はずみで口を開いた可能性が高い。

「今とて、同じこと。微笑むなと独占欲を発揮されて! もう、それなのに素直になられない。私を求めて下さらない。玩弄されている気分です。どうしたら、お認め下さるのか」

 ギスランは唇を噛んでぷるぷる震え、つんと横を向いた。覗き込んでも、頑なに顔を逸らされる。反抗的な態度だ。
 かと思えば、ちらちらこちらの様子を気にしているようだ。叱られた子供ようだ。

「私だけ、陥落されてしまった……」

 その、後悔を滲ませる声はなんだ。
 だいたい、陥落って! お前は女王陛下の愛人か?

「カルディア姫も私に陥落されるべきです。可及的速やかに」

 責める視線から逃げるように逸らす。
 コリン領に帰ってきてからのギスランは変だ。私がギスランに恋をしていて、認めろと言う。そんなわけがない。私はこんな奴、ちっとも好きなんかじゃない。
 なのに、ギスランは自信満々に私に求めろといってくる。まるで、ギスランこそ私の心を理解していると言わんばかりだ。
 くどくどと考えていると、突然音楽が変わった。
 聞き覚えのある歌だった。ハルが歌っていた曲だ。貧族の家で歌っていたもの。懐かしい。仮面をつけた人達が、大声で歌い出す。

「人が一人いなかったせいで、戦争に負け、戦争に負けたせいで国はなくなり、国がなくなったせいで王族がいなくなり、王族がいなくなったせいで女神が怒った。怒った女神は、憤怒によって土地を焦土とかしてしまった」

 それは、てんでばらばらの歌声だった。どうやら、踊りの才能はあっても、歌の才能はないらしい。相手に合わせることもなく、一人一人気ままに歌っている。

「なにもかも、一人がいないせい」

 くすくすと耳に残る笑い声が後ろから聞こえてきた。
 振り返り、確認する。周りの貴族が私をじっとりと粘っこい視線で見つめていた。
 陰険な笑い声が、前を向いた私の背中を叩く。

「これは……」

 険しい顔で、ギスランは顔を顰めると、珍しく荒んだ目つきで辺りを睥睨した。

「不愉快だ、これは」
「え?」
「サラザーヌ公爵令嬢が、選曲をされたのか」

 物悲しい曲調ではあるが、不快に思うまで変な曲ではないはずだ。
 ギスランの視線が私をなぞり、そして、ふと顔を上げた。

「ギスラン・ロイスター。お前に客人だ」
「リスト様」

 リストがゆっくりと近づいて来る。真っ赤な髪と瞳。目元に入った赤い刺青。
 男性美と厳粛さを体現しているような、端然とした容貌。今日はギスランと同じ燕尾服だ。
 なのに、二人が並ぶと正反対の印象を受けた。ギスランは妖艶。リストは清廉。
 着ている人間の差でこんなにも違うものか。
 ココのことが頭をよぎった。リストに似合う服しか考えられないと言って腹を撫でる姿。
 ココが今のリストを見たらどんな感想を抱くのだろう。

「客人とは?」
「子爵だ」
「ああ、もうこられたのか。堪え性のない方だ」

 子爵?
 リストはギスランへ感情の読めない視線を投げている。

「いいのか」
「何がでしょうか」
「サラザーヌ公爵令嬢はお前のお得意客だろう?」

 ギスランは目をぎょろりと下品に回し、肩を竦めた。無駄に色気のあるやり方だ。

「なんのことだか分かり兼ねます」
「お前にとっても痛手なのでは? 身が千々に引き裂かれるような、とはいかないまでもな」
「変わりはいくらでもいますので」

 ギスランはリストとの会話を打ち切り、私に跪いた。瞬時に足を下げる。また、靴を舐められるかもしれないと思ったからだ。
 ギスランは涼しい顔で面を上げた。

「少し、他に目を向けてよろしい? 女どもには近寄りません。子爵に、挨拶を」
「ええ」
「すぐ、戻りますので。リスト様を誘惑されぬように」

 ギスランは言いたいことだけ言うと髪をかきあげ、足早に去っていく。
 後ろ姿を見つめながら、リストが忌々しそうに吐き捨てた。

「誰が、カルディアに誘惑されるか!」

 同感だ。誰がリストを誘惑なんかするか。
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