文明トカゲ

ペン牛

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三 雷鳴の猫

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『クックック、どうやら着実に余の影響を受けているみたいだにゃ。このまま影響を受け続ければ楓のようにゃ澄ましててはにゃもちにゃらにゃい人間も間違いにゃく余にメロメロににゃるであろう』
(こいつ、いくらなんでも増長しすぎ――) 
 僕がそう思っていると、ぺたり、と頬に冷たい感触があった。
「……え?」
「楓、どうしたの? いつもぼーっとしてるけど、今日はいつにも増してひどいよ? 私、さっきから何度も話しかけてるのに」
 まずいことをした。ニャン太とのやり取りに気を取られて梓のことをすっかり忘れてしまっていた。一体どう言い訳をしたものか。正直なことを話してしまえばそれこそ病院に連れて行かれかねない。
「その、猫がいたら喫茶店とかで休めないなって、そのことを考えてたんだ。猫と一緒に入ってもいい店なんてそうそうないだろうし」
 嘘は言っていない。梓も納得してくれたのか、困ったような表情で頷く。
「そうだよね。それにしてもこの猫ちゃん、なんでこんな私にべったりなんだろう――楓も抱っこしてみる?」
『え~、余はこのふかふかの胸がいい~にゃがっ!?』
 ニャン太を引っ掴んで梓から引き剥がす。
「あんまり動物には興味なかったけど、こうして抱いてみるといいものだね」
 僕は作り笑いを浮かべて梓に言う。
(おい、だから調子に乗るなって何度も言ってるだろ。もっとひどい目に遭わないとわからないか?)
『楓は本当に凶暴だにゃあ。余を見習ってもう少し落ち着いたらどうにゃ?』
(……一体誰のせいだと)
 いよいよ怒りが抑えきれなくなってきたところで、ふとある喫茶店が目に留まった。
「あ……梓、あそこいいんじゃないかな」
「え? あ、ほんとだ。テラスがあるね。あそこなら猫ちゃんと一緒でも大丈夫かも」
 僕はニャン太を抱き抱えたままその喫茶店まで歩く。店の入り口まで来たところで、
(おい、注文するからいったん離れてくれ)
『ん~? それが頼みごとをする態度かにゃあ?』
 いっそのこと放り投げたかったが、当然そんなことを梓の前でするわけにはいかない。
(……離れてください。お願いします)
 こんなにも強く怒りの感情を覚えたのは、一体いつ以来だろうか。
『にゃ~んか誠意が足りにゃいようにゃ気がするけれども、まぁここは寛大な心で許してやるにゃ。感謝するがいいにゃ』
 ニャン太は言うだけ言って、僕から離れると――そのまま梓の方に移った。
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