文明トカゲ

ペン牛

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八 懐旧の澱

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「アタシ決まった。決まった?」
 佐治さんの決断は早かった。僕はといえばまだメニューを眺めている段階だった。
「……もうちょっと待ってもらえますか」
「急ぎなさいよ」
(どうしよう、急がないと)
 旅館の中は暖かいが、ここまでの道中でそれなりに体は冷えていた。そしてこれから温泉に入ることを考えるとあまり重たいものは食べたくない。かといってある程度のボリュームがなければすぐにお腹が減ってしまいそうだ。
(……天ぷらうどんが一番ちょうどいいか)
 メニューから顔を上げ、佐治さんに、
「決まりました」
 と報告する。
「そう。じゃ席取っとくから注文しといて。アタシきつねうどんとカツ丼だから」
 そう言うと佐治さんはセルフサービスの水を二人分持って食堂の奥へと歩いていった。
注文用のカウンターに並び、注文を済ませると、僕は佐治さんの姿を探して食堂の奥へと歩いていく。佐治さんがいたのは食堂の一番奥のテーブル席だった。どうやらそこしか空いていなかったらしく、憮然とした表情をしていた。
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