どうやら私はバッドエンドに辿りつくようです。

夏目

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第二章 王子殿下の悪徳

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 ハルはしばらくしてから、恥ずかしそうに私の上から飛びのいた。

「……ハル?」
「待って。まだカルディアの顔を見て話せそうにない」
「そ、そう」

 それは私も同じなので助かる。今はハルの顔を見て、冷静に話せそうにない。
 顔が真っ赤になっていないといい。ハルの言葉だけを切り取ると恥ずかしい言葉が並べられていたような気がしてたまらない。

「さっきの話、少し弁明させて。私はギスランにこれからも生きて欲しいと思っているわ。あいつが死なない方法を探している」
「病気?」
「ギスランは清族の血をひいているの」
「清族は短命……か。もうすぐ死んじゃうの?」
「ええ……。でも、清族達が束になっても寿命の問題は解決できていない。もう、時間はないのに」

 諦めないと誓ったが、どうやれば解決するのか全く分からない。焦燥感だけが日々蓄積していく。

「そういえば、リスト様が変な噂話を話してくれた」
「リストが? 珍しいわね」
「さっき言ってた過激派のリーダーの話なんだけど、不老不死の噂があるって」
「不老不死……?」

 またとんでもない話だ。ここに来て、話が怪奇な怪談噺になりつつある。

「何百年も姿が変わらないとか、そもそも存在しない人物じゃないかって言われてたらしい。軍でも消息が上手く掴めなかったって」
「上手く掴めない? 変な言い方ね」
「居場所が分かったら、当代の当主がすぐに事故で亡くなってしまうんだ。そして数年後、何事もなかったようにまた噂が立ち始める」
「……なんだか、不気味だわ。そいつ名前は分かっているの?」

 ハルは小さな声でサンと呟いた。
 心を騒つかせる名前だった。親しげに呼ぶ声を、どこで聞いたような……。

「そう言われてるらしい。別人が名を継いでいるんじゃないかってリスト様は言っていたけど。……カルディア?」

 自分の中から何かが溶け出して、ぐちゃぐちゃになりそうだった。
 ぐっと足に力を込める。床がどうしてか、生き物のように跳ねるのではないかという錯覚がよぎった。
 熱弁をふるう誰かの声。耳障りな哄笑。
 楽しげで、愉快な笑顔。男の顔がよぎる。私はいつ、この光景を見た?
 カルディアと強く名前を呼ばれる。

「え、ええ。ごめんなさい。この頃、変にぼおっとしてしまって……」
「それは前から。あんたは目を離すと、とんでもないことばっかりする」
「うっ、そんなことないわよ! いや、そんなことあるのかしら……」
「なんか殊勝だ」
「私だってそんな気持ちになることぐらいあるわよ。……不老不死なんてなんだか夢物語のようだわ」
「そうだね」

 顔を見合わせ、笑い合う。どうしてだかハルと一緒にいると不老不死がそこまでいいことには思えなかった。

「教えてくれてありがとう、ハル」
「長生きしてもらいたいからね。ギスラン様にも」

 こんこんと窓を鳥達が叩いた。ハルは窓を開けて、鳥達を追い払う。
 風に乗って、葉っぱが部屋の中に入ってきた。瑞々しい緑の葉っぱが床に落ちる。夏の暑さで茹る風が、再び吹いた。
 窓の外は青々とした空が広がっている。なんて綺麗なのだろうと感嘆し、手を広げて叫びたくなった。
 もくもく広がる雲は工場の煙を吸ってもなお白い。

「いい天気だね」

 ハルはそう言って小さく鼻歌を歌った。
 とても綺麗な、賛美歌のような音だった。
 その美しい歌のせいで、私はハルに訊くことができなかった。
 カンドを見つけるためにリストはハルを剣奴にしたと言っていた。だが、空賊を剣奴として雇うのは、リストの地位を脅かす行為だ。デメリットがあまりにも大きい。
 そんなデメリットをおかしても、カンドを見つけられる保証はどこにもない。
 リストはリスクを考えて、別の手を用意しているはずだ。
 ……リストの部下として行動することが公になれば、ハルのことを空賊だと知っている人間達はどう思うだろうか。
 それだけじゃない。
 ハルがリストの元から空賊の過激派に寝返ったらどうだ?
 リスト側の情報を持つ男を過激派は利用して、価値がなくなれば捨てようと思うはずだ。カンドが捕まえられなければ、カンドの役目をハルが担うことになるのではないのか。あるいは、カンドを捕まえても、ハルは駒にされ密偵として過激派のもとに行くことになるのではないか。
 歌が心をさらっていく。
 今だけ恐怖から目を背けて、音楽だけに集中出来た。

「もう勘弁して下さいよ! ギスラン様以外の主を戴くつもりはありませんからね」
「はあ。まあ、そこまで期待はしていなかったが。……なにをやっているんだ、お前達は」

 イルとリストが扉を開けて、私達を訝しげに見つめる。
 上手く誤魔化せる気がしなくて、力なく微笑むだけにとどめた。

「話は出来たか、ハル」
「まあ」
「……なんで、ハルそんなに動揺しているの。なんか、怪しいな」

 イルは鋭い。さっと目を逸らして、読まれないようにする。

「別に。イルの入隊日はいつ?」
「しないよ。ギスラン様生きているし。そういう約束でしたよね、リスト様」
「……違ったが、まあいい。あいつのものを取ったら逆恨みされそうだしな」

 リストは窓に近付いて、ハルが広げたカーテンをまとめて、紐で束ねる。

「カルディア、俺は少し急用が出来た。話はまた今度でいいか」
「急用?」
「国王陛下から呼び出された。今回の一件を直接報告しろとのことだ。夜にまた来る」
「分かったわ」
「ハルから話を聞いただろうが、こいつは俺の剣奴になった。たまに雑用をさせるかもしれないから、俺への手紙を預けたければ預けろ」

 ハルがリストの部下になる。やっぱりなんだか変な感じだ。複雑な経緯があるにしろ、ハルが誰かの命令に従う姿にむずむずする。

「では、俺は行く。お前は体を休めろ。……休んだら、学校に行け。久しぶりに顔を出さないとお前の教師達も示しがつかないだろう」

 ぐちゃっと頭をかきまわされる。絡まった髪が、目の上に現れてうざったい。
 リストの後ろにハルが付いていく。最後に視線が交わった時、ハルは小さく笑う。
 扉が閉まった。

「あーあ、だから、ハルをさっさととれって言ったんですよ。リスト様の剣奴になっちゃったじゃないですか」
「……そうね。お前が手を回したんでしょう?」
「なんのことだか。ハルの自由意志の賜物ですよ。俺は忙しくって、関与してません」
「そう。ならそういうことにしておいてあげるわ。……ありがとう」

 イルはどういう意味か測るように目玉をくるりと回転させた。

「なんのことだか分かりませんけど。……その言葉だけは受け取っておきますよ」

 難しい男だと笑う。
 イルの顔に眼鏡は相変わらずなかった。
 夜。リストはこなかった。短い詫びの手紙が届けられた。
 詳しいことは、また今度。その言葉がどこか胸を騒がせる。


 門前払いをされたのは初めてだった。容態が安定し、ギスランの屋敷にやってきた私に告げられたのは無慈悲な言葉だった。

「ギスラン様はお会いになりたくないそうです」

 ギスランの使用人達は皆恐縮しきった様子で項垂れている。
 見兼ねたヴィクターがやって来て私に事情を話してくれた。
 ギスランは回復に向かいつつあるが、薬の副作用で幻覚、幻聴が起こるらしい。私を傷つける可能性があるため、正気のときにギスランと私を近付けさせないと取り決めをしたようだ。
 ある程度回復したら、話途中で終わったギスランを再び眠らせることを検討する。そう言っていたそうだ。

「ご心配なさらないで。わたくしが説得してみせます」
「……無理だったら必ず伝えて。私も説得するから」

 はいと答えるヴィクターは少しだけ笑っていた。


 久しぶりのレゾルールは、想像していたよりもずっと静かだった。すれ違う生徒達に覇気はなく、俯いて歩いていた。

「なんか、調子が狂いますね」
「……怖いぐらいね」

 イルの言葉に頷いて、彼らと溶け込むように歩く。目的の場所に辿り着くまであまり目立ちたくなかった。

「……イルはギスランとどう出会ったの?」
「さあ、覚えてません。ギスラン様も覚えてないですよ」
「フィリップ兄様が、ギスランは才能ある人間に片っ端から会いに行っているのではないかと訝しんでいたわ」
「ギスラン様は部下を見つけるのがお得意ですからね。王都の貧民街の内情もよくご存知でした。俺にも会いに来られたぐらいですから」
「本当は出会ったこと、覚えているんじゃないの」

 肩を竦めて、イルは沈黙した。
 少し照れているのだろうか。大切な思い出だから他人に言いたくないのかもしれない。箱の中に閉じ込めたい思い出なのかもしれなかった。
 しばらく歩いて、目的地に着いた。目配せをして、イルを部屋の外に待たせる。
 扉は簡単に開いた。部屋のなかは真っ暗だった。
 光を求めて、カーテンを開ける。こつんと、足の先になにかがあたった。
 寝台の上で男がゆっくりと顔をあげる。彼は頬骨が浮き上がるほど痩せこけていた。

「テウ」

 ゆっくりと名前を呼ぶと、やっと存在に気がついたと言わんばかりに顔が私に向けられる。

「お姉さん、どうして来たの」
「お前が起き上がれるようになったと聞いたからよ」
「そう。久しぶりの来客だよ。紅茶を出した方がいい?」
「いえ、いいわ」

 成金趣味の室内は酷い有様になっていた。陶器も絵画も埃塗れ。バロック家の肖像画は引き裂かれていた。

「これはお前がやったの」

 肖像画を指差して尋ねる。テウはおかしそうに喉の奥で低く笑った。

「だって、もう皆いないんだ。お嬢様――従姉妹は首を吊って自殺しちゃった。びっくりしたよ。遺書があってさ、俺への恨み節ばっかりだった」

 笑うしかないと顔に書いてあった。死ぬときでも他人に悪態をついていたのか。テウを通して、憎悪のこもった、顔も知らない女の影を見る。愉快な気持ちには到底なれなかった。

「結局、俺は家族を得られずじまい。お姉さんの胸のすく結果になった?」
「……どうかしら。少なくともギスランは、まだ足りないと言うでしょうね。お前が破滅するまで許しはしない」
「失脚して滅ぼされるなんて、貴族みたいだ」

 テウがみせる自嘲の色は深い絶望を覗かせる。復権は不可能だと諦めてしまっているのだろう。バロック家は潰される。そう確信しているようだった。

「使用人の頃、金持ちになりたいと切望してたよ。思い通りになる金と時間と部屋が欲しかった。けど今は、あの頃の夢見ていた日々が懐かしい」
「……戻りたいの?」
「そうかもしれない。お姉さんはどう? 母親が殺される前に戻りたい? やり直したい?」

 テウの直接的な問いに閉口する。
 仕返しのつもりなのか、テウは嬲るような視線を私に向けた。

「誕生日を穢されたんだ。やり直したいと思うはずだよね」
「そうね。やり直したいわ。そして、誕生日をあげようとする馬鹿な私を殺すのよ」
「――ははっ。本気で言っているの?」

 当たり前だ。何度想像しても、はしゃぎ回る私を殺すだろう。もし、戻れたとしたら、私を殺して誕生日会ごとなくなってしまったほうがいい。
 あの場所に集まらなければ、姉妹の殺しは延期されていたはずだ。
 私さえ殺してしまえば丸く収まるだろう。
 そうしたら、妹か弟は産まれてきていたかもしれない。
 不気味だと放置されていた私よりは愛情を注がれた子供が育っていたはずだ。

「でも、過去には戻れないし、今は変わらない。お前は私の前の前にいる」
「そうだね。お姉さんは俺の目の前にいる」

 テウは長い紐で結ばれているように、私をまっすぐ見つめた。不覚にもかっこいいと思った。それぐらい迷いのない澄んだ瞳をしていた。

「もう一度きくね。お姉さんは何をしに来たの」
「お前が前に言っていたでしょう。従僕になりたいって。……だから、お前を私のものにしに来たのよ」

 ごくりと喉が鳴る。体から体温が一気に潮のように引いていく。

「私の下僕になりなさい、テウ」
「本気で言っているつもり?」

 テウの声は冷静さを保とうとしていた。怒鳴られる可能性を考えていたので、それよりはましだと自分を奮い立たせる。

「冗談でこんなことを言うわけないでしょう」
「理由がない」
「理由ならあるわ。お前はギスランを殺そうとした。私にとっては危険分子だわ」
「ならば、今ここで殺せばいいだろ。外にいる奴に頼めばしてくれるんじゃないの」

 投げやりな態度は反抗の証だ。そうはしないだろうと私を軽んじている。もし、私が逆上してテウに危害を加えてもこいつは一向に構わないのだろう。自殺願望があるのかもしれない。

「簡単に終わらせるものですか。お前は今この瞬間から私のものになったの。拒否権は許さない。死ぬまで、私に弄ばれるのよ」
「……それが罰だとでも?」
「私はお前の名前を呼ぶ。何度も、何度もよ。けれど、お前は家族に名前は呼ばれないの。今後、一度だって」

 瞳に殺気が灯った。図星を突かれたテウは唇を噛み締めて、私に殴りかかるのを自制する。

「私の前で自殺未遂までやったのに、逃げられるとでも? テウと呼んで、親愛なる者のように振る舞うわ。けれど、私はお前を救わないし、許さない。ギスラン・ロイスターは私の男なのよ。お前なんかが傷付けていい存在じゃない」

 寝台に近付いて、テウの萎えた足に乗り上げる。きつく噛み締めた唇を指で擽り、解く。下唇の歯型をなぞって、唇の前に手の甲を差し出す。

「私に忠誠を誓いなさい。そうしたら、バロック家に支援するわ。お前はあの家を潰したくないでしょう?」
「あんな家を? まさか」
「あんな家だからよ。醜い家だからこそ、憎み、執着する。激しい憎悪は愛情とそっくり」
「家を守るために、お姉さんに跪けと?」

 高圧的に見えるように笑う。

「勿論よ。お前はいい子だから出来るわよね」

 テウはゆっくりと甲に唇を落とす。そして、肌に歯を立てた。本気で噛みちぎられそうだった。
 痛みを堪えて、温和に微笑む。痛みが少しだけ和らぐような気がした。

「テウ・バロック。私はギスランを助けるために清族の寿命を伸ばす方法を探しているの。お前も探しなさい。頼りにしているわよ」
「――仰せのままに」

 甲から鋭い歯が離れない。
 血が溢れ出してきた。忠誠を誓うシーンにしては、血生臭すぎる。

 誰かを従者にしようだなんて、考えたことはなかった。
 それでも、誰かの助けが必要ならば、テウがいいだろうと思っていた。
 主従は情ではなく、利害で結ばれた者のほうがいい。イルとギスランの関係を見て、そう考えていた。
 ギスランはともかく、イルは主に感情移入し過ぎている。
 ギスランが死んだら後を追って死にそうだ。それぐらい、心の拠り所にしている。
 一種の依存関係だ。この人のためにならば死んでもいい。そういう覚悟が剣奴には必要なのだろう。だが、私はそんな忠誠、必要ない。
 テウの部屋を出る前に、あいつの顔をじっくりと見つめた。
 さっきよりは顔色がよくなっている。太陽の光を浴びたからだろうか。

「起きないようならば、毎日でも起こしにくるけど?」
「それは……困るんだけど、お姉さん」
「そう。ならば、きちんと起きなさいよね。……そうだ。朝食は一緒に食べましょうか。お前の作ったデザートを、私はまだ食べていないもの」

 従者との適切な距離を私は知らない。できれば、死ぬときに切り捨てられるような関係でいたいと思っている。
 そうなればいいなと思いながらも、朝食の約束をしている。自分の行動は矛盾だらけだ。
 テウは変な顔で笑った。私は見なかったフリをした。流石に、泣き出しそうな顔をしないでとはいえなかったのだ。
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