文明トカゲ

ペン牛

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十 文明と影

20

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「もうすぐよ」
 佐治さんが呟く。
「はい」
 法山のところへ向かうのはこれが二度目だ。しかし、状況が前回とはあまりにも異なっている。
(……本当に、冷静でいられるんだろうか)
 法山がどんな状態だったとしても、あれにもう一度対峙して、本当に僕は理性を保っていられるのだろうか?
 答えは歩き続けた先にしかない。佐治さんを追ってひたすらに一歩一歩足を踏み出す。細くなった道路の脇に小さな石の階段があった。それを上ってすぐのところに古びた小さな社があり――そこに、法山はいた。
「想像してたよりひどいザマね。気分いいわ」
 吐き捨てるように佐治さんが言った。法山は社の手前の地面に置かれた地蔵のようなものを撫でている。僕達に気づいた様子はない。
 足音を立てないように近づき、しゃがみ込んでいる法山の顔を覗いた――微笑んでいる。
(法山にとって、この地蔵は重要な意味があるものなのだろうか)
 できることなら問い質したかったが、僕達のことなどまるで意に介さずに同じ表情で地蔵を撫で続ける法山を見て、それは無理だと悟った。
「……佐治さん、法山は、もう」
「そうね。まず駄目でしょ。輪郭もブレてるし、いずれは自分の形も保てなくなるんじゃないの? ーーまぁ、そんな悠長なことするつもりもないんだけど」
 佐治さんが懐から拳銃を取り出す。今までに見たことがない、黒と白銀の端正な拳銃だった。
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