悪役令嬢は、面倒事が大嫌い！

目の見えない少女と従者

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「コンバートあなたは、エレインの婚約者の子供のころから知っているのでしょう。どういう子供だったの二人は」


「よく覚えておりますよ。子供のころ、それも物心つかない頃からのお付き合いでした二人は。元々は婚約者候補という形ではございましたが。幼少期は、二人はそれぞれ別の遊びをして時間を潰していくのが常でした。エレイン様はご本を読むのがお好きで、婚約者様の方は剣士ごっこなどをして遊んでおられました。たまに、気が合えばお花を摘んで遊んだりはしておられましたが。お二人の関係は、他人の私から見れば、一緒にいなければならないからいるという感じがしました。」


「仲は悪かった？」


「いいえ、そういうわけではなく。お互いに関心を向けている先が違うだけという感じで、無理して相手に合わせようとはしない。そんな関係でした。幼いころからどこか、大人の視点を持ち合わせ、賢かったのだと思います」


「なるほどね。そのまま今まで成長してきたの？」


「いいえ、そういうわけには御座いませんでした。エレイン様のお目が見えなくなってしまうその時まではお二人の関係はそうでしたが」



「エレインの目が見えなくなってしまう時？」



「そんなに関係は変わっていったのかい？」



コンバートはジェシカ、レイと二人とそれぞれ視線を合わせ、うなだれて頷いた。



「あの事故、いえ事件が原因でお二人が静かに一つの空間で穏やかな時を過ごすことを見かけることを無くしてしまいました。全ては、私の、私の愚息が発端だったのです」


ジェシカの言葉を代弁するかのようにレイが声を上げた。


「息子？」


エレインの目の話になった途端に、コンバートは視線を躍らせ、顔を真っ青にして取り乱したように声を出していく。きっと彼にとってまだ消化しきれていない内容であるのだろうと、ジェシカは想像するが、この執事のコンバートがこんなに取り乱すだなんてと思ってしまった。


「ええ、息子です。私の息子が原因で、エレイン様は、目が、」




「それは、誰だか聞いてもいいかしら」



ジェシカは想像に難くないなと思い、一人の男を想像した。いつも隣にいて、何時もエレインのそばで忠義を尽くし彼女のためになら命すらも差し出してしまいそうな、そんな男の顔を。




「キルシュナーに御座います」