政略カップルと切ない王子様

まび

文字の大きさ
上 下
15 / 19
集団宿泊

集団宿泊 2日目 昼 愛梨

しおりを挟む
「侑梨川」
「なに?」

私がお昼ご飯のオムライスを作っていると
手伝いに来た多部くんが話しかけてきた。

どうしたんだろ?
なんか手順でも間違ったかな?

でも、多部くんの顔はかなり真剣っぽい。

「侑梨川は…」

何でそこで止まってしまうんだろ
そんな深刻なこと?



すると、多部くんは衝撃の言葉を発した。

















「本当に望むのこと好きで付き合ってる?」













……………………………

…え?

なにそれ、もしかして政略カップルってばれてる?


どうしよう。
まだ私は…



望くんを好きになれてない



多部くんの質問にどう応えるべきだろう

嘘をつくべき?






多部くんに嘘をつく?








でも…
バレてはいけない

でも……


心の中でかなり葛藤していた












「どう見える?私達って」










悩んだ
これが悩んだ決断


でも……


はっきり、好きだよ?
とは言えなくて

言葉を濁した。

「……侑梨川たちは、幸せそうなカップルに見えるよ?」

「ありがとう」

かぶせた笑顔でそう返す
もうなにも聞かないで


分かってしまう


「でも……望のことは好き?」



そんな顔で聞かないでよ
そんな傷つきそうな顔で聞かないで


さっき言葉をわざと濁したことなんてすぐにばれてる。


嘘がつけない






「………のぞ…むくんの……ことは……」
言えない

でも嘘もつけない


「……す…「料理遅くない?俺も手伝おうか?」

この空気に入ってきたのは

「望くん…」


あぁダメだ私

この人を好きにならなきゃいけないのに


好きじゃないだなんて
言おうとしてた

バレてはいけない
嘘をつかなきゃ




バレないように





「多部くん」

嘘を重ねて










「好きだよ?望くんのこと」




しおりを挟む

処理中です...