5 / 24
お仕事成功?
しおりを挟む
僕はエグエグ嗚咽を漏らしながらボロボロ涙をこぼした。
葵さんは目を丸くした。
「お、男?」
「うぅ~…ごめんなさいっ…僕もお仕事なんです」
止まらない涙を拭い続ける。
「はぁ?」
混乱しているのか、眉間に皺を寄せた。
「ま、待って。別れの話を切り出したいけど切り出せないからうまく変装した友達か何かだと思ってたんだけど……何がどうなってるか話してくれない?」
喋り方が優しくなった。流石に泣いてる人相手には冷たい態度は取らないらしい。
泣き止まない僕を見て、『困ったなぁ』と呟いて頭を掻いた。
「あ、あのっ…今井様からのご依頼だったんですっ」
「依頼?」
「はいっ、僕たち妖狐•妖狸の仕事はお昼に依頼を受けて、夜に変化して代わりにデートしたり別れたりするんです…会社自体有名ではないので妖狐•妖狸の存在自体あまり知られていません」
僕はだいぶん泣き止んで、まだ少し濡れた目元を擦った。
葵さんはポカンとして僕から目を離さない。
「あ、あの…?」
「つまり君は妖狐か妖狸ってことだよね?」
「はい、見るからに妖狸です」
「見ても分からないけど…とにかく俺は紗枝と別れればいいの?」
「はい。…そして仕事は成功したってことにして欲しいですっ。あとあと、僕のことは忘れてくださいっ」
少し身を乗り出して言うと、何かを考えるように上を向いた。それからニヤッと怪しく笑った。
「いいけど条件がある」
「は、はいっ…なんなりとお申し付けください」
コッチは得意ですので。
「そんなこと言っていいの?」
「何がですか?」
「まぁいいや。」
またニヤッと怪しく笑って、僕の方に身を乗り出して言った。
「お金は倍弾むから…抱かせて?」
「へ…あ、あのっ必要以上の代金なんて頂けませんっ」
「じゃあタダで抱かせてくれる?」
「は、ハグくらいなら全然…」
なんだかすごく恥ずかしくて俯くと、深いため息が聞こえた。
「妖狸さんは鈍いね。…まぁそういうところ可愛くて好きだよ」
すごく綺麗な顔が微笑むと、すごくドキドキしてしまうのはなぜですか?
「なんかさ、俺よくクソみたいな男だと思われるんだよ」
「どうしてですか?」
「さぁ。なんか言い方が悪いらしい。実際はそんなつもりで言ってるわけじゃないんだけどね」
結局何が言いたいんだろ。と首を傾げるとクスッと笑った気配がした。
「だから、お金弾むとか言ったけどそのくらい君が気になってるし可愛いなって思ってるってことだから」
「な、な、何故ですか?!」
突然の言葉にまたパニックになってクラクラする。僕が可愛い?何故?出会って10分程度しか経ってないのに…。
「はっ、はっ…どうしようっ…うぅ、うらさん~」
また泣きそうな僕の隣にいつの間にか葵さんがいて、ぎゅっと抱きしめられた。
「可愛いなぁ。俺以外の名前読んでるの嫉妬するけど…仕方ない。今日は諦める。」
ニコッと微笑んで、僕の携帯を取り上げた。
「はい、俺の連絡先これね」
そう言って立ち上がった。
「じゃあね。…あ、スマホロックしないと危ないよ」
チュッと僕のほおにキスをして帰って行った。
「な、なんだったんだろ…」
というか、お金置いて行ってくれた…。発言はどうかと思うこと多いけど意外と紳士なのかも…?
パニックを通り越して呆然とした。
葵さんは目を丸くした。
「お、男?」
「うぅ~…ごめんなさいっ…僕もお仕事なんです」
止まらない涙を拭い続ける。
「はぁ?」
混乱しているのか、眉間に皺を寄せた。
「ま、待って。別れの話を切り出したいけど切り出せないからうまく変装した友達か何かだと思ってたんだけど……何がどうなってるか話してくれない?」
喋り方が優しくなった。流石に泣いてる人相手には冷たい態度は取らないらしい。
泣き止まない僕を見て、『困ったなぁ』と呟いて頭を掻いた。
「あ、あのっ…今井様からのご依頼だったんですっ」
「依頼?」
「はいっ、僕たち妖狐•妖狸の仕事はお昼に依頼を受けて、夜に変化して代わりにデートしたり別れたりするんです…会社自体有名ではないので妖狐•妖狸の存在自体あまり知られていません」
僕はだいぶん泣き止んで、まだ少し濡れた目元を擦った。
葵さんはポカンとして僕から目を離さない。
「あ、あの…?」
「つまり君は妖狐か妖狸ってことだよね?」
「はい、見るからに妖狸です」
「見ても分からないけど…とにかく俺は紗枝と別れればいいの?」
「はい。…そして仕事は成功したってことにして欲しいですっ。あとあと、僕のことは忘れてくださいっ」
少し身を乗り出して言うと、何かを考えるように上を向いた。それからニヤッと怪しく笑った。
「いいけど条件がある」
「は、はいっ…なんなりとお申し付けください」
コッチは得意ですので。
「そんなこと言っていいの?」
「何がですか?」
「まぁいいや。」
またニヤッと怪しく笑って、僕の方に身を乗り出して言った。
「お金は倍弾むから…抱かせて?」
「へ…あ、あのっ必要以上の代金なんて頂けませんっ」
「じゃあタダで抱かせてくれる?」
「は、ハグくらいなら全然…」
なんだかすごく恥ずかしくて俯くと、深いため息が聞こえた。
「妖狸さんは鈍いね。…まぁそういうところ可愛くて好きだよ」
すごく綺麗な顔が微笑むと、すごくドキドキしてしまうのはなぜですか?
「なんかさ、俺よくクソみたいな男だと思われるんだよ」
「どうしてですか?」
「さぁ。なんか言い方が悪いらしい。実際はそんなつもりで言ってるわけじゃないんだけどね」
結局何が言いたいんだろ。と首を傾げるとクスッと笑った気配がした。
「だから、お金弾むとか言ったけどそのくらい君が気になってるし可愛いなって思ってるってことだから」
「な、な、何故ですか?!」
突然の言葉にまたパニックになってクラクラする。僕が可愛い?何故?出会って10分程度しか経ってないのに…。
「はっ、はっ…どうしようっ…うぅ、うらさん~」
また泣きそうな僕の隣にいつの間にか葵さんがいて、ぎゅっと抱きしめられた。
「可愛いなぁ。俺以外の名前読んでるの嫉妬するけど…仕方ない。今日は諦める。」
ニコッと微笑んで、僕の携帯を取り上げた。
「はい、俺の連絡先これね」
そう言って立ち上がった。
「じゃあね。…あ、スマホロックしないと危ないよ」
チュッと僕のほおにキスをして帰って行った。
「な、なんだったんだろ…」
というか、お金置いて行ってくれた…。発言はどうかと思うこと多いけど意外と紳士なのかも…?
パニックを通り越して呆然とした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる