悪役令嬢は、面倒事が大嫌い!

リカ

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目の見えない少女と従者

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「ジェシカ様、レイト様。今お時間よろしいでしょうか?」


足音もなく近づいて声を掛けてきたのは、執事のコンバートだった。


「ええ、どうかしたの?」



「いえ、きっと自分もお話しすべきことがあると思ったので自分から参った次第にございます」



「そう。ではコンバートにはいくつかの質問があるわ。いいかしら」


「もちろんに御座います」



そう言って微笑んだ姿は、ジェシカの屋敷に勤めている爺やのようだった。感情はそこからは読めないし、動揺もない。感情の起伏を外へ出さないということは、使用人としては一流の証だ。使用人は、空気でなければならないのだから。けれど、今回に限ってはこういう相手ほど厄介な相手はいないだろう。


「コンバート、あなたの午前中の動きを聞いてもいい?」



「はい。まず出勤いたしまして、その次に行ったのは屋敷の掃除に御座います。掃除が一通り終わりましたら、旦那様から言いつけられていた、帳簿だのの事務のような仕事を行っていました。」


「一人でよね?」



「そうですね、この仕事は基本的には個人で行っていた業務ですから。朝の掃除に関しては、他の使用人にも指示をしましたがそのあとは、チェック以外の時はそうですね。別々に行っていました。事務仕事も、書斎に籠りきりでしたので、アリバイというやつはありませんね」



「なるほど。正直に答えてくれてありがたいわ」


「ジェシカ様のような方に嘘なんかついてしまえば、後が恐ろしいですから」



「まあ、そういうの気にしなければよいのに」



ジェシカは何かを考えるように掌を顎のラインへ沿わせ、次は何を質問すべきか考えている。



「コンバートはいつからここに勤めているの?」



「そうですね。大旦那様がご当主ころからですから、大体40年くらいでしょうか。気が付けば自分が一番長くここに勤めさせていただいております」



「そんなに長く?」


「ええ、ご縁があって。ずっと務めております」



ジェシカはエレインの婚約者との関係について聞いてみようと思った。
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