文明トカゲ

ペン牛

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五 似姿の恋

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 佐治さんがそう言った直後、男の目からあらゆる感情が消える。
「家族をトカゲに殺されて、敵を討つどころか敵にもならないって見逃された。その現実を受け入れられずに、自分でも殺せるトカゲを血眼で探して八つ当たりで殺して回る。アンタいい加減鏡を見なさいよ――直視できないレベルでみっともないわ」
 男は、虎のように躍って――咆哮した。
「お前だって同じだろうがっっっっっっっっ!!!!!!!!」
 男の拳が佐治さんの肩に当たった――ように見えた。あまりにも速すぎたためにはっきりとは見えなかった。二度、三度と佐治さんは殴られたようで、細長い体が得体の知れない玩具のようにぐにゃぐにゃと曲がった。
「お前だって! お前だって! ――お前だって、あれに勝てなかったくせに!! 自分の方が現実がわかっているとでも言いたいのか!? 自分の方が立派で、私の方がみっともないとでも言いたいのか!? 私とお前に一体なんの違いがある!? 両方ともトカゲに最も大事なものを踏み躙られた、ただの負け犬だろうがっっっっっっ!!!!!!!」
 歪なほどに目を見開き、両腕を振り回して絶叫するその姿は、呪いを撒き散らして狂う悪魔そのものだった。
 そんな男の姿を、佐治さんは最早見慣れてしまった、呆れているような、諦めてしまったような顔で見つめていた――佐治さんの右足が消える。直後、荒れ狂っていた男が膝から崩れ落ちた。
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