恋愛代行業者

ぼたもち。

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お仕事成功?

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僕はエグエグ嗚咽を漏らしながらボロボロ涙をこぼした。
葵さんは目を丸くした。

「お、男?」
「うぅ~…ごめんなさいっ…僕もお仕事なんです」

止まらない涙を拭い続ける。

「はぁ?」

混乱しているのか、眉間に皺を寄せた。

「ま、待って。別れの話を切り出したいけど切り出せないからうまく変装した友達か何かだと思ってたんだけど……何がどうなってるか話してくれない?」

喋り方が優しくなった。流石に泣いてる人相手には冷たい態度は取らないらしい。
泣き止まない僕を見て、『困ったなぁ』と呟いて頭を掻いた。

「あ、あのっ…今井様からのご依頼だったんですっ」
「依頼?」
「はいっ、僕たち妖狐•妖狸の仕事はお昼に依頼を受けて、夜に変化して代わりにデートしたり別れたりするんです…会社自体有名ではないので妖狐•妖狸の存在自体あまり知られていません」

僕はだいぶん泣き止んで、まだ少し濡れた目元を擦った。
葵さんはポカンとして僕から目を離さない。

「あ、あの…?」
「つまり君は妖狐か妖狸ってことだよね?」
「はい、見るからに妖狸です」
「見ても分からないけど…とにかく俺は紗枝と別れればいいの?」
「はい。…そして仕事は成功したってことにして欲しいですっ。あとあと、僕のことは忘れてくださいっ」

少し身を乗り出して言うと、何かを考えるように上を向いた。それからニヤッと怪しく笑った。

「いいけど条件がある」
「は、はいっ…なんなりとお申し付けください」

コッチ実技は得意ですので。

「そんなこと言っていいの?」
「何がですか?」
「まぁいいや。」

またニヤッと怪しく笑って、僕の方に身を乗り出して言った。

「お金は倍弾むから…抱かせて?」
「へ…あ、あのっ必要以上の代金なんて頂けませんっ」
「じゃあタダで抱かせてくれる?」
「は、ハグくらいなら全然…」

なんだかすごく恥ずかしくて俯くと、深いため息が聞こえた。

「妖狸さんは鈍いね。…まぁそういうところ可愛くて好きだよ」

すごく綺麗な顔が微笑むと、すごくドキドキしてしまうのはなぜですか?

「なんかさ、俺よくクソみたいな男だと思われるんだよ」
「どうしてですか?」
「さぁ。なんか言い方が悪いらしい。実際はそんなつもりで言ってるわけじゃないんだけどね」

結局何が言いたいんだろ。と首を傾げるとクスッと笑った気配がした。

「だから、お金弾むとか言ったけどそのくらい君が気になってるし可愛いなって思ってるってことだから」
「な、な、何故ですか?!」

突然の言葉にまたパニックになってクラクラする。僕が可愛い?何故?出会って10分程度しか経ってないのに…。

「はっ、はっ…どうしようっ…うぅ、うらさん~」

また泣きそうな僕の隣にいつの間にか葵さんがいて、ぎゅっと抱きしめられた。

「可愛いなぁ。俺以外の名前読んでるの嫉妬するけど…仕方ない。今日は諦める。」

ニコッと微笑んで、僕の携帯を取り上げた。

「はい、俺の連絡先これね」

そう言って立ち上がった。

「じゃあね。…あ、スマホロックしないと危ないよ」

チュッと僕のほおにキスをして帰って行った。

「な、なんだったんだろ…」

というか、お金置いて行ってくれた…。発言はどうかと思うこと多いけど意外と紳士なのかも…?

パニックを通り越して呆然とした。
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