政略カップルと切ない王子様

集団宿泊

集団宿泊 2日目 夜 和樹

かすかな願いが消えた

望と付き合うってのは侑梨川自身が選んだことで

政略なんかじゃなくて

あんなすんだ笑顔で

好きだよ？望くんのこと


言うなよ……

ますます辛くなる

周りでもかなり望むと侑梨川が付き合っているということが話題に上がっていて


辛い


今だって侑梨川たちは夜ご飯を早めに切り上げてどっかに行ってるし




俺は……









この思いをどうすればいい？







「たっ多部くん」

ん？
声のした方を振り返ると
なんかもじもじと恥ずかしそうにしている女がいた

「なに？」
「ちょっと……来てくれるかな？」

恥ずかしそうにしている彼女は
長い髪を二つに束ねていて
腕が細くて白くて
月光に反射している

連れてこられた場所は
誰もいない澄んだ星空がよく見える場所。


まるで、侑梨川の瞳みたいに澄んだ夜空のところ


「……その、私…」
かなり彼女は思い悩んでいるようで、目を伏し目がちにしながら悩んでいる。




「……多部くんのこと………前からずっと好きでした！！！！」




こんな告白 

何回もされて何回も同じ内容。


「ゴメン、君のことあんまり知らないから…ゴメンね？」


断る言葉も同じ


「違うよね」
え？
「多部くんは、侑梨川さんが好きだよね」

何でみんなにばれてんだろ？
みんながバラしてんのか？


「まぁ叶わないけどね」


正直なことを言っておこう。




ニヤ





なぜか女は笑った

不敵な笑みを見せながら


「まぁ侑梨川さんは、彼氏が守るかな？守らなかった大変かも」


女はそう言って帰って行った 


どうゆーことだ？
まさか侑梨川がなんかされるとかないよな？


不安に襲われた