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最初の一週間
夜明け前のベルリン
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ガタン、という何かが落ちた音が聞こえて目が覚める。
薄暗い灯りで照らされている部屋を見て、そこが東京の自分のアパートでもなく、ベルリンのウィークリーアパートでもないことに気がつく。
そうだ、拓海の泊まっているホテルの部屋だ。
全開になっているパノラマの窓から見えるのは、まだ夜景のベルリン。
身を起こそうとして、背中の温かい感触に気がついた。
振り返ると、そこにはうつ伏せで眠っている拓海がいる。伸びた前髪の向こうの目はしっかり閉じられていて、彼が熟睡しているのは間違いなかった。
こうやって拓海の眠っている姿を見るのは、これが2回目。
前回は、3回目のデートで行った横浜のみなとみらいの高層ホテル。夜景の奇麗なレストランにディナーに行ったのだが、あの時はすでに少し風邪気味だった私が急に具合が悪くなり、急遽ホテルに泊まることになったという、緊急事態だった。明け方に目が覚めた時に、拓海が隣で眠っているのを見てびっくりしたので、あの時のことははっきりと覚えている。
だから、つまり、私達はまだ、一線を越えたことはない。
そう考えると、彼がプロポーズしたことが更に不思議でならない。
しばらくその寝顔を眺める。
きれいに整った顔立ちで、こうして目を閉じていると優しげに見える。起きている時に人に与える強引さは消え失せ、とても柔らかい印象を感じるものだった。
その前髪に手を伸ばしかけた自分に気がつき、はっとして手を引っ込める。
そして昨晩の一連の出来事を思い出し、急に心臓がドキドキしてきて、慌てて拓海から目を逸らした。
あれは、本気だったんだろうか。
拓海は、本気であんなことを言ったんだろうか。
彼が口にした言葉をひとつひとつ思い出そうとしたが、記憶を手繰り寄せようとすると緊張と動揺までそのままぶり返しそうになる。
お腹に絡み付いている拓海の腕の重みと温かさが、ますますこの状況を現実化させ、私はパニックに陥りそうになった。
とても、冷静になんてなれない。
1人にならないと、到底、思考がまとまらない。
私はベッドの横にあるデジタル時計に目をやった。
朝の、4時半。
外はまだ真っ暗だけど、まもなく朝だ。
このまま、拓海が起きるのを待っているなんて、無理だ。
さっきなんて、自分の知らないうちに彼に触れようと手を伸ばしかけていた……
とにかく、まず、1人になるべきだ。
私はすぐにそう決心し、注意深く拓海の腕からすり抜けて、ベッドから下りる。足下に、水のボトルが落ちていた。さっきの何かが落ちた音は、この水のボトルだったらしい。
私は辺りを見渡して、デスクランプの横にホテルのメモ帳とペンを見つけて、急いで短いメモを書いた。
必ず連絡するから。北欧での買付け、気をつけて。 理央
カウチにあった自分のバッグとコートを手に取り、足早に部屋を出ようとし、一度立ち止まって、拓海を振り返った。
うつぶせでぐっすり眠っている。
何も言わずに逃げるように帰ることに、ものすごく胸が痛み、泣きそうになる。
あんなに優しい言葉を言ってくれた男なんて、他にはいなかった。
しかも、こんな私にプロポーズまでしてくれたのに。
でも、どうしても私は自分の頭を冷やす必要があった。
拓海に近寄ると、そっとブランケットをその背中に掛けて、私は静かに部屋を出た。
まだ、宿泊客は寝静まっているのだろう。
エレベーターも誰も使っていなかったから、すぐに上がって来た。
一階に下りると、ナイトシフトのフロントの人がちらりと私を見る。何か言われるかと思って一瞬緊張したが、私がぎこちなく微笑むと、その女性も微笑んだだけで目を逸らし、私は声をかけられることもなく通り過ぎた。
ホテルの表に出てみると、昨晩は2台ほど停まっていたタクシーの姿がないことに気がつく。朝早すぎて、待機はしていないということかもしれない。
思いも寄らなかった事体に呆然とした。
確か、夜中はベルリンの電車は走っていないと聞いていたから、タクシーで帰るしか方法はない。
その肝心のタクシーが無い。
フロントに戻って、そこでタクシーを呼んでもらうにしても、私は宿泊客でもないし、拓海の部屋に無断宿泊したことがバレて問題になるかもしれない。
今更、ホテルの部屋には戻れないし……
焦りながら解決策を考えていると、遠くから電車の走る音が聞こえ、はっとして耳を済ますと、確かに電車の音が聞こえる。
静まり返ったアレクサンダー広場の向こうから、かすかに聞こえるようだ。
始発が始まっているに違いない。
ほっとして、私はすぐに歩き始めた。
無人の街に、私の足音がこだましている。
昨晩、拓海と手をつないで歩いた道を辿って、アレクサンダー広場へ入り、その向こうに見えるアレクサンダープラッツ駅へ早足で向かう。
駅に入ると、昼間は騒々しいその構内には僅かだが人影があって、間違いなく電車が走っているのだと安心した。
階段を上って、自分の乗るべき方向の電車がどちらのホームか確認しようと路線地図を探して、切符販売機のそばにそれがあるのに気がつく。
路線図を見ていると、何やら騒々しい男達の声が階段の下から聞こえて来た。
直感で、それは良くない兆候だと感じて、急いで路線図から離れて階段と反対の方へ歩き出す。
あれは、酔っぱらった男達に違いない。
東京でも、明け方にたまに見かけるタイプの連中だ。
こんなまだ真っ暗な明け方に、1人で出て来た事は軽卒だったかもしれないと後悔する。
柱の影に隠れるように立って、電光掲示板を見たら、あと1分で電車が来ると書いてあった。
もう、まもなく来るはずだ。
早く、電車が来るようにと願いながら、線路の向こうを見ていると、さっきの連中の声が近づいてくるのに気がついた。
ドキリとして振り返ると、大柄な男達が3人、なにやら笑いながらこちらへやってくる。
辺りを見渡してみるが、ここにいるのは私だけだ。
反対側の遠くに、数人の人影が見えるけれど、近くには誰もいない。
彼らを避けて反対側へ歩こうとしたら、男達がなにやら言いながら私のほうへやってくる。
こいつらに、絡まれる!
私は立ち止まって、緊張のあまり息を飲んだ。
何か可笑しそうに笑いながら私に話しかけてくるが、当然、全く理解できない。
黙って無視していると、3人が私の周りを囲むように近づいて来たので、逃げるつもりで踵をかえすと、そのうちの1人に腕を掴まれた。
恐怖で固まってしまった私は、声も出ない。
腕をひっぱり返す事も出来なくて、息が止まりそうなほどの緊張で、さーっと血の気が引いて行くのを感じた。
ドイツ語だか何語だかわからない言葉でなにか言いながら、ぐいぐいと私の腕をひっぱるその男と、それを見て大笑いしている二人の男。
薄暗く肌寒いホームに響く男達の笑い声が脳裏でぐるぐる回る。
遠くから、電車の音が聞こえて来た。
もうすぐ、電車がホームに来るんだ!
一瞬気が緩んだ時、男の1人が私のバッグに手をかけ、引っ張りだした。
驚いてバッグを掴むが、バッグは掴まれたままびくともしない。
このままじゃ電車が来ても乗り込めない!
「やめて!離してっ!」
気が動転して必死にバッグを引っ張ろうとした時、少し離れた所から叫び声が聞こえた。
名前を呼ばれた気がして、はっと顔を上げてみると、階段の向こうからこちらへ走って来る人影が見え、それが見覚えのある姿だと気がついた。
「リオ!?」
あれは、ヴィクターだ。
驚きと急な安堵感でこちらへやってくるその人を目で確認すると、やはりヴィクターだった。
その時に思い出したけれど、ここはヴィクターの職場の最寄り駅で、彼は時折ナイトシフトで明け方まで働いているから、恐らく、今日はその日だったのだろう。
駆けつけたヴィクターが私を目で確認して、明らかにひどく驚いた顔をした。
それから即座にその連中に大声で何かを言いながら、私の腕を掴んでいた男と、バッグを掴んでいた男を乱暴に押しのけた。不満げに何かその男達が声を荒げて言い返していたけれど、ヴィクターはそれには応えず私の腕を掴み、丁度ホームに停車した電車に乗り込んだ。
運良く、その男達は反対側の電車に乗るつもりだったらしく、こちらの電車には乗らず、ホームで私達の方を見てなにやら悪態をついていたが、そのまま電車の扉は閉まり、発車した。
私は心底ほっとして、がら空きの席に座り、頭を抱えた。
危なかった。
ヴィクターが現れたから助かったけれど、あのままじゃバッグは盗られ、下手したら妙なところへ連れて行かれるとか危険な目にあっていたかもしれない。
昨晩、拓海が「間違っても、夜に知らない街を1人でうろつくなよ?」と言っていたことを思い出し、自分の愚行を激しく反省する。
「なんで、こんな時間にリオがここにいたわけ?」
向いに座ったヴィクターが、怪訝な顔をして私の顔を覗き込んだ。
それは当然の疑問だろう。
私は苦笑いして、溜め息をついた。
「ちょっと理由があって……ありがとう、ヴィクター。神様が現れたと思った。ほんとに、助かったよ」
「別にお礼なんかいいんだけどさ……女の子が1人で、しかも外国人なのに、こんな時間に電車なんて普通、ありえないよな」
「うん……」
「バスならまだマシだけど、電車はやめといたほうがいい」
「そうだね。本当はタクシーに乗りたかったんだけど、見当たらなかったから……あぁ、私、バカだよね。ほんと」
つくづく自分が情けなくなる。
大人として常識も分別もあると思っていたけれど、自分の危機感の低さを認識してとてもショックだった。
「眠気も一瞬で吹っ飛んだかも」
ヴィクターがそう言って笑った後、大きく欠伸をした。そして、自嘲するように肩をすくめる。
「やっぱり、そうでもないらしいな。早く寝たい」
「明け方まで大変だね」
「昨晩は、ひどいクレームを抱えてたんだ。10分置きに、そいつから電話が繰り返しかかってきて、うんざりだよ。しかも、相手は男だし、クレームの内容も理解不能だったから、適当にあしらっていたら、更にそいつの怒りを買った感じでさ」
「気疲れする仕事だよね。忍耐力が試されるって感じ?」
「まぁね。やっぱり、俺には向いてない」
ヴィクターがそう言って笑い、また大欠伸をした。
不規則な生活は大変だろう。
疲れた様子で背もたれによりかかってまだ真っ暗な窓の外を眺めているヴィクター。
私はさっきあの連中にひっぱられていたバッグを確認して、どこも壊れていないことにほっとした。
パスポートも日本の携帯も持って来ていなかったけれど、化粧ポーチ以外には、財布とアパートの住所の紙が入っていたので、これらが盗られていたら最悪な事体になっていたことだろう。
もう二度と、外が暗い時間は1人で歩いたりしないと固く自分に言い聞かせた。
やがて、最寄り駅について電車を下りる。
まだ、真っ暗でホームの灯りくらいしか点いていないけれど、ちらほらと人の姿が見えるようになっていた。時間はまだ5時だけど、朝早い仕事に就いている人なら、5時台、6時台から出勤するものだろう。
落ち着きを取り戻して、私も眠気が戻って来た。
ただでさえ昨晩の出来事で疲れていたのに、さっきのことで更に疲れて、心身ともに限界に来ている。
欠伸をかみ殺しながら歩いて、隣を歩くヴィクターを見ると、やっぱり大欠伸をしていて、ちょっぴり可笑しくなってしまう。
この間観光に付き合ってもらって帰って来た時も、こうやって欠伸しながら歩いていたんだった。
アパート前まで来ると、ヴィクターが柵を開けてくれる。
「ありがとう」
お礼を言うと、ヴィクターがくすっと笑って頷いた。
階段を上りながら、コートの内側のポケットから部屋の鍵を取り出す。もう、部屋に入ったらそのままベッドに飛び込んで眠りたい。化粧を落とさずに寝るなんてありえないけれど、非常事態並みに疲れているんだから仕方が無い。
ヴィクターの階に着いたら、彼もポケットから鍵を出していた。
「ヴィクター、ほんとにありがとうね」
もう一度お礼を言いながら上の方へ続く階段へ回ると、ヴィクターが笑顔を向けて片手を挙げる。
「ラッキーだったと思えばいいさ。今晩のパーティ、忘れるなよ」
「うん、わかってる。なんか持って行くから」
「じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
私も片手を挙げて階段を上り始めた。上の階に着いて、ドアに鍵を差し込んで開けた時、ふと、下のほうからドアが締まる音がしないことに気がついた。耳を澄ますと、なにかガチャガチャと聞こえて、それから舌打ちのような音が聞こえた。
あれはヴィクターだ。
どうしたのだろうと思って、数段下りて覗くと、ドアの鍵穴に鍵を入れて押したり引っ張ったりと格闘しているヴィクターが見えた。
「ヴィクター?どうかしたの?」
声をかけると、ヴィクターがこちらを見上げて、苦笑いした。
「サビーナのやつ、内側の鍵穴に鍵を入れっぱなしで寝やがったみたいだ」
「内側から?」
「あいつ、またやりやがった……」
大きく溜め息を着いて、鍵穴を見下ろすヴィクター。
内側から鍵が入っていると、外から開けようとしても開かないらしい。
その仕組みは知らなかったけれど、さすがに私も、閉め出しをくらっているヴィクターをそのまま見過ごすわけにもいかなくなり、少し躊躇した後に声をかけた。
「……なんだったら、こっちに入っておけば?ソファあるし、一眠りしてまた彼女が起きた頃に呼び鈴押してみるとか」
そう言うと、ヴィクターが少し黙って考えていたようだったけれど、やがて諦めたようにもう一度溜め息をつき、私のほうを見上げた。
「そうさせてもらえると、正直なところ助かる」
「うん。命の恩人に、これくらいお礼はさせてもらわないと」
少し大袈裟な気もしたけれど、本当に危険な所だったから、下手したら命だって関わっていたからもしれない。
「そりゃいくらなんでも言い過ぎってやつ」
ヴィクターは苦笑した。
それから鍵を抜いて、ゆっくりと階段を上がって来た。
扉を開けて誘導すると、ヴィクターが玄関マットで靴底をこすって、中に入った。
「リオ、ありがとう」
「ううん、気にしないで。さすがに、今晩は外で寝るには寒いしね」
「それは、言えてる。風邪引いて、パーティをキャンセルにしたら野郎どもに何されるかわからないし」
冗談まじりにそう言って、私がブーツを脱いでいるのを見て彼も靴を脱いだ。
「キッチンはあっちだから、水とか適当に飲んで。そっちがリビング。ソファがあるし。あ、ちょっと待ってて」
私はベッドルームに入って、クローゼットを開けて見た。
思った通り、予備のクッションやブランケットが置いてあったので、それを取り出す。
リビングのほうへ行くと、ヴィクターが窓際のランプを付けているところだった。
「予備のがあったよ。ここに置いとくね」
「オッケー」
そう言いながら、ヴィクターが大きな欠伸をして、可笑しそうに笑う。
リビングを出ようとしたら、おやすみ、とまた聞こえたので振り返ったら、もうすでにブランケットに包まってソファに寝そべるヴィクターが見えた。
「じゃぁね」
私は静かにそう言って、リビングのドアを閉めた。
すごく疲れていたけれど、やっぱり化粧を落とさないで寝るのはお肌には絶対良くないと自分に言い聞かせ、きちんと化粧を落とし、歯磨きをしてからベッドルームに入る。
時間はもう5時半になっていたけれど、外はまだ真っ暗だ。
これだけ暗いと、全然、明け方という気がしない。
眠気を覚ます朝日もまだ当分上りそうにない。
ベッドに潜り込むと、もうその瞬間に意識が遠のいて、私は深い眠りの中に落ちて行った。
夢の中で、昨晩の出来事がドラマの再放送のように流れて、それが現実なのか、夢なのかわからない状態を繰り返しつつ、私はぐっすりと眠りについていた。
どれくらい眠ったか分らない。
意識の遠くで、呼び鈴のような音が聞こえた。
薄暗い灯りで照らされている部屋を見て、そこが東京の自分のアパートでもなく、ベルリンのウィークリーアパートでもないことに気がつく。
そうだ、拓海の泊まっているホテルの部屋だ。
全開になっているパノラマの窓から見えるのは、まだ夜景のベルリン。
身を起こそうとして、背中の温かい感触に気がついた。
振り返ると、そこにはうつ伏せで眠っている拓海がいる。伸びた前髪の向こうの目はしっかり閉じられていて、彼が熟睡しているのは間違いなかった。
こうやって拓海の眠っている姿を見るのは、これが2回目。
前回は、3回目のデートで行った横浜のみなとみらいの高層ホテル。夜景の奇麗なレストランにディナーに行ったのだが、あの時はすでに少し風邪気味だった私が急に具合が悪くなり、急遽ホテルに泊まることになったという、緊急事態だった。明け方に目が覚めた時に、拓海が隣で眠っているのを見てびっくりしたので、あの時のことははっきりと覚えている。
だから、つまり、私達はまだ、一線を越えたことはない。
そう考えると、彼がプロポーズしたことが更に不思議でならない。
しばらくその寝顔を眺める。
きれいに整った顔立ちで、こうして目を閉じていると優しげに見える。起きている時に人に与える強引さは消え失せ、とても柔らかい印象を感じるものだった。
その前髪に手を伸ばしかけた自分に気がつき、はっとして手を引っ込める。
そして昨晩の一連の出来事を思い出し、急に心臓がドキドキしてきて、慌てて拓海から目を逸らした。
あれは、本気だったんだろうか。
拓海は、本気であんなことを言ったんだろうか。
彼が口にした言葉をひとつひとつ思い出そうとしたが、記憶を手繰り寄せようとすると緊張と動揺までそのままぶり返しそうになる。
お腹に絡み付いている拓海の腕の重みと温かさが、ますますこの状況を現実化させ、私はパニックに陥りそうになった。
とても、冷静になんてなれない。
1人にならないと、到底、思考がまとまらない。
私はベッドの横にあるデジタル時計に目をやった。
朝の、4時半。
外はまだ真っ暗だけど、まもなく朝だ。
このまま、拓海が起きるのを待っているなんて、無理だ。
さっきなんて、自分の知らないうちに彼に触れようと手を伸ばしかけていた……
とにかく、まず、1人になるべきだ。
私はすぐにそう決心し、注意深く拓海の腕からすり抜けて、ベッドから下りる。足下に、水のボトルが落ちていた。さっきの何かが落ちた音は、この水のボトルだったらしい。
私は辺りを見渡して、デスクランプの横にホテルのメモ帳とペンを見つけて、急いで短いメモを書いた。
必ず連絡するから。北欧での買付け、気をつけて。 理央
カウチにあった自分のバッグとコートを手に取り、足早に部屋を出ようとし、一度立ち止まって、拓海を振り返った。
うつぶせでぐっすり眠っている。
何も言わずに逃げるように帰ることに、ものすごく胸が痛み、泣きそうになる。
あんなに優しい言葉を言ってくれた男なんて、他にはいなかった。
しかも、こんな私にプロポーズまでしてくれたのに。
でも、どうしても私は自分の頭を冷やす必要があった。
拓海に近寄ると、そっとブランケットをその背中に掛けて、私は静かに部屋を出た。
まだ、宿泊客は寝静まっているのだろう。
エレベーターも誰も使っていなかったから、すぐに上がって来た。
一階に下りると、ナイトシフトのフロントの人がちらりと私を見る。何か言われるかと思って一瞬緊張したが、私がぎこちなく微笑むと、その女性も微笑んだだけで目を逸らし、私は声をかけられることもなく通り過ぎた。
ホテルの表に出てみると、昨晩は2台ほど停まっていたタクシーの姿がないことに気がつく。朝早すぎて、待機はしていないということかもしれない。
思いも寄らなかった事体に呆然とした。
確か、夜中はベルリンの電車は走っていないと聞いていたから、タクシーで帰るしか方法はない。
その肝心のタクシーが無い。
フロントに戻って、そこでタクシーを呼んでもらうにしても、私は宿泊客でもないし、拓海の部屋に無断宿泊したことがバレて問題になるかもしれない。
今更、ホテルの部屋には戻れないし……
焦りながら解決策を考えていると、遠くから電車の走る音が聞こえ、はっとして耳を済ますと、確かに電車の音が聞こえる。
静まり返ったアレクサンダー広場の向こうから、かすかに聞こえるようだ。
始発が始まっているに違いない。
ほっとして、私はすぐに歩き始めた。
無人の街に、私の足音がこだましている。
昨晩、拓海と手をつないで歩いた道を辿って、アレクサンダー広場へ入り、その向こうに見えるアレクサンダープラッツ駅へ早足で向かう。
駅に入ると、昼間は騒々しいその構内には僅かだが人影があって、間違いなく電車が走っているのだと安心した。
階段を上って、自分の乗るべき方向の電車がどちらのホームか確認しようと路線地図を探して、切符販売機のそばにそれがあるのに気がつく。
路線図を見ていると、何やら騒々しい男達の声が階段の下から聞こえて来た。
直感で、それは良くない兆候だと感じて、急いで路線図から離れて階段と反対の方へ歩き出す。
あれは、酔っぱらった男達に違いない。
東京でも、明け方にたまに見かけるタイプの連中だ。
こんなまだ真っ暗な明け方に、1人で出て来た事は軽卒だったかもしれないと後悔する。
柱の影に隠れるように立って、電光掲示板を見たら、あと1分で電車が来ると書いてあった。
もう、まもなく来るはずだ。
早く、電車が来るようにと願いながら、線路の向こうを見ていると、さっきの連中の声が近づいてくるのに気がついた。
ドキリとして振り返ると、大柄な男達が3人、なにやら笑いながらこちらへやってくる。
辺りを見渡してみるが、ここにいるのは私だけだ。
反対側の遠くに、数人の人影が見えるけれど、近くには誰もいない。
彼らを避けて反対側へ歩こうとしたら、男達がなにやら言いながら私のほうへやってくる。
こいつらに、絡まれる!
私は立ち止まって、緊張のあまり息を飲んだ。
何か可笑しそうに笑いながら私に話しかけてくるが、当然、全く理解できない。
黙って無視していると、3人が私の周りを囲むように近づいて来たので、逃げるつもりで踵をかえすと、そのうちの1人に腕を掴まれた。
恐怖で固まってしまった私は、声も出ない。
腕をひっぱり返す事も出来なくて、息が止まりそうなほどの緊張で、さーっと血の気が引いて行くのを感じた。
ドイツ語だか何語だかわからない言葉でなにか言いながら、ぐいぐいと私の腕をひっぱるその男と、それを見て大笑いしている二人の男。
薄暗く肌寒いホームに響く男達の笑い声が脳裏でぐるぐる回る。
遠くから、電車の音が聞こえて来た。
もうすぐ、電車がホームに来るんだ!
一瞬気が緩んだ時、男の1人が私のバッグに手をかけ、引っ張りだした。
驚いてバッグを掴むが、バッグは掴まれたままびくともしない。
このままじゃ電車が来ても乗り込めない!
「やめて!離してっ!」
気が動転して必死にバッグを引っ張ろうとした時、少し離れた所から叫び声が聞こえた。
名前を呼ばれた気がして、はっと顔を上げてみると、階段の向こうからこちらへ走って来る人影が見え、それが見覚えのある姿だと気がついた。
「リオ!?」
あれは、ヴィクターだ。
驚きと急な安堵感でこちらへやってくるその人を目で確認すると、やはりヴィクターだった。
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それから即座にその連中に大声で何かを言いながら、私の腕を掴んでいた男と、バッグを掴んでいた男を乱暴に押しのけた。不満げに何かその男達が声を荒げて言い返していたけれど、ヴィクターはそれには応えず私の腕を掴み、丁度ホームに停車した電車に乗り込んだ。
運良く、その男達は反対側の電車に乗るつもりだったらしく、こちらの電車には乗らず、ホームで私達の方を見てなにやら悪態をついていたが、そのまま電車の扉は閉まり、発車した。
私は心底ほっとして、がら空きの席に座り、頭を抱えた。
危なかった。
ヴィクターが現れたから助かったけれど、あのままじゃバッグは盗られ、下手したら妙なところへ連れて行かれるとか危険な目にあっていたかもしれない。
昨晩、拓海が「間違っても、夜に知らない街を1人でうろつくなよ?」と言っていたことを思い出し、自分の愚行を激しく反省する。
「なんで、こんな時間にリオがここにいたわけ?」
向いに座ったヴィクターが、怪訝な顔をして私の顔を覗き込んだ。
それは当然の疑問だろう。
私は苦笑いして、溜め息をついた。
「ちょっと理由があって……ありがとう、ヴィクター。神様が現れたと思った。ほんとに、助かったよ」
「別にお礼なんかいいんだけどさ……女の子が1人で、しかも外国人なのに、こんな時間に電車なんて普通、ありえないよな」
「うん……」
「バスならまだマシだけど、電車はやめといたほうがいい」
「そうだね。本当はタクシーに乗りたかったんだけど、見当たらなかったから……あぁ、私、バカだよね。ほんと」
つくづく自分が情けなくなる。
大人として常識も分別もあると思っていたけれど、自分の危機感の低さを認識してとてもショックだった。
「眠気も一瞬で吹っ飛んだかも」
ヴィクターがそう言って笑った後、大きく欠伸をした。そして、自嘲するように肩をすくめる。
「やっぱり、そうでもないらしいな。早く寝たい」
「明け方まで大変だね」
「昨晩は、ひどいクレームを抱えてたんだ。10分置きに、そいつから電話が繰り返しかかってきて、うんざりだよ。しかも、相手は男だし、クレームの内容も理解不能だったから、適当にあしらっていたら、更にそいつの怒りを買った感じでさ」
「気疲れする仕事だよね。忍耐力が試されるって感じ?」
「まぁね。やっぱり、俺には向いてない」
ヴィクターがそう言って笑い、また大欠伸をした。
不規則な生活は大変だろう。
疲れた様子で背もたれによりかかってまだ真っ暗な窓の外を眺めているヴィクター。
私はさっきあの連中にひっぱられていたバッグを確認して、どこも壊れていないことにほっとした。
パスポートも日本の携帯も持って来ていなかったけれど、化粧ポーチ以外には、財布とアパートの住所の紙が入っていたので、これらが盗られていたら最悪な事体になっていたことだろう。
もう二度と、外が暗い時間は1人で歩いたりしないと固く自分に言い聞かせた。
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「ありがとう」
お礼を言うと、ヴィクターがくすっと笑って頷いた。
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「ヴィクター、ほんとにありがとうね」
もう一度お礼を言いながら上の方へ続く階段へ回ると、ヴィクターが笑顔を向けて片手を挙げる。
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あれはヴィクターだ。
どうしたのだろうと思って、数段下りて覗くと、ドアの鍵穴に鍵を入れて押したり引っ張ったりと格闘しているヴィクターが見えた。
「ヴィクター?どうかしたの?」
声をかけると、ヴィクターがこちらを見上げて、苦笑いした。
「サビーナのやつ、内側の鍵穴に鍵を入れっぱなしで寝やがったみたいだ」
「内側から?」
「あいつ、またやりやがった……」
大きく溜め息を着いて、鍵穴を見下ろすヴィクター。
内側から鍵が入っていると、外から開けようとしても開かないらしい。
その仕組みは知らなかったけれど、さすがに私も、閉め出しをくらっているヴィクターをそのまま見過ごすわけにもいかなくなり、少し躊躇した後に声をかけた。
「……なんだったら、こっちに入っておけば?ソファあるし、一眠りしてまた彼女が起きた頃に呼び鈴押してみるとか」
そう言うと、ヴィクターが少し黙って考えていたようだったけれど、やがて諦めたようにもう一度溜め息をつき、私のほうを見上げた。
「そうさせてもらえると、正直なところ助かる」
「うん。命の恩人に、これくらいお礼はさせてもらわないと」
少し大袈裟な気もしたけれど、本当に危険な所だったから、下手したら命だって関わっていたからもしれない。
「そりゃいくらなんでも言い過ぎってやつ」
ヴィクターは苦笑した。
それから鍵を抜いて、ゆっくりと階段を上がって来た。
扉を開けて誘導すると、ヴィクターが玄関マットで靴底をこすって、中に入った。
「リオ、ありがとう」
「ううん、気にしないで。さすがに、今晩は外で寝るには寒いしね」
「それは、言えてる。風邪引いて、パーティをキャンセルにしたら野郎どもに何されるかわからないし」
冗談まじりにそう言って、私がブーツを脱いでいるのを見て彼も靴を脱いだ。
「キッチンはあっちだから、水とか適当に飲んで。そっちがリビング。ソファがあるし。あ、ちょっと待ってて」
私はベッドルームに入って、クローゼットを開けて見た。
思った通り、予備のクッションやブランケットが置いてあったので、それを取り出す。
リビングのほうへ行くと、ヴィクターが窓際のランプを付けているところだった。
「予備のがあったよ。ここに置いとくね」
「オッケー」
そう言いながら、ヴィクターが大きな欠伸をして、可笑しそうに笑う。
リビングを出ようとしたら、おやすみ、とまた聞こえたので振り返ったら、もうすでにブランケットに包まってソファに寝そべるヴィクターが見えた。
「じゃぁね」
私は静かにそう言って、リビングのドアを閉めた。
すごく疲れていたけれど、やっぱり化粧を落とさないで寝るのはお肌には絶対良くないと自分に言い聞かせ、きちんと化粧を落とし、歯磨きをしてからベッドルームに入る。
時間はもう5時半になっていたけれど、外はまだ真っ暗だ。
これだけ暗いと、全然、明け方という気がしない。
眠気を覚ます朝日もまだ当分上りそうにない。
ベッドに潜り込むと、もうその瞬間に意識が遠のいて、私は深い眠りの中に落ちて行った。
夢の中で、昨晩の出来事がドラマの再放送のように流れて、それが現実なのか、夢なのかわからない状態を繰り返しつつ、私はぐっすりと眠りについていた。
どれくらい眠ったか分らない。
意識の遠くで、呼び鈴のような音が聞こえた。
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