10 / 37
六色貴族
しおりを挟む「どうだろう? 気に入ってくれた? パン屋なんて初めて興味を向けたものだから、まだあまり詳しくはないんだ。付け焼き刃の知識で窯と材料にこだわった。粉の挽き方でも、美味しさが全く違うんだって。ドロシーは知っていた?」
「ま、待って。私にパン屋をさせる? な、なんでですか?」
「何故って……。求婚? 貴族の男は愛人にこうやって物を貢いで愛を乞うと聞いたものだから」
「……あ、あい?」
かあーと頭が沸騰したように熱くなる。
愛人。それがどんなものかはよく知らないが、淫らで厭わしいものだということは知っている。
いつかドロシーは肉屋の旦那さんに誘われた。愛人にならないか?
肉を分けてやる。孤児院の子供達が一生働いても食えないもんだぞ。
げらげら笑っていたその声を、しっかり覚えている。
「王都からパン屋を三人連れてきた。早馬で飛ばせば何とかなるものだ。ドロシーも後で体験してみる? 錬金術師達が作った飛翔馬。空を飛び、鳥よりも早い」
「ジル様、飛翔馬の話は内密ということではありませんでしたか」
「そうだった。でも、ドロシーであれば問題はない」
ドロシーは頭が痛くてどうにかなりそうだ。ジルが名前を呼ぶたびに、自分ではない誰かに話しかけているよう。
ドロシーは一つ一つ、意味の分からないことを解きほぐそうとした。
なにせ、何も分からない。ドロシーはジルがいきなりパン屋をくれるということも意味不明だ。
欲しいとも言っていないのに、パン屋にならせてくれるという。
ジルにそんなことをされる謂われはないのに。
「……私は貴方の愛人じゃありません」
「そ、そうだったのですか!?」
激しく反応したのはイヴだった。彼は口を大きく開いて、ドロシーとジルを交互に見遣った。
「ドロシーが愛人なわけないだろう。彼女は……聖女だ」
「せっ、聖女!?」
ひっくり返ってもおかしくないほど、イヴは仰け反った。
「比喩や誇張ではなく、ジル様はドロシー様を聖女として掲げるつもりなのですか!?」
「そうだけど」
ありえない! と頭をガシガシ掻きながら、イヴはジルに詰め寄った。
「貴方がおかしくなってから約十年、お家のためと思っていましたが、信じられない! こんな見るからに薄汚い孤児を聖女に見立てるだって? どれだけ聖女伝説を厭えばこんな悍ましい考えが出てくるんです? これなら、白辺境伯のように誰も聖女を立てない方がマシです」
「マシ?」
ジルは片眉をあげて問いかけた。
「マシって、どういう意味だろう。お前はドロシーが聖女に相応しくないとでも言いたいのか」
「言いたくはありませんがその通りです。愛人として愛でるのはいいでしょう。パン屋のマダムにでもしてやればいい。でも、聖女は違います。言っている意味、分かりますよね?」
「分からないな。イヴ、ドロシー以上に聖女を名乗れる子はいないよ。彼女は正真正銘の聖女なのだから」
「狂ってやがるのか? この薄汚い孤児のどこが聖女だと?」
ダンと、低い振動が走り、ドロシーは目を瞑った。
音に怯えながらゆっくりと目を開けると、ジルがイヴを片手で壁に叩きつけていた。
バタバタとイヴの足がもがく。
「イヴ。麗しの義兄弟殿。俺達竜の一族は強靭な肉体と人並外れた力を持つと知っているだろうに、どうして挑発するようなことを繰り返すんだろうか」
「……ハッ、馬鹿力、め」
指が食い込むように腕を握り抵抗されているのに、ジルは顔色ひとつ変えなかった。ドンと再び壁に押し付けられたイヴは小さな苦悶の声をあげる。
「ドロシーを気に入らない? だから、どうだと。青伯爵と呼ばれているのは俺だ。俺の意見が家の総意であり、意思だ。従者風情がこれ以上意見すると、鞭打ちだけではすまない」
「やれ、るもんなら、やっ……てみやがれ」
「分からない男だな」
ジルの腕の血管が浮き出ていく。首を掴む力を強くしたのか、イヴは口の端に泡を出して気絶した。
「…………ッ」
ジルはゆっくりと自分の義兄弟だと言っていた男を下ろすと、床に放り投げた。
「ドロシー、身内の争いを見せて申し訳ない。イヴは少しばかり一門のことに熱心でね。君は少しだって気にする必要はない」
「わ、私は……」
何一つ分からないまま、この場にいる人間が一人、目の前の男に気絶させられた。
男を軽々と宙に浮かせるほどの怪力を持つ男しかドロシーの近くにはいない。
彼は蕩けるような笑みを向けているが、恐怖しかなかった。
「……わ、私、聖女というものにならなくてはならないのですか」
少なくともこの目の前の男はドロシーを聖女にしたいらしい。
「……? 君は聖女だろう?」
「ち、違います」
「違わない。君は聖女だ。そうだ、パン屋は気に入ってくれた? パンを食べてみない? 王都で一番のパン屋の味だ。気に入ってくれると嬉しいんだが」
「……貴方は、おかしい」
話が全く通じない。狂っているのではないかとさえ思う。
椅子をひいて、ジルに無理やり座らせられる。パンを作っている職人達は決してこちらと目があわないようにしていた。
手に持たせられたパンはまだ熱い。
「食べてみてくれ。君に一番に食べて欲しかったんだ。そうだ、権利書の話もしないと。……聖女の話もした方がいいだろうか。王都に行けば君が聖女であることなんて誰もが分かるだろうけれど、ドロシーが混乱しないようにね」
ジルはドロシーの前に座り、籠からパンを取り出し自分の口の近くに持って行った。食べることはせず、ただドロシーが食べるのをじっと待っているようだった。
ドロシーは苦悩した。そういえば、昨日は一日中熱にうなされて何も食べていない。
……お腹が減っていた。
オズのことを思えばお腹なんて減らないはずなのに。ドロシーは薄情にも目の前のパンがたまらなく美味しそうに見えた。
何度か逡巡をしてーードロシーはええいと決心をつけた。
お腹が空いて力も出なければ夜にオズの力になれないかもしれない。
手に持ったパンを口に運ぶ。
さくりと、小気味いい音を立て口の中に甘さと香りが広がる。
舌触りは軽やか。美味しくて、顔が勝手ににやけた。
なんて、美味しいんだろう。バターの香りが鼻の中に広がっている。一口食べるともう一口欲しくなり、夢中で食べてしまう。
王都で一番なんかじゃない。この国で一番だ。だって、ドロシーが食べてきたもののなかでこれが一番美味しい。
なんでこんなにサクサクして食感がいいんだろう。
「美味しい?」
ジルは嬉しそうに問いかけた。こくこくと頷く。
悔しいけれど、こんなものを食べたら、もう二度と他のパンを食べたくなくなる。
「ドロシーに食べて欲しかったんだ。喜んでくれて良かった」
にこりと微笑むジルは美しく、見惚れてはいけないのにぽおっと眺めてしまった。
ドロシーが本当に産まれてきてから見たこともないような美貌の持ち主なのだ。微笑むだけで、光が差したような感覚に陥る。
綺麗な人というのはそれだけで魅力的なのだと実感する。同じ人ではないみたいだ。
もはや、自然が作り出す美しさに似ている。太陽が沈む前の稲穂の揺めき。夜の瞬きが作り出す星模様。そういうもの。
オズの手紙を破った男なのに。
でも、今の彼はオズのことすら知らないはずだ。時が本当に元に戻ったのならば。
けれど、どうして前の時とは全然違うのだろう。一夜にして、パン屋の主人がいなくなって、ジルは新しいオーナーをドロシーにしようとしている。こんなの前の時は全くなかったのに。
ロズウェルという男の上に乗って鞭で叩いていたのに、どうしてこんなにも違うのか。
「うん。やはり、権利書の前に、今の王都で行われている聖女の選定について話をしておこう」
「……聖女の選定?」
ドロシーは首を傾げた。全く、なんのことだか分からなかったからだ。
聖女というのは、ドロシーも知っている救国の英雄の一人だろう。魔王を討ち滅ぼした存在。
でも、選定?
聖女というのは神様に選ばれた尊い存在ではないのか。
「馬鹿げた慣習だよ。【年増】のエルフが考えた恐ろしく的を外れた儀式だ。ドロシーがいないから、ドロシーの代わりを見繕おうなんて」
「……ええっと」
年増のエルフって誰のことだろう。
それにドロシーのかわり? 自分のことではないだろうけれど……。
「魔王の復活の兆しがあるという。これはとても異例なことだ。千年以上の月日を経なければ蘇らないものが、蘇りを果たそうとしている。王都では緊急に会合が開かれ、英雄達の子孫が呼び集められた」
「英雄の……子孫……」
ドロシーでも、王都のことは少し知っている。
今や、英雄で生き残っているのは、弓兵のエルフだけ。
エルフは数百年生き、死ぬ時は植物となって死ぬらしい。
彼女は、人間の夫を何人も得て、ハーフエルフを次々と産んだ。彼らは王家の相談役を歴任している……。
だから、王都はエルフが牛耳っているのだと聞いた。賄賂を渡すのも、耳長族でなければ、意味がない。
「俗に言う六色貴族のことだ」
「六色貴族、ですか?」
ドロシーは聞いたことがなかった。元々、貴族というのは雲の上の存在だ。
ジルのように歩く貴族は稀で彼らは普通馬車で移動する。
道は汚れているし、せっかくの靴が台無しだから。
使用人に汚れないように布をひかせていた姿を見たことがあるが、それだけ。貴族に違いがあるのも知らなかったし、あれは六色貴族だ、なんて判別がついたこともない。
「……あ」
いや、見たことはないけれど、聞いたことはある。
六色……色のことだ。
「青伯爵……」
「御名答。流石だね、ドロシー。他にも白、赤、黄、緑、黒がある。色がついた貴族は英雄達の子孫という意味だ」
「ジル、様も、その……六英雄の子孫なんですか?」
「まさか。あの性悪な竜は子供なんて残してない。竜の血を飲んだ人間を一族と見做しているだけだ」
「竜の血を飲んだ……?」
よく分からないが、ジルが六英雄の一人である竜の血を引く子孫であることは認められているらしかった。
夢物語のようなものが突然現実になり、狼狽える。子供達が聖女になりたい、聖騎士になりたいと言っていたが、ドロシーにとってはそんなことよりパン屋の方が身近だった。
けれど、貴族の中には、聖女や聖騎士の方が近い人がいるのだ。
現に目の前のジルはパン屋よりも、竜の方が近い。
「さて、呼び出された子孫達は【年増】エルフに号令をかけられ、魔王退治の旅に出る羽目になったが、そこで問題が生じた。……赤公爵……聖女の家系の聖女が男だったことが発覚したんだ。ずっと次男を女と偽って育てて社交界デビューさせていたことが明らかになった」
「聖女様が男の人だったってことですか? 何故、そんなことを?」
「女が産めなかったから、らしい。身勝手な理由だ。他の貴族をも欺いて、次男に女装をさせていた。そもそも、その根が劣悪だ。次男は本当に自分が女であると思い込んでドレスを脱いでみせた。彼のあの絶望的な表情……。両親は詐称の罪で王都の屋敷に軟禁しているが、一族は赤っ恥だ」
その話は聞いたことがあるような気がする。それからは方々を駆けずり回っている……。
ジルのしっとりとした声が蘇り、ドロシーは鳥肌が立った。
オズがくれた手紙を破かれた時に、聞いた話だ。
「激怒したエルフは聖女の一族以外の六色貴族達に、それぞれ聖女候補を立てよと厳命を下してね。……候補者を出さないと言った白以外、候補者を探してる」
「……? …………?」
探しているって、目の前のジルもだろうか?
そういえばさっきイヴと揉めていたときに、ドロシーを聖女として掲げると言っていなかっただろうか。
「……え?」
ドロシーは愛人にされかけているのではなく、聖女候補にさせられそうになっている?
「わ、私、を聖女にしようとしているん……ですか?」
子供達が言っていたなりたいもの。聖女になりたい。
そんなの、実現不可能だと思っていた。けれど、ジルはドロシーを聖女にしようとしている?
「勿論だ。ドロシー、君は聖女だからね」
1
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【完結】私は聖女の代用品だったらしい
雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。
元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。
絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。
「俺のものになれ」
突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。
だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも?
捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。
・完結まで予約投稿済みです。
・1日3回更新(7時・12時・18時)
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
婚約者に捨てられた私ですが、なぜか宰相様の膝の上が定位置になっています
さくら
恋愛
王太子との婚約を一方的に破棄され、社交界で居場所を失った令嬢エリナ。絶望の淵に沈む彼女の前に現れたのは、冷徹と名高い宰相だった。
「君の居場所は、ここだ」
そう言って彼は、ためらいもなくエリナを自らの膝の上に抱き上げる。
それ以来、エリナの定位置はなぜか宰相様の膝の上に固定されてしまう。
周囲からの嘲笑や陰口、そして第一王子派の陰謀が二人を取り巻くが、宰相は一切怯むことなく、堂々とエリナを膝に抱いたまま権力の中枢に立ち続ける。
「君がいる限り、私は負けぬ」
その揺るぎない言葉に支えられ、エリナは少しずつ自信を取り戻し、やがて「宰相の妻」としての誇りを胸に刻んでいく。
舞踏会での公然の宣言、王妃の承認、王宮評議会での糾弾――数々の試練を経ても、二人の絆は揺らがない。むしろ宰相は、すべての人々の前で「彼女こそ我が誇り」と高らかに示し、エリナ自身もまた「膝の上にいることこそ愛の証」と誇らしく胸を張るようになっていく。
そしてついに、宰相は人々の前で正式に求婚を告げる。
「エリナ。これから先、どんな嵐が来ようとも――君の定位置は私の膝の上だ」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる